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5.護衛
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「じゃーん、どうです?カイナさんのギルド制服姿!」
今日は、アカネちゃんがカイナに制服を着せたいと言い、ギルドで試着しているところだ。
「似合いますかね」
カイナは少し恥ずかしそうだ。
「とても似合っていると思うよ」
さすがモデル級はある。
これで街に出たら何人男を引っ掛けられるだろうか。
「こんちゃーっと新人だな!」
リョウトさんと、その仲間の二人だ。ここで紹介しておく。
一人目がタクミさん、20歳程度の見た目、高身長。
身の丈ほどある龍槍を使うDPS。カッコイイ。
ファンも多くいるとか何とか。
二人目がヒムラさん。お姉さんって感じの人で、メガネで、僕より少し身長が高い。
薬品知識が豊富で魔法も得意なヒーラー。
戦闘の要とも言っていい。
ちなみにリョウトさんはタンク。前衛、仲間を守るパーティの主軸だ。
彼らの所属している組織のことを『開拓組』と言うらしい。総人数五千人の万事屋集団である。以前は攻略組、攻略班とも言ったらしいが。
「あら、結構可愛い子ね」
「これでオトメも先輩だな」
「んじゃガキンチョ頑張れよ!」
「リョウトさんたちは、これからダンジョン攻略ですか?」
「ああ、ここから西のあっぶねーダンジョンに突入するんだ。これが成功すれば、街一つ。かなりの広さを開拓できるぜ」
「いつか、オトメとも攻略してみたいな」
タクミは僕の頭をポンと叩いた。
「僕もです!」
「じゃあなガキンチョども、いい成果期待してろ!」
3人はギルドを去っていった。
「オトメさん、今日はカイナさんに街を案内してください」
「え?今日はアカネちゃんじゃなかった?」
「私はマスターの林檎買い出しです」
「ああなるほど」
マスターは林檎が好きなのだ。
「オトメさん……よろしくお願いします」
「おう!」
今、初めてカイナに名前で呼ばれた。
「気分高揚」
「うっせーPE」
カイナと街を歩くと、様々な物に興味を示すのが面白かった。
「オトメさん、この黒くて透明なのは何でしょうか?」
「それは火薬液だよ。酸素と熱を加えると、赤く膨張して大体五秒で爆発するんだ」
「……恐ろしいですね」
といいながら火薬液を購入していた。
「カイナは、子供みたいな好奇心があるね」
「そ、そうでしょうか」
「次あっち行こうか」
「はい」
この時、PEの警告が表示される一歩手前だった。
裏路地から、一人分の目線がこちらに向けられていた。
「これは……乗り物か何かでしょうか」
「『電車』って言うらしい。僕もあんまり知らないけど、移動は便利だよ。乗ってみようか」
「乗ります!」
今日は少し空いていた。
街の中心に行ってみよう。
僕らのギルドがある所は、ミルザンドの南側、どうやらあのギルドは有名で、あそこら一帯を『ギルド区』という。
また、記憶喪失者の地区としても有名。
今は中央のミル区へ向かっている。
「オトメさん、噴水が……綺麗……素晴らしいです!」
「だろ?(僕が作ったわけじゃないんだけど)」
数十分で着くミル区は、ミルザンドの一番中心だ。
そしてこの街の象徴とも言われる巨大ミル噴水が特徴的。
噴水に見とれていると、いきなり、赤文字で警戒と表示された。
後ろから石床を走る音が聞こえる。振り返ると、男が立っていた。
剣を背中に持つ、鎧からするに、兵士だろうか。
「君、隣の女性、誰か知っているのか?」
「え?」
「表情からするに知らない……か。私は忘れない。その御方を!」
「何を言ってんだい?」
カイナは気付かず噴水に夢中だ。
「君にはすまないが、レン姫を返してもらうぞ!」
「スキャン開始」
『ルーイ』Enemy?
