30 / 42
第29話 やっちまったな~
しおりを挟む
「意識がはっきりした様じゃな。久しぶりじゃ。ローラ様から最近の活躍を伺っておるぞ。頑張っておる様じゃな」
「頑張っておる様じゃな」じゃないよ...親父。なんだか恥ずかしいじゃない。隠していたエッチなデーターが見つかったような、そんな気分。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
俺の親父。根津 友三。スーパー根津の初代経営者。
周りからは友さん、友三さん、太郎は爺ちゃんと呼んでいた。厳格な人であったが根は優しく、困っている者を放っておけない...そんな人であった。
それにしてもここは...いったいどこなんだ?俺たち以外の場所は、真っ暗だし。俺たちのいる場所のみ、スポットライトが当たっているかのように明るい。
おいおいまさか...死んでしまったのか?
...まあいいか。
どうせ死んだ身だし...。
ただ...ルーメイが、周りから責められていないかな?いや...あの性格だと、自分を責めていないか...それだけが心配だな..。いや...あと、アリスト共和国の復興も半ばだし...まだ、やっぱり未練はあるな...。
「なあ...親父。俺が収納魔法をかけた時に、思わず大きな声をあげてしまったルーメイという娘が、周りから責められていないか、心配なんだよ。それに...アリスト共和国の復興も道半ばだし...何とか向こうに戻る手段はないかな?」
まぁ、せめてルーメイだけでも助けられないだろうか...。俺が収納魔法も使えることを、言わなかったのが悪いんだし。
「さすが我が息子よ。自分の事よりも他人の心配をするとは...立派な心がけじゃ。それに、わしよりもずっと優秀みたいじゃな。太郎同様に魔力量がわしよりも数段多い」と誇らしげに言ってきた。
「太郎の事も知っているのか親父!」興奮して親父に詰め寄ってしまった。まさか死んだのか?異国の地で不幸でもあったのか?」
「少し...いや時の流れが、正の住んでいる場所とは違うでの、何とも言えぬが...。わしの感覚じゃ、つい先ほどまでここに来ていたぞ。魔力枯渇でな。魔力が回復したのち、サーマレントの地に戻っていった。元気そうじゃったわい」
太郎も来たのか...そうか...。この場所で元気そうだと言われても,,,何だが不思議な気分になるのだが...でも近況が聞けて良かった。
「そうか、その...君江はどうなんだ?元気にしているのか?」
太郎も気になるが、嫁さんも大丈夫だろうか?若い女の子たちに囲まれてはいるが、嫁さんを忘れたことは無い。ただ逢えないとな―。誘惑に負けちゃいそう。
「安心せい。太郎やトヨさんと元気に暮らしておるぞ。向こうの世界のこと、スーパー根津のことは太郎に任せておけば、大丈夫だろう」
そうか...君江もトヨさんも元気なんだな。よかった。それとスーパー根津も安泰の様だ。なんだか複雑な気持ちだけど。
もうあっちの世界には関われない身だし、太郎と残っている者に任せるしかない様だな。
「それよりも親父、帰れるなら早く帰らないと、皆も心配しているだろう。まだまだやることがあるようだしな。魔物の肉も、もっと狩らないと!」
俺が親父に詰め寄ると、分かった分かったというような感じで、親父は両手で俺の行動を制した。
「分かっておる。落ち着け正。逆にあまりこちらにも置いておけないからの。それと正、ローラ様からじゃ。この石板を受け取りなさい」
そう言って親父は3枚の石板を俺に渡した。
何だ、この手のひらサイズの石の板は?その表面には、訳が分からない模様みたいなものが描かれている..。
「ローラ様は、黙って正のアイテムボックスに入れておくこともできたが、わしと話す機会を与えてくれたのだろう。ありがたい事じゃ。その石板については、わしも何も知らない。ただ、今おる場所、アリスト共和国で鍵となるアイテムであることに、間違いはないだろう。無くさないように持って帰りなさい」
まあ訳が分からないが、持って帰ろう。
「正よ。魔力の使いすぎや、相手から強力な魔法攻撃を喰らったら、わし達とこちらの世界で暮らす羽目になるぞ。油断するなよ。寿命と役割をしっかりと果してからこっちに来い」
親父...。
「親父、今度会う時は、全部やりきってから会いたよ。ありがとう」
「では正...頑張ってな」
「またな、親...」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ふー、帰ったか...。久しぶりに見た正は、元気そうじゃったわい。
「これでよかったのでしょうか...ローラ様?」
そう...わしが暗闇に向かって呟く。呟いた少しあと...わしの後ろ側が急に明るくなり、ローラ様が姿を現した。
