運命の恋人は銀の騎士〜甘やかな独占愛の千一夜〜

藤谷藍

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秘めやかな逢瀬

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雨が降ったり止んだりと、ここ数日うつろいがちだった空に久々の青空が広がる。
緑が一段と濃くなった街路樹に心はずんだリリアが、おはようございますと事務長官室に入室するなりーー挨拶もそこそこにジェイドが手をつかんできた。

「いいか、リリア。すべて却下だ。全部断れ」

苦々しく言い放つその低い声に、呆気にとられる。

「ええっと、いったい何を断るの?」
「ーージェイド様。そんないきなり詰め寄ってはリリアも困惑しますよ。それに、決めるのはあくまでリリアです」
「そんなことは分かっている。だが、黙ってなどいられるか!」

ミルバにこちらへと手招きされ、堅く抱きしめてくるジェイドの腕をやんわり押し戻した。
書机を探っていた手から差し出されたのは、いくつもの手紙だ。受け取ったものの、わけがわからず戸惑っていると、目でどうぞと促された。……一つ目の封印を解きザッと目を通してみる。
途端にリリアの目が大きく見開かれた。
それは意外も意外、さる貴族からのお誘いだったのだ。
予期せぬ晩餐会への招待に驚いて署名を確かめるが、差出人にはさっぱり覚えがない。宛名も魔導士リリア様となっており、シャノワ家の家名はどこにも記されていない。

これはいったい、どういうことだろう?

続いて開封したその他の手紙も似たような内容だった。食事やお茶会、中には明らかなお誘いまで……

「王城へ送られてきたものが、すべて私に回ってきたのですよ。リリアは私の管轄下ですからね」
「ですが……、この方達には私、お会いしたこともないのですが」
「ーーあなたと同期のギルバート・ボンドは、あなたが優秀な魔導士になると確信しているようですね」

そういえばギルには、ダンスの練習をしていると話した。そのギルはまだ見習いだがすでに軍に出入りしている。
ボンド男爵家は多くの軍人を輩出しているそうだし、騎士団には従兄弟も入隊していると言っていた。そんな彼には知り合いも多いことだろう。

「……言うなれば、先行投資ですかね。さすが軍門のボンド家、勘は確かですねえ」
「感心している場合か! こいつは子爵家の後継だな、こっちは伯爵家だぞ」

ジェイドは忌々しそうに手紙を睨みつけている。

「そうですね~、ということは、リリアがシャノワ家の令嬢だとはまだ知られていないようですね」

二人の会話から差出人たちの身元が明らかになった。何にしろ断るつもりだったので、この人たちが家督を継ぐ立場の方々であればちょうど良い。
そんな考えを巡らしていると、ひどく苛ついた声が耳元でただしてくる。

「何を考えている。まさか誘いを受けるつもりではあるまいな!」
「そんなつもりはないわ。第一、この方達は皆、家を継がれるのでしょう?」
「ああ、だから優秀な子を生むであろうリリアに、目を付けたわけだ」
「それならなおさら、無理な話だわ。シャノワ家には私しかいないもの」

目を光らせたジェイドは、真っ直ぐ痛いほどの視線でこちらを見てくる。

「……断るのだろうな?」
「もちろんよ」

紫の瞳を見てキッパリ告げた。するとその鋭い目も和らぐ。
超がつくほど不機嫌だった顔が、ようやく落ち着きを取り戻した。

「ーーこの手紙の差出人全員だ。断れ。いいな、全員だぞ。文面はテレサやミルバに確かめてもらえば良い」
「分かったわ。ちゃんと丁寧にお断りするわ」
「よし、じゃあ行ってくる」
「行ってらっしゃい」

たちまち機嫌が直ったジェイドは髪をひと撫でして部屋を出ていく。その優しい仕草に、いつの間にか入っていた力が肩からフッと抜けた。

「ーージェイド様に遠慮することはないのですよ、リリア。いくら王子でも、強引なことはさせません。あなたの人生なのですから、自由に決めてもらっていいのです。魔導士はそれが可能な職業です」

ミルバはジェイドの元教育係だ。たとえこの国の王子であろうとも関係なしとの強気な発言は、さすがというか。その実力を高く評価されている彼女だからこそだろう。
思慮深く手紙を眺めているミルバに、リリアはやんわり微笑んだ。

「お気遣いありがとうございます。ですが私はまだ見習いの身ですし、こういったことに上手く対処できる余裕など、ありませんわ」
「リリア、こう言ってはなんですか、これからも貴女目当てのこうした申し込みは増える一方でしょうね」

