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お腹いっぱい、召し上がれ
出会い
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俺は、永代供養の場所を見つけた。
その日に、契約をして美花を埋葬した。
多分、この出会いがなかったら俺は大量殺人をしていたと今でも思ってる。
美花の埋葬が、終わってもその人はそこにいた。
俺は、遠くから見つめていた。
「友作さん、好きだったでしょ?ラザニア。ほら、私、今いろんな所のラザニア食べてるんだよ。今日も、これ持ってきました。」
その人は、紙袋からラザニアを取り出した。
「じゃあ、一緒に食べようね。あっちっち。フー、フー」
あっ!!!
その姿に、真っ暗闇に小さなライトが照らされたのを感じた。
気づくと泣きながら、その人を見ていた。
「友作さん、また明日もくるからね。次は、焼きそば持ってきてあげるから。また、この時間にね」
そう言って、その人は笑った。
俺は、その日から毎日、毎日美花の墓地に通った。
そして、その人が美味しそうに食べる姿を見つめていた。
ゴクッ
喉がなる。
美花が食べていた姿に重なる。
多幸感だ
俺が心底、欲してるのは多幸感なんだ。
気づくと走り出していた。
俺は、食材を買って半年振りに料理のために刃物を握った。
俺は、仕事をかえた。
イタリア料理のお店で働き始めた。
そこで、働きだして10年が経った。
俺は、33歳になっていた。
「三号店のオーナーにならないか?村井」
「ほんとうですか」
「ああ、どうだろうか?」
「ぜひ、やらして下さい」
俺の日々は、忙しかった。
調理師の資格もとったりもしていたし、帰宅するとラザニアをとにかく練習したんだ。
俺は、ようやくあの人に話しかけられると思った。
次の日の休み、俺は朝からラザニアを仕込んでいた。
あの人が、現れる時間はランダムだったけれど水曜日だけは昼間に必ずやってくるのだ。
俺は、ラザニアを保温バックにつめた。
美花の墓地に行くとやっぱりいた。
「友作さん、今日はまた」
「あの」
「はい」
「あの、ラザニア食べてくれませんか?」
「えっ?」
「駄目でしょうか?」
後で知ったのは、彼女は看護士さんで、優しかっただけって事を…
「えっと」
「変なものは、いれてません。俺は、あそこのイタリアンレストランで働いてるものです。だから、毒とか、そんなのは」
「食べますよ」
そう言って、笑ってくれた。
「はい、お願いします」
「いただきます」
そう言って、彼女はどこの誰かわからない俺のラザニアを食べてくれた。
「フー、フー、あっつ」
その姿に、俺は多幸感が広がっていった。
「不味いでしょうか?」
「いえ、すごくすごく美味しいです。今まで、食べた物より。彼が作るのに似ていて」
彼女は、ボロボロと泣き出してしまった。
「大丈夫ですか?」
「あっ、すみません。」
「自己紹介まだでしたね。俺は、村井美鶴です。」
「あっ、私は伊納円香です。」
「あの、またラザニア持ってきていいですか?」
「あっ、はい。連絡先」
そう言って、伊納さんは連絡先を教えてくれた。
「ありがとうございます」
「何がでしょうか?あっ、ラザニアですか?食べてとかですか?基本的に患者さんからもらった食べ物を食べちゃいけないんですよ。でも、看護士同士で作りあったりするし」
「看護士さんですか?」
「あっ、はい。そこの病院の看護士です。」
「それで、食べてくれたんですね」
「いえ、そういうわけでもないですけどね」
これが、俺と円香の出会いだった。
10年前に、美味しそうにラザニアを食べる円香を見つけなければ俺は、美花の大学で殺人事件を犯していたのがわかる。
あの時は、何かに取り憑かれていたんだ。
俺は、それって考えたら他を考える事が出来ない人間だった。
だから、あの日美花が円香に会わせてくれたんだと今でも俺は、信じている。
包丁が、あの日の帰りで100本になる予定だったんだ。
その日に、契約をして美花を埋葬した。
多分、この出会いがなかったら俺は大量殺人をしていたと今でも思ってる。
美花の埋葬が、終わってもその人はそこにいた。
俺は、遠くから見つめていた。
「友作さん、好きだったでしょ?ラザニア。ほら、私、今いろんな所のラザニア食べてるんだよ。今日も、これ持ってきました。」
その人は、紙袋からラザニアを取り出した。
「じゃあ、一緒に食べようね。あっちっち。フー、フー」
あっ!!!
