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第54話 百合の園
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「ユウタさん起きてくださ~い。朝ですよ~」
「んん……」
耳元で天使の声が聞こえる。優しくて蕩けるような甘い声は、暖かくて深い眠りに誘われる。
「早くしないと遅刻しちゃいますよ~?」
「遅刻……」
今日はどこかに行く予定があっただろうか……? 昨晩は焼肉パーティーをして盛り上がって楽しかった。そう言えば恵美さんが何か言っていたような……。
「そろそろ準備しないと体験教室に遅刻ですよ?」
「お料理教室!!」
言われた瞬間、全てを思い出した。そうだ、今日はボクが希望したお料理教室へ行くのでした!! やばい、急いで準備しなければ。
「おはようございますユウタさん。朝ごはんを用意しておきますので、身支度してきてくださいね」
「おはようございます桜さん! その、起こしてくれてありがとうございます」
「ふふ……大丈夫ですよ。お礼は先に頂きましたので」
「……?」
桜さんが笑顔でニッコリと笑っているけど、何かお礼なんてしましたっけ? ふと部屋を見回してみたけど、昨晩と変わりない……でもちょっと体がだるい気がする。それに何やら淫靡な香りが漂っている。飲みすぎて覚えてないけど、誰かとエッチしたのかな? 前にも一度やらかしてるし、お酒は飲み過ぎないようにしよう……。
「じゃあ先に行ってますので、二度寝しちゃダメですよ?」
「はーい」
考えるのは止めよう。女性陣に聞いても『覚えてないんですか!?』って悲しい思いをさせてしまうだろう。
さて、今日はしっかりとお料理のお勉強をして来ようと思います!
身支度をしてリビングへ行くと、3人で仲良くテレビを見ていた。どうやら恵美さんはお泊りしていたようですね。
「おはようございます!」
「おはよう」
みんなが挨拶を返してくれた。それにしてもみんな元気だね。沢山お酒を飲んでいたような気がしたけど、二日酔いな感じもない。だるいのはボクだけか……。
心なしか女性たちのお肌が潤ってる気がするぞ。ピチピチです。
「朝ごはん食べたら出発しましょう。メグちゃんが最寄り駅まで送ってくれるわ」
「え、ありがとうございます!」
「うひひ、お礼はキスで良いからね♪」
「わ、わかりました」
既にみんなはご飯を食べ終わったようなので、急いで食べようと思います。時間が無いからパンをモソモソと食べて終わりにしよう。
そうしてボクは、夏子さんと桜さんをお見送りした後、恵美さんと二人で出発するのだった。
◇
駐車場でカッコイイ赤いスポーツカーに乗り込み出発です。二人乗りなので助手席に座りました。内装もオシャレな感じがして、見るからにお高い車ですね! 外国の車なのかもしれない。
エンジンの重低音が響き渡り力強い走りを見せるスポーツカーは、乗っていてとても気持ちが良かった。
「この車すごいですね! カッコイイし加速が凄くて楽しいです」
「うへへ、今度の休みにドライブ行こうか? 山とか海とか気持ち良いよ~?」
山や海をドライブとか、それってリア充みたいだね! こんな綺麗で可愛いお姉さんとカッコイイスポーツカーでドライブデートとか凄く憧れる。でも運転するのはボクじゃないからちょっとカッコ悪い……。
「楽しそうですね! 是非連れてって下さい」
「おっけーおっけー! 約束だからね!」
こっちの世界に迷い込んでからと言えば、お外に出るのも自宅周辺ばかりで遠出をした事がない。旅先で美味しいお料理を食べたり観光したりするのも楽しいよね! 今度家族旅行とか提案してみようかな!
