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第一章 Exスキル「能力100万倍」と副作用
第9話 逃げるんだ、メル!
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な、何んだ...この女たちは?
2mは優に超える大女が三人。そのうちの一人は筋肉質で、もう一人は細身。そして、ビッグハムのように横にも縦にも大きな体躯を持つ者が、他の二人を引き連れる形で登場した。
三人とも目と鼻を隠し、顔の上半分を覆うマスクと全身を包むフードを身につけていた。そんな不気味な三人組に俺とメルは取り囲まれてしまった。
俺たちは取り囲まれた状態で、人通りの少ない路地裏へと連れて行かれた。
村の住民はみな、見て見ぬふりをした。
中には「早速、闇ギルドのドラリル一味に目を付けられたなんて運がないね。あんな美男子が、弱そうな奴隷一人だけを連れて歩いているからだよ」と呟いている。
そ、そんな世界なのか。役人を呼んでくれる人は誰もいない?見てみぬふりだ。
「な、何か用か」
や、やばい、本能が叫んでいる、「逃げろ、逃げろ!」と。「お前たちでは敵わない」と。こんなに強そうな敵が三体も現れたら、俺もメルも間違いなく一瞬で倒されるだろう。ヤバイヤバイ。
しかも、メルが持つスキルは「体術スキル(小)」にすぎない。目の前の三人組に対抗するには到底不十分だ。
メルはどうにかして俺を守ろうとしているようだが、彼女よりも背が高くて幅広い相手には完全に手が出せないでいる。
「何が目的だ?」
恐怖心を必死に隠しながら、その不気味な集団に再度問いかけてみた。
だが...バレバレだろう。全身が震えており、一歩を踏み出すことさえ困難だ。とても...逃げられる状況ではない。震える声と、体から自然と滲み出る汗しか出せない。いや、小便も半分程度漏れてしまっている。
俺の様子を見て三人とも、口角が上がってニヤニヤ笑っている。怖がって虚勢を張っているのが、堪らないという感じがする。
悔しい。このまま捕まえられてしまうのか?何が目的なんだ?捕まえられたら、俺たちの運命はどうなる?くそ、何が何だか分からない。でも、少なくともメルだけは、メルだけでも逃がしてあげたい。
「何が目的だ?」
俺は再び、勇気を振り絞って三人組に尋ねた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
すると、中央の大女が俺に向かって、仮面で覆われていない口元をにやりと歪めた。彼女は周囲の二人よりも一際背が高く、2m30cmはあるだろう。体重も恐らく500kgはあるかと思われる。大げさに言うならば、フットサルのゴールのような体型だ。
その大女が俺に向かって、「あんたは上玉中の上玉だ!ミスリル金貨50枚に匹敵するよ!そしてなによりも、あんたは傍にいるブサイクを見ても毛嫌いしない。ブサイクな貴族はたいそう喜ぶだろうよ。あんたを夫として得るためなら、どれほどの大金を払ってでも手に入れようとするはずさ!グフグフグフ!」と、俺とメルを交互に見ながら笑い続けた。そして...。
大女は自分の仮面を取り、姿を現した。体はビッグハムのようだが、顔は地球人である俺にとっては、普通に可愛いOLといったレベルだ。ただし、ビッグハムの体に可愛いOLの顔。違和感が半端ない。
鑑定によると、ミスリル金貨50枚は日本円で約5億円相当の価値があるらしい。俺に...そんな価値があるというのか?
「凄い男だよ!私の顔を平然と見られるなんて...。こんな男...見たことないよ!さっきの話、もう少し価値が上がるかもね。あんなブサイクな奴隷を平然と傍に連れて歩くんだ。超ド級の変態だよ!グフグフグフ!」
恐い...。顔と肉体のギャップに恐怖しか感じない。歯はカチカチと鳴り、全身に鳥肌が立つ。これはまずい...意識を失いそうだ。
しかし...俺に5億円もの価値があるとは?何かの間違いではないだろうか?この世界では、俺はそんなに魅力的なのか?
