51 / 53
【後日談】そりゃないぜ、魔女様! 9
しおりを挟む
次の日、熱が下がっているのを確認されてから朝ご飯を食べて、クロードと村まで行くことにした。本当はクロードを見せたくなかったんだけど(狭量だと思われてもいい。竜な魔女様にとられたくない)一緒に行けないなら行くのを許さないとガンとして譲ってくれなかったのだ。
「はぁ、また美形じゃ……」
魔女様は連れだってきたことに驚いていたけれど、一言目にはそれだった。
「魔女様! クロードは俺のだから!」
「わかっている。それに美形ではあるが我が背の君とは趣向が違うので安心しろ。ギレット様はもっと筋肉隆々で野性味溢れる美男だったのだ」
魔女様の魔法だろうか、脳裏に浮かんだ男は美形だが確かにクロードとは全く違った。
「驚いた、これがご先祖様の姿なのか」
「そうだ。格好いいだろう? 彼は大食漢でな。沢山作ってやったよ、これで」
かき混ぜ棒は、宝物庫のすみにひっそりと置かれていた。まるでメイドが忘れていったかのようで、本当に宝物なの? と思ったがまさか料理に使われていたとは。
「これは君に差し上げます。元々君のものだというし、私達には必要ないからね」
そう、俺たちには料理人がいる。俺は作るより食べる方が好きだ。
「いいのか?」
「いいですよ。でも、相手の了承も得ず子宮を作るとかはもう止めてください。昨日、彼を抱いたら熱を出してしまって。本当に大丈夫なのですか?」
「ちょっとまっておれ……」
俺に手をあてて、魔女様が何かを唱えた。
「ああ、ちゃんと子供ができておる。多分、その子の力だろう」
「子供?」
「ああ、お前達の子供だ。竜の血が濃いのかもな」
「ということは俺が産むまで熱が出るということか?」
「いや、大丈夫だ。もう収まっている。その代わり、一週間に一度はお前の精気を注がないと駄目だぞ。嫁には竜の血が流れていないのだからな」
「精気……って」
「まぁ精液だな」
可愛い女の子の姿で精液とか言わないでほしい。
「それは願ってもないことだが。注意点とかあるのか?」
「いや、竜の子は頑丈だから別に性交で注意することなどない」
「性交とか言うな!」
「セックスと言えばいいのか?」
「もうやだ、この子。可愛い顔して魔女様なんだもん」
「ア、アンリ? この子可愛いの?」
「可愛いだろう!」
クロードが信じられないという顔をした。
「お前は竜の血が流れているからな。魔法ではごまかせない。見抜く目をもっている」
魔女様の言葉に俺はクロードを見上げた。俺、どう見えてるのかなって思った。
「アンリほど可愛い、素敵な人はいないよ」
嘘としか思えないけれど、言われて嬉しくないわけがない。
「クロードも格好良くて、優しくて大好きだ」
俺も自分の気持ちを伝えた。
「そなたら……イチャつくなら家でしろ。もしまた熱が出るようなら私を呼べ。魔女様、助けて! って言えば行ってやる。アフターサービスだ」
魔女様はそう言ってかき混ぜ棒を愛おしげに抱きしめた。
「魔女様、薬! いつ作ってくれるの?」
「そうだな、三日後にはできているだろう。そなたの部屋の机の上に置いておくから使うといい」
魔女様は快く引き受けてくれた。ちゃんと瓶も回収して髪も抜いておいたので、それを渡した。
「よくやった」
「頼むよ!」
神様に祈るより熱心に拝んだ。
帰りはクロードと村を一周した。小さな村だ。
「どうして公爵家の一番近いところがこんなに小さな村なんだ?」
王都をみてもわかる通り、権力のあるところに人は集まるはずなのに。
「この村は、公爵家の仕事をしているものたちの村なんだ。全部身内みたいなものだな」
「そうなんだ。皆もっと都会がいいって言わないのかな?」
「都会に出たいやつは、都市部の公爵家で仕えているよ。ここは、そうだな。多分、魔女様のためにご先祖様が人を増やさなかったんだろう。先祖の竜は生きているって聞いていたし」
「信じてなかったのに?」
「そういうものだよ、古い家っていうのは何かしら秘密があるんだ。アンリにも教えるね」
嫁も知っとかないといけないのかな? いやそんな時間はないだろう。
「別にいらない。面倒だし」
覚えないといけないこともやらないといけないことも沢山あるし。
「ところで薬ってなんの薬なの? 子供を育てるのに必要なのかな?」
聞かれた! えっと……。
「いや、必要なのはお前の精液だけだろ」
「アンリ、だから……煽らないで」
俺をこんなに慌てさせといて、そんな声を出すな。
「あ……クロ、駄目だって。馬車の窓から見えるかもしれないし……」
「見せつけてやろう――」
「んんぅ、クロ……やだ。家がいい」