自宅マンションから最寄り駅は徒歩10分のため、車だとあっという間に着いてしまった。駅のロータリーに停車して貰い、ここから電車で移動です。
最初は目的地まで送ってくれると言われたけど、帰りの事を考えると電車の移動に慣れておいた方が良いと思ったのです。
「ありがとうございます恵美さん。助かりました」
「全然大丈夫よー。じゃあ気を付けてね」
「はい、恵美さんも気を付けて下さいね」
恵美さんがボクを見つめ、目を閉じた。恵美さんはボクのお嫁さんではないけれど、大事な人だ。お見送りのキスをしても良いよね! そっと顔を寄せてキスをした。唇を重ねるだけの軽いキスだけど、幸せな気持ちが溢れて来る。
「ふへへ、キスされちった!」
照れ笑いする恵美さんが可愛くて、思わず抱き締めたくなってしまった。でも時間も無いし、周りの視線が痛くなってきた。
「じゃあ行って来ます!」
別れを惜しみ、小走りで駅の改札へ向かった。後ろからスポーツカーの力強い音が聞こえ、まるでボクをお見送りしてくれているようだった。
改札を抜けて駅のホームへ辿り着いた。初めての電車だけど、ボクの知っている東京と同じような感じがする。平日という事もあり、少し混んでいた。
到着した電車に乗り込み、ドア付近で待機する。座席は空いて居ないけど、身動きが取れないような状況じゃなかった。以前体験した事のあるギュウギュウに詰め込まれる車内に比べたら天国だね!
まるで女性専用車両に乗ったような気がしてドキドキしてしまった。どこを見ても女学生やスーツ姿のお姉さんばかりなのである。もし男だとバレたら痴漢されちゃうかもしれない!?
そんなアホな事を考えて居たら、いつの間にか目的地に到着です。聞いたことの無い駅を通過して、やってきたのは3駅目の『百合の園』という駅だった。なんかドキッとする駅名だよね!
駅の改札を抜けてロータリー広場に出たら、広場一面に広がる白い百合の花が咲いていた。ビルに囲まれた都内で、こんな綺麗な場所があったなんて知らなかった! この百合の花が咲いているから『百合の園』っていう駅だったのだろう。
でも何故だろうか? ロータリーに隣接されたオシャレなカフェで、綺麗なお姉さんがイチャイチャしている。あからさまにキスをしている人までいました。もしかしてここ、そういう場所ですか? 凄く良いと思います♪
スマホを取り出してお料理教室までの道をナビ登録してみたら、ここから10分くらい歩いて到着するようですね。辺りを観光しながらゆっくりと歩いていく。
どうやら飲食店が多い場所なようで、オシャレなレストランやカフェ、居酒屋が沢山あった。そしてチラッと細い路地裏を見たら、ピンクなホテル街になっていた。綺麗なお姉さんが腕を組んでホテルに入る瞬間を見てしまい、ドキドキしてしまったのだ。もしかしてここ、そういう街ですか!?
なんて素敵な街なのだろうかと道を進んでいたら、立派な門が現れた。門の隙間から中を覗けば、日本のトップが居てもおかしくないような日本庭園が広がっていたのだった。本当にここで合ってますか?
何度もスマホを見直したが、間違っていなかった。でもここってどうやって入ったら良いのだろうか? チャイムとか無いけど、どうしよう!?
「貴方……ここに用がありますの?」
「ひぃ!?」
門の前で挙動不審にしていたからだろうか、門の中に居る人にバレてしまったようです。呼ばれて振り返り門の中を覗くと、綺麗で鮮やかな水色の浴衣を着た美女が居た。涼しい色合いの浴衣美女は、美しかった。銀髪をアップにまとめて首筋がエロい。そして顔立ちも整っていて鼻が高くて外国人だろうか? 大きなお胸が浴衣を押し上げてもう最高だ!! でもどこかで見たことのある人ですね……。
「ユウコちゃん!?」
ボクの顔を見た浴衣美人が驚いた顔をしてボクの名前を呼んだ。ボクの事を知っている銀髪の知り合いと言えば一人しか居ない。
「……もしかしてアリスさんですか!?」
「ええ、そうですわ。会いに来てくれて嬉しいですわ」
満面の笑みを浮かべて近づいてくる彼女は美しかった。和服だからなのか、先日会った時とまた違った優雅な歩き方だったのだ。
もう間違い無いだろう。彼女こそクソ雑魚銀髪お嬢様こと西園寺アリスさんだったのだ……。あれ、チャットで散々ボロクソに煽っちゃったけど、大丈夫だよね? だってあれを書いた桜さんだもんね!!