魔導士になると決めた時には、こんな副産物がついてくるなんて思いもしなかった。収入の心配がなくなり、新しい出会いを気にしなくなったこのタイミングでと、多少戸惑いを覚える。

「そこで提案なのですがーーあなたさえよければ、私が貴女の後見人になりましょう。そうすれば少なくとも、変な輩からのお誘いはなくなるでしょう」

ミルバの言葉はとても嬉しかった。この国の大臣職についている彼女に後見人になってもらえば、好奇心からの招待は減るだろう。ミルバは公爵家の次女でもあり、これ以上ないほど信頼できる頼もしい人物だ。

「まあ、そうしていただけるなら、こんなに心強いことはありませんわ」
「ではこの話はOKですね。今後魔導士リリアへの話、それにシャノワ家に関することは、すべて私を通すように取り計らいましょう」
「心から感謝いたします。本当にありがとうございます。ミルバ長官」

こんな申し出をしてもらえるなんて、なんてありがたいことだろう。今回の手紙の件はとても良いことをもたらしてくれた。心の中でも大いに感謝しながらリリアは長官室を後にした。


その日。魔導士マントをひらめかせた人々が、迷路のような渡り廊下を珍しくつどって歩いていた。最後尾には若い見習いが二人、気を張ったようすでついていく。
ーーリリアは先輩の魔導士、それにギルと共に宝物庫の整理へと向かっていた。

「城の宝物庫に入れてもらえるなんて、すごいことだよ。僕はちょっと興奮してるよ。リリアはどうだい?」

目を輝かせたギルは、高ぶる気持ちを抑えられないといった感じだ。

「そうね……宝物庫と言われても、あまりピンとこないのだけど」

対してリリアは、宝→イコール、キラキラした宝石ぐらいしか想像できず、発想の貧困さゆえ極めて平静だった。
ところがしばらくすると……

「ギルっ、見て見て、この花は北大陸の氷山でしか採取できないのよ! すごいわっ」

ガラスケースに飛びつくようにして、収められた薬草標本の前に張り付いて動かないリリアの姿があった。

「そんな草より、この槍を見てみなよ! 長さが伸び縮みするなんて見事な仕掛けだ」

ギルはギルで、対面の陳列棚に収まっている魔導具の武器に夢中だ。
二人とも宝物庫の前面にこれ見よがしに飾ってある、大きな宝珠がついた首飾りや見事な細工が施された王冠などガン無視である。

様子を見にきたミルバは、呆れて腰に手を当てた。

「ギルバートの武器好きはともかく、リリアもこの宝石類を素通りですか。普通はこれらの目眩めくらましに、しっかり引っかかってくれるはずなんですが……」
「今期の魔導士たちは、非常に優秀ですね、ミルバ様」

うん年ぶりに採用された見習い二人がナデール王国の真の宝物に夢中な姿に、魔導士達も苦笑いだ。
手前に陳列されたまばゆく光る宝石類は、伝統ある王国が誇るにふさわしい数々の装飾品である。
たとえ厳重な守りが破られ宝物庫に押し入られても、盗人は前方の宝を盗んで逃げる。世界中を探してもこれほどのコレクションにはお目にかかれない……と言っても過言ではない、それほど華美で豪華な品々は単なるおとりだ。ーー本当の宝達は封印を施したその奥に陳列されている。
ドワーフ職人の名匠が、腕によりをかけ生み出した、この世に一つしかない魔導具たち。世界の最果ての僻境から採集された、世にも珍しい魔草などなど。
リリアはそんなガラスケースの中に、見覚えのある瓶を見つけ驚き立ち止まった。

「え? これって……」

どこから見ても、自分で貼ったラベルに間違いない。いぶかしむ姿に後ろからきたミルバが目を留めた。

「そうです。これはグレン商店から献上された、リリア印の治癒ポーションです。あなたの造ったポーションですよ」
「どうして、これがこんなところに……?」

きょとんとしたリリアに、ミルバはため息をついた。

「リリア、このポーションは、普通の治癒ポーションの粋を超えた逸品なのですよ。もう望みがないと思われていた重い病気の患者の一命を取り留めることができたのです。私たちはこれを、今ある中では最上の治癒ポーションだと認識しています」
「まあっ、そうなんですか!」
「そうですよ」

