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前世の記憶
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婚約破棄をしたその晩、フィリッパは夢を見た。
眼前には海が広がっていた。
真っ青な海。
ひたすら、海は続く。
ところどころ、薄い雲が流れている。
上を見上げれば、海とは違う、青い空が広がっている。
何と、フィリッパは空の上にいたのだ。
(え!? 空の上だよね? しかも、かなりの高度なんだけど……)
フィリッパは幼い頃、ペガサスに乗った事がある。
だから、空を舞うという事はどのようなものかはわかっていた。
しかし、高度が違うのだ。
(もしかして……私、死んだの?)
死ぬと空の上に行くと言われていた。
と、その時。
乗り物が傾いた。
と、そこでまた乗り物は逆の方向に傾いた。
(私……何に乗っているの? なぜ乗り物は左右に揺れているの?)
乗り物には窓がついていた。
窓を開けようとしたが、開かない。
天井もある。
乗り物には多くの乗客が乗っていた。
と、そこへ乗り物のアナウンスが鳴った。
「ご搭乗の皆様へご連絡です。この飛行機は現在、太平洋上空を飛んでおります。機長が操作不能に陥り、飛行機は現在バランスを……」
その時、再び飛行機はという乗り物は揺れた。
どこか懐かしい言語だな……とフィリッパは思った。
飛行機という乗り物にも馴染みがある事を思い出した。
飛行機は右に傾いた。
気づくと飛行機は高度が随分と下がっていた。
(このままじゃ死んじゃう!!)
フィリッパは祈った。
飛行機の中からは飛行機が傾く度に悲鳴が聞こえる。
隣でカップルが抱き合って慰めあっていた。
祈りは虚しく終わり、飛行機は海に突っ込んだ。
★☆★☆
そこで目が覚めた。
「なっ……何だったのだろう?」
はっ!!
汗がびっしょりだった。
寝巻きも布団も汗でぐっしょりと濡れていた。
真冬だというのに、これほど寝汗をかいたのは生まれて初めてだった。
このままでは風邪を引いてしまう!!
急いで着替えた。
懐かしい言語。
それに飛行機から見る景色。
フィリッパは自分が転生者だという事に気づいた。
「私は転生者? 今のは前世の私?」
前世、お正月をハワイで迎える予定だった。
独身だったので気軽だった。自由だった。
貫名耀39歳。
アラフォー、独身、IT企業勤務のプログラマー、社畜。
彼氏はといえば、相棒のパソコンだった。
彼氏がパソコンだと言うと勿論笑われたが、それで良かった。
結婚なんかしたくなかった。
結婚生活よりも、むしろ仕事がしたかった。
仕事が楽しかったからだ。
それに、独身は自由。
束縛を嫌っていた。
家庭に入りたくなかった。
周りはどんどん結婚していったが、取り残された感は全く無かった。
お見合いも勧められたが、断った。
年下の友達にマッチングアプリに誘われたが、やはり断った。
結婚生活は向いていないとわかっていたからだ。
だからこそ、ハワイでハッピーニューイヤーをしたかったのだ。
前世、海外旅行が大好きだった。
休みを見つけては海外旅行に出かけていた。
海外にはいつも一人で出かけていた。
一人が気軽で良かったからだ。
耀には妹がいた。
妹に「海外旅行一緒に行こうよ」と言われていたが、断っていた。
やはり、一人が良かったのだ。
それに、今のこの世界は生前プレーしていた乙女ゲー『夢は叶う♡あの人との恋』の世界だったのだ。
そう、恋愛などゲームの世界だけで良かったのだ。
それだけ前世は恋愛に無頓着だったのだ。
そして、この『夢は叶う♡あの人との恋』は主人公が今回、婚約者だったアントニオを奪ったシモーネだった。
ちなみに、アントニオは攻略対象の1人。
筆頭公爵の令息で、占い師兼天気予報士の見習いだったのだ。
そして、姉のベアトリスはこのゲームの悪役令嬢でシモーネの恋の邪魔ばかりする役回りだったのだ。
ちなみに、原作ではベアトリスに妹がいるという記載は一切無い。
しかも、ベアトリスの妹がアントニオと婚約しているという件も全く記載無し。
シモーネは原作では天真爛漫なお嬢様と説明書に書かれていたが、天真爛漫の「て」の字も無い女性だ。
それにしても、なぜ乙女ゲーの世界に転生してしまったのだろうか?
