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SIDE:ローラ
4.それぞれの誤解
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謂れのない非難をされて、頭がカッとなった。
「裏切ったのは、あなたでしょう、レオン! ばーかばーか、レオンのばーか。他の女の子ばっかり構って、私をパーティでエスコートもしなければ、笑いかけることもしなかった癖に!」
「っ! き、気が付かないとでも思ったのか。俺が渡した髪飾りは一度も着けない癖に、顔と爵位の高いだけの男から貰った髪飾りは毎日着けやがって」
「これは、イザベル様から頂いた飾りピンです!」
「この期に及んで、嘘を吐くな! 知ってるんだからな、それを買ったのは妹の方じゃないって!」
「顔と爵位の高いだけの男というのが私のことなら、私がその飾りピンを贈ったのは妹のイザベルにだよ」
レオンとローラが、ふたり同時に声がした方へと首を向けた。
「ふっ。息ピッタリだね、キミ達。妹から誕生日に普段使いできる髪留めをリクエストされたので、彼女の瞳の色に合わせた青い石の飾りピンを用意したんだ。そうしたら服装に合わせて幾つか違う色味の物も欲しいと強請られてね。購入した店を教えて、好きなだけ私の名前で買っていいと言ったんだ。多分、最初に買った妹の瞳の色合いの石の飾りピンが、いまローラ嬢の髪にあるそれだと思うよ」
思わずローラが飾りピンへと手をやると、なぜかレオンがその手を叩き落とした。
「なにするのよ、痛いじゃないの」
「煩い。そんなのをいつまでも着けている方が悪いんだ」
ごちゃごちゃと言い争いを始めた婚約者同士に構わず、フィリップは事実だけを提示していく。
「だから、それを買ったのは確かに私だけれど、贈ったのはローラ嬢ではないよ。妹のイザベルに贈ったんだ。私は婚約者のいる令嬢へ、贈り物などしない」
確かに、兄と妹なだけあってフィリップとイザベルの髪と瞳の色はよく似ていた。勿論顔つきもそっくりだ。赤毛らしい勝気な美少女といったイザベルと、より一つ一つのパーツを男らしく強くした眉目秀麗なフィリップは、誰が見ても血縁関係があると分かるよく似た兄妹で、勘違いの余地など入りようがない。
イザベルの瞳の色に似た石は、フィリップの瞳の色にもよく似ているということになる。
口喧嘩をしている最中であろうとも、関心のある話題ならレオンにはちゃんと聞こえているらしい。
何度か口を開けたり閉めたりを繰り返し躊躇しながらも、結局はその疑問を口にした。
「でも、だったらなんで。去年の夏は、領地に帰らないで、この男の家に行ったんだよ」
「去年の夏に、私がフィリップ様のタウンハウスへお伺いした理由ですか?」
「そうだよ! 毎年、夏は一緒に過ごして来ただろう。それなのに、お前は王都で過ごしてて帰ってこなかったじゃないか」
「ちゃんと伝えたでしょう? お父様が、ぎっくり腰になっちゃったからよ」
「伯爵がぎっくり腰になるとなんで、侯爵家に招待を受けるんだよ」
「違うわ。商談にお伺いする予定だったのよ、お父様が。けれどぎっくり腰になってしまって、馬車にすら乗れなくなってしまったの。仕方がないから急遽兄が出てきて商談の席につくことになったのだけれど、私とイザベル様が同級生だという繋がりからの商談だったから。兄に泣きつかれたのよ。『せめて横に座っていてくれ』って」
ローラの兄は現在二十歳。学園を卒業して二年が経ち、少しずつ家業について任されることも増えてきたけれど、どこか引っ込み思案で学園在学中に婚約者どころか一度も恋人らしきものを作ることすらできなかった。
そんな兄から泣きつかれて放っておけるほど、ローラは薄情な妹ではない。
