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皇帝の失態と毒舌宰相

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「あんた何やってんですか?」
「……おまえ、皇帝の俺にあんた呼ばわりか?」


居室の隅っこに体育坐りして凹んでいる若き皇帝を目にして、宰相が呆れている図である。

「挙動にには気を付けるよう言いましたよね?特に女性はデリケートで怖い生き物なんです」
「……やっとハウラナをみつけてテンションがおかしくなった」


ハウラナの居室の壁に痕跡をみつけた時、皇帝は宮廷魔法師を総動員して調べさせた。
結果、空間魔法を使ってどこかと繋がっていると見解がでた。


壁向こうにハウラナがいると知った皇帝は、止めるのも聞かずに拳を叩きつけ喚いてしまった。
そして、いまここ。


「はぁ……身分が皇帝でなかったら、婦女子の家へ勝手に侵入した変質者ですよ」
「へ、変質者……」

「ご自分の目線で考えてください、いきなり好きでもない女が押し入ってきて嫁にしてくれと縋ってきたらどうします?」

「そんな無礼者は斬って捨てる!」
「でしょ?」

「……まさか俺はハウラナに嫌われているのか?」
「え、まさか好かれてると思ってたんですか?とんだ勘違いですね。彼女は異国に攫われてきたようなもんですよ?普通に嫌ですよ、俺だったら耐えられない。つくづく女子は肝が据わってると感心しますよ」


その言葉にショックを受けた皇帝は益々隅っこに寄って、マントの陰に隠れた。
「だって……ハウラナは自ら側室になるって……だから、義務じゃなくて俺に興味を持ってくれたのかと」
「あー……あんた王女の覚悟を無下にしてる、そりゃ怒るわ」


とうとう地をだして苦言してしまう宰相だった。
「他の頭が緩い側室とそこそこの国々を並べちゃいけない、国土が狭いから小国なんて馬鹿にされてるけど魔法で戦われたら帝国は負けるかもしれないですよ」

「そうなのか?」
「はい、王女の空間魔法なんてとんでもない。世界中を手の平で転がせる力になるでしょうな。実際極めちゃったらしいし……怖いわーないわー」

「どの辺がどう怖いんだ?防御するのには特化してそうだが」
「この世界がひとつの空間として掌握されたら、彼女の気分ひとつで消滅すんでしょうが!」
「げっ!?」

「まぁそこまでの魔力量があるとは思えませんがね、怒らせて暴走でもされたら大打撃でしょうな」

大陸の6割を統治しているダネスゲート帝国だが、ハウラナがその力を本気で発揮したら国が亡びる可能性があった。
もしも帝都を破壊されたら国の機能はマヒしてしまうだろう、そう気が付いて皇帝は青褪めた。


「謝んなきゃ……早急に!」
振られて凹んでいる場合ではないと、体育坐りから復活した?皇帝は彼女の好むものを調べろと側近達へ勅命を下した。


「良し!それじゃ俺は今一度ハウラナに」
「だからお前は動くな!向こうの怒りが静まるまで待てっての!」
「皇帝にお前って……」


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