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危機一髪 1
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「アンリ補佐官、これをリン国のシン公使に届けて欲しいとクロード様から申しつかりました。お願いします」
封された書類は城下にあるリン国の大使館宛のシン公使となっている。
「私が……ですか?」
シン公使とは面識もない。それなら外務の他の知っている者のほうがいいと思い訊ねると、「重要書類ではないですか? 誰でもいいなら私が行きますが」と言われた。
「わかりました。急ぎなら困りますから今から行ってきます」
三日も書類とにらめっこで正直疲れていたので、気分転換のつもりで受けた。
馬車を用意してもらって、その間に身分証明書の徽章も忘れない。
「アンリ!」
「ケヴィン。仕事中に声を掛けてくるなんて珍しいな」
王宮内の仕事用の馬車、大使館へ行けるくらいのものを用意してもらっていると、ケヴィンに会った。そうだ、馬車も騎士団の管轄だったっけと思い出す。
「ごめん、謝りたかったんだ。勝手に盛り上がって悪かった。でもアンリも珍しいじゃないか。仕事で出かけるのか?」
「ああ、リン国の大使館に届け物なんだ」
ケヴィンが驚いたように目を瞬く。
「大変だな。警護はいらないのか?」
「書類だけだし、特につけていけと言われてないから大丈夫だろう。なぁ、俺の格好おかしくないよな?」
城で仕事をしているから変なものは使っていないが大使館へいくなんて初めてで心配なのだ。
「似合ってるよ。気をつけて――」
「ああ、ありがとう」
ケヴィンがこういう性格で良かった。気まずくて、俺から話しかけることはできなかっただろうから。服装の問題ないというので安心して、馬車に乗り込んだ。
「リン国には、針という治療法があるんです」
「針?」
物騒な品名に自由にならない身体を僅かに揺する。
大使館へ行くと、聞いていたのかすぐにシン公使の部屋に通された。挨拶をして、書類を渡そうと思ったらお茶の時間だから一緒にどうですかと言われて、断れなくて飲んだのがまずかった。
うそだろ、なんで大使館で堂々と薬なんか――。と頽れて横たわらされたソファの上で後悔した。
ビアンカさんが気をつけろって言ってたのに。大使だけじゃないのかよ。
近寄ってきたリン公使の手には光る針が握られていた。
殺される? 目を潰される? それとも爪の間にいれられるという拷問? と恐怖に押しつぶされそうになった。
「ええ、肩こりにも効くんですよ」
「どうして……」
口は自由に動くのに、身体は僅かにしか動かなかった。白髪の交ざった初老に近いリン国の公使は、口だけで微笑みながら俺のシャツの胸元を開けた。
「聞きたいことがあるのですよ。でも正直に答えて、その後黙ってくれるとは限らないでしょう? だから何をされたか言えないようにしようと思っています」
丁寧な言葉遣いだが、その目には獲物を前にした蛇のような光が灯っていた。
「書類は」
「カモフラージュですよ。大したことは書いてません。今日はクロード様もビアンカ様もいらっしゃらないので狙わせてもらいました」
針が肩に、背中にと押しつけられていくが、鈍い痛みが僅かにあるだけだった。スッキリしてるのは気のせいだろうか。
「可哀想に、震えて――」
「当たり前でしょう! 離してください。返して下さい!」
叫んでも無駄なことはわかる。多分、この部屋に来る人間は敵だけだ。
「私は常々、黒髪が至高だと思っているんですよ。金髪もいいですが……」
「何の話ですか!」
「性癖です」
「ヒッ! やめっ」
年の割に体つきもしっかりしたシン公使は、動けない俺の身体から衣服を取り去り、何もないテーブルに横たえて鑑賞するように眺めた。
「美しい……。若いというのはそれだけで価値がある」
「やめてくれ!」
「だから、傷などつけたくないのですよ」
針に舌を這わせて、シン公使が笑う。怖い。クロードとは違う。
「いやっ!」
うつ伏せにされて、腰の辺りを針が入ってくる。どれくらいかはわからないけれど、さっき肩に刺された時のように鈍い痛みを感じた。
「ここは昂ぶる部分なんです。沢山達くようにしてあげましたよ。残念ながら身体の自由がないので自分で動いてもらうことはできませんが、私は縛るのも得意なんです。白い身体に赤い線が美しく映えるのが楽しみです」
変態だ。本当の変態だ。リン国の衣装は貫頭衣で、シン公使の前が張ってきているのが目で見えた。
「あっ……やだ――」
「いつまで嫌だと言っていられるでしょうね。ほら、もう勃ちあがってきましたよ」
見ないようにしていたのに、机の上で縄によって拘束されていく俺の中心が痛い位になっていくのを感じた。
「私に愛されて、落ちないものはいませんよ」
自信満々なシン公使は油のようなものを手に落とした。足は折り曲げられて太ももとふくらはぎをくっつけて拘束された。その狭間に自分のモノが見えて、恥ずかしさと絶望感にクラクラする。
