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第五章 婚約志望者の秘密
17.初仕事 6 もっとお手伝い
しおりを挟むさあ、これで大丈夫だろ!
水でまんたんになった古い木の桶を抱えて、こっそり二段飛ばしで階段を上がる。
こんなの訓練にもならない動きだけど、人に見られてたら異常だとは思われるよな。水が入った桶は、成人でも重くて軽々とは運べない。まして、急いで動くと普通はこぼれる。
うん、大丈夫。見られてない。
不自然にならない程度に、急ぐ。早く次の仕事もやらせてもらえるように。
一滴も水をこぼさずに、階段を上がり終える。
「水汲み終わったよ!洗い物しようか?学校までまだ時間あるからさ」
台所にある水瓶をいっぱいにして、得意げに俺はカーラさんに向き直る。
ふふっと笑って、カーラさんは俺を撫でた。
「そんなに気合を入れなくてもいいんだよ?あなたのことはディアスさんからも頼まれているからね」
ぶんぶんぶん!俺は首を振る。
「俺んちは、兄弟がいっぱいいるんだ。いつか俺も、家を出て生活しなきゃいけない。だから、お手伝いは勉強なんだ!」
ふぬ、と、胸を張る。ちょっと本気だ。
俺の役目は、下町のみんなの平和を守ることだと、俺はまだ思っている。嘘はついていない。
「お金もあんまりないからさ、きっとこのあたりで暮らすことになると思うんだ。だから教えてよ!」
はぁ、と、カーラさんが呆れたようにため息を吐く。
「ディアスさんのように、王都で正規の受注をするには、それなりの外での冒険の実績が必要になると思うのだけど……まあ、地盤を継ぐ、という考え方も、冒険者にもあってもいいかもしれないわね」
カーラさんは、すっと木札を差し出した。
「あのね、ラディッツが足りないの。あとは、穀物類ね。豆類も。どんなものでもいいから、なるべく量があって安いものを、この通りの家で買ってきてくれる?」
おつかいだ。闇市に行ける!情報の宝庫だ!!
「わかった!頑張るよ。行ってきます!」
「あっ、待って、袋をちゃんと持って行くのよ!」
カーラさんに渡されたのは、麻の大きな袋。そっか、荷物抱えるの大変だもんな。
うん、これなら丈夫だから、荷物が重くなっても大丈夫だろう。
「ありがとう、カーラさん!」
よし。俺は、闇市に向かって駆け出した。
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