Exスキル『能力100万倍』で、あべこべ世界で苦しむ奴隷達の『低価値スキル』を超優秀に！ただし、『性欲100万倍』の副作用付きですが...。

第四章 「マリナ」のお店

第60話 臨戦態勢

 「そう...智也君ね♡よろしくね、智也君♡」と麻璃奈は言いながら、すっと俺の方に近づいてきた。握手かなと思ったら、麻璃奈は自分の胸の中に俺の顔を押し付けた。それはもうきつーく...。そして、自分の胸の感触を俺に覚えさせるかのように...。

　麻璃奈は、170cmを優に超えている。サラと同じく182,3cmぐらいありそうだ。だから、背の低い俺が麻璃奈とハグをすると、俺の顔が麻璃奈の胸に吸い込まれるのは、自然の摂理かもしれない...。

　麻璃奈の魅力は、ナイスなプロポーションだけではない。彼女のたぐいまれな美貌も、日本中の男性の心を鷲掴みにしていた。大きな瞳は深い湖のように神秘的な輝きを放ち、華奢で繊細な鼻筋と、艶ツヤやかで花びらのような優雅で豊かな唇が特徴的だ。

　さらに、オーバル形の顔立ちと柔らかいウェーブヘアが、彼女の美貌を一層引き立てていた。

　さすがは、若い世代に絶大な人気を誇っていたカリスマ女優だけのことはある。

　若々しく健康的な肉体だけでなく、男を駄目にする柔らかく、はちきれんばかりのお胸もご健在だ。いやー、女神様みたい。女神様を見たことは無いけど...。

　麻璃奈の胸の中で幸せを満喫していると、「ちょ、ちょっと、ご主人様にいきなり何をするんですか！」とメルが叫びながら、麻璃奈から俺を引き離した。

 「ご主人様！大丈夫でしたか！！」とメルが心配そうに尋ねてきた。

　大丈夫も何も、ただ幸せを満喫していただけだからな...。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

　メルは麻璃奈の前に立ちはだかり、「ご主人様、大丈夫でしょうか⁉私とクラリス姉様が心の底からご主人様の身体も心もご満足させてみせます！ですから、こんな得体のしれない女から離れて下さい！」と、必死な形相で訴えかけてきた。

　メルは麻璃奈を鋭い目つきで睨んでいる。どうやら、メルは麻璃奈を敵と見なしているようだ。

　これはまずい状況だ...。

　フロア全体に一触即発の緊張感が漂い、空気がピリピリと張り詰めている。

　本当にまずい...このままでは戦闘に発展してしまう。

　何とかメルを落ち着かせなければ。いや、メルだけではない。ヤーロンもカクも、まだ臨戦態勢を崩していない。

　こんな状況下でも、俺の横で笑顔を見せるクラリス。しかし、その目の奥底は笑っていない...。

　みんな、落ち着いて。せっかくの歓迎会なんだから、楽しく過ごそうよ。


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　しかし、そんな俺の心配は杞憂に終わりそうだ。

　麻璃奈はみんなの前に立ち、深々と頭を下げて謝罪の意を示した。

 「クラリスちゃん？メルちゃん？智也君の奴隷ちゃん達よね？ごめんなさいね。あなた達と争うつもりなんて全くないわ。私...嬉しくて...。智也君みたいな素敵な男性にやっと巡り合えたことが、本当に嬉しくて...興奮しちゃっただけなの。本当にゴメンなさい！」

　麻璃奈はメル、クラリス、そして俺の仲間たちに向かって、もう一度頭を下げた。

　麻璃奈は貴族だ。この世界では、貴族が奴隷に頭を下げることなどありえない。そんなありえない行為を平然と行う麻璃奈に、メルやクラリスは驚きを隠せなかった。

 「え...。そ、そんな！き、貴族様が、我々に頭下げるなんて...」

 「ど、どうして...私たちなんかに頭を...」

　それにしても、元人気女優の清水麻璃奈にナイメール星で出会うなんて、全く予想外だった。本当に驚いた。

　だって、清水麻璃奈は、もう...。


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　ああ、でも目の前の麻璃奈をどうしても見つめられない。これまで散々お世話になったお方だし...。俺の中ではまだまだ伝説の大女優様だよ⁉

　だから、どうしても照れてしまう...。何度あの裸体を想像したことか。お胸に挟まりたいと願ったことか...。

　現実的に挟まれちゃった。こんなことを地元の男友達に話しても、信じてもらえないだろう。そもそも、話せる内容でもないし。

　麻璃奈は、俺が驚きつつも照れくさそうにしている表情を見て満足そうに微笑んだ。「その表情、いいわ♡ナイメール星の男たちは、私をまるで肥溜めを見るような目で見てくるの。本当に感じが悪いのよ！」と、怒りを込めて言った。

　地球では、性別を問わず、誰からも熱狂的な声援を受ける存在だった。しかし、ここは、美醜逆転世界...。

 「でも、やっぱり地球にはもう戻りたくないの...。地球の食材や調味料には興味があるけど、あんな内面も外見も不細工な人たちに囲まれるのはもうたくさん。あなた、いえ、智也君のように、内面も外見も素敵な方に好かれたい...」
　　
　麻璃奈は体をくねらせながら、意味深な言葉を口にした。「不細工な人たちに囲まれるのはもうたくさん」と。どういう意味なんだ？

　それに、麻璃奈は俺のことをイケメンだと思っているのかな？

　うーむ。分からないことだらけだ...。

　俺は困惑した表情を浮かべ、ただただ...麻璃奈をじっと見つめていた。