アラサー失恋女子、合コンで年下御曹司(25)にロックオンされる〜タワマン25階住みでも、怪しい壺なんて買いません!〜

世界のボボブラ汁(エロル)

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ドライブデート

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 蓮君が助手席のドアを開けると、革張りのシートの上に子狐が二匹、へそ天で寝ていた。

 彼は無言で二匹を外に追い出し、シートに残った毛をパタパタ払ってから「どうぞ」と私に手を添えた。

 右京と左京だ。モフれる! シートに収まった私は胸を高鳴らせ、膝に乗せるために両腕を広げた。

 しかし、子狐たちが嬉々として飛び込んでこようとした瞬間、蓮君が助手席のドアをすっと閉めてしまう。

 窓に顔面から張り付いた方は、多分左京さんだな……。間が悪いから。

 蓮君は運転席に座ってエンジンをかけたが、すぐには車を出さず、ハンドルに腕を預けてそこに顎を乗せた。

 相変わらず胡散臭い笑みを浮かべ、どこか遠くを見つめている。

 ショピングセンターの入口は、夕方の買い物客で少し混んできた。

「蓮君……?」
「明日せっかくの休みなのに、すみませんね。ギリギリまで一緒にいたいです」

 ため息混じりに言われる。どうやら、笑っていたわけじゃなくて、考え込んでいたのね。けれど言われた私の方が、つい苦笑してしまった。

「圭太……圭介……えと雁助さんのね」

 名前が面倒臭いな! でも、その名を口にしても、もう傷つくことは無かった。

「結婚式は、柳楽の代表で出るんでしょ?」

 陰陽師の結婚式と聞いて、最初は晴明神社かなと思った。しかし新婦側の都合で、場所は京都ではなく都内のホテル椿峰荘らしい。

 政治家のお爺ちゃんたちが大量に出席する、大きな式になるのだとサーヤから聞いた。

 圭太、緊張しないのだろうか。

「祖父は、白訪湖の事後処理で忙しいようですから。それより……俺、茜さんと一緒に出たかったな」

 もちろん、元カノの私を式に招待するなんて普通はあり得ないし、私だって行きたいとは思わない。

 お相手の女性に刺されそうだもの。血のウェディング一直線だ。

「あ、明日念のためサヤ子を呼び寄せておこうかな。茜さんがいつでも俺のところに飛んで来られるように」
「いや、それはやめた方がいいわ」
「ですよねぇ。あいつ、式の真っ最中に圭介さんの隣へ、茜さんをテレポートしそうで怖い」

 やりそう。青ざめた私の顔に気づいてか、蓮君は話を切り上げ、車を発進させた。

 いつも運転手付きだったので、ペーパードライバーかと思っていたが、運転は手慣れたものだ。

 要領が良くて、何でもそつなくこなすタイプらしい。

 首都高に入り、車は横浜方面へ向かう。

 ビルの谷間を抜けていく中、私は紙袋を取り出し、膝に置いた。蓮君が横目で私の膝に視線を落とす。

「──それ、なに?」
「式の後、圭太と会う機会があるなら、渡してもらった方がいいかなと思って。一応持って来たの。……圭太のシャツよ。ちゃんとクリーニングに出しておいた」

 蓮君が押し黙る。

 いや、勝手に捨てたら悪いじゃない? これのおかげで、しばらく生き延びてきたわけだし。

 あれ……蓮君拗ねた?

「……やっぱりダメよね。ハレの席だもん。どうしよう、郵送にした方がいいかしら? それとも、処分しちゃっていいかな」

 蓮君はまだ黙ったままだ。その空気に焦った私は、急いで言い足した。

「そ、それでね、蓮君のシャツをもらえるかな? 前のはほら、蓮君に引き裂かれちゃったし。今着てるのでもいいし、洗っていないのがほしいの」

 その瞬間、車が少しスピードを落とした。前方の渋滞に気づいたようだ。蓮君は前を向いたまま、頬をぽりっと掻いた。

 良かった。不機嫌な訳ではなさそうだ。

「もしですよ……俺があの時力任せに引きちぎらなかったら、ずっとアレを着ている気だったんですか? ……洗わないで」

 聞かれた私は、恥ずかしさのあまり俯く。

「だって、お守りになるし……くるまって寝ると落ち着くから」
「茜さんの下着、今穿いてるやつでいいからくれる? お守りになるし、頭に被ると落ち着くから」
「へ、変態っ!!」
「でしょ?」

 蓮君は片手で口元を覆い、笑いを必死に堪えている。そうね、同じよね。私も変態だわ。

「正直、圭介さんのは汚な……って思ったけど、俺のは嬉しいですよ。何枚でも、脱ぎたてホヤホヤサイン入りシャツあげるから。ちゃんとマメに洗ってくださいね」

 そして、からかうように付け加える。

「またすぐ俺に破かれちゃうだろうし」






┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
※次回で完結です!
寂しい……😢
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