ボクは知らぬ振りをして彼女と会話する事にしたのだった。
「んん……」
耳元で天使の声が聞こえる。優しくて蕩けるような甘い声は、暖かくて深い眠りに誘われる。
「早くしないと遅刻しちゃいますよ~?」
「遅刻……」
今日はどこかに行く予定があっただろうか……? 昨晩は焼肉パーティーをして盛り上がって楽しかった。そう言えば恵美さんが何か言っていたような……。
「そろそろ準備しないと体験教室に遅刻ですよ?」
「お料理教室!!」
言われた瞬間、全てを思い出した。そうだ、今日はボクが希望したお料理教室へ行くのでした!! やばい、急いで準備しなければ。
「おはようございますユウタさん。朝ごはんを用意しておきますので、身支度してきてくださいね」
「おはようございます桜さん! その、起こしてくれてありがとうございます」
「ふふ……大丈夫ですよ。お礼は先に頂きましたので」
「……?」
桜さんが笑顔でニッコリと笑っているけど、何かお礼なんてしましたっけ? ふと部屋を見回してみたけど、昨晩と変わりない……でもちょっと体がだるい気がする。それに何やら淫靡な香りが漂っている。飲みすぎて覚えてないけど、誰かとエッチしたのかな? 前にも一度やらかしてるし、お酒は飲み過ぎないようにしよう……。
「じゃあ先に行ってますので、二度寝しちゃダメですよ?」
「はーい」
考えるのは止めよう。女性陣に聞いても『覚えてないんですか!?』って悲しい思いをさせてしまうだろう。
さて、今日はしっかりとお料理のお勉強をして来ようと思います!
身支度をしてリビングへ行くと、3人で仲良くテレビを見ていた。どうやら恵美さんはお泊りしていたようですね。
「おはようございます!」
「おはよう」
みんなが挨拶を返してくれた。それにしてもみんな元気だね。沢山お酒を飲んでいたような気がしたけど、二日酔いな感じもない。だるいのはボクだけか……。
心なしか女性たちのお肌が潤ってる気がするぞ。ピチピチです。
「朝ごはん食べたら出発しましょう。メグちゃんが最寄り駅まで送ってくれるわ」
「え、ありがとうございます!」
「うひひ、お礼はキスで良いからね♪」
「わ、わかりました」
既にみんなはご飯を食べ終わったようなので、急いで食べようと思います。時間が無いからパンをモソモソと食べて終わりにしよう。
そうしてボクは、夏子さんと桜さんをお見送りした後、恵美さんと二人で出発するのだった。
◇
駐車場でカッコイイ赤いスポーツカーに乗り込み出発です。二人乗りなので助手席に座りました。内装もオシャレな感じがして、見るからにお高い車ですね! 外国の車なのかもしれない。
エンジンの重低音が響き渡り力強い走りを見せるスポーツカーは、乗っていてとても気持ちが良かった。
「この車すごいですね! カッコイイし加速が凄くて楽しいです」
「うへへ、今度の休みにドライブ行こうか? 山とか海とか気持ち良いよ~?」
山や海をドライブとか、それってリア充みたいだね! こんな綺麗で可愛いお姉さんとカッコイイスポーツカーでドライブデートとか凄く憧れる。でも運転するのはボクじゃないからちょっとカッコ悪い……。
「楽しそうですね! 是非連れてって下さい」
「おっけーおっけー! 約束だからね!」
こっちの世界に迷い込んでからと言えば、お外に出るのも自宅周辺ばかりで遠出をした事がない。旅先で美味しいお料理を食べたり観光したりするのも楽しいよね! 今度家族旅行とか提案してみようかな!
