婚約破棄されたら、既に婚約者のいる女性と婚約していることが判明しました

hikari

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両親への報告 ブリジット視点

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ブリジットはアドンと婚約破棄をし、アーチュウと新たに婚約した事を両親に告げるため、父親の執務室へ訪れた。

アーチュウから貰った婚約指輪をクルクル回している。

勘当される事は覚悟していた。

「お父様、お母様。私はアドンと婚約破棄し、アーチュウ殿下と婚約しました」

茶色の髪に長い髭、分厚いメガネをかけているのがブリジットの父親のノール。

リグレ伯爵の当主でもある。

ベージュの髪を三編みし、左側に垂らしている女性が母親のカチュアだ。

「何!? アドンと婚約破棄だと!?」

やはり来た。

「はい。アーチュウ殿下に見初められ、アドンと婚約破棄をする事を決心しました」

雷が落ちる!!

ブリジットは頭を抱えた。

「おやおや。アーチュウ殿下に見初められるとはな」

ノールの顔は突如穏やかになった。

「でも、アーチュウ殿下にはギーズ公爵家のご令嬢、サーラがいたのでは!?」

カチュアがたんたんとした口調で言った。

「それが、アーチュウ殿下はサーラに嫌気が差したみたいです」

「何でまた!?」

ノールが怪訝な顔をした。

「それがサーラが亡き姉のクロエと似ても似つかないから嫌気が差したみたいです」

「うーむ。アーチュウ殿下がサーラに婚約破棄を言い渡すとはな」

ノールはメガネを上げた。

「アーチュウ殿下も易易と婚約破棄を言い渡すのかしら?」

カチュアも怪訝な顔つきに変わった。

「サーラはエレメント魔法がてんでダメ。それに殿下は嫌気が差したみたいです」 

「ほほう。姉のクロエは確かにエレメント魔法には長けていたな。しかし、サーラが魔法が苦手と言うのは?」

「サーラがエレメント魔法を使うと的に当たらないんです。とんでもない方向へ行くんですよ」

ブリジットもメガネを上げた。

「しかしだ。アドンとの婚約は国をあげての有名な話だ。それをどう撤回する?」 

「大丈夫です、お父様。そこは私がなんとかします」

「しかしだな、ブリジット。アーチュウ殿下と新たに婚約を交わしたのはアドンは知っているのか?」

「勿論知っています」

即答。

アーチュウみたいな豚野郎に婚約破棄を告げるのは、それが一番。

「ブリジット。なぜアドンが嫌になったの?」

「それは最近まるまると太りだしてまるで熊。あんなのもう飽き飽きです」

単刀直入に答えた。

本当の事を言っただけだ。

冗談ではない。あんな豚野郎と結婚するなら、平民と結婚した方がどれだけマシか。

「う~む。確かにレニエ家は肥満の家系だな」

ノールは頬杖をついた。

「でも、外見じゃないのよ、ブリジット」

「わかっています。でも、アーチュウ殿下からプロポーズされた以上は断るわけにはいきません」

小一時間沈黙が走った。

口火を切ったのがノールだった。

「一番可哀想なのがアドンだな。容姿だけで婚約破棄を迫られたんだからな」

「そうね。アドンとサーラが本当に気の毒」

気の毒も可哀想もへったくれも無い。

嫌なものは嫌なのだ。

まるまると太ったアドンは生理的受け付けない。

「気の毒もありません。アドンは自己管理がなってないし、サーラは魔法をできないままにしています。二人共自業自得なんです」

実際にそうだ。

食べ物に気をつけたり、運動をしようとしないアドンにも落ち度はある。

それにサーラも魔法をできるようにしようと努力しない。

そう。二人共努力を怠っているのよ。

「でもね、サーラ。レニエ家が肥満の家系だと言うことはわかっていたでしょう」

確かにレニエ家当主もまるまると太っている。

あの太鼓腹を見ていると、笑いが込み上げて来たのも事実。

レニエ侯爵夫人は対してスリムな体型。

母親の遺伝子を期待していたわけではないけれど、アドンは太らないように努力してくれると信じていた。

しかし、アドンは太ってしまった。

因みに先代の当主の肖像画を見た事あるが、やはりまるまると肥えていた。

そして、先代の侯爵夫人もふくよかだった。

さらに、アドンの姉も太っていて、見るに耐えない程の太りよう。

それを見れば、レニエ家が肥満の家系だという事は容易に想像はつく。


「アドンのお姉様は太り過ぎです。アドンが熊ならお姉様は牛です」

豚を通り越して牛。

豚やイノシシの体重もゆうに超えている太り様。

顔はまるまる満月のよう。

二重あごで脂肪を絞ればポタポタと脂肪が垂れてきそうな位脂ぎっている。

「牛など言うものではないぞ、ブリジット。本人も好きでその容姿になったわけでは無いのだからな」

いや、好きでその容姿になったんでしょう?

肥満の家系だとわかれば、肥満にならないよう努力するもの。

「しかしブリジットはアーチュウ殿下に見初められた。王室に嫁がせる事は我がリグレ家にとって名誉だと思いませんか?あなた」

「う~む」

ノールは唸り声を上げた。

「ま、確かに王室に嫁がせることはリグレ家の誇りだな。ま、なんせ現国王の実弟なんだからな」

両親は複雑な心境でいるに違いない。

ブリジットもアーチュウに見初められ、非常に喜ばしい事だと思っている。

「アーチュウ殿下は国民からの信頼も厚い」

「では、ブリジットを王室に嫁がせることにあなたは賛成なのですか?」

「そうだな。胸中複雑だが、ブリジットが望むなら……」

「ありがとうございます!」

ブリジットは再び婚約指輪をクルクル回した。
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