「そんな……じゃあ、兄と寄り添って仲良さそうだったとイザベル様が言ってたのは……」
「まんまよ。私と兄のチャールズの事だと思うわ。でも、いつイザベル様とそんな会話したの?」
黙り込んでしまったレオンに、フィリップが肩を叩いて労った。
「申し訳ない。我が妹が、キミを混乱させてしまったようだ。想い合う婚約者同士にチャチャを入れて喜ぶなんて。本当にすまない」
フィリップが、眉を下げて妹の代わりに謝罪した。
爵位が上で歳上である先輩から、真摯に謝罪されてしまっては、受け入れるしかない。
さすがにレオンも、これ以上誤解し続けることは難しいだろう。そう思ったのに。
「……じゃあさ、じゃあなんで。なんで俺が贈った髪飾りは、着けてくれないんだ? 他に好きになった男がいるというのじゃなくても、俺の事が嫌いだからなんじゃないのか」
レオンが苦しそうに、それを告げた。
「正直に、言ってくれ」
顔を上げていることすらできなくなったのか、すっかりしょげかえり、足元を見つめるばかりになっているレオンの顔を、ローラはおもむろに両手でパチンと挟みこんで強引に持ち上げ視線を合わせた。
「あの髪飾りは、確かに華やかでとても素敵です。けれど」
「けれど?」
「パーティの席でしか着けられないほど、華やかすぎるのです。学園に着けていくなんてトンデモナイ!」
「え、あ。……そう、なのか? え、なにか決まりでもあるの?」
「あるのです。石を使うなら光の屈折が激しくならないようカボションカットの石のみがマナーですし、細工もシンプルにして揺れて音が立つようなことがないようにします。きらきらと反射して同級生の目に光が入っても、動く度に小さな音が延々と鳴るようなことになっても、勉学の邪魔になりますから」
「勉学の、邪魔になるんだ」
「そうです。邪魔にしか、なりません」
「う。でもさ、パーティの席でだって、着けてきたことないじゃないか」
「それを、あなたがいうのですか? 私のエスコートを直前になって断ってきた不誠実な婚約者である、あなたが?」
「え、あっ」
「『え、あっ』ではありません。婚約者であるあなたが他の令嬢をエスコートしているのに、その婚約者から貰った髪飾りを着けてひとりでパーティへ出席するなどあり得ないでしょう?」
「……ありえないのか」
「逆に、どうして着けられると思うのですか? 私は、婚約者であるあなたに、エスコートをして貰えなかったのに」
「……ごめん、ローラ」
「……レオン様こそ、どうして私以外の令嬢をエスコートされることに決められたのですか。それほどに、私と、婚約しているのが、お嫌でしたか」
ぽろり。本音が口からぽろぽろと零れていくのと一緒に、涙までが零れ落ちていく。
「ローラ! 違う、ちがうんだ。ローラが、俺からの髪飾りではなく、侯爵家の嫡男から贈られた髪飾りを常に身に着けているし、俺と一緒に過ごす夏ではなく、王都でその男と仲良く過ごしたと聞かされて。それで、それなら、親が決めた婚約者でしかない俺ではない男を選びたいというなら、それを邪魔しては、いけない気がして……」
「わたしに、他の男を選ばせようとした、と」
「ちが……わない。そうだ。ローラに、将来の選択ができる余地を作るべきだって。それが男の度量だと。でも、傍にいると変に嫉妬してしまいそうだし。ただ、悪い男に弄ばれるのは駄目だから、情報通っていう噂だった令嬢たちから、その男の話を教えて貰ってて。その報酬に、その、エスコートを」
最後の方は声にならずに、ごにょごにょと言っているだけになっていたが、なんとなく言いたいことは伝わったので聞き糺すことはしなかった。
けれど、だからこそ言ってやりたかった。
「納得できないことがあるなら、私に直接問い糺して下さればいいのに」
「ごめん」
