憧れの先輩の結婚式からお持ち帰りされました

東院さち

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【後日談】そりゃないぜ、魔女様! 9

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 次の日、熱が下がっているのを確認されてから朝ご飯を食べて、クロードと村まで行くことにした。本当はクロードを見せたくなかったんだけど(狭量だと思われてもいい。竜な魔女様にとられたくない)一緒に行けないなら行くのを許さないとガンとして譲ってくれなかったのだ。

「はぁ、また美形じゃ……」

 魔女様は連れだってきたことに驚いていたけれど、一言目にはそれだった。

「魔女様! クロードは俺のだから!」
「わかっている。それに美形ではあるが我が背の君とは趣向が違うので安心しろ。ギレット様はもっと筋肉隆々で野性味溢れる美男だったのだ」

 魔女様の魔法だろうか、脳裏に浮かんだ男は美形だが確かにクロードとは全く違った。

「驚いた、これがご先祖様の姿なのか」
「そうだ。格好いいだろう? 彼は大食漢でな。沢山作ってやったよ、これで」

 かき混ぜ棒は、宝物庫のすみにひっそりと置かれていた。まるでメイドが忘れていったかのようで、本当に宝物なの? と思ったがまさか料理に使われていたとは。

「これは君に差し上げます。元々君のものだというし、私達には必要ないからね」

 そう、俺たちには料理人がいる。俺は作るより食べる方が好きだ。

「いいのか?」
「いいですよ。でも、相手の了承も得ず子宮を作るとかはもう止めてください。昨日、彼を抱いたら熱を出してしまって。本当に大丈夫なのですか?」
「ちょっとまっておれ……」

 俺に手をあてて、魔女様が何かを唱えた。

「ああ、ちゃんと子供ができておる。多分、その子の力だろう」
「子供?」
「ああ、お前達の子供だ。竜の血が濃いのかもな」
「ということは俺が産むまで熱が出るということか?」
「いや、大丈夫だ。もう収まっている。その代わり、一週間に一度はお前の精気を注がないと駄目だぞ。嫁には竜の血が流れていないのだからな」
「精気……って」
「まぁ精液だな」

 可愛い女の子の姿で精液とか言わないでほしい。

「それは願ってもないことだが。注意点とかあるのか?」
「いや、竜の子は頑丈だから別に性交で注意することなどない」
「性交とか言うな!」
「セックスと言えばいいのか?」
「もうやだ、この子。可愛い顔して魔女様なんだもん」
「ア、アンリ? この子可愛いの?」
「可愛いだろう!」

 クロードが信じられないという顔をした。

「お前は竜の血が流れているからな。魔法ではごまかせない。見抜く目をもっている」

 魔女様の言葉に俺はクロードを見上げた。俺、どう見えてるのかなって思った。

「アンリほど可愛い、素敵な人はいないよ」

 嘘としか思えないけれど、言われて嬉しくないわけがない。

「クロードも格好良くて、優しくて大好きだ」

 俺も自分の気持ちを伝えた。

「そなたら……イチャつくなら家でしろ。もしまた熱が出るようなら私を呼べ。魔女様、助けて! って言えば行ってやる。アフターサービスだ」

 魔女様はそう言ってかき混ぜ棒を愛おしげに抱きしめた。

「魔女様、薬! いつ作ってくれるの?」
「そうだな、三日後にはできているだろう。そなたの部屋の机の上に置いておくから使うといい」

 魔女様は快く引き受けてくれた。ちゃんと瓶も回収して髪も抜いておいたので、それを渡した。

「よくやった」
「頼むよ!」

 神様に祈るより熱心に拝んだ。
 帰りはクロードと村を一周した。小さな村だ。

「どうして公爵家の一番近いところがこんなに小さな村なんだ?」

 王都をみてもわかる通り、権力のあるところに人は集まるはずなのに。

「この村は、公爵家の仕事をしているものたちの村なんだ。全部身内みたいなものだな」
「そうなんだ。皆もっと都会がいいって言わないのかな?」
「都会に出たいやつは、都市部の公爵家で仕えているよ。ここは、そうだな。多分、魔女様のためにご先祖様が人を増やさなかったんだろう。先祖の竜は生きているって聞いていたし」
「信じてなかったのに?」
「そういうものだよ、古い家っていうのは何かしら秘密があるんだ。アンリにも教えるね」

 嫁も知っとかないといけないのかな? いやそんな時間はないだろう。

「別にいらない。面倒だし」

 覚えないといけないこともやらないといけないことも沢山あるし。

「ところで薬ってなんの薬なの? 子供を育てるのに必要なのかな?」

 聞かれた! えっと……。

「いや、必要なのはお前の精液だけだろ」
「アンリ、だから……煽らないで」

 俺をこんなに慌てさせといて、そんな声を出すな。

「あ……クロ、駄目だって。馬車の窓から見えるかもしれないし……」
「見せつけてやろう――」
「んんぅ、クロ……やだ。家がいい」
「仕方ないな……」

 クロードが御者台の後ろを叩くとスピードが上がった。

「仕方ないのはお前だ……」

 ギュッと抱きしめられて、クロードの香りを嗅いだ。わけもなく欲情しそうになって目を瞑った。


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