以前ジェイドに城に献上されていると聞いた時も、ビックリしたが、自分の研究成果の詰まった治癒ポーションが宝物庫に保管されているとは思いもしなかった。ここには最新に献上された一本が常に保管されていると説明を続けるミルバは、ニコニコ顔だ。

「あの、私の造った物をこんな大事に扱っていただいて、とても光栄です」
「こちらこそ、よくぞここまで研究しましたね。リリア、これからもこの国の魔導士として頑張ってください」
「はい、精一杯努力します」

こうして、思わぬサプライズに驚きはしたが、リリアもさっそく先輩の魔道士たちと目録の確認を始めた。
すると陳列された魔導具の中から、一つの腕輪が目に入る。それはジェイドと出会うきっかけとなった腕輪だった。目録によると、リリアの持つ黒い魔石と同類で、精霊の加護を得て魔力が強化されるとある。
リリアが身につけている魔石は素朴な形で必要な時にしか現れない。だが、目の前の腕輪は華麗な装飾が施された金属に、透明な魔石が嵌め込んである。キラキラ光って一見硬質な宝石と見まごう魔石は、装飾品としても見事な逸品だ。案の定、前回の整理の際に手違いで前方に陳列されてしまい、そこを運悪く賊に狙われたのだそうだ。

「二度と同じ間違いは、おこしません。目録とのクロスチェックを怠らないように」

丁寧に磨かれ、厳重に奥の棚に陳列された腕輪を見ていると、後方に小さな手鏡が置いてある。

「あの、これも魔導具ですか?」
「そうです。水鏡と呼ばれている物です」

目録には確かに水鏡と書かれている。だが、説明欄は空白でその名の由来は謎だ。
鏡の部分が真っ黒な手鏡は、先輩の魔導士が手に持った研磨布で磨いても、その部分は何もうつしはしない。

「鏡と呼ばれてはいますが、私たちの誰もこの鏡が物をうつしたところを見たことがないのですよ」

リリアの心に浮かんだ疑問を、魔導士は笑って肯定した。へえと好奇心が湧いて、許可をもらい鏡を手に取って眺めてみる。唐草模様に縁取られた美しい手鏡は、裏を返すとそこにはびっちり古代語が刻まれていた。どうやらその文字が水鏡という意味らしい。
改めて鏡の部分を見たリリアは、うっかり鏡の部分につけてしまった自分の指紋を拭き取ろうと鏡を擦った。

「え……?」

ジジッと不思議な音がして、黒い鏡がほのかに光る。一瞬後そこには、モリンが今夜の夕食準備をしている姿が映った。

「あ、え? どうしてっ⁉︎」

宝庫中にリリアの叫び声が響いた。いきなりあがった驚愕の悲鳴に、皆何事だと集まってくる。そしてリリアが手に持った手鏡を食い入るように見ているその姿を、不思議そうに注視した。

「リリア、一体どうしたのです、水鏡がどうかしたのですか?」

ミルバの言葉に、さらにリリアは驚いた。

「あの、鏡にモリンが……」

鏡を掲げて見せたリリアの言葉に、何のことだと小さな手鏡を覗き込むが、眉を潜めたまま不思議そうな表情は変わらない。そのいかにもわけがわからないといった様子に、もしかしてと恐る恐る尋ねてみる。

「見えない、のですか……?」
「あなたには何か見えるのですか?」

その返事ではっきりした。皆には何も見えていないのだ。リリアだけが、台所で鼻歌を歌いながら夕食の仕込みをしているモリンが見えている。

「はい、見えています。侍女のモリンが夕食の支度をしている姿が……」
「は? え? ええーーっ」

リリアの言葉に、手鏡を囲んだ魔導士たちとミルバは懸命に目を凝らすが、すぐに否と頭を振った。

「本当に、君には何か見えているのかい? リリア……」

ギルの不思議そうな声にリリアは大きく頷いた。

「ええ、モリンが今、玉ねぎを切っているわ。あ、手で目を拭ってる、きっと目にしみたのね」
「ちょっと僕にも見せて」

手鏡をギルに手渡すと、スッと鏡が元の黒に戻った。

「ぁ……消えてしまったわ」
「どれどれ、……やはり僕には何も見えないな」

それから全員が一度鏡を手にしてみたが、何か見えた者はいなかった。最後に手鏡を手にしたミルバはふむと頷き深慮を巡らせている。

「どうやら、リリアにしか反応しないようですね。ですが、この魔導具が何かを映した記録は、確か残されていたはずです。少し調べてみましょう」

不思議な水鏡は、その後リリアが触れると今度は普通の鏡となり自分の顔が映ったが、それも他の者には見えなかった。
なんとも奇妙な魔導具のことをお昼休みタスミンに話していると、ザビアが珍しくも興味を引かれたようである。