その姿に、真っ暗闇に小さなライトが照らされたのを感じた。
気づくと泣きながら、その人を見ていた。
「友作さん、また明日もくるからね。次は、焼きそば持ってきてあげるから。また、この時間にね」
そう言って、その人は笑った。
俺は、その日から毎日、毎日美花の墓地に通った。
そして、その人が美味しそうに食べる姿を見つめていた。
ゴクッ
喉がなる。
美花が食べていた姿に重なる。
多幸感だ
俺が心底、欲してるのは多幸感なんだ。
気づくと走り出していた。
俺は、食材を買って半年振りに料理のために刃物を握った。
俺は、仕事をかえた。
イタリア料理のお店で働き始めた。
そこで、働きだして10年が経った。
俺は、33歳になっていた。
「三号店のオーナーにならないか?村井」
「ほんとうですか」
「ああ、どうだろうか?」
「ぜひ、やらして下さい」
俺の日々は、忙しかった。
調理師の資格もとったりもしていたし、帰宅するとラザニアをとにかく練習したんだ。
俺は、ようやくあの人に話しかけられると思った。
次の日の休み、俺は朝からラザニアを仕込んでいた。
あの人が、現れる時間はランダムだったけれど水曜日だけは昼間に必ずやってくるのだ。
俺は、ラザニアを保温バックにつめた。
美花の墓地に行くとやっぱりいた。
「友作さん、今日はまた」
「あの」
「はい」
「あの、ラザニア食べてくれませんか?」
「えっ?」
「駄目でしょうか?」
後で知ったのは、彼女は看護士さんで、優しかっただけって事を…
「えっと」
「変なものは、いれてません。俺は、あそこのイタリアンレストランで働いてるものです。だから、毒とか、そんなのは」
「食べますよ」
そう言って、笑ってくれた。
「はい、お願いします」
「いただきます」
そう言って、彼女はどこの誰かわからない俺のラザニアを食べてくれた。
「フー、フー、あっつ」
その姿に、俺は多幸感が広がっていった。
「不味いでしょうか?」
「いえ、すごくすごく美味しいです。今まで、食べた物より。彼が作るのに似ていて」
彼女は、ボロボロと泣き出してしまった。
「大丈夫ですか?」
「あっ、すみません。」
「自己紹介まだでしたね。俺は、村井美鶴です。」
「あっ、私は伊納円香です。」
「あの、またラザニア持ってきていいですか?」
「あっ、はい。連絡先」
そう言って、伊納さんは連絡先を教えてくれた。
「ありがとうございます」
「何がでしょうか?あっ、ラザニアですか?食べてとかですか?基本的に患者さんからもらった食べ物を食べちゃいけないんですよ。でも、看護士同士で作りあったりするし」
「看護士さんですか?」
「あっ、はい。そこの病院の看護士です。」
「それで、食べてくれたんですね」
「いえ、そういうわけでもないですけどね」
これが、俺と円香の出会いだった。
10年前に、美味しそうにラザニアを食べる円香を見つけなければ俺は、美花の大学で殺人事件を犯していたのがわかる。
あの時は、何かに取り憑かれていたんだ。
俺は、それって考えたら他を考える事が出来ない人間だった。
だから、あの日美花が円香に会わせてくれたんだと今でも俺は、信じている。
包丁が、あの日の帰りで100本になる予定だったんだ。
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