自宅マンションから最寄り駅は徒歩10分のため、車だとあっという間に着いてしまった。駅のロータリーに停車して貰い、ここから電車で移動です。
最初は目的地まで送ってくれると言われたけど、帰りの事を考えると電車の移動に慣れておいた方が良いと思ったのです。
「ありがとうございます恵美さん。助かりました」
「全然大丈夫よー。じゃあ気を付けてね」
「はい、恵美さんも気を付けて下さいね」
恵美さんがボクを見つめ、目を閉じた。恵美さんはボクのお嫁さんではないけれど、大事な人だ。お見送りのキスをしても良いよね! そっと顔を寄せてキスをした。唇を重ねるだけの軽いキスだけど、幸せな気持ちが溢れて来る。
「ふへへ、キスされちった!」
照れ笑いする恵美さんが可愛くて、思わず抱き締めたくなってしまった。でも時間も無いし、周りの視線が痛くなってきた。
「じゃあ行って来ます!」
別れを惜しみ、小走りで駅の改札へ向かった。後ろからスポーツカーの力強い音が聞こえ、まるでボクをお見送りしてくれているようだった。
改札を抜けて駅のホームへ辿り着いた。初めての電車だけど、ボクの知っている東京と同じような感じがする。平日という事もあり、少し混んでいた。
到着した電車に乗り込み、ドア付近で待機する。座席は空いて居ないけど、身動きが取れないような状況じゃなかった。以前体験した事のあるギュウギュウに詰め込まれる車内に比べたら天国だね!
まるで女性専用車両に乗ったような気がしてドキドキしてしまった。どこを見ても女学生やスーツ姿のお姉さんばかりなのである。もし男だとバレたら痴漢されちゃうかもしれない!?
そんなアホな事を考えて居たら、いつの間にか目的地に到着です。聞いたことの無い駅を通過して、やってきたのは3駅目の『百合の園』という駅だった。なんかドキッとする駅名だよね!
駅の改札を抜けてロータリー広場に出たら、広場一面に広がる白い百合の花が咲いていた。ビルに囲まれた都内で、こんな綺麗な場所があったなんて知らなかった! この百合の花が咲いているから『百合の園』っていう駅だったのだろう。
でも何故だろうか? ロータリーに隣接されたオシャレなカフェで、綺麗なお姉さんがイチャイチャしている。あからさまにキスをしている人までいました。もしかしてここ、そういう場所ですか? 凄く良いと思います♪
スマホを取り出してお料理教室までの道をナビ登録してみたら、ここから10分くらい歩いて到着するようですね。辺りを観光しながらゆっくりと歩いていく。
どうやら飲食店が多い場所なようで、オシャレなレストランやカフェ、居酒屋が沢山あった。そしてチラッと細い路地裏を見たら、ピンクなホテル街になっていた。綺麗なお姉さんが腕を組んでホテルに入る瞬間を見てしまい、ドキドキしてしまったのだ。もしかしてここ、そういう街ですか!?
なんて素敵な街なのだろうかと道を進んでいたら、立派な門が現れた。門の隙間から中を覗けば、日本のトップが居てもおかしくないような日本庭園が広がっていたのだった。本当にここで合ってますか?
何度もスマホを見直したが、間違っていなかった。でもここってどうやって入ったら良いのだろうか? チャイムとか無いけど、どうしよう!?
「貴方……ここに用がありますの?」
「ひぃ!?」
門の前で挙動不審にしていたからだろうか、門の中に居る人にバレてしまったようです。呼ばれて振り返り門の中を覗くと、綺麗で鮮やかな水色の浴衣を着た美女が居た。涼しい色合いの浴衣美女は、美しかった。銀髪をアップにまとめて首筋がエロい。そして顔立ちも整っていて鼻が高くて外国人だろうか? 大きなお胸が浴衣を押し上げてもう最高だ!! でもどこかで見たことのある人ですね……。
「ユウコちゃん!?」
ボクの顔を見た浴衣美人が驚いた顔をしてボクの名前を呼んだ。ボクの事を知っている銀髪の知り合いと言えば一人しか居ない。
「……もしかしてアリスさんですか!?」
「ええ、そうですわ。会いに来てくれて嬉しいですわ」
満面の笑みを浮かべて近づいてくる彼女は美しかった。和服だからなのか、先日会った時とまた違った優雅な歩き方だったのだ。
もう間違い無いだろう。彼女こそクソ雑魚銀髪お嬢様こと西園寺アリスさんだったのだ……。あれ、チャットで散々ボロクソに煽っちゃったけど、大丈夫だよね? だってあれを書いた桜さんだもんね!!
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