「お疲れさまでした。お役目ご苦労様でした。太郎さんには鍵を、正さんには石板を...。渡して下さりありがとうございました」
そうローラは友三に頭を下げた。
「よ、よして下さい、ローラ様。わしは息子と孫の成長がみられて、とても満足をしております。こちらの方が礼を言わなければならないぐらいですじゃ」
そう友三は慌てながら、ローラに向かって頭を下げた。
「あの2人に渡したアイテムは、今後の2人の生き方を左右するもの。あのアイテムにより出会いがあり、別れを呼び込むかもしれません...ただし、あれらのアイテムを使う時は、大きな分岐点になる事には違いありません。見守りましょう」
その言葉に友三は、静かに頷いた...。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「うーん」
「レ、レン様、レン様が、レン様の意識が!エルム様!み、皆さん!」
「うーん」
はっ、この柔らかさは、ルーメイの胸。帰ってきたのか。よかった。ルーメイに謝らないと。
「ルーメイ心配かけてすまなかったね。本当にごめんよ。俺がアイテムボックス持ちだと告げておけば...こんな騒ぎにならずに済んだのに。ルーメイ、皆に責められなかった?自分を責めなかった?」
俺は、心配に思っていたことを、全部ルーメイに吐き出した。
ルーメイは驚いたような表情をして、俺をもう一度抱きしめた。
「自身のことよりも、私のことを心配して下さるとは...ありがとございます。私は大丈夫です」
するとルーメイの後方から、エルムが慌てたように駆け寄ってきた。
「レン様、ルーメイのことを責めてはおりません。ご安心下さい。私たちは元からそのようなことをするつもりはありません。いくらレン様とはいえ、ダンジョン内は明らかな殺意がない場合は、基本...自己責任です」
そうエルムは言った。「それよりも...」そう言った後、ルーメイを見て...ため息を吐いた。
「自分を責めて、自害しますと大変だったんですよ。もう少しレン様のお帰りが遅かったら...どうなっていたことやら...」
エルムは、俺を抱きしめているルーメイを、もう一度見つめた。
「それにしてもice womanこと、ルーメイにこんな一面があるとは...。非常に驚いています」
そう本当に驚いた表情をしながら、俺に伝えてきた。
「本当、申し訳ございませんでした。アリスト共和国の希望の星であるレン様を危険な目に合わせて...。命に代えてでも、いや、私の命をなげうってでも救おうと誓ったのに...」
涙でボロボロの顔で、俺に訴えてきた。
「ルーメイ、それは間違っている。気持ちはありがたいが、ルーメイ...それは違うよ。命の重さに大きい小さいはない。皆、大事なんだよ。もちろんルーメイの命も俺の命も同じなんだよ...」
これから、この「戦の間」の深層に向かうにしたがって、ローラ様から様々な能力を頂いた俺ですら、不慮の死を迎えることもあるだろう。
そんな時に...もう2度とこんなことが起こらないように、しっかりと俺の思いを伝えないと...。
「レン様...レン様と私が同じ命の重さなんて...私は親に捨てられた、スラム出身者。そんな私とレン様が同じなんて...信じられません!」
俺の言葉が本当に信じられないのだろう。泣いていたばかりのルーメイが、泣くこと以外の行動を示した。
「そんなことはない。そんなことはないんだよルーメイ...出身や生い立ちに違いがあっても、今一緒にいるルーメイが俺をかばって死ぬのなら、俺は悲しい。それに責任を感じる。ルーメイの思っている気持ちと同じだろう?」
ルーメイは信じられない言葉を聞いたような、驚愕した表情を浮かべながらも、何かぶつぶつと呟いている。
「私とレン様の命の重さが同じ。私がいなくなると寂しい。一緒にずっといたい。私に俺の傍にずっといろ...」
そして泣いていたと思っていた表情が一瞬に消え、笑顔で俺を、更に強い力で抱きしめた。
「レン様~。私はもう、レン様の近くから離れません。レン様のそばを歩き、共に生きる道を選びます。そういうことですよね。レン様!」
そうなのドレン、エレン、モルスル?
助けを求め、3人に目線を移すと...さっと目をそらされた。やばいのかな...やっちまったのかな?
「ま、まずは、安全に下層を進み、より沢山の食料を得よう。ル、ルーメイ、それでいいかな?」
そう言いながら、そっとルーメイを俺から引き離した。
「もちろんです。まずは美味しいお肉を、狩って狩りまくりましょう!しっかりと食べて精を付けないと...」
そうルーメイは、恍惚とした表情で俺を見つめながら、身体をもじもじとさせた。
全然分かっていないがな...