「ふ~ん、それはまた不思議な鏡だよな。だけどさあ、リリアにしか見えないのでは宝と呼べるのかね」

なんとも現実的な意見を述べてくるザビアに、それはそうだがとギルも意見する。

「興味深いよ。まあ、まだわからないことだらけだからね。ミルバ長官が調べてみるとおっしゃっていたよ」

今日も中庭で仲良くお昼を食べている四人は、それぞれ性格も育った環境もまったく違うのだが、妙に互いに気心が知れ一緒にいると楽しい仲間であった。

「どうだいリリア、ダンスの方は少しは上達したかい?」
「一応とおしで踊らせてもらっているから、合格ラインだと思うけど」

今朝の思いがけない数々の招待を引き起こしたらしいギルに向かって、かすかに首を傾げる。この頃ダンスのステップは、ほとんど注意をされることがなくなった。が、姿勢も良くなると毎日ではないがレッスンは続けている。ジェイドと二人で踊っていられるこの時間は、リリアにとってレッスンというより保護者付きのデートである。

「いいなあ。私も、宮廷ダンスって習ってみたい」

羨ましそうにつぶやいたタスミンに、他の三人が同時にじゃあ教えてあげると申し出た。

「それじゃあまず、そうだな。お手本にギルとリリアが踊って見せてあげなよ。タスミンには僕が解説がてらステップを教えよう」
「え~、私、ギルに教えてもらいたいかも。ザビアって、やたらこうるさいんだもの」
「まあまあ、そう言わずに。ザビアの方がステップの解説はきっと上手いさ。僕は身体で覚えているし、うまく説明できる自信ないからね」

いかにも自信ありげに、自信がないと胸を張るギルを、「ギルって、見かけによらず意外と脳筋だよね……」とザビアがからかっている。

「何とでも。要するに、踊れればいいわけだろう」

こうしてリリアはギルと組んで、タスミンにお手本を見せることとなった。

「リリア、もうちょっと早く」
「ギル、急に方向を変えないで!」

同じステップを踏んでいるはずなのに、ギルの足をうっかり踏みそうになる。

「まだまだ、だなあ~、リリアのステップは。僕の足を踏まないでくれよ」
「ギルのリードは、早すぎるわ」

朗らかに笑うギルのリードは、ほんと合わせづらい。メロディなしでも決まりきった動作、同じステップのはずなのに、ヒヤヒヤして思わず笑いが漏れた。ジェイドとのダンスは、初めから申し合わせたようにタイミングも何もかもがピッタリだった。なのでリリアは慌てて身体のバランスを取る。安心してもたれられるほどのジェイドのリードとは、ホント大違いだ。踊る相手によってこんなにダンスが変わるとは。

「ハハハハ、二人とも上手いのに、なんか半テンポずれてるなぁ」
「そうよね、私たちの方がよっぽど息があってるわよ」

ザビアの丁寧な解説で、簡単なステップを踏み出したタスミンにも指摘されたが、ギルとリリアは気にせず笑いながら踊り続ける。その日の昼休みは楽しくも軽く息切れがした。



夕方になり日程を終えると、いそいそ資料館へと向かうリリアの姿があった。

はじめて奥の部屋に案内されて以来、陽が沈むまでここでリリアはジェイドと共に過ごしている。ソファーで本を読んでいると、ジェイドは視線が合うたび上機嫌で軽いキスをしてくる。
ついばむようなキス。やんわり甘噛みしてくるキス。甘くて温かくて、身体がゾクゾクするのに安心する、そんなたくさんのキス。
空がオレンジやピンクに染まる頃になると、しなやかな身体をほぐすようにジェイドはう~んと伸びをする。「リリア」と優しい調子で名を呼ばれるとそれが合図で、わずかに開いた唇から熱い舌が侵入してくる。我が物顔で口内をまさぐられ、優しくドレスをずり下げられ、ねだられるまま素肌を晒すリリアは、ジェイドへの想いがだんだん積もり積もってきてーー……
この甘い黄昏時がずっと続けばいい。そんなことをつい口走りそうになる。
日を追うごとにキスは深く長くなり、伴う愛撫も……だ。ドレスを完全に脱がされるわけではないが、この頃はうなじにキスをされつつ背中から胸をいじられたり、裾をかいくぐった手に太腿や足の間までさぐられる。それはもちろん恥ずかしいけれど、やめて欲しいとも、その手を止めようとも思わない。むしろジェイドなら、どこに触れられても感じてしまって……
身を震わせつつの切なさと物足りなさが、もどかしさを呼び、甘やかな気持ちで帰宅する日々が続いた。

