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茶番

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とにかくジョルジュは彼のことを認めさねばとクリステルを丸め込むように画策した。ところが嫌悪剥き出しの彼女には何一つ響かない。

「どうしてわからないんだ!アンドレの良さは見ればわかるだろう?」
「何ひとつとしてわかりませんよ。彼は魔族です、相容れない存在なのですよ」

そもそもな話、魔族とは人族を垂らしこもうとする種族である。仇を返しても恩を返すことはしない。そんな当たり前のことがどうしてわからないのかと彼女こそ思った。

堂々巡りに陥った事にジョルジュは腹を立てたが、そんな調子では彼女を説得することはできそうにないと考える。
そこで彼は泣き落としにかかるのだ、涙に訴えればどうにかなると思った。

「彼は可哀そうな子なんだ、キミみたいに着飾ったり出来ないんだぞ」
「まぁ……ジョルジュ、身分差をだしてくるなんて卑怯よ」
「お待ちください、ボクがいけないんです」

悲し気な顔を作り儚げな美少年ぶりを発揮する、ジョルジュはコロリと騙されたがクリステルは悪感情しか持てない。忽ち茨の壁を作り「悍ましい」と言った。

「私に魅了魔法を使ったわね?恐ろしい子、すぐにわかるのよ。私は防衛魔術と諜報の技を持っているのですから」
「なっ!?貴女って怖い人……ねぇ怖いよ旦那様」

都合が悪くなるとジョルジュに追い縋って”魅了魔法”のことを誤魔化した。すでに骨抜きにされている彼は「よしよし」と頭を撫でて庇いだてした。

「キミがそこまで冷血漢だったなんて……軽蔑するよ!この屋敷から出て行ってくれ!」
「まぁ、私を追い出そうというの?」
「え……いや、その……」

完全に魅了をされていないジョルジュは愛した人を失うという事に戸惑いを隠せない。クリステルは防衛術で魅了魔法を解こうと彼に近づく。ところが寸での所でアンドレが彼の腕に噛みついた。

「あ……」
途端に快楽に溺れてどうにもならなくなった、彼はクリステルの手を弾き飛ばしてされるがままになった。

「ボクが悪いの、でも寂しいんだ一人にしないで。ねぇ旦那様……ずっと一緒にいてね」
「ああ、ずっと一緒だとも、クリステルなどどうでもいいさ」

それが決定打となり彼女は彼のことを完全に諦めた。
「さようなら、愛した人。指輪は置いて行くわ、後の事は弁護士に任せるわ」





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