作者の松田樹利亜という人だった。
松田さんの作品はどの作品も異世界恋愛。
王侯貴族を攻略する作品が多かった。
イラストはちゃーさんが書いていた。
確かに、ヒロインのシモーネもアントニオもベアトリスもちゃーさんの絵そのもの。
ちなみに、ちゃーさんがなぜ「ちゃー」なのかはちゃーさんがチャーハン大好きだから……のようだった。
生前、確かにお姫様願望が強かった。
幼少時代、王侯貴族を題材にしたアニメがよくテレビで放映されていた。
その度に「王子様と結婚したいな」などと思っていた。
そして……。
何よりもの目玉はこのゲームには隠しキャラが存在していた事だ。
隠しキャラとはグラントラル王国の第一王子、パウロ・エンリケだ。
パウロ・エンリケを出すためには、アントニオを含めた攻略対象者3人を攻略しなければならなかった。
もちろん、そこまでやり込んでいた。
3人攻略したら、隠しキャラが出てきて驚いたものだ。
攻略対象者の3人はヒロインの学園のクラスメイト。
ちゃーさんのイラストだと、いずれもイケメンで格好良い♡
ちなみに、ヒロインとアントニオがパイプを好むという記述も一切合切無し。
割と脚色された世界なのだな、と思っている。
前世の記憶が戻り、自分が何者なのか俯瞰した。
IT。パソコン。今世にはそんな最先端なものは無い。
それに、自分は婚約破棄をされた身だ。
確かにアントニオは言った。
仕事にのめり込んで、生涯独身の道を歩め、と。
前世がまさにそうだった。
だから、アントニオに言われたように、「生涯独身でも良いわ」と思えるようになった。
そう。独身の方が気楽だし、仕事にも打ち込める。
そうプラスに考える事にした。
「前世の記憶も捨てたもんじゃないわ!!」
寒さがまた舞い戻ってきた。
気づいたら身体が冷えていた。
フィリッパは再び床についた。
眼前には海が広がっていた。
真っ青な海。
ひたすら、海は続く。
ところどころ、薄い雲が流れている。
上を見上げれば、海とは違う、青い空が広がっている。
何と、フィリッパは空の上にいたのだ。
(え!? 空の上だよね? しかも、かなりの高度なんだけど……)
フィリッパは幼い頃、ペガサスに乗った事がある。
だから、空を舞うという事はどのようなものかはわかっていた。
しかし、高度が違うのだ。
(もしかして……私、死んだの?)
死ぬと空の上に行くと言われていた。
と、その時。
乗り物が傾いた。
と、そこでまた乗り物は逆の方向に傾いた。
(私……何に乗っているの? なぜ乗り物は左右に揺れているの?)
乗り物には窓がついていた。
窓を開けようとしたが、開かない。
天井もある。
乗り物には多くの乗客が乗っていた。
と、そこへ乗り物のアナウンスが鳴った。
「ご搭乗の皆様へご連絡です。この飛行機は現在、太平洋上空を飛んでおります。機長が操作不能に陥り、飛行機は現在バランスを……」
その時、再び飛行機はという乗り物は揺れた。
どこか懐かしい言語だな……とフィリッパは思った。
飛行機という乗り物にも馴染みがある事を思い出した。
飛行機は右に傾いた。
気づくと飛行機は高度が随分と下がっていた。
(このままじゃ死んじゃう!!)
フィリッパは祈った。
飛行機の中からは飛行機が傾く度に悲鳴が聞こえる。
隣でカップルが抱き合って慰めあっていた。
祈りは虚しく終わり、飛行機は海に突っ込んだ。
★☆★☆
そこで目が覚めた。
「なっ……何だったのだろう?」
はっ!!
汗がびっしょりだった。
寝巻きも布団も汗でぐっしょりと濡れていた。
真冬だというのに、これほど寝汗をかいたのは生まれて初めてだった。
このままでは風邪を引いてしまう!!