そして今日もリリアは、教えてもらった通りに扉の封印を解き、冷んやりとした廊下を進む。暖炉が燃える暖かい部屋の開いた扉をそっとノックすると、大きな書机で書類に目を通していたジェイドが顔を上げた。

「ジェイド、お邪魔させてもらっていいかしら?」

けど、いつもは笑って「遅い」と一言文句を言うジェイドが、リリアが部屋に一歩入った途端いきおいよく立ち上がった。真っ直ぐ向かってくる。

「リリア、ギルバート・ボンドとはどういう関係だ?」
「え? ギルがどうかしたの?」

扉を後ろ手で閉めると手首を掴まれ、そのまま身体をやんわり硬い扉に押し付けられた。見上げるジェイドの鋭い視線が答えろと促してくる。

「……ギルは、同期の魔導士見習いで仲の良い友達よ」
「俺以外の男の前でも、あんな表情かおをするのか」

覗き込んでくる瞳は真剣そのもの。
困惑顔になったリリアの唇ギリギリに、触れるか触れないかの距離までジェイドは近づいた。

「昼間一緒に踊っていただろう。まさかあいつにも申し込まれたか? エスコートの約束は俺が先だぞ」

目をそらすことを許さず、ささやくように抗議してくる。その低い声に身体中がぞくっと震えた。

「申し込みなどされていないわ。あれは練習をしていただけよ。タスミンが教えて欲しいっていうから」
「……そうなのか? じゃあ、あいつと踊る約束をしたわけではないのだな?」
「してないわ。ギルはただの友達よ」

そんな今さらなことをと、こちらも真剣に答えた。
第一ギルは、リリアが城の舞踏会に招かれていることも知らない。リリアもだが、ダンスレッスンはあくまで王宮に出入りする魔導士エチケットの一環だと思っている。

「ーー分かった。だがやはり、腹は立つ」

低く放たれたうなり声にえ?と思った時、いきなりガブリと噛みつかれた。

「痛っ……っ、ジェイドっ、なあに? どうしたの……」

硬く抱きしめてきて、首筋にギリと噛み跡を刻みこむジェイドをとっさに手で押しのけようとしたが、次の瞬間にはチュッと柔らかい感触がした。たちまち腕の力は抜ける。
普段は冷静で余裕のあるジェイドだが、時々思いがけず、激しい気性が見え隠れする。

「あの男はリリアにとって、ただの同僚だな? ……仕事なら、まあ仕方ない。一緒に過ごすのも」

白い肌にくっきり残った歯形を満足そうに眺めたジェイドは、癒すようにそこを熱い舌で舐めている。まだジンジンする肌へ、再びチュッと優しいキスを落とされた。

「ーーだがな、俺は過ぎた友情なぞ認めない。あの男も、他の誰であれ、今後リリアに不埒な振る舞いをしたら、黙ってなどいないからな」

じろりとこちらを見てくる視線で、隙を作ったら同罪だと言われている気がした。

「不埒って、……そんな振る舞いをしてくる人なんて、いないわ」

もちろん、こんな事を言い聞かせてくるこの銀の髪の持ち主は別として、だが。
脅しにも近い視線に晒されているのに、ちっとも怖くない。噛みつかれてジンジンする肌も痛くはなくて、どちらかと言うとむしろ……
なぜだかくすぐったく、甘い気持ちが溢れてくる。

