庭師見習いは見た!お屋敷は今日も大変!

NO*NO(ののはな)

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庭師見習いは見た!伯爵家って何者?!

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全員が揃ったのを見てとった衛兵長は、庭師組を後方にして人員を二手に分け、両開きの扉の両側に控えさせた。

斥候2人が勢いよく扉を開けて滑り込んで身構えたが、中にはもう既に捕縛されたまま眠っている泥棒らしき者と金庫と、談笑している旦那様とフレッドがいた。

「旦那様?!いつの間に?!」

「遅かったな。おい!逃げるぞ!親方とローランドを捕まえろ!」

驚く衛兵長に笑顔を向けた旦那様は、厳しい顔になって叫んだ。

逃げようとしていた2人が小声で合図し合うのを聞き留めていた僕と直属のフィル先輩は、親方とローランド先輩に体をぶつけて押し倒した。
すぐに衛兵たちが加勢してくれて、親方とローランド先輩も捕縛された。

「旦那様?!どうして私たちを捕まえるのですか?!」
「そうです!フレッドはいつも屋敷中をウロウロしてメモを取っていました。手引きしたのはフレッドです!」

「え?僕、方向音痴だから地図を作っていただけだし、鍵も持っていないし手引きなんて出来ないです」

ニコニコと話すフレッドを、目を泳がせながら睨み付けていたローランド先輩に、旦那様が声をかけた。

「金庫を抱えて眠っているはずのフレッドが起きているのが不思議か?居ないはずの仲間が捕まって眠らされているのが不思議か?ああ、屋敷で指図していたはずの私が先回りしていたのが不思議か?」

「「………」」

「全部か。ん~、どこから話すかな。フレッドの父親とは、いろいろあって疎遠になっていたが学生時代からの親友だった…」

「旦那様、遡りすぎです。僕たちの過去はどうでもいいんですから。まず屋敷で指図していたのは旦那様ではなくて影武者です。そこの人は尾行されて、昨夜のうちに忍び込んできた旦那様に倒されました。そして僕は眠らされていましたが、旦那様に意識を取り戻してもらいました。その後は、旦那様は屋敷に戻り、僕がそこの人を見張っていました」

いや、その辺はなんとなく理解出来るから、旦那様とフレッドの過去の方が気になるよな。
旦那様なんて雲の上の存在というか、庭師の僕たちとは接点が無いからフレッドと親しいとは知らなかった。

警察の到着を待つ間、手持ち無沙汰だった僕は片耳を屋敷に飛ばして様子を探った。

「ぇ…執事長が…?」

思わず呟いた僕は、いつの間にか隣にいたフレッドとフィル先輩に両脇を固められて外へ連れ出された。

「マイク、お前何か持ってるな?」

フィル先輩に囁かれた僕は、同じように聞き返した。

「フィル先輩もフレッドも旦那様も…メリーさんもメイドの女の子たちも…じゃないですよね?」

「交換条件か。今日は仕事にならないだろうし、ネタばらしはこの捕り物の後だな」

「マイク、これだけは先に言っておくけど、君を騙そうとしたとかそういうことは無いから」

「フレッド…うん。そういうことじゃないのは分かる。何か秘密があるんだろう?無理に部外者の僕に話さなくてもいいよ」

「部外者じゃなくなってほしいんだ」

「え?」

「後でね」

警察隊の姿が見えたのでフィル先輩は僕からパッと体を離して、大きく手を振って誘導した。





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