頭が花畑の女と言われたので、その通り花畑に住むことにしました。

音爽(ネソウ)

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最悪な誕生日

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改めておめでとうございますと群がってくる貴族達。
大半は若い令息だった、遠い異国へ嫁に出る彼女と遊ぶ最後のチャンスとばかりに寄ってきた。

「側室に迎えられるのですよね」
「……ええ、そうね」

意地悪そうな笑みを浮かべて真実を突きつけてくるのは、公爵家の嫡男だ。
とても嫌な予感がハウラナを警戒させる。

嫡男に侍る子息たちが彼女をグルリと囲んだ、じりじりと壁際へ追いやられている。


その様子を婦女子たちが目ざとくみつけて咎める。

「ご覧になって、また王女殿下が……」
「まぁ、嫁入り前だというのにお盛んですこと」
「側室に入るまえの火遊びなのでしょう、見苦しい」


『ちょっと!おばさん達!この状況を私が男を弄んでいるように見えるの?節穴か!』


助けを請おうと兄を探すが、令嬢達に囲まれて鼻の下を伸ばしていた。残念なことだ。
『役立たず!バカ兄!』


とうとう壁に背を打ち付けるハウラナ、彼女は左手に快刀を仕込み扇を右手に構えた。

「不敬なことをするならば容赦はしなくてよ」
「おや、怖い。ですが多勢にその細腕で抗えますか?俺達は麗しい姫君と楽しい夜を過ごしたいだけですよ」


下卑た厭らしい笑顔を浮かべる子息たちは手を伸ばしてくる。
ハウラナは全員の指を斬り落としてやろうと腹を決めた。


だが、そこまでだった。

「え?」

彼女の前に立ちはだかっていた彼らはバタバタと床に倒れたからだ。
最後に残った公爵家の嫡男は「ひげぇええ!?」と情けない悲鳴を上げて床に転げた。


「一体なにが?」
「怪我はないか王女」

床に転がる物体たちを蹴飛ばして長身の男が手を差し伸べた。
武器らしいものは持っていない、手刀だけで倒したようだ。


「貴方様は……皇帝陛下」
「し……、身分を隠して参加している。だが人の目集めてしまった、控室へ案内してくれるか?」

「はい、王族控室へ参りましょう。聞きたい事もありますから」



すると皇帝は侍従のふりをして王女をエスコートして歩いた。
長めの黒髪が目を隠していてハウラナは彼の表情が読めなかった。

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