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王都編
いざ!転生
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「神様、大丈夫です。まぁあんまり期待してなかったんでそこまで落ち込んでもないです」
これは本心だ。私が留学したイギリスで出会って、付き合ってそこからなんとなくズルズルと関係を続けてきた。別れても大きな傷をお互いに与えることの無い関係。それが丁度良かったし、互いに不満もなかった。そしてそこには2人の世界を広げる情熱はない。
未来に情熱を求める年齢を超えた頃、私の父が病死したのをきっかけに私は帰国を決めた。しかし、腐れ縁を雁字搦めにする様に、私のお腹には双葉が宿っていた。私達はぶつかりながらも話し合い、日本で子供を育てる事にした。彼は教会で英語を子供たちに教える仕事を見つけて、私もWEBデザイナーとしてなんとか生活をしていた。けれど、彼にとって異国である日本での生活と、歩み寄れない価値観に、次第に私達はズレていった。彼と私は双葉の為に夫婦生活を直視する事を避けた。子は鎹。まさにそれを私達夫婦は実感する。だからこそ、情はあれど旦那に執着はなかった。
だから、すっと縋る様な気持ちが波の様に引いていくのがわかった。
「双葉にはどうやったら会えるんですか?」
なんとしてでも、あの子に会いたい。私の命、双葉に。猿神は手を伸ばして立たせてくれた。
「こっちの時間とあっちの時間の長さは違う。あっちに住む生き物、特に知能を持つ生き物の平均寿命は300歳程度だ」
「あっちで君が全てのトラップを解除して生きていけるようになった頃には、彼はこっちでの寿命を終えてるだろう。その時、魂をもう一度君の元へ送ると約束する」
「それ以外に双葉君と会う方法は無いしね」
え……ちょっと待って。あっちで子供作れって事?いや、私もう40過ぎてるし。そこからまた子供産んで育てるって?ちょっとしんどいなぁ。でも、あっちだとまだ私赤子も同然???え?どうしたらいいんだろう。でも、それ以外にあの子に会う方法は無い。
覚悟は決めた。必ずあの子にもう一度会う。たとえ、私を覚えていなくても私の中にあるあの子の笑顔をもう一度見たいから。
「わかりました。でも、説明だけはしっっっっっっっかりとお願いします。」
私の返事を聞いて、猫の神様が懐から真っ白な玉を取り出した。
「あちらに着いたらこれに口づけをしてくれ。君を助けるだろう。細かい説明もこいつがやってくれる」
おっとぉ?丸投げですか。その玉に??
「俺たちはテュルケットが壊した神々と生物の境界を直し、運命の綱を作り直さなければならない。ここでお別れだ」
神々が霞の様にゆらゆらと揺れる。
「え、これで放置……?うそ!」
神々が都の魂を通り過ぎて消えてゆく。
「大和の神々より、寵愛と加護を与える。天と地、生と死、闇と光に調和を与える使者となれ」
「大国主命が命名す。これよりグレース・クラリスの名を授ける。かの地で愛と豊穣、安らぎと情熱を司れ。君に愛を、都さん」
とても美しい男性の神がそっと頬を撫でた。その瞬間、光の中に私は吸い込まれた。遠くに神々の声が聞こえる。
「あっちは男しかいないからー!」
「超はーーれむだからー!!」
「楽しんでねーーーー!」
「ミッション完遂してねーー!」
ちょっとーーー!そういう説明をしっかりしてって言ったよねーーーー???男しかいないって何!?私も男になるの?それとも私、初の女性になるの?ねーー!!私ってどういう立場であっちにいくのーー?
おーーしーーーえーーーてーーーーー
これは本心だ。私が留学したイギリスで出会って、付き合ってそこからなんとなくズルズルと関係を続けてきた。別れても大きな傷をお互いに与えることの無い関係。それが丁度良かったし、互いに不満もなかった。そしてそこには2人の世界を広げる情熱はない。
未来に情熱を求める年齢を超えた頃、私の父が病死したのをきっかけに私は帰国を決めた。しかし、腐れ縁を雁字搦めにする様に、私のお腹には双葉が宿っていた。私達はぶつかりながらも話し合い、日本で子供を育てる事にした。彼は教会で英語を子供たちに教える仕事を見つけて、私もWEBデザイナーとしてなんとか生活をしていた。けれど、彼にとって異国である日本での生活と、歩み寄れない価値観に、次第に私達はズレていった。彼と私は双葉の為に夫婦生活を直視する事を避けた。子は鎹。まさにそれを私達夫婦は実感する。だからこそ、情はあれど旦那に執着はなかった。
だから、すっと縋る様な気持ちが波の様に引いていくのがわかった。
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なんとしてでも、あの子に会いたい。私の命、双葉に。猿神は手を伸ばして立たせてくれた。
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「あっちで君が全てのトラップを解除して生きていけるようになった頃には、彼はこっちでの寿命を終えてるだろう。その時、魂をもう一度君の元へ送ると約束する」
「それ以外に双葉君と会う方法は無いしね」
え……ちょっと待って。あっちで子供作れって事?いや、私もう40過ぎてるし。そこからまた子供産んで育てるって?ちょっとしんどいなぁ。でも、あっちだとまだ私赤子も同然???え?どうしたらいいんだろう。でも、それ以外にあの子に会う方法は無い。
覚悟は決めた。必ずあの子にもう一度会う。たとえ、私を覚えていなくても私の中にあるあの子の笑顔をもう一度見たいから。
「わかりました。でも、説明だけはしっっっっっっっかりとお願いします。」
私の返事を聞いて、猫の神様が懐から真っ白な玉を取り出した。
「あちらに着いたらこれに口づけをしてくれ。君を助けるだろう。細かい説明もこいつがやってくれる」
おっとぉ?丸投げですか。その玉に??
「俺たちはテュルケットが壊した神々と生物の境界を直し、運命の綱を作り直さなければならない。ここでお別れだ」
神々が霞の様にゆらゆらと揺れる。
「え、これで放置……?うそ!」
神々が都の魂を通り過ぎて消えてゆく。
「大和の神々より、寵愛と加護を与える。天と地、生と死、闇と光に調和を与える使者となれ」
「大国主命が命名す。これよりグレース・クラリスの名を授ける。かの地で愛と豊穣、安らぎと情熱を司れ。君に愛を、都さん」
とても美しい男性の神がそっと頬を撫でた。その瞬間、光の中に私は吸い込まれた。遠くに神々の声が聞こえる。
「あっちは男しかいないからー!」
「超はーーれむだからー!!」
「楽しんでねーーーー!」
「ミッション完遂してねーー!」
ちょっとーーー!そういう説明をしっかりしてって言ったよねーーーー???男しかいないって何!?私も男になるの?それとも私、初の女性になるの?ねーー!!私ってどういう立場であっちにいくのーー?
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