Exスキル『能力100万倍』で、あべこべ世界で苦しむ奴隷達の『低価値スキル』を超優秀に!ただし、『性欲100万倍』の副作用付きですが...。

たけ

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第四章 「マリナ」のお店

第59話 天才料理人 雷門 葵

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 「ここに日本人がいるんでしょ!誰がコーラーを頼んだの?私は麻璃奈よ!私も日本にの!ザイフが「コーラーを注文した人は、もの凄くかっこいい男性でしたよ」って言っていたわ!ねぇ、どこにいるの⁉」

 2階に上がったと同時に、麻璃奈は俺たちに向かって大声をあげた。

 その後、麻璃奈は2階のフロアを見渡し、俺と視線が交わった瞬間...。

 「ザウスが言っていたもの凄くかっこいい男性って、あ、あなたのことね!確かに絶世の美男子だわ...!」

 彼女は集団の中から俺を見つけ出し、頬を赤らめてうっとりとした表情で近づいてきた。だが...。

 俺が...絶世の美男子?どういうことだ⁉

 ナイメール星の者から見ればそうかもしれないが、麻璃奈はと、自分でさっき言っていたはずだが...。

 そんなことを一人で悩んでいると、ふと気が付いた。周りがものすごく殺気立っていることに。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 ガタ!ガラガラガッシャーン!

 「ご主人様をお守りするんだ!」

 「主様!」

 「ご主人様に近づいたら...殺す!」

 麻璃奈の登場により、一気に周囲がざわめき立った。

 そりゃそうだ。目の前の麻璃奈は牛刀包丁を片手に持ち、スリット付きのロングエプロンとコックコート、さらに、シェフパンツのいたるところに血痕を付着させている。

 突如として現れた牛刀包丁を持って微笑む不審な女性から俺を守ろうとして、クラリス、メル、コロ、そして俺の仲間たちが慌てて立ち上がった。その動きで、テーブルの上にあった飲み物や食べ物が床にこぼれてしまった。

 麻璃奈...。

 血痕のこびりついた衣装で牛刀包丁を握りしめ、微笑みながら近づいて来たら、誰だって不審に思うよ...。

 「主様!私たちがあなた様をお守りします!私たちの後ろに下がって下さい!」

 「グルルル~!」と、普段は愛らしいコロも、麻璃奈に対して威嚇している。

 さらに、一番攻撃的になっているのがメルだ。メルは、自分の身体の前で滑らかに腕を動かし、まるで必殺技を放つかのような動きを見せる。

 やばい!乱闘騒ぎになってしまう。
  
 麻璃奈は、俺の仲間たちの態度に一瞬戸惑ったが、すぐに冷静さを取り戻し、謝罪の言葉を口にした。

 「この格好じゃ誤解されても仕方ないわね。慌てて厨房から駆け上がって来たから。この血はコカトリスをさばいていた時についたのよ。唐揚げの注文が急に殺到して、てんてこまいの時にいきなりコーラーが頼まれて...。本当に慌てちゃったの。ごめんなさい!」

 麻璃奈はそう言うと、牛刀包丁をテーブルの上にそっと置き、両手を頭の上にあげて、無抵抗の意思を示した。

 見た目は絶世の美女。ハーフ?クオーター?の様な顔立ちで、23,24歳ぐらい?もっと大人っぽく見える。

 あと、大人っぽいのは顔だけじゃない。コックコートを着ていても分かる、男を夢中にしてダメにする、たわわに実ったお胸様と、一気にくびれたウエスト。

 完璧...だ。

 ただ...あれ、なんでだろう?

 麻璃奈の事をどこかで見たことがある気がする。どこだったかな...。いくら小判帽をかぶっているとはいえ、こんな絶世の美女を忘れるなんて、おかしな話だが...。はて、どこだっけ?


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 「うふふ♡こんなにも血がこびりついた服を着ているのに、私に好意的な視線を向けてくれるのね♡こんなから見とれられて、本当にゾクゾクしちゃう♡身体が燃えちゃいそう♡それに、私のことを何となく知っているかのような顔つきをしているわ!」

 麻璃奈は俺の表情を見つめた後、「でも...まだ私のことはキリに覆われているみたいね...」と、寂しげに呟いた。

 「なら...これで思い出してくれるかしら...?」

 彼女は小判帽を脱ぎ捨て、束ねていた髪の毛を解き放ち、「私の料理の一つ一つを、あなたの心で味わっていただけたかしら?」と真っ直ぐに俺の瞳を見つめて尋ねてきた。

 え、ええっ!!

 そ、そのフレーズ、き、聞いたことがある!!

 麻璃奈の言葉を聞いた瞬間、俺の記憶が一つに繋がった。「あぁ!その仕草、その決め台詞!天才料理人、雷門カミナリモンアオイじゃないか!ってことは清水麻璃奈...さん⁉ま、まさか本物ですか?す、すみません。間違っていたらごめんなさい!」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

  衝撃的な事実に直面し、俺は後ずさりしながらも、2階フロア全体に響き渡るほどの大きな声を上げてしまった。

 だ、だって...。

 「天才料理人 雷門 葵」が活躍する「料理人X」シリーズは、絶頂期のseason 4で伝説のTV番組だ。

 「うふふ♡違わないわよ。その通りよ!私は清水麻璃奈よ!すごく嬉しいわ、知っていてくれたなんて!」と、天才若手人気女優の清水麻璃奈は満足そうな表情で俺を見つめた。

 麻璃奈は、コカトリスの血がついたスリット付きのロングエプロンとコックコートを脱ぎ捨て、俺の目の前でシェフパンツとノースリーブ姿になった。まるで自分の身体を俺に見せつけるように...。反応を確かめるように...。

 ほへぇ~...。何てわがままボディ―をしているんだ...。地球で散々お世話になった雑誌やDVDのままの姿が目の前にいる。

 俺が麻璃奈のプロポーションに心奪われている姿を見て、彼女はさらに満足げな表情を浮かべた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 「うふふ、よかった♡やっぱりあなたは地球人ね。そしてザイフから聞いた通り、奴隷に対する扱いも紳士的だし♡女性たちをとして扱っていないみたいね!とても暖かくて優しいオーラが出ているものっ!パパとママと同じオーラがするわ!でも...」

 しかし、その嬉しそうな表情が一瞬で消えた。

 「でも...」と麻璃奈は俺を真直ぐに見つめながら、「その表情、その愛くるしい体型、そして瞳の奥底にある優しくて温かなオーラ...。 あなたみたいな男性に出会えていたら、まだ私は地球で暮らしていたかもね...」と、寂しそうに呟いた。

 どう言う事なんだ...?訳が分からない。俺が好意的にみられている⁉あの、清水麻璃奈...さんに⁉

 俺が困った表情をしていると、麻璃奈は頬を赤らめながら、「お名前を...教えていただけますか?」と尋ねてきた。

 しまった。自分から名乗るのを忘れていた。慌てて麻璃奈に、「智也です、秋枝智也です」と伝えた。
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