は~何はともあれ...捜索を再開するか。
そう思いながら、親父から授かった石板を、アイテムボックス内にしまうレンであった。
「頑張っておる様じゃな」じゃないよ...親父。なんだか恥ずかしいじゃない。隠していたエッチなデーターが見つかったような、そんな気分。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
俺の親父。根津 友三。スーパー根津の初代経営者。
周りからは友さん、友三さん、太郎は爺ちゃんと呼んでいた。厳格な人であったが根は優しく、困っている者を放っておけない...そんな人であった。
それにしてもここは...いったいどこなんだ?俺たち以外の場所は、真っ暗だし。俺たちのいる場所のみ、スポットライトが当たっているかのように明るい。
おいおいまさか...死んでしまったのか?
...まあいいか。
どうせ死んだ身だし...。
ただ...ルーメイが、周りから責められていないかな?いや...あの性格だと、自分を責めていないか...それだけが心配だな..。いや...あと、アリスト共和国の復興も半ばだし...まだ、やっぱり未練はあるな...。
「なあ...親父。俺が収納魔法をかけた時に、思わず大きな声をあげてしまったルーメイという娘が、周りから責められていないか、心配なんだよ。それに...アリスト共和国の復興も道半ばだし...何とか向こうに戻る手段はないかな?」
まぁ、せめてルーメイだけでも助けられないだろうか...。俺が収納魔法も使えることを、言わなかったのが悪いんだし。
「さすが我が息子よ。自分の事よりも他人の心配をするとは...立派な心がけじゃ。それに、わしよりもずっと優秀みたいじゃな。太郎同様に魔力量がわしよりも数段多い」と誇らしげに言ってきた。
「太郎の事も知っているのか親父!」興奮して親父に詰め寄ってしまった。まさか死んだのか?異国の地で不幸でもあったのか?」
「少し...いや時の流れが、正の住んでいる場所とは違うでの、何とも言えぬが...。わしの感覚じゃ、つい先ほどまでここに来ていたぞ。魔力枯渇でな。魔力が回復したのち、サーマレントの地に戻っていった。元気そうじゃったわい」
太郎も来たのか...そうか...。この場所で元気そうだと言われても,,,何だが不思議な気分になるのだが...でも近況が聞けて良かった。
「そうか、その...君江はどうなんだ?元気にしているのか?」
太郎も気になるが、嫁さんも大丈夫だろうか?若い女の子たちに囲まれてはいるが、嫁さんを忘れたことは無い。ただ逢えないとな―。誘惑に負けちゃいそう。
「安心せい。太郎やトヨさんと元気に暮らしておるぞ。向こうの世界のこと、スーパー根津のことは太郎に任せておけば、大丈夫だろう」
そうか...君江もトヨさんも元気なんだな。よかった。それとスーパー根津も安泰の様だ。なんだか複雑な気持ちだけど。
もうあっちの世界には関われない身だし、太郎と残っている者に任せるしかない様だな。
「それよりも親父、帰れるなら早く帰らないと、皆も心配しているだろう。まだまだやることがあるようだしな。魔物の肉も、もっと狩らないと!」
俺が親父に詰め寄ると、分かった分かったというような感じで、親父は両手で俺の行動を制した。
「分かっておる。落ち着け正。逆にあまりこちらにも置いておけないからの。それと正、ローラ様からじゃ。この石板を受け取りなさい」
そう言って親父は3枚の石板を俺に渡した。
何だ、この手のひらサイズの石の板は?その表面には、訳が分からない模様みたいなものが描かれている..。
「ローラ様は、黙って正のアイテムボックスに入れておくこともできたが、わしと話す機会を与えてくれたのだろう。ありがたい事じゃ。その石板については、わしも何も知らない。ただ、今おる場所、アリスト共和国で鍵となるアイテムであることに、間違いはないだろう。無くさないように持って帰りなさい」
まあ訳が分からないが、持って帰ろう。
「正よ。魔力の使いすぎや、相手から強力な魔法攻撃を喰らったら、わし達とこちらの世界で暮らす羽目になるぞ。油断するなよ。寿命と役割をしっかりと果してからこっちに来い」
親父...。
「親父、今度会う時は、全部やりきってから会いたよ。ありがとう」
「では正...頑張ってな」
「またな、親...」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ふー、帰ったか...。久しぶりに見た正は、元気そうじゃったわい。
「これでよかったのでしょうか...ローラ様?」
そう...わしが暗闇に向かって呟く。呟いた少しあと...わしの後ろ側が急に明るくなり、ローラ様が姿を現した。
「お疲れさまでした。お役目ご苦労様でした。太郎さんには鍵を、正さんには石板を...。渡して下さりありがとうございました」
そうローラは友三に頭を下げた。