・相対レベル:42
・武器:護衛の剣改
・装備 :護衛団の戦闘服
他スキャンを実行していません。
今日は、アカネちゃんがカイナに制服を着せたいと言い、ギルドで試着しているところだ。
「似合いますかね」
カイナは少し恥ずかしそうだ。
「とても似合っていると思うよ」
さすがモデル級はある。
これで街に出たら何人男を引っ掛けられるだろうか。
「こんちゃーっと新人だな!」
リョウトさんと、その仲間の二人だ。ここで紹介しておく。
一人目がタクミさん、20歳程度の見た目、高身長。
身の丈ほどある龍槍を使うDPS。カッコイイ。
ファンも多くいるとか何とか。
二人目がヒムラさん。お姉さんって感じの人で、メガネで、僕より少し身長が高い。
薬品知識が豊富で魔法も得意なヒーラー。
戦闘の要とも言っていい。
ちなみにリョウトさんはタンク。前衛、仲間を守るパーティの主軸だ。
彼らの所属している組織のことを『開拓組』と言うらしい。総人数五千人の万事屋集団である。以前は攻略組、攻略班とも言ったらしいが。
「あら、結構可愛い子ね」
「これでオトメも先輩だな」
「んじゃガキンチョ頑張れよ!」
「リョウトさんたちは、これからダンジョン攻略ですか?」
「ああ、ここから西のあっぶねーダンジョンに突入するんだ。これが成功すれば、街一つ。かなりの広さを開拓できるぜ」
「いつか、オトメとも攻略してみたいな」
タクミは僕の頭をポンと叩いた。
「僕もです!」
「じゃあなガキンチョども、いい成果期待してろ!」
3人はギルドを去っていった。
「オトメさん、今日はカイナさんに街を案内してください」
「え?今日はアカネちゃんじゃなかった?」
「私はマスターの林檎買い出しです」
「ああなるほど」
マスターは林檎が好きなのだ。
「オトメさん……よろしくお願いします」
「おう!」
今、初めてカイナに名前で呼ばれた。
「気分高揚」
「うっせーPE」
カイナと街を歩くと、様々な物に興味を示すのが面白かった。
「オトメさん、この黒くて透明なのは何でしょうか?」
「それは火薬液だよ。酸素と熱を加えると、赤く膨張して大体五秒で爆発するんだ」
「……恐ろしいですね」
といいながら火薬液を購入していた。
「カイナは、子供みたいな好奇心があるね」
「そ、そうでしょうか」
「次あっち行こうか」
「はい」
この時、PEの警告が表示される一歩手前だった。
裏路地から、一人分の目線がこちらに向けられていた。
「これは……乗り物か何かでしょうか」
「『電車』って言うらしい。僕もあんまり知らないけど、移動は便利だよ。乗ってみようか」
「乗ります!」
今日は少し空いていた。
街の中心に行ってみよう。
僕らのギルドがある所は、ミルザンドの南側、どうやらあのギルドは有名で、あそこら一帯を『ギルド区』という。
また、記憶喪失者の地区としても有名。
今は中央のミル区へ向かっている。
「オトメさん、噴水が……綺麗……素晴らしいです!」
「だろ?(僕が作ったわけじゃないんだけど)」
数十分で着くミル区は、ミルザンドの一番中心だ。
そしてこの街の象徴とも言われる巨大ミル噴水が特徴的。
噴水に見とれていると、いきなり、赤文字で警戒と表示された。
後ろから石床を走る音が聞こえる。振り返ると、男が立っていた。
剣を背中に持つ、鎧からするに、兵士だろうか。
「君、隣の女性、誰か知っているのか?」
「え?」
「表情からするに知らない……か。私は忘れない。その御方を!」
「何を言ってんだい?」
カイナは気付かず噴水に夢中だ。
「君にはすまないが、レン姫を返してもらうぞ!」
「スキャン開始」
『ルーイ』Enemy?
・相対レベル:42
・武器:護衛の剣改
・装備 :護衛団の戦闘服
他スキャンを実行していません。
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