「勝手に決めないで。勝手に、諦めないでよ、私を」
「ごめん」
「ふたりの、未来のことでしょう?」
「うん、うん。ごめん、ローラ」
「私も、ごめんなさい。去年の夏に会えなかった理由とか。もっときちんと説明するべきだったわ」
「うん、あれは悲しかった」
「ごめんね。他にもいろいろ。沢山寂しくさせちゃってた。レオンなら分かってくれるって。甘えてた」
「うん」
ふたりがお互いの腕に、お互いが縋るようにして近付き、抱き合う。
ローラのきっちりと纏め上げられていた髪に、レオンがほおずりする度に、それは解れてゆるやかにカーブを描いてローラの白い頬を縁取った。
「かわいい。俺の知ってるローラだ。ふわふわの髪をひとつに無造作に束ねるだけの」
「ふふっ。いつの私よ。でも、レオンがそういうなら、たまには下ろしてみるわね」
ローラが笑うと、レオンもホッとした様子で笑顔になった。
ふたりの視線が絡み合い、顔が近づいていく。
その時、パンッと大きな音がした。
「きゃっ」
「あっ」
「ここは学園の校舎内で、しかもまだ昼休みの時間なんだ。不純異性交遊は婚約者同士とはいえ禁止となる」
黙って去るべきなのかと悩んで校則を守らせることを優先した優等生の顔をしたフィリップが神妙に警告を発する。その顔はどこか優しい。
フィリップという観衆がいることをすっかり忘れてふたりだけの世界を作って抱き合っていたローラとレオンは、慌てて身体を離した。
「ヨシ! 良い物を見せて貰った。婚約者同士が愛を確かめ合う感動的なシーンは見れたし、私はここで席を離れて……少し、いや、しっかりと、妹を〆てくることにしよう」
「ぎくぅっ」
真っ赤になっているふたりへ、振り向く事もしないままフィリップが軽く手を振りその場を離れていく。
その先には、踊り場の陰から、様子を覗いているイザベルの姿があった。
「だって、ローラみたいな真面目でいい子がお姉さまになってくれたらいいなーって。いやん、お兄さま。ごめんなさーい」
謂れのない非難をされて、頭がカッとなった。
「裏切ったのは、あなたでしょう、レオン! ばーかばーか、レオンのばーか。他の女の子ばっかり構って、私をパーティでエスコートもしなければ、笑いかけることもしなかった癖に!」
「っ! き、気が付かないとでも思ったのか。俺が渡した髪飾りは一度も着けない癖に、顔と爵位の高いだけの男から貰った髪飾りは毎日着けやがって」
「これは、イザベル様から頂いた飾りピンです!」
「この期に及んで、嘘を吐くな! 知ってるんだからな、それを買ったのは妹の方じゃないって!」
「顔と爵位の高いだけの男というのが私のことなら、私がその飾りピンを贈ったのは妹のイザベルにだよ」
レオンとローラが、ふたり同時に声がした方へと首を向けた。
「ふっ。息ピッタリだね、キミ達。妹から誕生日に普段使いできる髪留めをリクエストされたので、彼女の瞳の色に合わせた青い石の飾りピンを用意したんだ。そうしたら服装に合わせて幾つか違う色味の物も欲しいと強請られてね。購入した店を教えて、好きなだけ私の名前で買っていいと言ったんだ。多分、最初に買った妹の瞳の色合いの石の飾りピンが、いまローラ嬢の髪にあるそれだと思うよ」
思わずローラが飾りピンへと手をやると、なぜかレオンがその手を叩き落とした。
「なにするのよ、痛いじゃないの」
「煩い。そんなのをいつまでも着けている方が悪いんだ」
ごちゃごちゃと言い争いを始めた婚約者同士に構わず、フィリップは事実だけを提示していく。
「だから、それを買ったのは確かに私だけれど、贈ったのはローラ嬢ではないよ。妹のイザベルに贈ったんだ。私は婚約者のいる令嬢へ、贈り物などしない」