「仕方ないな……」
クロードが御者台の後ろを叩くとスピードが上がった。
「仕方ないのはお前だ……」
ギュッと抱きしめられて、クロードの香りを嗅いだ。わけもなく欲情しそうになって目を瞑った。
「はぁ、また美形じゃ……」
魔女様は連れだってきたことに驚いていたけれど、一言目にはそれだった。
「魔女様! クロードは俺のだから!」
「わかっている。それに美形ではあるが我が背の君とは趣向が違うので安心しろ。ギレット様はもっと筋肉隆々で野性味溢れる美男だったのだ」
魔女様の魔法だろうか、脳裏に浮かんだ男は美形だが確かにクロードとは全く違った。
「驚いた、これがご先祖様の姿なのか」
「そうだ。格好いいだろう? 彼は大食漢でな。沢山作ってやったよ、これで」
かき混ぜ棒は、宝物庫のすみにひっそりと置かれていた。まるでメイドが忘れていったかのようで、本当に宝物なの? と思ったがまさか料理に使われていたとは。
「これは君に差し上げます。元々君のものだというし、私達には必要ないからね」
そう、俺たちには料理人がいる。俺は作るより食べる方が好きだ。
「いいのか?」
「いいですよ。でも、相手の了承も得ず子宮を作るとかはもう止めてください。昨日、彼を抱いたら熱を出してしまって。本当に大丈夫なのですか?」
「ちょっとまっておれ……」
俺に手をあてて、魔女様が何かを唱えた。
「ああ、ちゃんと子供ができておる。多分、その子の力だろう」
「子供?」
「ああ、お前達の子供だ。竜の血が濃いのかもな」
「ということは俺が産むまで熱が出るということか?」
「いや、大丈夫だ。もう収まっている。その代わり、一週間に一度はお前の精気を注がないと駄目だぞ。嫁には竜の血が流れていないのだからな」
「精気……って」
「まぁ精液だな」
可愛い女の子の姿で精液とか言わないでほしい。
「それは願ってもないことだが。注意点とかあるのか?」
「いや、竜の子は頑丈だから別に性交で注意することなどない」
「性交とか言うな!」
「セックスと言えばいいのか?」
「もうやだ、この子。可愛い顔して魔女様なんだもん」
「ア、アンリ? この子可愛いの?」
「可愛いだろう!」
クロードが信じられないという顔をした。
「お前は竜の血が流れているからな。魔法ではごまかせない。見抜く目をもっている」
魔女様の言葉に俺はクロードを見上げた。俺、どう見えてるのかなって思った。
「アンリほど可愛い、素敵な人はいないよ」
嘘としか思えないけれど、言われて嬉しくないわけがない。
「クロードも格好良くて、優しくて大好きだ」
俺も自分の気持ちを伝えた。
「そなたら……イチャつくなら家でしろ。もしまた熱が出るようなら私を呼べ。魔女様、助けて! って言えば行ってやる。アフターサービスだ」
魔女様はそう言ってかき混ぜ棒を愛おしげに抱きしめた。
「魔女様、薬! いつ作ってくれるの?」
「そうだな、三日後にはできているだろう。そなたの部屋の机の上に置いておくから使うといい」
魔女様は快く引き受けてくれた。ちゃんと瓶も回収して髪も抜いておいたので、それを渡した。
「よくやった」
「頼むよ!」
神様に祈るより熱心に拝んだ。
帰りはクロードと村を一周した。小さな村だ。
「どうして公爵家の一番近いところがこんなに小さな村なんだ?」
王都をみてもわかる通り、権力のあるところに人は集まるはずなのに。
「この村は、公爵家の仕事をしているものたちの村なんだ。全部身内みたいなものだな」
「そうなんだ。皆もっと都会がいいって言わないのかな?」
「都会に出たいやつは、都市部の公爵家で仕えているよ。ここは、そうだな。多分、魔女様のためにご先祖様が人を増やさなかったんだろう。先祖の竜は生きているって聞いていたし」
「信じてなかったのに?」
「そういうものだよ、古い家っていうのは何かしら秘密があるんだ。アンリにも教えるね」
嫁も知っとかないといけないのかな? いやそんな時間はないだろう。
「別にいらない。面倒だし」
覚えないといけないこともやらないといけないことも沢山あるし。
「ところで薬ってなんの薬なの? 子供を育てるのに必要なのかな?」
聞かれた! えっと……。
「いや、必要なのはお前の精液だけだろ」
「アンリ、だから……煽らないで」
俺をこんなに慌てさせといて、そんな声を出すな。
「あ……クロ、駄目だって。馬車の窓から見えるかもしれないし……」
「見せつけてやろう――」
「んんぅ、クロ……やだ。家がいい」
「仕方ないな……」
クロードが御者台の後ろを叩くとスピードが上がった。
「仕方ないのはお前だ……」