「お、お、俺が狙いなのか?どうして?こんなにブサイクな俺が、どこがいい男だっていうんだ?」
そう俺が目の前の三人組に呟いた瞬間...。
ドォゴゴゴゴゴゴゴゴゴン!!!
本心を言い放ったつもりだったが、火に油を注いだ様だ。細身の女が俺の胴体に、めり込むような蹴りを放ってきた。
蹴りが速い!地球では考えられない速さだ。腕で防ぐことも出来ずに、もろに喰らってしまった。
「ウ、ウゲェェェェェェェ~!!」
「ご主人様!」
メルは必死の形相で俺の元へ駆けよって来た。俺に駆け寄ってくる時間があるのなら、逃げて欲しかったのに...。
両膝をつき、昨晩と朝食べたものを全て吐き出した。もう...立ち上がる力が、たった一撃で削がれた様だ。
油断したら気を失ってしまいそうだ。
「ご主人様、どうかお一人で逃げて下さい!」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
メルは俺の前に立ちはだかり、逃げるための僅かな隙間を作ろうとした。しかし、俺にはもう...動く力が残っていない。
「おいチャル!あまり痛めつけるな!商品価値が下がるだろう!あ~あ、ポーションを使わざるを得なくしやがって!」
ビッグハムそっくりの大女は、チャルと呼んだ女に怒声を浴びせた。
「だけど...マリン!この男が!ちょっといい男に生まれたくらいで、調子に乗ってるんだから!」
何だよマリンって。あの大女の事か?腹が立つぐらい可愛い名前だ。キャラと名前が合っていない。
「ああ、腹が立つよ。だけど、金には代えられねえ。いいさ。あのブサイクをボコボコにして鬱憤を晴らそう!グフグフグフ!」
「そうだな。でも触るのも嫌だし、蹴り殺すか」
また下品なことを言う。俺からすればお前らの方が触りたくないわ!
「メルすまない。助けてやろうと思ったが、お前だけでも逃げろ。いいかこれは、ご主人様命令だ...」
俺は...もっている力を絞り出してメルに命令を下した。さよならだ...メル...。
2mは優に超える大女が三人。そのうちの一人は筋肉質で、もう一人は細身。そして、ビッグハムのように横にも縦にも大きな体躯を持つ者が、他の二人を引き連れる形で登場した。
三人とも目と鼻を隠し、顔の上半分を覆うマスクと全身を包むフードを身につけていた。そんな不気味な三人組に俺とメルは取り囲まれてしまった。
俺たちは取り囲まれた状態で、人通りの少ない路地裏へと連れて行かれた。
村の住民はみな、見て見ぬふりをした。
中には「早速、闇ギルドのドラリル一味に目を付けられたなんて運がないね。あんな美男子が、弱そうな奴隷一人だけを連れて歩いているからだよ」と呟いている。
そ、そんな世界なのか。役人を呼んでくれる人は誰もいない?見てみぬふりだ。
「な、何か用か」
や、やばい、本能が叫んでいる、「逃げろ、逃げろ!」と。「お前たちでは敵わない」と。こんなに強そうな敵が三体も現れたら、俺もメルも間違いなく一瞬で倒されるだろう。ヤバイヤバイ。
しかも、メルが持つスキルは「体術スキル(小)」にすぎない。目の前の三人組に対抗するには到底不十分だ。
メルはどうにかして俺を守ろうとしているようだが、彼女よりも背が高くて幅広い相手には完全に手が出せないでいる。
「何が目的だ?」
恐怖心を必死に隠しながら、その不気味な集団に再度問いかけてみた。
だが...バレバレだろう。全身が震えており、一歩を踏み出すことさえ困難だ。とても...逃げられる状況ではない。震える声と、体から自然と滲み出る汗しか出せない。いや、小便も半分程度漏れてしまっている。
俺の様子を見て三人とも、口角が上がってニヤニヤ笑っている。怖がって虚勢を張っているのが、堪らないという感じがする。
悔しい。このまま捕まえられてしまうのか?何が目的なんだ?捕まえられたら、俺たちの運命はどうなる?くそ、何が何だか分からない。でも、少なくともメルだけは、メルだけでも逃がしてあげたい。
