Exスキル『能力100万倍』で、あべこべ世界で苦しむ奴隷達の『低価値スキル』を超優秀に!ただし、『性欲100万倍』の副作用付きですが...。

たけ

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第三章 フェンリルと獣人

第36話 究極の美しさと力を兼ね備えた男

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 「主様。彼らはまだ死後間もないため、私の力で生き返らせることが可能です。主様のご判断にお任せします。ただし、この者たちを蘇らせれば、近い将来必ずや...我々は目立つ存在になるでしょう。それでも...主様が彼らの復活を望むならば、私はその力を使います」

 クラリスは、透明で深い瞳に重厚な光を宿し、言葉をツムぎ出した。彼女の声は静かだが、その中には揺るぎない俺への信頼と、共に歩む決意が込められていた。彼女のあまりの迫力に一瞬ためらったものの、その瞳の真直ぐさに心を動かされた。

 クラリスだけでなくメルも俺を見つめている。いや、クラリスもメルも、俺がどうするかはもう分かってるだろう。ただ、その覚悟をもう一度考えて欲しいと思っている。自分たちのことよりも、俺の未来を心配してくれている様だ...。

 困難は承知だ。「クラリス...やっぱり放って置けない。この者たちを生き返らせよう」と2人に告げた。
 
 俺がそういうと「やはりあなた様は私の主様です。いえ、主様です。生涯を通して私とメルは主様を支えます。主様は一人ではございません。私たちが常に傍に寄り添っております。辛い時も...そして快楽をむさぼり合う時も...」そう言いながら俺をしっかりと抱きしめた。

 快楽を...むさぼり合うって...。

 
◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 俺たち3人で亡くなった者たちを蘇らせるべきか議論しているとき、置き去りにされたロジンは、意識を失って横になっている2人を起こそうと声をかけていた。ただし、ギャラリーが増える前に、亡くなっている者たちを蘇らせた方が良いのかもしれない。

 そうとなれば、さっそく...。3人を蘇らせることにするか。

 「ロジンさん、これからこの場で起こることは秘密にして下さい。この3人を今から生き返らせます。彼らは悪いことを一切していません。そんな彼らはまだ死ぬ時ではない。そして、家族を守るために性奴隷になることさえもイトわなかった彼らのためにも...生き返らせます!」

 「そ、そんな、本当にそんなことが可能なんですか?」と、ロジンは目を大きく見開き、驚きと疑念が入り混じった表情で俺に訴えてきた。

 そりゃそうだよな。俺も逆の立場ならそうなるわな。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 ロジン視点

 目の前に横たわる3人は、苦しみ抜いて死んでいった。彼らを蘇らせるなんて、おとぎ話のようだ。そもそも蘇生魔法が操れる人物など、自分たちのをもってしても聞いたことが無い。そんなことが可能なのか...。ただ、もし可能ならば...。

 しかし、目の前の美男子はそれができると主張する。彼は背が低く、ふっくらとしており、手足も短い。

 いわゆる...完璧なプロポーションを備えている。

 その上、顔がパンパンに張れ、目は細く、鼻は丸っこい。まさに究極の美青年ではないか!

 そんな彼がありもしない魔法を操るというのか⁉ 信じがたい。

 しかし、それが真実であるならば、彼は究極の美と力を兼ね備え、突如として私たちの前に現れた、神にも等しい存在だと言えるだろう。

 その美男子は「大丈夫、できます!このクラ...」と私に言いかけたところで、後ろに従えていた2人のうちの1人に口を塞がれた。

 い、いやじゃないのか⁉

 あんな醜女に口をふさがれて...⁉俺たちは獣人だから人族程気にしないが...それでも...非常に可哀そうな部類の者たちに触られている。人族で、しかも美男子。そんな男があんな醜女に触られても怒らないなんて...。どこまでも完ぺきな男なんだ!


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 先程からロジンが俺を羨望の眼差しで見つめているが、俺は彼に何かしたのだろうか?それはさておき、ロジンに「クラリスがこれからここに横たわる奴隷たちを蘇らせる」と伝えなければ。

 「大丈夫。蘇らせることができます。このクラ...」と俺がロジンに伝えようとした時、クラリスが俺の言葉を遮った。そして...。

 「さあ、主様!よろしくお願いします。この者たちを復活させて下さい!」と言ってきた。ちょっと、何言っているのクラリス⁉

 「ちょ、ちょっとクラリス...」と俺はクラリスの表情を眺める。

 すると、クラリスはさも当然のような表情で、「主様が行ったことにしましょう。私の能力は主様のものですから。新国のトップになられる主様が、ここで彼らを蘇らせるのが最善だと思います。主様はカッコ良く、優しく、強い。そして、死者をも蘇らせる力を持つ存在。神に近い、いえ、神と同等の存在になるべきです」と言い放った。

クラリスは続けて、「ただ、彼らを蘇らせる前に、新しい主人として登録することをお勧めします。主人がミルミルのままですと、蘇った瞬間に再び首輪が締まり、死んでしまうでしょう」と教えてくれた。

 さらにメルも、「その奴隷たちの首の横にある赤く光っている石のところに、ご主人様の血をつけて下さい。そうすれば、新しい主人と認識されます」と教えてくれた。

 俺は、ふと気になったことをクラリスに聞いた。

 「クラリスの力をもってしても、この忌々しい奴隷の首輪を外すことはできないのか...」

 そう俺がクラリスに聞くと、 クラリスは何も言わずに首を左右に振った。そして...。

 「一度奴隷になった者は、二度と首輪を外すことができません。外せても交換時の1分程です。それを超えると、自動的に死んでしまう呪いがかけられています。もし外すことが出来る者がいるとすれば、最高位の奴隷商人なら可能かもしれませんが...そんな者が存在するのかどうか...」

 メルは、静かに言葉を紡ぎつつ、奴隷の首輪にそっと手を伸ばした。

 「さあ、主様!お願いします。この者たちを蘇らせて下さい!」

 俺はクラリスに促され、奴隷たちの前にやって来た。どの者も苦しみに満ちた悲痛な表情を浮かべている。可哀そうに...。今から、生き返らせてあげるからな。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 亡くなった者たちの胸に手を当て、「みんな、蘇るんだ!」と叫んだ。その瞬間、クラリスがひそかに蘇生魔法をかけた。

 俺の言葉と共に、死んだ者たちの周りに暖かな光が差し込んだ。光が彼らの体に染み込むと、しばらくして彼らは息を吹き返した。

 「く、苦しい!し、死んでしまう...あ、あれ?息が吸える!吸えるぞ!」

 お、驚いた...。俺の目の前でなくなっちまった者たちが、次々と目覚めていく...。

 本当に蘇った...このお方は神様なのか。俺はロジン...。今、とんでもない奇跡の瞬間に、はちあわせちまった者だ...。
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