ギュッと抱きしめられて、クロードの香りを嗅いだ。わけもなく欲情しそうになって目を瞑った。
3
あなたにおすすめの小説
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
僕に双子の義兄が出来まして
サク
BL
この度、この僕に双子の義兄が出来ました。もう、嬉し過ぎて自慢しちゃうよ。でも、自慢しちゃうと、僕の日常が壊れてしまう気がするほど、その二人は人気者なんだよ。だから黙って置くのが、吉と見た。
そんなある日、僕は二人の秘密を知ってしまった。ん?知っているのを知られてしまった?が正しいかも。
ごめんよ。あの時、僕は焦っていたんだ。でもね。僕の秘密もね、共有して、だんだん仲良くなったんだよ。
…仲良くなったと、そう信じている。それから、僕の日常は楽しく、幸せな日々へと変わったんだ。そんな僕の話だよ。
え?内容紹介が内容紹介になってないって?気にしない、気にしない。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。抱かれたら身代わりがばれてしまうので初夜は断固拒否します!
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
隣国の国王キリアン(アルファ)に嫁がされたオメガの王子リュカ。
しかし実は、結婚から逃げ出した双子の弟セラの身代わりなのです…
本当の花嫁じゃないとばれたら大変!
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだんキリアンに惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】
彩華
BL
俺の名前は水野圭。年は25。
自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで)
だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。
凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!
凄い! 店員もイケメン!
と、実は穴場? な店を見つけたわけで。
(今度からこの店で弁当を買おう)
浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……?
「胃袋掴みたいなぁ」
その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。
******
そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜
レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」
魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。
彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。
高貴なオメガは、ただ愛を囁かれたい【本編完結】
きど
BL
愛されていないのに形だけの番になるのは、ごめんだ。
オメガの王族でもアルファと番えば王位継承を認めているエステート王国。
そこの第一王子でオメガのヴィルムには長年思い続けている相手がいる。それは幼馴染で王位継承権を得るための番候補でもあるアルファのアーシュレイ・フィリアス。
アーシュレイは、自分を王太子にするために、番になろうとしてると勘違いしているヴィルムは、アーシュレイを拒絶し続ける。しかし、発情期の度にアーシュレイに抱かれる幻想をみてしまい思いに蓋をし続けることが難しくなっていた。
そんな時に大国のアルファの王族から番になる打診が来て、アーシュレイを諦めるためにそれを受けようとしたら、とうとうアーシュレイが痺れを切らして…。
二人の想いは無事通じ合うのか。
現在、スピンオフ作品の
ヤンデレベータ×性悪アルファを連載中
【完結】顔だけと言われた騎士は大成を誓う
凪瀬夜霧
BL
「顔だけだ」と笑われても、俺は本気で騎士になりたかった。
傷だらけの努力の末にたどり着いた第三騎士団。
そこで出会った団長・ルークは、初めて“顔以外の俺”を見てくれた人だった。
不器用に愛を拒む騎士と、そんな彼を優しく包む団長。
甘くてまっすぐな、異世界騎士BLファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる