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第三章 フェンリルと獣人
第35話 覚悟
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呻き声が聞こえた部屋に勇気をもって、みんなで踏み込んだ。すると、目の前には巨大なベッドが3台、整然と配置されていた。部屋全体が鏡張りで、明るい光が反射していた。その雰囲気は昭和世代のラブホテルを彷彿とさせた。
何で俺が、そんなことを知っているかって⁉
そりぁ。何にでも興味津々なお年頃だし...。
まあ...そんなことはおいといて、その華やかさとは裏腹に、そこには恐ろしい光景が広がっていた。
床には約6人の男性が倒れていた。全員が全裸で痩せこけていた。彼らがなぜそうなったのかはまだ分からない。しかし、食事も水も満足に与えられず、性的な行為を強要されていたことだけは明らかだった。
部屋中があの匂いがするし、ベッドシーツが濡れている。気持ち悪い。換気しろよ。シーツ交換しろよ。あのドラリル一味の女たちと一戦を交えていたかと思うと、とてもじゃないけど耐えられない。
そう俺がげんなりしていると、メルとクラリスの様子がおかしい。鼻息が荒い。俺を見る目が恐ろしいし、メルが音も立てることなく俺の背後に回った。
「メル落ちつけ!メル、ふせ!」
「はっ!ご主人様。すみません!男性のあの匂いに反応してしまいました!すぐに状況の確認を致します!」
真っ赤な顔をして、俺の元から離れるメル。そして俺は、あまりに驚いて、実家のチョッカク(♀5歳柴犬)の調教方法を思い出してしまった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
その隙にクラリスは、いつの間にやら顔の位置が、俺の息子がいる位置に到着...。そして強引にズボンを...。こらこらストップ!
「クラリス、分かった!分かったからもう少しだけ我慢してね。いい子だから」と言うと「わ、分かりました♡か、必ずですよ、主様!必ずですよ!」と言って未練を残しながら息子から顔を離した。
すると、扉越しに聞こえた声の持ち主だろう男性が、うつぶせの状態から顔をあげ、「た、助けてくれ、み、水を~」と、力なく俺たちに頼んできた。
「意識がある男性がいるようだ!水?水ってどこにあるんだ?マジックポーチに入っていたかな?」俺が突然のことに慌てていると、メルが「ご主人様!水です!」と水桶ごとメルが運んできた。
メルが屋敷内にあった水桶と黒パンを見つけて男性に渡すと、彼はものすごい勢いで水を飲み、黒パンを食べ始めた。
聞きたいことは山ほどあるけど、まずは、彼のお腹と喉の渇きが満たされるまで少し待とうと思った。
その間にこの部屋の確認を行った。
「ご主人様、この部屋にはこのお方の他に5人の男性がいます。2人はこの男性同様衰弱していますが、意識を失っているだけの様です。残りの3人は残念ながら...お亡くなりになっています」と、メルは悲しそうな表情で俺に報告した。
亡くなった3人は奴隷の首輪をしていた。主人が死んだ時に首輪が締まり、彼らも一緒に死んでしまった様だ。3人の首元には血が滲んでいて、自分の首を苦しさのあまり掻きむしった跡があった。多分、ミルミルが死んだと同時に、彼らも命を落としたのだろう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
10分ぐらい夢中になって水や黒パンをむさぼり食べると、急に冷静になったのか、自分が裸だったことに気が付き、「す、すまない。見苦しい物を丸出しのままで」と恥ずかしそうに頬を赤くした。
メルは、どうしていいか分からず下を向き、クラリスは「ふふふ...」と妖艶に笑い、なぜか男性の息子を見た後、俺の股間を見つめる。
クラリス...なんだか怖い...。
直ぐにメルが探し出してきた貫頭衣を着た男性は、自身のことをロジンと名乗った。
ロジンは獣人国の猪族。農村部の生まれで、見た目もよかったことから家族を養う為、人国の男娼として出稼ぎにきたと言った。
ロジンは「もちろんこんな仕事はしたくなかった。しかし...するしかない。家族を守るためにも...」と、寂しそうにロジンは呟いた。それぐらい現在の獣人国は、食糧不足が深刻で、国内も混乱していると述べた。
そして、ここでの生活ついても教えてくれた。「ここに来た当初は気前が良かった。黒パンもチーズも好きなだけ食べさせてくれた。水も大量に飲ましてくれた。だが...」
その対応が、3日目ぐらいから急に変わったと言った。
「一日2人の女性と言うルールだったのが、強引に迫ってきて...。挙句の果ては、何やらいかがわしい薬を使われて、無理矢理...」と、ため息まじりに話してくれた。
そんな中、俺は一つ確認をしてみた。「クラリス、ロジンさんは美男子なのか?」と。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「そうですね...。恰好がいい部類に入りますね。ただ隣にご主人様がいると、どんな男性もくすんで見えますね。ときめきません」
そんなもんなのか。
俺からすれば、目が一重で鋭い感じがする。体格は、身長がメルと同じくらいで筋肉質だ。
「顔面は一重でごつごつしており、岩顔で恰好いい部類ですね。ただ、その体が...もう少し小柄でふっくらしていたら良かったのに。顔は素敵ですけどね」と俺に教えてくれた。
異世界の美男美女基準は...難しい。
「ここに来ていた性奴隷達は、自分の家族を守るために身売りした借金奴隷でした。彼らは犯罪者ではなく生活の為に借金をし、性奴隷になった者達です。彼らはいい奴らでした。それが...最後は首輪が締まって苦しみながら死んでしまいました。その表情がとても辛くて、私も心が折れそうでした」
そう言って、ロジンは悲しみに耐えるような表情をして、黒パンを見つめた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
悲しみに満ちた部屋の中で、クラリスはロジンには聞こえないほどの小さな声で俺に話しかけて来た。
「主様、ご報告がございます。亡くなった者たちを蘇らせる方法が存在します。それはご主人様がお決めになること...ですが、重大な決断と覚悟が必要でございます」と、クラリスは大きな瞳に力を込めて俺に語りかけた。
な、亡くなった者をい、生き返らせる方法だと⁉それも俺の覚悟と決断次第で...⁉いったいどう事なんだクラリス⁉
何で俺が、そんなことを知っているかって⁉
そりぁ。何にでも興味津々なお年頃だし...。
まあ...そんなことはおいといて、その華やかさとは裏腹に、そこには恐ろしい光景が広がっていた。
床には約6人の男性が倒れていた。全員が全裸で痩せこけていた。彼らがなぜそうなったのかはまだ分からない。しかし、食事も水も満足に与えられず、性的な行為を強要されていたことだけは明らかだった。
部屋中があの匂いがするし、ベッドシーツが濡れている。気持ち悪い。換気しろよ。シーツ交換しろよ。あのドラリル一味の女たちと一戦を交えていたかと思うと、とてもじゃないけど耐えられない。
そう俺がげんなりしていると、メルとクラリスの様子がおかしい。鼻息が荒い。俺を見る目が恐ろしいし、メルが音も立てることなく俺の背後に回った。
「メル落ちつけ!メル、ふせ!」
「はっ!ご主人様。すみません!男性のあの匂いに反応してしまいました!すぐに状況の確認を致します!」
真っ赤な顔をして、俺の元から離れるメル。そして俺は、あまりに驚いて、実家のチョッカク(♀5歳柴犬)の調教方法を思い出してしまった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
その隙にクラリスは、いつの間にやら顔の位置が、俺の息子がいる位置に到着...。そして強引にズボンを...。こらこらストップ!
「クラリス、分かった!分かったからもう少しだけ我慢してね。いい子だから」と言うと「わ、分かりました♡か、必ずですよ、主様!必ずですよ!」と言って未練を残しながら息子から顔を離した。
すると、扉越しに聞こえた声の持ち主だろう男性が、うつぶせの状態から顔をあげ、「た、助けてくれ、み、水を~」と、力なく俺たちに頼んできた。
「意識がある男性がいるようだ!水?水ってどこにあるんだ?マジックポーチに入っていたかな?」俺が突然のことに慌てていると、メルが「ご主人様!水です!」と水桶ごとメルが運んできた。
メルが屋敷内にあった水桶と黒パンを見つけて男性に渡すと、彼はものすごい勢いで水を飲み、黒パンを食べ始めた。
聞きたいことは山ほどあるけど、まずは、彼のお腹と喉の渇きが満たされるまで少し待とうと思った。
その間にこの部屋の確認を行った。
「ご主人様、この部屋にはこのお方の他に5人の男性がいます。2人はこの男性同様衰弱していますが、意識を失っているだけの様です。残りの3人は残念ながら...お亡くなりになっています」と、メルは悲しそうな表情で俺に報告した。
亡くなった3人は奴隷の首輪をしていた。主人が死んだ時に首輪が締まり、彼らも一緒に死んでしまった様だ。3人の首元には血が滲んでいて、自分の首を苦しさのあまり掻きむしった跡があった。多分、ミルミルが死んだと同時に、彼らも命を落としたのだろう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
10分ぐらい夢中になって水や黒パンをむさぼり食べると、急に冷静になったのか、自分が裸だったことに気が付き、「す、すまない。見苦しい物を丸出しのままで」と恥ずかしそうに頬を赤くした。
メルは、どうしていいか分からず下を向き、クラリスは「ふふふ...」と妖艶に笑い、なぜか男性の息子を見た後、俺の股間を見つめる。
クラリス...なんだか怖い...。
直ぐにメルが探し出してきた貫頭衣を着た男性は、自身のことをロジンと名乗った。
ロジンは獣人国の猪族。農村部の生まれで、見た目もよかったことから家族を養う為、人国の男娼として出稼ぎにきたと言った。
ロジンは「もちろんこんな仕事はしたくなかった。しかし...するしかない。家族を守るためにも...」と、寂しそうにロジンは呟いた。それぐらい現在の獣人国は、食糧不足が深刻で、国内も混乱していると述べた。
そして、ここでの生活ついても教えてくれた。「ここに来た当初は気前が良かった。黒パンもチーズも好きなだけ食べさせてくれた。水も大量に飲ましてくれた。だが...」
その対応が、3日目ぐらいから急に変わったと言った。
「一日2人の女性と言うルールだったのが、強引に迫ってきて...。挙句の果ては、何やらいかがわしい薬を使われて、無理矢理...」と、ため息まじりに話してくれた。
そんな中、俺は一つ確認をしてみた。「クラリス、ロジンさんは美男子なのか?」と。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「そうですね...。恰好がいい部類に入りますね。ただ隣にご主人様がいると、どんな男性もくすんで見えますね。ときめきません」
そんなもんなのか。
俺からすれば、目が一重で鋭い感じがする。体格は、身長がメルと同じくらいで筋肉質だ。
「顔面は一重でごつごつしており、岩顔で恰好いい部類ですね。ただ、その体が...もう少し小柄でふっくらしていたら良かったのに。顔は素敵ですけどね」と俺に教えてくれた。
異世界の美男美女基準は...難しい。
「ここに来ていた性奴隷達は、自分の家族を守るために身売りした借金奴隷でした。彼らは犯罪者ではなく生活の為に借金をし、性奴隷になった者達です。彼らはいい奴らでした。それが...最後は首輪が締まって苦しみながら死んでしまいました。その表情がとても辛くて、私も心が折れそうでした」
そう言って、ロジンは悲しみに耐えるような表情をして、黒パンを見つめた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
悲しみに満ちた部屋の中で、クラリスはロジンには聞こえないほどの小さな声で俺に話しかけて来た。
「主様、ご報告がございます。亡くなった者たちを蘇らせる方法が存在します。それはご主人様がお決めになること...ですが、重大な決断と覚悟が必要でございます」と、クラリスは大きな瞳に力を込めて俺に語りかけた。
な、亡くなった者をい、生き返らせる方法だと⁉それも俺の覚悟と決断次第で...⁉いったいどう事なんだクラリス⁉
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