Exスキル『能力100万倍』で、あべこべ世界で苦しむ奴隷達の『低価値スキル』を超優秀に!ただし、『性欲100万倍』の副作用付きですが...。

たけ

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第三章 フェンリルと獣人

第37話 3人の暗部と獣人国

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 本当に蘇った...このお方は神様なのか⁉信じられない光景を目にしている。震えが止まらない。エリクサーは見つけられなかったが、もっとすごいお方を見つけてしまった。

 「どういうことなんだ⁉確か俺たちは全員、もがき苦しんで死んだ...はずだ!ロジン教えてくれ。俺達の身に何があったんだ⁉」

 生き返った者達はロジンに向かって、何が起こったのかを興奮した様子で問い詰めた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 復活した3人と意識を取り戻した2人に対して、メルは屋敷内で見つけた水、黒パン、干し肉、そしてチーズ、あと貫頭衣を与えた。5人は貫頭衣を着た後、とても美味しそうに食料をむさぼり、水をがぶがぶと飲んだ。それと同時に俺たちに対し深い感謝を述べてきた。

 「クラリス、死者を3人も蘇らせて、魔力は大丈夫なのか?」

 そう、俺が心配して声をかけると、クラリスはケロッとした表情で、「魔力枯渇よりも、100万倍に増大した性欲に耐える方が厳しいです♡」と妖艶な微笑みを浮かべ、俺を見つめてきた。

 清楚系のエロい女性...たまらない。俺の忍耐力が枯渇しそう。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 空腹を満たした男たちは落ち着きを取り戻し、改めて自己紹介をした。猪族が3人、豚族3人であった。

 猪族はロジンを始め、ワイジンにヨハン。奴隷である豚族の3人はカクにモリジン、そしてヤーロンという者達であった。

 メルに言わせると現状の奴隷契約は仮契約らしい。本契約を奴隷商会で行わないと、死の呪いが3日後に作動するとのことだ。

 うーん。奴隷って本当に悲しい生きものだな。

 とりあえず本契約を明日行うか。明日授業サボってこの者達と、ビッグハムの奴隷商会で行うか。命には代えられないし。それよりもまず、俺から自己紹介をしないとな。

 「みなさん、こんばんは。秋枝智也と申します。このドラリル一味に用があってここにきました。そこでみなさんと出会い、仮の奴隷契約を結びました。これはみなさんにとって不本意かもしれませんが、私の指示に従って下さい。ただし、これは強制ではありません。定期的にお家に帰って頂いても結構です」

 みんなキョトンとしている。何かまずいことを言ったかな?小声でクラリスとメルに聞いてみた。

 するとメルが「ご主人様!あんなことを言うご主人様はおりません。自由にしていいなどと言う指示はございません!逆に困ります!」と、少し怒った様な口調で俺に言ってきた。

 「じゃ、じゃあ、村に帰って畑を耕して下さい」と豚族のみんなに伝えた。

 メルが焦って「ご主人様、それも困ります!」と言ってきた。

 「まあ、メル。私たちの主様です。こういうところが主様らしいのですよ♡主様は育った文化や環境が違うのです。しょうがありませんよ」そうクラリスが俺をフォローしてくれた。

 そんな感じで、肝心なことは伝わっていないようだが、俺が強制的に無茶苦茶なことをさせるような人物では無いこと。また、奴隷に注意を受ける変わった人物であることが伝わり、場は和んだ。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 豚族の3人に、明日の正午前に一緒に奴隷商に行くことを伝えた。本契約をするためだ。

 それまでの間、好きなだけ寝て、好きなだけ食事をとって、身体を癒して欲しいと告げた。

 こんな劣悪な環境で無理やり働かされて疲れただろう。身も心もゆっくりと休んで癒して欲しい。

 さて、俺たちはフェンリルの捜索を再開しようと腰をあげた時、ロジンが意を決した様な表情をして、俺の前で土下座をし、「と、智也様、お願いがあるんです。話を聞いてもらえませんか?」と言ってきた。

 「村人は、あくまでも仮の姿。本来、我々3人は獣人国を支える暗部の一員です。なぜ私たちがこのような男娼まがいのことをしていたかというと、ドラリル一味の隠し持つ財宝の中に、エリクサーがあるという情報を入手したからです!」

 エリクサー、キター!!

 異世界では有名な、どんな病気も直すことが出来る品だ!この世界にもあるんだ!テンション上がるな。ザ、異世界っていう感じ。

 「我が獣人国の国王、ドルガーが非常に重篤な状態です。ポーション効果(高)を用いても、その病は治りませんでした」

 「ポーション効果(高)でも治らない病気何て...そんな病気があるとしたら、それは病気に精巧に似せた強力な呪いではないのでしょうか...?」

 クラリスが心配そうな表情で俺たちの話に入って来た。
 
 「獣人国最高司祭様もそうおっしゃっております。司祭様の力を持っても、ドルガー国王の病気は治すことが出来ませんでした。その為、我々暗部が、かすかな情報を頼りに全国各地を飛び回り、治す手立てを探しておりました」

 最高司祭様を持ってしても、直すことのできない呪いなんてあるのか?

 「私たち暗部が、このドラリル一味の屋敷に捜索に入ったのですが、どこを探してもエリクサーはありませんでした。誤報だったのかもしれませんし、騙されたのかもしれません。ただ、今となればどちらでもいいことです!」

 ロジン達3人は、俺たちの前で額を床にこすり付け、「お願いします!ドルガー国王様を助けて下さい!治して頂けるのであれば、国とし最大限のお礼をさせて頂くよう、私の方からローレンス王子に進言させて頂きます!」そう、必死な形相で迫って来た。

 更にロジンは、「国王を治して頂ければ、私はあなた様に生涯を捧げます。あなたの奴隷でもなんでもなります。ですから!ですからどうかドルガー国王をお救い下さい!」そう俺を見上げ、心からの叫びを投げかけてきた。

 ロジンは必死な形相で迫ってきた。ドルガー国王のことがよほど大切なのだろう。その思いが強く伝わってくる。治療が成功した暁には、自分が俺の奴隷になるとも言い切った。すごい男だ。

 そんな男が惚れ込むドルガー国王を救いたい気持ちはもちろんある。しかし、その前にどうしても確認しておかなければならないことが一つある。これが受け入れられなければ、ドルガー国王とでも救うことはないだろう。

 早速、ロジンに確認してみるか…。

 「わかりました。ただし返事をする前に一つ確認したいことがあります。あなたたち獣人族も外見にとらわれる種族ですか?」 

 そう、俺は暗部たち3人を鋭い眼差しで見つめ、緊張感を漂わせながら尋ねたのであった。
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