「……ギルとは話してて楽しいけれど、私が触れて欲しいのはジェイドあなただけよ。許可なく身体に触れたらどう反応するかは……よくわかっているでしょう?」

ふふと微笑みが漏れたその喉元に口づけていたジェイドは、また唸るような声をあげた。その唇が素肌をすべるように下りていく。ヌメった感触が鎖骨の窪みで止まった。

「……そうだったな。強烈で忘れられない」

目を細め、抱きしめる腕に力をこめてから、ジェイドはそのままそっとリリアの前にひざまづいた。

「思いっきり、引っ叩かれたからな」
「それはだって、ジェイドのことなんて知らなかったから」

見下ろしたジェイドは、こちらをじいっと見つめてくる。

「今は互いを十分知っている。裸の付き合いだしな」
「あっ、何をする……の……?」

ジェイドは抱き寄せたドレスの裾から手を忍ばせ、下穿きをスルッと脱がせてきた。

「だが、まだ知らないこともある」
「こんな……、恥ずかしいったら……」

モジッと太腿をすり合わせた形だけの抵抗など、お構いなしだ。

「隠すのはなしだと言った。俺をこんな大人気ない気持ちにさせた罰だ」

ドレス越し太腿の間に唇が当てられると、背筋がゾワゾワする。下穿きをつけていないと、暖かい息の感触をものすごく感じる。や、と小さく呟いたが、本気ではなかったのでジェイドの髪をついついまさぐった。臀部でんぶの丸みを手で優しくさすられて、びくうと腰が跳ねる。

「……んっ……、ぁ」

耳に捉えた自分の声は、恥ずかしくなるような甘い鼻にかかる淫らな声だ。

「痛い思いをさせた詫びに、今日は、思い切り気持ちよくしてやる」

立ち上がったジェイドは、さっさと上半身裸になった。

「きゃ、もっ、だから、そのいきなり脱ぐくせを……」

なんとかしてと文句を言いながらも、目はその肉体美に釘付けだ。リリアの上気した頬を見てジェイドはニヤリと笑った。

「リリア、自分で脱いで見せてくれ」

も、もう。だからほんとこの人は。ーーなんで、こう小っ恥ずかしいことを堂々と言えるのだろう。だけどこんな時のジェイドは濃艶のうえんな色香が漂う獣のようでドギマギする。

「自分でって……」
「俺が毎日、手本を見せてるだろう?」

ーーなにが手本なんだか。けど、ほら早くと瞳で急かされて、肩からドレスをおずおずとずらした。

「いいな……、とてもいい。そのままゆっくり引き下げろ」

瞳を輝かせじっと見つめてくるジェイドの視線にますます熱がこもる。恥じらいつつも言われるままリリアが胸の膨らみをあらわにさせると、いかにも満足げに指先で柔らかなカーブをそっと撫でた。

「ん、次は、ゆっくりドレスの裾を持ち上げていけ」
「えっ、そんなこと」
「リリアは美しい、だから俺に全部見せろ。なんなら先に脱ぐか?」

バックルに手がかかるのを見て、思わず待ったをかけてしまった。

「わ、わかったから。ジェイドは脱がなくていいわ」

綺麗だと惜しみなく言ってくれる、そんなジェイドが躊躇ためらいなく告げてくるその言葉は本気だと分かるから。ーーリリアの心を震わせ、照れくささと喜びを同時にもたらしてくれる。そして結局従ってしまうのだ。
自分でもなんて単純なのと思いながらも、見つめてくる瞳が濃厚な紫紺に変わる瞬間は、この逞しい人を自分が動かしている……そんな気がする。

ジェイドの熱を孕んだ深い紫の瞳は、リリアへの渇望を隠そうともしない。

だからこそ。勇気を出して、ドレスの裾をそろそろと持ち上げた。
足の付け根まで持ち上げると手を止めて、思いきって伏せていた目を上げジェイドを真っ直ぐ見つめる。
だんだんあらわになっていくリリアを少し離れたところから黙って見ていたジェイドは、暖炉の火がぱちと音を立てた途端、感嘆の吐息をついた。

「まるで美の妖精だ。たまらない」

ジェイドはそのまま、引き寄せられるようにリリアの前にひざまづき裾を握り締めたその手を取った。

「あ……」
「美しい俺だけの妖精だ」

リリアの瞳を見上げながら、掴んだその手のひらに頬をつけ愛おしそうにゆっくり口づける。
ふわあと気持ちが舞い上がったリリアも、ひざまずいたまま抱きしめてくるジェイドが愛しくてたまらない。
……素肌を撫でる銀糸がくすぐったいと、微笑みつつドレスの裾を片手に集めジェイドの髪をゆるり掻き上げた。
ちゅ、ちゅちゅと愛おしそうにジェイドは腹部にキスをしている。