「よ、よして下さい、ローラ様。わしは息子と孫の成長がみられて、とても満足をしております。こちらの方が礼を言わなければならないぐらいですじゃ」
そう友三は慌てながら、ローラに向かって頭を下げた。
「あの2人に渡したアイテムは、今後の2人の生き方を左右するもの。あのアイテムにより出会いがあり、別れを呼び込むかもしれません...ただし、あれらのアイテムを使う時は、大きな分岐点になる事には違いありません。見守りましょう」
その言葉に友三は、静かに頷いた...。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「うーん」
「レ、レン様、レン様が、レン様の意識が!エルム様!み、皆さん!」
「うーん」
はっ、この柔らかさは、ルーメイの胸。帰ってきたのか。よかった。ルーメイに謝らないと。
「ルーメイ心配かけてすまなかったね。本当にごめんよ。俺がアイテムボックス持ちだと告げておけば...こんな騒ぎにならずに済んだのに。ルーメイ、皆に責められなかった?自分を責めなかった?」
俺は、心配に思っていたことを、全部ルーメイに吐き出した。
ルーメイは驚いたような表情をして、俺をもう一度抱きしめた。
「自身のことよりも、私のことを心配して下さるとは...ありがとございます。私は大丈夫です」
するとルーメイの後方から、エルムが慌てたように駆け寄ってきた。
「レン様、ルーメイのことを責めてはおりません。ご安心下さい。私たちは元からそのようなことをするつもりはありません。いくらレン様とはいえ、ダンジョン内は明らかな殺意がない場合は、基本...自己責任です」
そうエルムは言った。「それよりも...」そう言った後、ルーメイを見て...ため息を吐いた。
「自分を責めて、自害しますと大変だったんですよ。もう少しレン様のお帰りが遅かったら...どうなっていたことやら...」
エルムは、俺を抱きしめているルーメイを、もう一度見つめた。
「それにしてもice womanこと、ルーメイにこんな一面があるとは...。非常に驚いています」
そう本当に驚いた表情をしながら、俺に伝えてきた。
「本当、申し訳ございませんでした。アリスト共和国の希望の星であるレン様を危険な目に合わせて...。命に代えてでも、いや、私の命をなげうってでも救おうと誓ったのに...」
涙でボロボロの顔で、俺に訴えてきた。
「ルーメイ、それは間違っている。気持ちはありがたいが、ルーメイ...それは違うよ。命の重さに大きい小さいはない。皆、大事なんだよ。もちろんルーメイの命も俺の命も同じなんだよ...」
これから、この「戦の間」の深層に向かうにしたがって、ローラ様から様々な能力を頂いた俺ですら、不慮の死を迎えることもあるだろう。
そんな時に...もう2度とこんなことが起こらないように、しっかりと俺の思いを伝えないと...。
「レン様...レン様と私が同じ命の重さなんて...私は親に捨てられた、スラム出身者。そんな私とレン様が同じなんて...信じられません!」
俺の言葉が本当に信じられないのだろう。泣いていたばかりのルーメイが、泣くこと以外の行動を示した。
「そんなことはない。そんなことはないんだよルーメイ...出身や生い立ちに違いがあっても、今一緒にいるルーメイが俺をかばって死ぬのなら、俺は悲しい。それに責任を感じる。ルーメイの思っている気持ちと同じだろう?」
ルーメイは信じられない言葉を聞いたような、驚愕した表情を浮かべながらも、何かぶつぶつと呟いている。
「私とレン様の命の重さが同じ。私がいなくなると寂しい。一緒にずっといたい。私に俺の傍にずっといろ...」
そして泣いていたと思っていた表情が一瞬に消え、笑顔で俺を、更に強い力で抱きしめた。
「レン様~。私はもう、レン様の近くから離れません。レン様のそばを歩き、共に生きる道を選びます。そういうことですよね。レン様!」
そうなのドレン、エレン、モルスル?
助けを求め、3人に目線を移すと...さっと目をそらされた。やばいのかな...やっちまったのかな?
「ま、まずは、安全に下層を進み、より沢山の食料を得よう。ル、ルーメイ、それでいいかな?」
そう言いながら、そっとルーメイを俺から引き離した。
「もちろんです。まずは美味しいお肉を、狩って狩りまくりましょう!しっかりと食べて精を付けないと...」
そうルーメイは、恍惚とした表情で俺を見つめながら、身体をもじもじとさせた。
全然分かっていないがな...
は~何はともあれ...捜索を再開するか。
そう思いながら、親父から授かった石板を、アイテムボックス内にしまうレンであった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,203
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる