Exスキル『能力100万倍』で、あべこべ世界で苦しむ奴隷達の『低価値スキル』を超優秀に!ただし、『性欲100万倍』の副作用付きですが...。

たけ

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第四章 「マリナ」のお店

第57話 よぎる不安

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 ぱく。もぐもぐもぐ...。うん、美味しいのだが...。

 何だか...違う?お米よりもプチプチとした歯ごたえと、爽やかな甘みが口の中に広がる。これはお米じゃないぞ?やはり異世界では、お米の調達は難しいのか?

 これはもち麦か?それと野菜みたいな味がする?カリフラワーライスか?

 凄いな。モチ麦とカリフラワーライスを半々に混ぜて、ごはん風味にしている。並々ならぬ努力だな。すごいな、マリナ。

 唐揚げは竜田揚げだ。それにタルタルソースもある。うわ!ハンバーグにピザまであるよ。すごい!日本の居酒屋だよ。すごいクオリティだな。

 俺の隣で食べているクラリスはもう、スプーンが止まらない様だ。スプーンを動かす度にお胸までプルンプルン動く。ついついそっちに目がいってしまう。

 他のみんなも幸せそうだ。特に豚族のメンバーは泣きながら食べている。どれ、明日から村に帰るんだ。少しお土産用に包んでもらうか。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 ローファンに、「からあげとおにぎりを沢山持ち帰りたい」と言うと、「ありがとうございます!」と言って両手を握られた。両手を握られる必要性はあったのかな?

 そんな俺とローファンのやり取りを見ていたインリンが、「お前は下で、おにぎりを死ぬ気で握ってこい!」と声を張り上げ、ローファンを軽く蹴って追い出した。

 「ちっ!インリンめ!」と悔しそうに言った後、「愛しの智也様♡またまた後で来ますね♡」と甘い声で言い、名残惜しそうな表情を浮かべながら1階に戻って行った。

 ローファンを追い出した後、インリンは俺に向かって微笑みながら話しかけてきた。

 「美味しいだろ?ここの料理は絶品なんだよ。だけどあたいは、どんなに食べても太れねぇんだ。顔は諦めているんだが、せめてプロポーションぐらいと思ってここで沢山食べているんだけどなぁ...」

 そう言った後、インリンは少し困った様なため息を「はぁ~」と吐き、「だけど、お腹周りには何故だか肉はつかねえ。胸ばっかり成長しちまって」と、自分の胸を見て嘆いている。

 そんな、メリハリボディーが残念だなんて...本当に地球とは美醜の観点が違うんだな...。

 インリンは竜田揚げを食べながら、自分の話を聞いている俺を見て、「だ、旦那は全然平気なようだな。あたいらとご飯を食べても。他の連中なんて、『お前らと食べると飯が不味くなる』って一緒に食べようとしないのに...」と驚いた表情を浮かべながら、目をパチパチとさせた。

 全然平気だし、逆に天国だよな。

 美味しそうにチャーハンもどきを食べていたクラリスが、ふと俺の方を見て微笑みを浮かべた。そして、「主様は、まったくそんなこと気にされませんよ。はい、主様♡あ~ん♡」と、自分のスプーンでよそったチャーハンもどきを、俺の口の前に持って来た。

 バカップルみたいで恥ずかしいけど...口を開けた。

 目の前の俺たちの行いを見たインリンは、「凄いな、旦那は!あたい達みたい者と一緒に飯を食う事を何とも思っていないんだな!男性と一緒にご飯を食べるって...こんなに幸せなんだな!」と、驚きと喜びの表情を浮かべながら伝えてきた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 そんなインリンに対し、あえて俺は大きな声で「ありがとう、インリン。そして『一攫千金』のみんな!たくさん食べておくれよ。元々はインリンがくれたダイヤのお金で夕飯代を支払うんだ。結局はインリンの奢りだからな!」と言った。

 俺の声は部屋中に響き渡り、2階にいる全員の耳にしっかりと届いたようだ。

  「そうなんですかい?姐さん!ありがとうございます!智也さんも、ゴチになります!」

 「姐さん、ありがとうございます!」と、いたるところから感謝の声が上がった。インリンは少し照れ臭そうに俺を見つめた。

 「わざわざ言わなくてもいいのに...あたいを立ててくれて。本当に旦那はいい奴だな...。気に入ったぞ!」と、インリンは照れくさそうに微笑みながら、また俺を「気に入った」と言ってきた。

 その様子を見ていたサラが、唐揚げを口にくわえながら呆れた表情で「もう何度目ですか?智也様のことは出会った瞬間から気に入っていたでしょ?知っていますよ。みんな」とインリンに向かって言い放った。

 「な、何を言ってやがる!サラ!」

 インリンは顔を真っ赤にしながら、ポカポカとサラの頭を叩いている。

 「い、痛いですよ、姐さん!もう!すぐにムキになるんだから!」と、サラは叩かれながらも、唐揚げの2個目をしっかりと口の中に入れている。

 二人のやり取りを見て、部屋中の雰囲気が一層和やかになった。「姐さん~!こっちにも顔を出して下さいよ!」と、遠くの席の者たちがインリンを呼んだ。

 インリンは仲間内から本当に頼りにされていて、みんながインリンのことを大好きなようだ。

 「おう!そっちに行くよ!」と言って、インリンは席から立ち上がり、呼ばれた席の方にコップを持って向かった。

 それにしてもマリナ、いや、麻璃奈は何処にいるのだろう?早く合ってみたいのだが...。

 でも...。

 地球人なら美醜の観点が俺と一緒。だったら、俺は絶世のブサイク...。麻璃奈に嫌われないか、少し心配になってしまうなぁ。
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