「リリア、足を広げろ」

素直に身体を開いたリリアの片足を、ジェイドはヒョイと肩に乗せた。

「え? 何を、ぁ……あん……」

突然その唇がリリアの秘所にキスをした。しっとりした唇の感触にたちまちなまめかしい声を上げてしまう。

「ふぁ、あ……んっ……ジェイ、ド……ぁ」

閉じた花びらを、開花しろとばかりジェイドは舌でなぞり、ねっとり舐め上げる。
初めて許す繊細な秘所への直接の愛撫は、羞恥心を別にすればいーー……としか言葉が浮かばない。
温かく濡れたジェイドの舌が味わうように舐めまわしてきて、甘美に震え快感が走る。ふるっと腰を揺らすとたまらず、かすれた声が喉から漏れた。

「あぁ……あぁ……あぁぁ……」

温かい舌がぬるり花びらの割れ目を這い、濡れそぼって開きはじめたほころびをほぐしていく。
長い指がゆっくりそこを押し開き、花びらの内側にまで舌が滑り込んできた。

そのヌメヌメした感覚が、ーーなんとも快い。

目を閉じたリリアは、その甘い凌辱をうっとり甘受した。
壁にもたれていても、身体中を巡る熱で腰にうまく力が入らない。太ももの内側はビクビクと震え、片足を乗せた逞しい肩に体重を半分以上支えられている。

恥ずかしくない、といえば嘘になる。
半裸で立ったままのこんなしどけない格好、ジェイドが求めるからこそ応じているけれど。
足の間で青銀の髪が揺れるたびに、喉からあられもない喜悦の声が漏れるし、顔から火が出そう。ジェイドの熱い息が秘所にかかるだけで、熱でグズグズに溶けそうだ。
こんな淫らなキスがあるなんて、知らなかった。
切羽詰まったような熱が上昇してきて、そこへぬめった舌でなぞられると、唾液と愛蜜が混じりみるみる足の間が濡れてくる。甘い喘ぎを上げたリリアは、片手でジェイドの髪をまさぐった。

「感じやすいのだな。こんなに濡れている、快いか、リリア?」

秘所にキスをしながら指を滑らせ、ヌルッと熱い中心に触れたジェイドは、唇を花びらに付けたまま嬉しそうな笑みを浮かべている。
そんな問いかけに素直に答えるのは恥ずかしかったけれど、低いかすれた声に求められ躊躇ためらいを捨てた。

「快いわ、とても快いわ」

閉じていた目蓋まぶたを見開いて、濡れた瞳でジェイドを見下ろす。

「ーーリリアは、濃厚で甘い味がする。やみつきになりそうだ」

見上げてくる瞳と目が合うとクチクチと控えめだった濡れた音が、クチュクチュと水音に近くなった。舌全体で花びらの内側を舐められるとリリアの身体にひときわ濃厚な快感がザワリと走る。思わず、ドレスの裾を強く握り締めた。

とても淫らなことを言われているはずなのに、どうしてこんな切ないような甘い気持ちになるのだろう……?

瞳が潤んでしまうほど恥ずかしいのに、同時にとても嬉しい。ジェイドが望むだけ心ゆくまで味わって欲しい……そんな気持ちにさせられる。
身体の芯だけでなく心までジンジン疼きだして、そこから生まれる熱が下腹部に溜まっていく。ぬめる舌に舐められ続けると、呼吸が早まりだんだん腰が揺れてきた。

「ジェイド、なんだか私……」

小さな快感がザワザワとした波を起こし、溢れる蜜と一緒に何かが迫ってくる。切羽詰まったリリアの手が、青銀の髪に食いこんだ。

「ーー感じるまま、委ねろ」

滑った舌先が密口の上部をかすった途端、リリアの身体が小さく跳ねた。

「っあ……!」

カクンとよろめいた身体を、力強い腕は難なく受け止めてくれる。

「もっと快くしてやる」

ジェイドはそのままリリアをソファにそっと座らせた。
覆いかぶさってくるジェイドと、舌を絡ませる深いキスを交わす。下へ下へと移動する唇は、胸にもキスを落としていった。

「リリア、膝を開け、ほら可愛い尻をここに持ってこい」

敷物の上に座り込んだジェイドは、リリアの膝をさらに押し広げ、身体の位置を背もたれからズラさせた。ソファに座らされ股を広げられたアラレもない格好のリリアは、涙目になる。
……こんな格好。なんだか自分がよく焼けて食卓に載せられた、鳥の丸焼きになった気分だ。獲物を前にしたジェイドという銀の獣に、召される寸前なのだから。