確かに、兄と妹なだけあってフィリップとイザベルの髪と瞳の色はよく似ていた。勿論顔つきもそっくりだ。赤毛らしい勝気な美少女といったイザベルと、より一つ一つのパーツを男らしく強くした眉目秀麗なフィリップは、誰が見ても血縁関係があると分かるよく似た兄妹で、勘違いの余地など入りようがない。
イザベルの瞳の色に似た石は、フィリップの瞳の色にもよく似ているということになる。
口喧嘩をしている最中であろうとも、関心のある話題ならレオンにはちゃんと聞こえているらしい。
何度か口を開けたり閉めたりを繰り返し躊躇しながらも、結局はその疑問を口にした。
「でも、だったらなんで。去年の夏は、領地に帰らないで、この男の家に行ったんだよ」
「去年の夏に、私がフィリップ様のタウンハウスへお伺いした理由ですか?」
「そうだよ! 毎年、夏は一緒に過ごして来ただろう。それなのに、お前は王都で過ごしてて帰ってこなかったじゃないか」
「ちゃんと伝えたでしょう? お父様が、ぎっくり腰になっちゃったからよ」
「伯爵がぎっくり腰になるとなんで、侯爵家に招待を受けるんだよ」
「違うわ。商談にお伺いする予定だったのよ、お父様が。けれどぎっくり腰になってしまって、馬車にすら乗れなくなってしまったの。仕方がないから急遽兄が出てきて商談の席につくことになったのだけれど、私とイザベル様が同級生だという繋がりからの商談だったから。兄に泣きつかれたのよ。『せめて横に座っていてくれ』って」
ローラの兄は現在二十歳。学園を卒業して二年が経ち、少しずつ家業について任されることも増えてきたけれど、どこか引っ込み思案で学園在学中に婚約者どころか一度も恋人らしきものを作ることすらできなかった。
そんな兄から泣きつかれて放っておけるほど、ローラは薄情な妹ではない。
「そんな……じゃあ、兄と寄り添って仲良さそうだったとイザベル様が言ってたのは……」
「まんまよ。私と兄のチャールズの事だと思うわ。でも、いつイザベル様とそんな会話したの?」
黙り込んでしまったレオンに、フィリップが肩を叩いて労った。
「申し訳ない。我が妹が、キミを混乱させてしまったようだ。想い合う婚約者同士にチャチャを入れて喜ぶなんて。本当にすまない」
フィリップが、眉を下げて妹の代わりに謝罪した。
爵位が上で歳上である先輩から、真摯に謝罪されてしまっては、受け入れるしかない。
さすがにレオンも、これ以上誤解し続けることは難しいだろう。そう思ったのに。
「……じゃあさ、じゃあなんで。なんで俺が贈った髪飾りは、着けてくれないんだ? 他に好きになった男がいるというのじゃなくても、俺の事が嫌いだからなんじゃないのか」
レオンが苦しそうに、それを告げた。
「正直に、言ってくれ」
顔を上げていることすらできなくなったのか、すっかりしょげかえり、足元を見つめるばかりになっているレオンの顔を、ローラはおもむろに両手でパチンと挟みこんで強引に持ち上げ視線を合わせた。
「あの髪飾りは、確かに華やかでとても素敵です。けれど」
「けれど?」
「パーティの席でしか着けられないほど、華やかすぎるのです。学園に着けていくなんてトンデモナイ!」
「え、あ。……そう、なのか? え、なにか決まりでもあるの?」
「あるのです。石を使うなら光の屈折が激しくならないようカボションカットの石のみがマナーですし、細工もシンプルにして揺れて音が立つようなことがないようにします。きらきらと反射して同級生の目に光が入っても、動く度に小さな音が延々と鳴るようなことになっても、勉学の邪魔になりますから」
「勉学の、邪魔になるんだ」
「そうです。邪魔にしか、なりません」
「う。でもさ、パーティの席でだって、着けてきたことないじゃないか」
「それを、あなたがいうのですか? 私のエスコートを直前になって断ってきた不誠実な婚約者である、あなたが?」
「え、あっ」
