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突然の報告
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いじめに遭っているサーラにとって味方になってくれるのはブリジットに理不尽な婚約破棄を叩きつけられたアドンと親友のカミーユだけ。
孤独にはならなかっのは二人のお陰かもしれない。
教室は今日も騒がしい。
ブリジットとコレットがひそひそ話をするようになったのも、いつもの話と化していた。
そう。いつだってサーラを目の敵にして笑いものにしているのだから。
サーラは休み時間、カミーユと話をしているかもしくは読書をしている。
魔法音痴を克服するため、魔法についての本を読んでいる。
エレメント魔法ができるようになりたい。
エレメント魔法がてんでダメでも根気強く教えてくれるクリストフ先生。
その気持ちに答えたかった。
そう言えば教室にカミーユとアドンがいない。
それをいいことに、ブリジットとコレットはサーラの悪口を言い放題。
「ねぇ聞いてよ。あの娼婦とくればねぇ、アーチュウ殿下に取り入ろうとしたのよ」とブリジット。
「いやいや、誰かさんは娼婦ってよりヤリマンなんじゃないの?」
誰かさんとは勿論サーラの事。
ヤリマン……そこまで言えるのもアドンとカミーユがいないから、だ。
「やっぱりさ~、誰かさんって友達いないんじゃないの? 今日は一人よ」
コレットが聞こえよがしに言う。
けれどこれもいつもの話になってしまった。
そう、アーチュウ殿下と婚約破棄をしてから。
「そうね。それにあの豚野郎もこの教室内にいないわね。平和よね」とブリジットは婚約指輪をこれみよがしに回してみせた。
と、そこへアドンとカミーユが二人一緒にやって来た。
「実はねサーラ。報告したい事があるの」
「どうしたの?」
カミーユはなんだか嬉しそうな顔をしている。
「実はな、サーラ。俺たち、婚約したんだ」
突然の報告にサーラは時間が止まったかのように感じた。
「え!? 本当なの?」
にわかには信じられなかった。
アドンはついこないだブリジットと婚約破棄したばかり。
それが突如カミーユと婚約だなんて。
「俺もカミーユのことが気になっていたんだ」
「アドン」
でも待って。
カミーユは男爵令嬢。
12侯爵1の高貴なアドンとは不釣り合いのような?
「身分の差なんて大したことはない。克服できるさ」
アドンは相変わらずデカい。
ブリジットが『熊』と比喩したのもわからなくはない。
身長もずば抜けて高いが、その代わり横もある。
どう見ても大男だ。
それに対して華奢なカミーユ。身分どころか体型も不釣り合いだ。
「カミーユ。アドンのどこが好きなの?」
サーラは何気なく聞いてみた。
「やっぱり、私を護ってくれそうな感じがするの」
そうか。却ってこの大男ぶりがカミーユのツボにハマったのかもしれない。
「それとな、カミーユ。手を上げてみて」
カミーユはおもむろに左手を上げた。
なんと!! 指輪が!!
エメラルドグリーンが眩いばかりに光っている。
「アドン。ありがとう」
頭1つ半位違う大男をカミーユは見ていた。
そこへ声がした。
「アドン、婚約したの? しかも平民さながらのその男爵令嬢に」
と言うと、ブリジットのグループは一同に笑いだした。
いじめっ子はブリジットやコレットだけでは無い。
平民のアリーナやマルシアまでが敵に回ったのだ。
アリーナとマルシアはかつて友達だった。
しかし、アーチュウと婚約破棄してからブリジット側につくようになったのだ。
アリーナとマルシアは平民だ。
「豚野郎が華奢な女の子と婚約。不釣り合いで笑える」と、コレット。
そして、一同はまた笑い出す。
「メス豚の友人でアドンの婚約者。これからメス豚バージョン2と呼ばないとね」また笑い出す。
「あんなのと友達だったなんて恥だわ」とマルシア。
「そうよね? あんなメス豚どもと縁切って良かったわ」とアリーナ。
カミーユは拳を握りしめていた。
「いい加減にしてよ、ブリジット。コレット」
ついにカミーユの堪忍袋の緒が切れた。
教室は一瞬静まり返る。
カミーユは普段から大声を出すような人ではない。
誰もが驚く事態だ。
「わっはっは」
と、コレットが下品に笑いだした。
コレットもカミーユ同様男爵令嬢。
とても貴族の仕草とは思えない。
「何がおかしいのよ?」
再びカミーユが怒鳴った。
「カミーユ。あんたはいつまでもそのヤリマンと一緒にいるんでしょ? アリーナとマルシアは目覚めてブリジットとアーチュウ殿下の婚約を祝福してくれたのよ」
「そうだ、そうだ! コレット、もっと言っちゃいなさいよ」とアリーナ。
「そもそもね、サーラが娼婦だという証拠はあるの?」
「決まっているじゃない。アーチュウ殿下に取り入ろうとしたのは自らの身体を殿下に売りつけて一緒になろうと企んだんだから。わーっはっは」コレットは足をばたつかせながら笑った。
「それよりもアドン。あんたその子豚と婚約おめでとう。とってもお似合いよ」とブリジット。
「子豚に失礼よ、ブリジット」コレットが鼻を上に押し上げて「ブヒブヒ」と言った。
「じゃあ、ゴキブリで良いかしら?」とアリーナ。
「ゴキブリにも失礼よ。ゴキブリ以下の以下だもの」コレットが笑った。
「熊と子豚の結婚式、いつかしらね?」マルシアが意地悪そうに言った。
