攻略対象に転生した俺が何故か溺愛されています

東院さち

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17 女神様?(女神様視点です)

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「うわぁ、綺麗な人」

 真っ白な私の空間に現れた三人の子供たち。この子たちは間違って死んでしまったのだ。

「人ではない。女神とお前たちの世界のものは言う」
「うわぁ、女神様だって、お兄ちゃん」

 二人は兄妹のようだ。

「女神だと! 何で俺たちは死んだんだ! 昨日まで必死で受験勉強をしてきて、やっとたこ焼きというご褒美を食べるところだったんだぞ! 後十分でも後ならこれほど悔やんだりしなかったのに――」

 事故のせいで興奮して怒っているのかと思っていたら、どうやら違ったらしい。受験というのは中々の試練だとういうからな。怒るのもわかるが、話ができないのでもう一体私を呼び出して相手をさせることにした。腰の低いのがいいだろう。

「すみません、すみません」

 謝る私の分身に男は半分泣きながら文句を言っている。

「お兄ちゃん、キレちゃったのね。温和な人ほどキレると怖いっていうのは本当だったんだ……」

 女の子は、比較的動揺していないようだ。小学生の男の子を励ますためか手を握っている。

「兄ちゃん、可哀想……」

 小さな子供にまで気の毒に思われている男のことは置いておこう。時間があまりない。

「そなたたちには悪いことをした」
「え、あなたが車を運転していの?」
「いや、そうではない。ただ、本来ならあの車は反対側に突っ込んでいくはずだったのだが、人の生死を委託している死神が間違ってそなたたちのロウソクの火を刈り取ってしまったのだ。最近人がよく死ぬせいか、死神も疲れていてな。そういうミスが頻発している。リスクヘッジの見直しが必要だな」
「へ、へぇへぇへぇへぇ……」

 言った意味が処理できなかったような顔で少女は何かを何度も叩くマネをする。

「姉ちゃん大丈夫?」
「う、うん。ちょっとお母さんのマネしちゃった……。死神が委託……」
「間違えたのなら、元の世界に戻れるんですか?」
「残念だが、炎は元に戻らないんだ。そなたたちには二つ選ばせてあげることくらいしかできないな。一つは、生きてきた世界での願い事。前に選んだ人は『自分のパソコンを潰してくれ』だったかな……。『親の心の傷を癒して欲しい』などもあった。何がいい?」

 二人はすぐに決まったようだ。

「私、漫画を描き終わったところだったんですよ。それを投稿しようとおもってたんですけど、それを投稿してたことにできませんか? 保存まで終わってるので、投稿ボタンを押すだけなんです! あんなに頑張って描いたんだから友達にくらい見て欲しい……」
「……まぁいいだろう。事故に遭う前に投稿していたことにしてあげよう。君は?」
「僕の妹は耳が聞こえないんです。それを治したりできませんか?」
「……難しいな。だが、まぁいい。奇跡をつかってやろう」

 二人は親指を立てて満面の笑顔を見せた。
 何故か兄の方をみると、私の分身が地面にのの字を書いている。

「そなたは何がいい?」
「別にない。今更だ」

 それだけ言って、まだ私の分身に文句を言っている。少し気になるが、とりあえず無視をした。吐き出したいだけだろう。受け止めるのも責任のひとつだ。あとであの分身を取り込むのが嫌だが……。

「来世はどこがいい? 好きなアニメの世界とか、本の世界でも転生できるぞ?」
「アニメって……。アニメが最終回になったら消えちゃうんじゃ……」
「いや、お前たちの世界だってそういう世界の一つだ。全て私の想像から始まった世界だ」
「ええっ? そうなの……。それなら、私は『花咲き誇るフラワーガーデン物語』の……私の漫画の世界とかでも大丈夫なのかな?」
「ああ」
「16pだよ?」
「元は『花咲き誇るフラワーガーデン物語』というゲームだろう。そこにお前の望みをいれてやろう。とはいえ、世界は生まれた瞬間から無限とある岐路を選択していく。お前たちが生まれた瞬間、広がっていくものをこちらで固定することはできない」
「そうなんだ。私たちが作っていくのね」
「いい子だ。兄より優秀だな」
「あの……私はアルフォンスとサイラスを見ていたいの。近くで。わからないように。そういう特典とかありですか?」

 期待に煌めく瞳が綺麗だからいいだろう。 

「……変わった趣味だな、まぁいいだろう。兄の分の願いがなかったからな。おまけだ」
「嬉しい! ありがとう、女神様! でもなんで女神様なのに、男装してるの? 男ぽい話し方だし」
「私は思念の存在だ。この姿はお前が決めたのだよ」
「道理で格好いいと思った!」
「さて、兄の方。お前はどんな世界がいい?」
「澪と同じ世界でいい」

 面倒くさいのか思い切りがいいのか、どんな世界か知っているのだろうか。

「兄妹に産まれるとは限らないぞ」
「別に構わない」

 少しスッキリした顔で兄のほうが笑う。さっきまで怨霊になりそうな顔をしてたくせに。お陰で私の分身が幽霊のようになっているではないか。いいだろう、妹が好きなキャラにしてやろう。意趣返しも込めてな。

「お兄ちゃん嬉しいけど……、モゴモゴ……」

 面白いから黙っておけと妹の方の口を封じた。

「お前はどうする? チートキャラで無双とかが子供には流行ってるのだろう?」
「いや、別にいいし。兄ちゃんや姉ちゃんと同じ世界に行くよ。袖振り合うも多生の縁って言うんでしょ?」
「よく知ってたな、そんな言葉」
「兄ちゃんは、僕を庇ってくれた恩人だもの。でも友達とかになれたらいいな」
「モゴモゴ(いい子ね)」

 三人は同じ世界を望んだ。

「よし、行ってこい」

 私は三つの魂を妹の主観多めの『花咲き誇るフラワーガーデン物語』へ送り込んだ。
 自信を失ってしまった私の分身の報復というわけでは、もちろんない。

 同じ時に受精した卵子はそれぞれの母親の腹の中に宿り、やがて産声を上げた。
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