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拓夢の話11
一年前ー
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俺は、凛を見つめながら一年前の出来事を思い出しながら話す。
一年前ー
「拓夢、先帰るよ」
「うん!お疲れ」
「じゃあな!気をつけて」
「うん、じゃあな!」
あの日、凛を連れていったカラオケ屋さんで俺はメンバーと解散した。時刻は、もうすぐ真夜中の12時を回る所だった。俺は、今と違ってこの近くに住んでたから!曲を作りたい日は、一時か二時頃まで、練習をして帰った。この日も、みんなが帰ってから一時間。俺は、曲を作っていた。
明日は、休みだし、彼女もいない。だから、別にゆっくりしててよかったんだけど…。昨日も徹夜だった俺は、一時過ぎに帰宅した。トボトボとギターを背負って歩いていく。
家の前に着いた時だった!
「拓夢君」
「あっ!」
まっつんの母親が、突然現れた。
「終電なくしちゃって、泊めてくれない?」
「はい」
断る言葉が、思いつかなかったし…。まっつんの母親だからと言って野宿をさせるわけにはいかなかった。【女性には、優しくしなさい】そう教えられてきた俺は、まっつんの母親に冷たく出来なかった。
「どうぞ」
「お邪魔します」
俺は、まっつんの母親を家に上げた。
「温かいものいれますね!」
俺は、ギターを置いてキッチンに行ってお湯をケトルで沸かす。外は、少しずつ冬に近づいてきていて夜は冷える。ただ、暖房を使う時期ではなく。暖房を入れると、暑くて堪らない。だから、夜は温かい飲み物を飲んでいた。俺は、喉の為にいいからとかねやんが作ったレモネードを毎晩欠かさず飲んでいた。俺は、それをまっつんの母親にも差し出した。
「ホットレモネード飲めますか?」
「大丈夫よ」
そう言って、まっつんの母親はニコッと笑った。
「それ、冷やす方がいいんじゃないですか?」
俺は、まっつんの母親の左の頬を指差した。
「気にしないで」
「殴られたんですか?」
俺は、冷凍庫に冷やすのを取りに行った。
「ケーキについてたやつしかないですけど…」
そう言って、渡した俺の手をまっつんの母親は握りしめてくる。
「拓夢君、優しいのね」
「いえ」
「拓夢君、おばさんは嫌い?」
「それは、どういう意味ですか?」
俺は、まっつんの母親に手を握りしめられていて動かせなかった。
「あのー」
答えってのをくれずに、俺の手の甲を舐めてくる。
「何ですか?」
「拓夢君、お願い」
一度目は、事故かもしれない。酔っていたから…。だけど、今は違う。俺は、素面だ。それに、二度目は事故じゃない。
「駄目です。俺、まっつんを裏切れない」
二度も俺は、まっつんを裏切れなかった。まっつんの母親は、握りしめた手を離して冷やすのを取ってくれた。
一年前ー
「拓夢、先帰るよ」
「うん!お疲れ」
「じゃあな!気をつけて」
「うん、じゃあな!」
あの日、凛を連れていったカラオケ屋さんで俺はメンバーと解散した。時刻は、もうすぐ真夜中の12時を回る所だった。俺は、今と違ってこの近くに住んでたから!曲を作りたい日は、一時か二時頃まで、練習をして帰った。この日も、みんなが帰ってから一時間。俺は、曲を作っていた。
明日は、休みだし、彼女もいない。だから、別にゆっくりしててよかったんだけど…。昨日も徹夜だった俺は、一時過ぎに帰宅した。トボトボとギターを背負って歩いていく。
家の前に着いた時だった!
「拓夢君」
「あっ!」
まっつんの母親が、突然現れた。
「終電なくしちゃって、泊めてくれない?」
「はい」
断る言葉が、思いつかなかったし…。まっつんの母親だからと言って野宿をさせるわけにはいかなかった。【女性には、優しくしなさい】そう教えられてきた俺は、まっつんの母親に冷たく出来なかった。
「どうぞ」
「お邪魔します」
俺は、まっつんの母親を家に上げた。
「温かいものいれますね!」
俺は、ギターを置いてキッチンに行ってお湯をケトルで沸かす。外は、少しずつ冬に近づいてきていて夜は冷える。ただ、暖房を使う時期ではなく。暖房を入れると、暑くて堪らない。だから、夜は温かい飲み物を飲んでいた。俺は、喉の為にいいからとかねやんが作ったレモネードを毎晩欠かさず飲んでいた。俺は、それをまっつんの母親にも差し出した。
「ホットレモネード飲めますか?」
「大丈夫よ」
そう言って、まっつんの母親はニコッと笑った。
「それ、冷やす方がいいんじゃないですか?」
俺は、まっつんの母親の左の頬を指差した。
「気にしないで」
「殴られたんですか?」
俺は、冷凍庫に冷やすのを取りに行った。
「ケーキについてたやつしかないですけど…」
そう言って、渡した俺の手をまっつんの母親は握りしめてくる。
「拓夢君、優しいのね」
「いえ」
「拓夢君、おばさんは嫌い?」
「それは、どういう意味ですか?」
俺は、まっつんの母親に手を握りしめられていて動かせなかった。
「あのー」
答えってのをくれずに、俺の手の甲を舐めてくる。
「何ですか?」
「拓夢君、お願い」
一度目は、事故かもしれない。酔っていたから…。だけど、今は違う。俺は、素面だ。それに、二度目は事故じゃない。
「駄目です。俺、まっつんを裏切れない」
二度も俺は、まっつんを裏切れなかった。まっつんの母親は、握りしめた手を離して冷やすのを取ってくれた。
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