「『え、あっ』ではありません。婚約者であるあなたが他の令嬢をエスコートしているのに、その婚約者から貰った髪飾りを着けてひとりでパーティへ出席するなどあり得ないでしょう?」
「……ありえないのか」
「逆に、どうして着けられると思うのですか? 私は、婚約者であるあなたに、エスコートをして貰えなかったのに」
「……ごめん、ローラ」
「……レオン様こそ、どうして私以外の令嬢をエスコートされることに決められたのですか。それほどに、私と、婚約しているのが、お嫌でしたか」
ぽろり。本音が口からぽろぽろと零れていくのと一緒に、涙までが零れ落ちていく。
「ローラ! 違う、ちがうんだ。ローラが、俺からの髪飾りではなく、侯爵家の嫡男から贈られた髪飾りを常に身に着けているし、俺と一緒に過ごす夏ではなく、王都でその男と仲良く過ごしたと聞かされて。それで、それなら、親が決めた婚約者でしかない俺ではない男を選びたいというなら、それを邪魔しては、いけない気がして……」
「わたしに、他の男を選ばせようとした、と」
「ちが……わない。そうだ。ローラに、将来の選択ができる余地を作るべきだって。それが男の度量だと。でも、傍にいると変に嫉妬してしまいそうだし。ただ、悪い男に弄ばれるのは駄目だから、情報通っていう噂だった令嬢たちから、その男の話を教えて貰ってて。その報酬に、その、エスコートを」
最後の方は声にならずに、ごにょごにょと言っているだけになっていたが、なんとなく言いたいことは伝わったので聞き糺すことはしなかった。
けれど、だからこそ言ってやりたかった。
「納得できないことがあるなら、私に直接問い糺して下さればいいのに」
「ごめん」
「勝手に決めないで。勝手に、諦めないでよ、私を」
「ごめん」
「ふたりの、未来のことでしょう?」
「うん、うん。ごめん、ローラ」
「私も、ごめんなさい。去年の夏に会えなかった理由とか。もっときちんと説明するべきだったわ」
「うん、あれは悲しかった」
「ごめんね。他にもいろいろ。沢山寂しくさせちゃってた。レオンなら分かってくれるって。甘えてた」
「うん」
ふたりがお互いの腕に、お互いが縋るようにして近付き、抱き合う。
ローラのきっちりと纏め上げられていた髪に、レオンがほおずりする度に、それは解れてゆるやかにカーブを描いてローラの白い頬を縁取った。
「かわいい。俺の知ってるローラだ。ふわふわの髪をひとつに無造作に束ねるだけの」
「ふふっ。いつの私よ。でも、レオンがそういうなら、たまには下ろしてみるわね」
ローラが笑うと、レオンもホッとした様子で笑顔になった。
ふたりの視線が絡み合い、顔が近づいていく。
その時、パンッと大きな音がした。
「きゃっ」
「あっ」
「ここは学園の校舎内で、しかもまだ昼休みの時間なんだ。不純異性交遊は婚約者同士とはいえ禁止となる」
黙って去るべきなのかと悩んで校則を守らせることを優先した優等生の顔をしたフィリップが神妙に警告を発する。その顔はどこか優しい。
フィリップという観衆がいることをすっかり忘れてふたりだけの世界を作って抱き合っていたローラとレオンは、慌てて身体を離した。
「ヨシ! 良い物を見せて貰った。婚約者同士が愛を確かめ合う感動的なシーンは見れたし、私はここで席を離れて……少し、いや、しっかりと、妹を〆てくることにしよう」
「ぎくぅっ」
真っ赤になっているふたりへ、振り向く事もしないままフィリップが軽く手を振りその場を離れていく。
その先には、踊り場の陰から、様子を覗いているイザベルの姿があった。
「だって、ローラみたいな真面目でいい子がお姉さまになってくれたらいいなーって。いやん、お兄さま。ごめんなさーい」
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