「ブリジットとアーチュウ殿下の結婚式は来月なの。アドン。あんたとは婚約破棄して正解だったわ」
アドンも憤怒に満ち溢れた顔だ。
そして、化学の時間を迎えたのだった。
孤独にはならなかっのは二人のお陰かもしれない。
教室は今日も騒がしい。
ブリジットとコレットがひそひそ話をするようになったのも、いつもの話と化していた。
そう。いつだってサーラを目の敵にして笑いものにしているのだから。
サーラは休み時間、カミーユと話をしているかもしくは読書をしている。
魔法音痴を克服するため、魔法についての本を読んでいる。
エレメント魔法ができるようになりたい。
エレメント魔法がてんでダメでも根気強く教えてくれるクリストフ先生。
その気持ちに答えたかった。
そう言えば教室にカミーユとアドンがいない。
それをいいことに、ブリジットとコレットはサーラの悪口を言い放題。
「ねぇ聞いてよ。あの娼婦とくればねぇ、アーチュウ殿下に取り入ろうとしたのよ」とブリジット。
「いやいや、誰かさんは娼婦ってよりヤリマンなんじゃないの?」
誰かさんとは勿論サーラの事。
ヤリマン……そこまで言えるのもアドンとカミーユがいないから、だ。
「やっぱりさ~、誰かさんって友達いないんじゃないの? 今日は一人よ」
コレットが聞こえよがしに言う。
けれどこれもいつもの話になってしまった。
そう、アーチュウ殿下と婚約破棄をしてから。
「そうね。それにあの豚野郎もこの教室内にいないわね。平和よね」とブリジットは婚約指輪をこれみよがしに回してみせた。
と、そこへアドンとカミーユが二人一緒にやって来た。
「実はねサーラ。報告したい事があるの」
「どうしたの?」
カミーユはなんだか嬉しそうな顔をしている。
「実はな、サーラ。俺たち、婚約したんだ」
突然の報告にサーラは時間が止まったかのように感じた。
「え!? 本当なの?」
にわかには信じられなかった。
アドンはついこないだブリジットと婚約破棄したばかり。
それが突如カミーユと婚約だなんて。
「俺もカミーユのことが気になっていたんだ」
「アドン」
でも待って。
カミーユは男爵令嬢。
12侯爵1の高貴なアドンとは不釣り合いのような?
「身分の差なんて大したことはない。克服できるさ」
アドンは相変わらずデカい。
ブリジットが『熊』と比喩したのもわからなくはない。
身長もずば抜けて高いが、その代わり横もある。
どう見ても大男だ。
それに対して華奢なカミーユ。身分どころか体型も不釣り合いだ。
「カミーユ。アドンのどこが好きなの?」
サーラは何気なく聞いてみた。
「やっぱり、私を護ってくれそうな感じがするの」
そうか。却ってこの大男ぶりがカミーユのツボにハマったのかもしれない。
「それとな、カミーユ。手を上げてみて」
カミーユはおもむろに左手を上げた。
なんと!! 指輪が!!
エメラルドグリーンが眩いばかりに光っている。
「アドン。ありがとう」
頭1つ半位違う大男をカミーユは見ていた。
そこへ声がした。
「アドン、婚約したの? しかも平民さながらのその男爵令嬢に」
と言うと、ブリジットのグループは一同に笑いだした。
いじめっ子はブリジットやコレットだけでは無い。
平民のアリーナやマルシアまでが敵に回ったのだ。
アリーナとマルシアはかつて友達だった。
しかし、アーチュウと婚約破棄してからブリジット側につくようになったのだ。
アリーナとマルシアは平民だ。
「豚野郎が華奢な女の子と婚約。不釣り合いで笑える」と、コレット。
そして、一同はまた笑い出す。
「メス豚の友人でアドンの婚約者。これからメス豚バージョン2と呼ばないとね」また笑い出す。
「あんなのと友達だったなんて恥だわ」とマルシア。
「そうよね? あんなメス豚どもと縁切って良かったわ」とアリーナ。
カミーユは拳を握りしめていた。
「いい加減にしてよ、ブリジット。コレット」
ついにカミーユの堪忍袋の緒が切れた。
教室は一瞬静まり返る。
カミーユは普段から大声を出すような人ではない。
誰もが驚く事態だ。
「わっはっは」
と、コレットが下品に笑いだした。
コレットもカミーユ同様男爵令嬢。
とても貴族の仕草とは思えない。
「何がおかしいのよ?」
再びカミーユが怒鳴った。
「カミーユ。あんたはいつまでもそのヤリマンと一緒にいるんでしょ? アリーナとマルシアは目覚めてブリジットとアーチュウ殿下の婚約を祝福してくれたのよ」
「そうだ、そうだ! コレット、もっと言っちゃいなさいよ」とアリーナ。
「そもそもね、サーラが娼婦だという証拠はあるの?」
「決まっているじゃない。アーチュウ殿下に取り入ろうとしたのは自らの身体を殿下に売りつけて一緒になろうと企んだんだから。わーっはっは」コレットは足をばたつかせながら笑った。
「それよりもアドン。あんたその子豚と婚約おめでとう。とってもお似合いよ」とブリジット。
「子豚に失礼よ、ブリジット」コレットが鼻を上に押し上げて「ブヒブヒ」と言った。
「じゃあ、ゴキブリで良いかしら?」とアリーナ。
「ゴキブリにも失礼よ。ゴキブリ以下の以下だもの」コレットが笑った。
「熊と子豚の結婚式、いつかしらね?」マルシアが意地悪そうに言った。
「ブリジットとアーチュウ殿下の結婚式は来月なの。アドン。あんたとは婚約破棄して正解だったわ」
アドンも憤怒に満ち溢れた顔だ。
そして、化学の時間を迎えたのだった。
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