「あの、あのジェイド……」
「取って食いはしない。心配するな」

言うなりジェイドが目の前に広げられた秘所にしゃぶりついた。

「あぁっ……あ……ぁっ……あっ
「瑞々しい花だな。俺に触られて感じるか? リリア」

花びらに溜まっていた愛蜜はみるみる溢れ、勢いよく吸い上げられる。

「そうだ、それでいい。俺だけを感じろ」

溢れてくる蜜にジェイドが喉の奥で笑った。密口にそっとキスをする。繊細な身体の中心を柔らかい舌が這う感触がたまらない。

「ジェイド、あぁ……ん……あぁぁ」

グチュと濡れた音がリリアの敏感な耳にはやけに大きく聞こえる。
密口の中にまで温かい舌は進入して、這いまわりうごめいている。それは感じたことのない違和感と同時に新鮮な快感だった。

「や、なに……あっ……あぁん……んん~」
「大丈夫だ、リリア」

腰の奥に溜まった熱がとろり、またとろりと湧き上がり、じっとり秘所を濡らす。
ジェイドが丹念に舌で溢れ出る花蜜を舐め上げ、喉の奥に流し込むようにじゅるるとすすった。

「はぁ……あぁっ」
「もっとだ。存分に啼け」

密口から上部に移動していく舌が膨らんだ花芽に、ねっとり触れた。
ピリと痺れるような快感が身体を突き抜ける。びくうと大きく揺れた太腿をジェイドは押さえ込んだ。

「ここが好きだな。可愛いな、リリア」

そういうなり、舌先でからかうように、覆いから覗かせるパールピンクの花芽をツンツンとつつかれた。

「や、も……あっ……あ」

尖らせた舌先で花芽を押され、チュウと吸われ、熱い舌を当てて揺すられる。まるで身体の芯を揺さぶられるような強い快感に、視界までチカチカした。快美の波が押し寄せてくる。
舐められるたびに引きつるような強い刺激が走って、激しい波を起こす。リリアは身体をのけぞらせながら喘いだ。波状に広がる快感の痺れに腰はわななき、濡れた声は甘い音色を奏でる。

「あぁ……あぁぁっ……だめ、あっも、ジェイドっ」
「快いんだな、イけ、リリア」

快感に押し流されそうで、思わず伸ばした手をジェイドはしっかり握ってくれた。そして、膨らんだ花芽を強く吸い上げられると、一気に陶酔のうねりに飲み込まれ、身体と頭の芯が痺れた。

「ふぁっああぁーー」

濃厚な愛撫に身も心もとろかされ、快感一色に染まった。背筋を弓なりに反らし可憐な白い喉を晒し、何度も身を引きつらせた後、リリアの身体がソファに沈みこむ。

「……気持ちよかったか?」

浅い息を繰り返し、うっとりした表情のリリアは、ジェイドの問いにもすぐには答えられなかった。
快楽の波間にその身を漂わせたゆんだまま、差し出されたジェイドの手を握り続ける。
ジェイドは密口や花芽にキスをしては、まだまだ溢れてくる愛蜜を味わっている。
やがて……、リリアの呼吸がだいぶ治まってくると、ゆっくりその身体を抱きしめ唇を寄せた。リリアは逞しい首に手を回し、自分から起き上がって深いキスを交わした。

帰りの馬車の中でもジェイドはリリアを離さなかった。
その身体を横抱きにして膝に乗せ、蜜柑色の髪に隠れた噛み跡に唇を寄せている。リリアはジェイドにされるまま、その肩にぽうとする頭を預けて目を瞑っていた。
まだ邸には戻りたくない。
こんな離れがたい気持ちが毎日積もっていく。二人は黙って邸の門の前に馬車が止まるまで抱き合っていた。
だが城を出るとあっという間に、邸の前に到着してしまう。シャノワ邸は王城から比較的近い地区にあるからだ。馬のいななきを合図に、モリンがいつものように玄関の扉を開けて出迎えに出てくる姿に、リリアは窓越し笑ってただいまと手を振った。
もう、行かないと。

「……ジェイド、また明日……」
「そうだな、明日会おう、リリア」

モリンからは見えないのいいことに、ちょっぴりとんがった耳の先を約束だというように甘噛みされた。
お互い別れの挨拶は済んだのに、手が離れない。二人とも言葉とは裏腹に抱き合う腕にぎゅうと力がこもった。一瞬見つめ合った後、ジェイドの膝から下りて扉に手をかける。

「っリリア」
「なあに? ジェイド」
「……良い夜を」

振り返って見つめた紫の瞳からは、まだ先ほどの熱が感じられる。黙ってジェイドに笑み返すと、リリアは馬車を大人しく下りて帰宅した。



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