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ミレディスは、自分たちのPTレベルに合わない魔法使いを勧誘した時から不審に思っていたし、新人の娘と良い仲になっていたことも薄々気が付いていた。さすがに浮気現場を見て心底呆れた彼女はレナンを軽蔑して去って行く。
そして、リーダーレナンに不満を抱いていた他メンバーもミレディス派となって”恒久の青剣”を脱退していった。
とうとう二つに割れてしまったPTだったが、レナンは小賢しいミレディスから解放されたと大笑いする。
一応レナンを慕ってついてきた仲間は疑問を抱えつつも脱退は見送った。
名声を欲しいままにしてきたレナンは数が減っても増長したまま「俺について来れば問題はない」と豪語する。
そして、大所帯だったころの勢いを忘れられないレナンは、全体の力が衰えていても顧みず、無茶な討伐を引き受けてしまう。それは、国々を繋ぎ通る大街道付近に現れて、旅人を困らせていた巨大なグリーンワームの討伐だ。その大きさは胴回り2メートル、長さ10メートルを軽く超す。
この魔物は繁殖期に群れをなし、現れた地を穴だらけにしてしまう厄介物だった。
荒らされた街道は修復が間に合わないとギルドに依頼が殺到していたのだ。
「あんな阿婆擦れがいなくとも俺達で倒せる相手さ!」
「ほんとう?あれって大きくて気持ち悪いのでしょ……不安だわぁ」
相変わらず怯えてばかりのキャロンは不安を零して震える、しがみ付かれたレナンはデレッと締まりのない顔をして「心配するな」とカラカラと笑った。
「なにが起きようと俺がこの剣で守って見せるさ!Bランクの腕っぷしを舐めるなよ」
「まぁ頼もしいのね!レナン大好きぃ♡」
「デヘヘヘヘ!」
年下の美少女に抱き着かれて鼻の下を伸ばすPTリーダーの様子を見て、付いてきた連中は些か引いた。自分たちが選んだ彼はほんとうに信頼をおける人物なのだろうかと。
***
討伐決行の朝。
依頼を受けたらしい各PTが現場近くに集まり犇めきあっていた。
恒久の青剣の前衛を務める剣士がレナンに声を掛けて確認を取る。
「リーダー、これまでとは人数も違うし同じ戦法はできないぜ。事前の作戦会議もしないまま突っ込んで平気なのか?」
これまでだったら副リーダーのミレディスが配置や撤退経路などを細かく立てていたのだが、今回はなにも配慮されていないのだ。小娘キャロンでなくとも不安を抱いてしまう。
「なーにビビってんだよ。臨機応変に行こうぜぇ、前衛が五名、後衛が三名で三角に広がる陣を組めばいいだろう」
「……そうか、タンク役は俺とリーダーでいいか?」
「いいぜ、他三名はぞんぶんに暴れろ」
一番体力がありそうなのはこの二名だ、治癒とバフを兼ねた魔術師と弓使いが後衛から援護する。だがキャロンは正直邪魔だった。レナンはできるだけ後ろで大人しくしているように注意をしておく。
「はぁ~い、わかっているわよぉ、痛いのはイヤだしぃ」
「……ほんと頼むぜ、いざと云う時の退路はミレディスが……あぁいないんだっけ」
やはりどこか腑抜けているリーダーの様子にメンバーたちは不安が過る。それを見たさきほどの剣士が「退路は俺が誘導する」と他の者へコソリと伝えた。
彼らは最早レナンを当てにできないと見限った。この討伐が終わったら脱退しようと決めたようだ。
そして、ワームたちの活動が活発化する前に狩りは開始された。
「行くぜ、お前ら!反時計回りに蹴散らしていくぜ!」
一応定石通りに動いたレナンに彼らは後に続いた、体力のないキャロンは大分遅れて付いてくる。
「きゃーん、みんな早いよぉ!」
ポテポテと最後尾から付いてくるキャロンの声に先頭をきっていたレナンが一瞬気を取られた。魔物はまだ動きが鈍い時間とはいえ油断が過ぎる。
「あ!馬鹿野郎!ちゃんと前方を見やがれ!」
「え!?」
前触れなく穴から飛び出してきたグリーンワームは青臭い匂いをさせながらドゴゴッと巨体を跳ねさせて攻撃してきた。飛び出すと同時に粘質の糸を吐いたらしい、それが投網のように広がって前衛の五人を覆う。
剣士の三人と武闘家は避けたが、注意散漫だったレナンは絡まって倒れた。
「わあああああ!」
「きゃー!レナーン!」
粘る糸に絡まれたまま、ワームが作った穴にレナンは落ちていった。それを遠くから見ていたキャロンだったが、なにを思ったのかそれを追うように突撃していった。ろくに戦えないダメ魔法使いは別のワームの尻尾に叩きつけられ別の穴へと消えて行った。