急いで着替えた。
懐かしい言語。
それに飛行機から見る景色。
フィリッパは自分が転生者だという事に気づいた。
「私は転生者? 今のは前世の私?」
前世、お正月をハワイで迎える予定だった。
独身だったので気軽だった。自由だった。
貫名耀39歳。
アラフォー、独身、IT企業勤務のプログラマー、社畜。
彼氏はといえば、相棒のパソコンだった。
彼氏がパソコンだと言うと勿論笑われたが、それで良かった。
結婚なんかしたくなかった。
結婚生活よりも、むしろ仕事がしたかった。
仕事が楽しかったからだ。
それに、独身は自由。
束縛を嫌っていた。
家庭に入りたくなかった。
周りはどんどん結婚していったが、取り残された感は全く無かった。
お見合いも勧められたが、断った。
年下の友達にマッチングアプリに誘われたが、やはり断った。
結婚生活は向いていないとわかっていたからだ。
だからこそ、ハワイでハッピーニューイヤーをしたかったのだ。
前世、海外旅行が大好きだった。
休みを見つけては海外旅行に出かけていた。
海外にはいつも一人で出かけていた。
一人が気軽で良かったからだ。
耀には妹がいた。
妹に「海外旅行一緒に行こうよ」と言われていたが、断っていた。
やはり、一人が良かったのだ。
それに、今のこの世界は生前プレーしていた乙女ゲー『夢は叶う♡あの人との恋』の世界だったのだ。
そう、恋愛などゲームの世界だけで良かったのだ。
それだけ前世は恋愛に無頓着だったのだ。
そして、この『夢は叶う♡あの人との恋』は主人公が今回、婚約者だったアントニオを奪ったシモーネだった。
ちなみに、アントニオは攻略対象の1人。
筆頭公爵の令息で、占い師兼天気予報士の見習いだったのだ。
そして、姉のベアトリスはこのゲームの悪役令嬢でシモーネの恋の邪魔ばかりする役回りだったのだ。
ちなみに、原作ではベアトリスに妹がいるという記載は一切無い。
しかも、ベアトリスの妹がアントニオと婚約しているという件も全く記載無し。
シモーネは原作では天真爛漫なお嬢様と説明書に書かれていたが、天真爛漫の「て」の字も無い女性だ。
それにしても、なぜ乙女ゲーの世界に転生してしまったのだろうか?
作者の松田樹利亜という人だった。
松田さんの作品はどの作品も異世界恋愛。
王侯貴族を攻略する作品が多かった。
イラストはちゃーさんが書いていた。
確かに、ヒロインのシモーネもアントニオもベアトリスもちゃーさんの絵そのもの。
ちなみに、ちゃーさんがなぜ「ちゃー」なのかはちゃーさんがチャーハン大好きだから……のようだった。
生前、確かにお姫様願望が強かった。
幼少時代、王侯貴族を題材にしたアニメがよくテレビで放映されていた。
その度に「王子様と結婚したいな」などと思っていた。
そして……。
何よりもの目玉はこのゲームには隠しキャラが存在していた事だ。
隠しキャラとはグラントラル王国の第一王子、パウロ・エンリケだ。
パウロ・エンリケを出すためには、アントニオを含めた攻略対象者3人を攻略しなければならなかった。
もちろん、そこまでやり込んでいた。
3人攻略したら、隠しキャラが出てきて驚いたものだ。
攻略対象者の3人はヒロインの学園のクラスメイト。
ちゃーさんのイラストだと、いずれもイケメンで格好良い♡
ちなみに、ヒロインとアントニオがパイプを好むという記述も一切合切無し。
割と脚色された世界なのだな、と思っている。
前世の記憶が戻り、自分が何者なのか俯瞰した。
IT。パソコン。今世にはそんな最先端なものは無い。
それに、自分は婚約破棄をされた身だ。
確かにアントニオは言った。
仕事にのめり込んで、生涯独身の道を歩め、と。
前世がまさにそうだった。
だから、アントニオに言われたように、「生涯独身でも良いわ」と思えるようになった。
そう。独身の方が気楽だし、仕事にも打ち込める。
そうプラスに考える事にした。
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寒さがまた舞い戻ってきた。
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