「落ちるか!」
「楽しみですね」
尻の狭間にシン公使の指が添えられ、衝撃を想像して俺は目を瞑った。
封された書類は城下にあるリン国の大使館宛のシン公使となっている。
「私が……ですか?」
シン公使とは面識もない。それなら外務の他の知っている者のほうがいいと思い訊ねると、「重要書類ではないですか? 誰でもいいなら私が行きますが」と言われた。
「わかりました。急ぎなら困りますから今から行ってきます」
三日も書類とにらめっこで正直疲れていたので、気分転換のつもりで受けた。
馬車を用意してもらって、その間に身分証明書の徽章も忘れない。
「アンリ!」
「ケヴィン。仕事中に声を掛けてくるなんて珍しいな」
王宮内の仕事用の馬車、大使館へ行けるくらいのものを用意してもらっていると、ケヴィンに会った。そうだ、馬車も騎士団の管轄だったっけと思い出す。
「ごめん、謝りたかったんだ。勝手に盛り上がって悪かった。でもアンリも珍しいじゃないか。仕事で出かけるのか?」
「ああ、リン国の大使館に届け物なんだ」
ケヴィンが驚いたように目を瞬く。
「大変だな。警護はいらないのか?」
「書類だけだし、特につけていけと言われてないから大丈夫だろう。なぁ、俺の格好おかしくないよな?」
城で仕事をしているから変なものは使っていないが大使館へいくなんて初めてで心配なのだ。
「似合ってるよ。気をつけて――」
「ああ、ありがとう」
ケヴィンがこういう性格で良かった。気まずくて、俺から話しかけることはできなかっただろうから。服装の問題ないというので安心して、馬車に乗り込んだ。
「リン国には、針という治療法があるんです」
「針?」
物騒な品名に自由にならない身体を僅かに揺する。
大使館へ行くと、聞いていたのかすぐにシン公使の部屋に通された。挨拶をして、書類を渡そうと思ったらお茶の時間だから一緒にどうですかと言われて、断れなくて飲んだのがまずかった。
うそだろ、なんで大使館で堂々と薬なんか――。と頽れて横たわらされたソファの上で後悔した。
ビアンカさんが気をつけろって言ってたのに。大使だけじゃないのかよ。
近寄ってきたリン公使の手には光る針が握られていた。
殺される? 目を潰される? それとも爪の間にいれられるという拷問? と恐怖に押しつぶされそうになった。
「ええ、肩こりにも効くんですよ」
「どうして……」
口は自由に動くのに、身体は僅かにしか動かなかった。白髪の交ざった初老に近いリン国の公使は、口だけで微笑みながら俺のシャツの胸元を開けた。
「聞きたいことがあるのですよ。でも正直に答えて、その後黙ってくれるとは限らないでしょう? だから何をされたか言えないようにしようと思っています」
丁寧な言葉遣いだが、その目には獲物を前にした蛇のような光が灯っていた。
「書類は」
「カモフラージュですよ。大したことは書いてません。今日はクロード様もビアンカ様もいらっしゃらないので狙わせてもらいました」
針が肩に、背中にと押しつけられていくが、鈍い痛みが僅かにあるだけだった。スッキリしてるのは気のせいだろうか。
「可哀想に、震えて――」
「当たり前でしょう! 離してください。返して下さい!」
叫んでも無駄なことはわかる。多分、この部屋に来る人間は敵だけだ。
「私は常々、黒髪が至高だと思っているんですよ。金髪もいいですが……」
「何の話ですか!」
「性癖です」
「ヒッ! やめっ」
年の割に体つきもしっかりしたシン公使は、動けない俺の身体から衣服を取り去り、何もないテーブルに横たえて鑑賞するように眺めた。
「美しい……。若いというのはそれだけで価値がある」
「やめてくれ!」
「だから、傷などつけたくないのですよ」
針に舌を這わせて、シン公使が笑う。怖い。クロードとは違う。
「いやっ!」
うつ伏せにされて、腰の辺りを針が入ってくる。どれくらいかはわからないけれど、さっき肩に刺された時のように鈍い痛みを感じた。
「ここは昂ぶる部分なんです。沢山達くようにしてあげましたよ。残念ながら身体の自由がないので自分で動いてもらうことはできませんが、私は縛るのも得意なんです。白い身体に赤い線が美しく映えるのが楽しみです」
変態だ。本当の変態だ。リン国の衣装は貫頭衣で、シン公使の前が張ってきているのが目で見えた。
「あっ……やだ――」
「いつまで嫌だと言っていられるでしょうね。ほら、もう勃ちあがってきましたよ」
見ないようにしていたのに、机の上で縄によって拘束されていく俺の中心が痛い位になっていくのを感じた。
「私に愛されて、落ちないものはいませんよ」
自信満々なシン公使は油のようなものを手に落とした。足は折り曲げられて太ももとふくらはぎをくっつけて拘束された。その狭間に自分のモノが見えて、恥ずかしさと絶望感にクラクラする。
「落ちるか!」
「楽しみですね」
尻の狭間にシン公使の指が添えられ、衝撃を想像して俺は目を瞑った。
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