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名も無き少女は夢を見る
少女はお茶会の準備をする
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珍しくパンが残り、スープのカスを掬って食べることが出来た。
ブリデお嬢様が、お茶会を急遽開くらしく満腹を嫌ったようね。
「はぁ、お菓子作りの仕事が増えた……味見が出来るから嬉しいけど」
藁だらけの小屋で溜息を吐く、お腹は満たされたけれど茶会の支度は大変なのよ。
あれ、こんな辺境に呼ぶお友達はいたかしら?
遠縁の従妹が来るとか?
前回の茶会は護衛騎士たちを呼んでハーレムを作っていたわね。
恋する乙女の目をして、見目の良い方に凭れていたわ。はしたないと思わないのかな。
彼女の両親、屋敷の主オークウッド伯爵は咎める所か陥落させるのを応援してた。
私はやや硬くなったパンを無理矢理に飲み込み、再び屋敷の台所へ向かう。
「無駄にすんじゃないわよ」そう言って侍女が大量の小麦粉とバター、砂糖、卵などを置いて出て行った。
手伝う気はないようね、茶会は午後だから3種類は作れるかな。
オーブンが古いから限度がある、シフォンをメインにナッツとドライフルーツのクッキーがせいぜい。
余裕があればサンドウィッチをつくりましょう。
茶会の準備がやっと整ったのはギリ10分前、でも客らしい人は見当たらない。
どうしたのかしら?
ブリデ様はギリギリまで仕度する様子、居室からはキャラキャラとはしゃぐ声が漏れている。
ノックをしてドア越しに準備が終わったと告げた。
侍女がドアを隙間程度に開けて「王城から使者が来たら教えなさい」それだけ告げて閉じてしまう。
「王城からの使者?まさか縁談かしら……」
それにしては急すぎる、そういえば御給金を運んでくるのは城からの使者だった。
伯爵が出しているわけじゃないのかも。
そもそも伯爵が働いている所を見たことがない、執務室に呼ばれるのはワインとツマミを用意しろという命令ばかり。
本棚は立派だが読書してる様子も、書類らしいものも開いていたこともない。
私も読んでみたいが字がわからない、下女だもの教養は必要ないわ。
ブリデ様に流行りの恋物語の本を自慢されたことがあったわ。
ほんの少しでいい、いつか物語というもの読んでみたい。
***
使者は定刻にきたことがない、王都という遠方からくるのだから仕方ないわね。
仕方なく門前を掃き掃除しながら到着を待つことにしたの。
邸の門兵たちが私を胡散臭そうに見ている。見た目は厳つくてとてもガラが悪い。
「すっかり平民のように育ったな」「はは、まったくだ」
え?
平民のようにとは……どういう意味かと聞きたくて近づいたら罵声と共に蹴られてしまった。
「近寄るな!くっせーんだよ、馬小屋の臭いが染みついてんだ!」
「薄ぎたねぇよな、夜の相手もお断りだぜ!」
「バカ、さすがに凌辱は……バレたら死罪ですまねぇぞ!」
蹴られたお腹がジンジン熱くて痛かった。
ゲホゲホ咳き込んでいたら、また「汚い」と言われて殴られそうになった。
悲鳴を上げて身を固くしていたら、馬の嘶きがすぐ近くて聞こえた。
立派な騎士服を着た男性が門兵を捻りあげていたわ。
「貴様ら、か弱い女子に暴力とはいけすかんな」
「ひ、俺達はただ……」
立派な方に助けられて惚けていたら、馬車の音が轟いてきたの。
とても豪奢な馬車が2台やってきた、おかしいわ騎馬の方があんなに大勢。
きっと身分の高い方がいらしたのね。
ブリデお嬢様が、お茶会を急遽開くらしく満腹を嫌ったようね。
「はぁ、お菓子作りの仕事が増えた……味見が出来るから嬉しいけど」
藁だらけの小屋で溜息を吐く、お腹は満たされたけれど茶会の支度は大変なのよ。
あれ、こんな辺境に呼ぶお友達はいたかしら?
遠縁の従妹が来るとか?
前回の茶会は護衛騎士たちを呼んでハーレムを作っていたわね。
恋する乙女の目をして、見目の良い方に凭れていたわ。はしたないと思わないのかな。
彼女の両親、屋敷の主オークウッド伯爵は咎める所か陥落させるのを応援してた。
私はやや硬くなったパンを無理矢理に飲み込み、再び屋敷の台所へ向かう。
「無駄にすんじゃないわよ」そう言って侍女が大量の小麦粉とバター、砂糖、卵などを置いて出て行った。
手伝う気はないようね、茶会は午後だから3種類は作れるかな。
オーブンが古いから限度がある、シフォンをメインにナッツとドライフルーツのクッキーがせいぜい。
余裕があればサンドウィッチをつくりましょう。
茶会の準備がやっと整ったのはギリ10分前、でも客らしい人は見当たらない。
どうしたのかしら?
ブリデ様はギリギリまで仕度する様子、居室からはキャラキャラとはしゃぐ声が漏れている。
ノックをしてドア越しに準備が終わったと告げた。
侍女がドアを隙間程度に開けて「王城から使者が来たら教えなさい」それだけ告げて閉じてしまう。
「王城からの使者?まさか縁談かしら……」
それにしては急すぎる、そういえば御給金を運んでくるのは城からの使者だった。
伯爵が出しているわけじゃないのかも。
そもそも伯爵が働いている所を見たことがない、執務室に呼ばれるのはワインとツマミを用意しろという命令ばかり。
本棚は立派だが読書してる様子も、書類らしいものも開いていたこともない。
私も読んでみたいが字がわからない、下女だもの教養は必要ないわ。
ブリデ様に流行りの恋物語の本を自慢されたことがあったわ。
ほんの少しでいい、いつか物語というもの読んでみたい。
***
使者は定刻にきたことがない、王都という遠方からくるのだから仕方ないわね。
仕方なく門前を掃き掃除しながら到着を待つことにしたの。
邸の門兵たちが私を胡散臭そうに見ている。見た目は厳つくてとてもガラが悪い。
「すっかり平民のように育ったな」「はは、まったくだ」
え?
平民のようにとは……どういう意味かと聞きたくて近づいたら罵声と共に蹴られてしまった。
「近寄るな!くっせーんだよ、馬小屋の臭いが染みついてんだ!」
「薄ぎたねぇよな、夜の相手もお断りだぜ!」
「バカ、さすがに凌辱は……バレたら死罪ですまねぇぞ!」
蹴られたお腹がジンジン熱くて痛かった。
ゲホゲホ咳き込んでいたら、また「汚い」と言われて殴られそうになった。
悲鳴を上げて身を固くしていたら、馬の嘶きがすぐ近くて聞こえた。
立派な騎士服を着た男性が門兵を捻りあげていたわ。
「貴様ら、か弱い女子に暴力とはいけすかんな」
「ひ、俺達はただ……」
立派な方に助けられて惚けていたら、馬車の音が轟いてきたの。
とても豪奢な馬車が2台やってきた、おかしいわ騎馬の方があんなに大勢。
きっと身分の高い方がいらしたのね。
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