本編開始前に悪役令嬢を断罪したらうちでバイト始めた

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第五章 婚約志望者の秘密

18. 初仕事 7 闇市の調査

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闇市に通いだして、しばらく経った。
季節はすっかり夏になっていた。

闇市は小規模で、多い。なかなかこれって奴がいない。ひとつひとつ調べていく。

大体の店の見た目は、普通の民家と変わらない。
こんこんとドアを叩くと、がちゃっと細めのよろよろしたおじいちゃんが出てくる。

「何か用ですかえ?」

ぷるぷるしながら聞いてくる。
俺は無言で、カーラさんにもらった木札を見せた。

「ああ、ご用事ね。さあ、どうぞ」


俺が入れるだけの、ぎりぎりの隙間を開けた戸は、中に入った途端に閉められた。部屋の中を見せない警戒心が見て取れた。

カウンターがあり、普段はそこで個人で飲み食いするように見せかけた、その裏。
地下に続く階段を、降りて行く。

そこに入ると、視界には、棚いっぱいの食料。
冷蔵庫なんかないから、地下に置いているらしい。

野菜類、肉類、保存加工済みの魚もある。
すごい。こんなに揃うんだ。大通りの店にも引けを取らない。
一体どうやって。この狭い王都内で栽培なんかできない。どうしても外から持ってきているはずだ。

でも、ちょっとだけ安心した。とにかく、ここの食べ物類は安い。大通に立つ市の半額近い値段のものもある。


とにかく、怪しまれないように。

「カーラおばさんが、ラディッツや穀物や豆、できるだけ安いものを買ってきてって言ってたんだ。何かない?」

ずいっと、麻袋を突き出す。
それを受け取った地下の店員は、低い声で話した。

「あるけどよ。お前誰だ?」

顔の厳つい男が話しかけてくる。髪は剃り上げていてつるつるの頭。顔に傷。

「おつかいなんだ。ちょっと家出しててさ、カーラおばさんとこにやっかいになってる。だから手伝いだ」

「ああ、そうか。坊主、粋がるのも程々にしろよ。親御さん怒ってんじゃねえか?」


適当に見繕ってくれたのか、麻袋はいっぱいになった。

「親に心配かけんじゃねえよ」


そう言って、お金と交換に渡された袋は、とても重かった。おまけしてくれたのかな。

店員は、ゆっくりを肩を揺らしながら部屋の奥へ戻って行く。さっきのおじいちゃんは、俺を外まで案内してくれた。

……これは、あたりかもしれない。慎重にいかないと。
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