「なにをやってんだ!まったくバカ共が!」
いきなりリーダーを欠いてしまったPTは一旦引くしかなかった。
そして、リーダーレナンに不満を抱いていた他メンバーもミレディス派となって”恒久の青剣”を脱退していった。
とうとう二つに割れてしまったPTだったが、レナンは小賢しいミレディスから解放されたと大笑いする。
一応レナンを慕ってついてきた仲間は疑問を抱えつつも脱退は見送った。
名声を欲しいままにしてきたレナンは数が減っても増長したまま「俺について来れば問題はない」と豪語する。
そして、大所帯だったころの勢いを忘れられないレナンは、全体の力が衰えていても顧みず、無茶な討伐を引き受けてしまう。それは、国々を繋ぎ通る大街道付近に現れて、旅人を困らせていた巨大なグリーンワームの討伐だ。その大きさは胴回り2メートル、長さ10メートルを軽く超す。
この魔物は繁殖期に群れをなし、現れた地を穴だらけにしてしまう厄介物だった。
荒らされた街道は修復が間に合わないとギルドに依頼が殺到していたのだ。
「あんな阿婆擦れがいなくとも俺達で倒せる相手さ!」
「ほんとう?あれって大きくて気持ち悪いのでしょ……不安だわぁ」
相変わらず怯えてばかりのキャロンは不安を零して震える、しがみ付かれたレナンはデレッと締まりのない顔をして「心配するな」とカラカラと笑った。
「なにが起きようと俺がこの剣で守って見せるさ!Bランクの腕っぷしを舐めるなよ」
「まぁ頼もしいのね!レナン大好きぃ♡」
「デヘヘヘヘ!」
年下の美少女に抱き着かれて鼻の下を伸ばすPTリーダーの様子を見て、付いてきた連中は些か引いた。自分たちが選んだ彼はほんとうに信頼をおける人物なのだろうかと。
***
討伐決行の朝。
依頼を受けたらしい各PTが現場近くに集まり犇めきあっていた。
恒久の青剣の前衛を務める剣士がレナンに声を掛けて確認を取る。
「リーダー、これまでとは人数も違うし同じ戦法はできないぜ。事前の作戦会議もしないまま突っ込んで平気なのか?」
これまでだったら副リーダーのミレディスが配置や撤退経路などを細かく立てていたのだが、今回はなにも配慮されていないのだ。小娘キャロンでなくとも不安を抱いてしまう。
「なーにビビってんだよ。臨機応変に行こうぜぇ、前衛が五名、後衛が三名で三角に広がる陣を組めばいいだろう」
「……そうか、タンク役は俺とリーダーでいいか?」
「いいぜ、他三名はぞんぶんに暴れろ」
一番体力がありそうなのはこの二名だ、治癒とバフを兼ねた魔術師と弓使いが後衛から援護する。だがキャロンは正直邪魔だった。レナンはできるだけ後ろで大人しくしているように注意をしておく。
「はぁ~い、わかっているわよぉ、痛いのはイヤだしぃ」
「……ほんと頼むぜ、いざと云う時の退路はミレディスが……あぁいないんだっけ」
やはりどこか腑抜けているリーダーの様子にメンバーたちは不安が過る。それを見たさきほどの剣士が「退路は俺が誘導する」と他の者へコソリと伝えた。
彼らは最早レナンを当てにできないと見限った。この討伐が終わったら脱退しようと決めたようだ。
そして、ワームたちの活動が活発化する前に狩りは開始された。
「行くぜ、お前ら!反時計回りに蹴散らしていくぜ!」
一応定石通りに動いたレナンに彼らは後に続いた、体力のないキャロンは大分遅れて付いてくる。
「きゃーん、みんな早いよぉ!」
ポテポテと最後尾から付いてくるキャロンの声に先頭をきっていたレナンが一瞬気を取られた。魔物はまだ動きが鈍い時間とはいえ油断が過ぎる。
「あ!馬鹿野郎!ちゃんと前方を見やがれ!」
「え!?」
前触れなく穴から飛び出してきたグリーンワームは青臭い匂いをさせながらドゴゴッと巨体を跳ねさせて攻撃してきた。飛び出すと同時に粘質の糸を吐いたらしい、それが投網のように広がって前衛の五人を覆う。
剣士の三人と武闘家は避けたが、注意散漫だったレナンは絡まって倒れた。
「わあああああ!」
「きゃー!レナーン!」
粘る糸に絡まれたまま、ワームが作った穴にレナンは落ちていった。それを遠くから見ていたキャロンだったが、なにを思ったのかそれを追うように突撃していった。ろくに戦えないダメ魔法使いは別のワームの尻尾に叩きつけられ別の穴へと消えて行った。
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