「何が目的だ?」
俺は再び、勇気を振り絞って三人組に尋ねた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
すると、中央の大女が俺に向かって、仮面で覆われていない口元をにやりと歪めた。彼女は周囲の二人よりも一際背が高く、2m30cmはあるだろう。体重も恐らく500kgはあるかと思われる。大げさに言うならば、フットサルのゴールのような体型だ。
その大女が俺に向かって、「あんたは上玉中の上玉だ!ミスリル金貨50枚に匹敵するよ!そしてなによりも、あんたは傍にいるブサイクを見ても毛嫌いしない。ブサイクな貴族はたいそう喜ぶだろうよ。あんたを夫として得るためなら、どれほどの大金を払ってでも手に入れようとするはずさ!グフグフグフ!」と、俺とメルを交互に見ながら笑い続けた。そして...。
大女は自分の仮面を取り、姿を現した。体はビッグハムのようだが、顔は地球人である俺にとっては、普通に可愛いOLといったレベルだ。ただし、ビッグハムの体に可愛いOLの顔。違和感が半端ない。
鑑定によると、ミスリル金貨50枚は日本円で約5億円相当の価値があるらしい。俺に...そんな価値があるというのか?
「凄い男だよ!私の顔を平然と見られるなんて...。こんな男...見たことないよ!さっきの話、もう少し価値が上がるかもね。あんなブサイクな奴隷を平然と傍に連れて歩くんだ。超ド級の変態だよ!グフグフグフ!」
恐い...。顔と肉体のギャップに恐怖しか感じない。歯はカチカチと鳴り、全身に鳥肌が立つ。これはまずい...意識を失いそうだ。
しかし...俺に5億円もの価値があるとは?何かの間違いではないだろうか?この世界では、俺はそんなに魅力的なのか?
「お、お、俺が狙いなのか?どうして?こんなにブサイクな俺が、どこがいい男だっていうんだ?」
そう俺が目の前の三人組に呟いた瞬間...。
ドォゴゴゴゴゴゴゴゴゴン!!!
本心を言い放ったつもりだったが、火に油を注いだ様だ。細身の女が俺の胴体に、めり込むような蹴りを放ってきた。
蹴りが速い!地球では考えられない速さだ。腕で防ぐことも出来ずに、もろに喰らってしまった。
「ウ、ウゲェェェェェェェ~!!」
「ご主人様!」
メルは必死の形相で俺の元へ駆けよって来た。俺に駆け寄ってくる時間があるのなら、逃げて欲しかったのに...。
両膝をつき、昨晩と朝食べたものを全て吐き出した。もう...立ち上がる力が、たった一撃で削がれた様だ。
油断したら気を失ってしまいそうだ。
「ご主人様、どうかお一人で逃げて下さい!」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
メルは俺の前に立ちはだかり、逃げるための僅かな隙間を作ろうとした。しかし、俺にはもう...動く力が残っていない。
「おいチャル!あまり痛めつけるな!商品価値が下がるだろう!あ~あ、ポーションを使わざるを得なくしやがって!」
ビッグハムそっくりの大女は、チャルと呼んだ女に怒声を浴びせた。
「だけど...マリン!この男が!ちょっといい男に生まれたくらいで、調子に乗ってるんだから!」
何だよマリンって。あの大女の事か?腹が立つぐらい可愛い名前だ。キャラと名前が合っていない。
「ああ、腹が立つよ。だけど、金には代えられねえ。いいさ。あのブサイクをボコボコにして鬱憤を晴らそう!グフグフグフ!」
「そうだな。でも触るのも嫌だし、蹴り殺すか」
また下品なことを言う。俺からすればお前らの方が触りたくないわ!
「メルすまない。助けてやろうと思ったが、お前だけでも逃げろ。いいかこれは、ご主人様命令だ...」
俺は...もっている力を絞り出してメルに命令を下した。さよならだ...メル...。
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