14 / 14
14話
しおりを挟むレヴィアが住んでいる家は、王宮から少し離れたところにある森の中にあった。木造建築の落ち着いた家の雰囲気と森の自然と約1ヶ月間触れ合っていくうちに自ずと体調は良くなり、精神状態も安定していった。もちろん、あの家の人達を憎んでいないといえば嘘になる。今だってお兄様との出来事を思い出すだけで怖いし、継母がお母さんに何かしたことを忘れたわけでもない。でも、とりあえず今は2人と落ち着いて楽しく過ごせるこの時間を大切にしようと思った。
日が昇っているうちは、学校に行って、日が沈むとレヴィアとニックの3人で暖炉の火を囲んで談笑する。何気無いこの日常が幸せだ。休日は3人で狩りをしたり、湖の中で水飛沫を掛け合ったりもした。生活をし始めた頃は、仲があまり良くなかったニックとレヴィアも暫くすると、ふざけ合えるような仲になったらしい。よくじゃれ合っている姿を見掛ける。ニックと私は主従関係が出来てしまっていて、気軽に話しかけてはくれないから、リリィは少し寂しかったけれど、私たちの間には確かな信頼関係が存在した。ニックは私のことを友達として見てはくれないけれど、私は彼を大切な友達だと思っている。
笑い合えて、楽しい仲だけが、友達ではない。何も話さなくたって、ただ一緒にいるだけで落ち着くそんな友人も素敵だと思うんだ。
ある日のこと、レヴィアは森に狩りに行き私とニックが家事をしていた時のことだった。
「リリィ様はレヴィア様に惚れてますよね?」
突然ニックがそんなことを言ってきたのだ。
「ちょっと!いきなり何を言うのよ!」
まさかニックがそんなことを言うなんて思わず、もっていたお水を零しそうになってしまった。
「図星ですね」
「そ、そんなことないわよ」
「分かりますよ。私が1番近くでずっとリリィ様のこと見てきたので」
相変わらずの無表情でリリィは彼の考えが読めなかった。
「本人には内緒にしてね」
「もちろんです。ちょっとした好奇心で聞いてみたので、気になさらないで下さい」
「大丈夫よ。気にしてないわ」
私たちは話を終えるとそれぞれが家事の役割をこなし始めた。
私がレヴィアを好きになったのはいつからなんだろう。正確な時期は分からない。気がついた時には、彼の顔を見るだけで胸がときめくし、どうしようもなくずっと傍に居たいと思ってしまったんだ。
でもきっと彼は、私に責任を感じて優しくしてくれているだけなのだろう。彼からも愛されたい。相手に求めすぎてしまうのはいけないことで、ただ自分が辛くなるだけなのに。だから、私はこの思いを隠していた。彼にバレてこの思いさえも拒絶されたくなかったから。
その時、ちょうどレヴィアが家に帰ってきた。手には手紙をもっているようだった。
「学校から卒業パーティの招待状が届いてたけど行くだろ?」
「ええ、行くわ」
「封印はどうする?もうそろそろ解いてもいい頃だと思うが」
私は首に掛かってるペンダントを見つめる。
「覚悟はできてる」
「そうか」
レヴィアはリリィをベッドに寝かせると、リリィの手から数滴の血をとって、ペンダントの上に垂らした。レヴィアはその上から呪文を唱えている。まるで雷が地に落ちたような音が部屋中ち響き、同時にそこに封印されていた魔力や記憶が激しい頭痛と共にリリィを襲う。
私はは思い出した。
母は全滅してしまったエルフ族の姫であり、私は血が混ざってしまったもののエルフの血を受継ぐ最後の存在。
継母は父が母にばかり夢中になったことで、異常なまでの嫉妬心を抱いていたこと。そして、それが契機となり母を殺害。父に闇魔術である洗脳の魔法、私に封印の術をかけ、これまでの事実を隠蔽した。
リリィは全部を思い出し、今すぐにでも家へ帰りたい気持ちでいっぱいだったが、魔力がいきなり流れ込んだことで気絶するように眠り込んだ。
あの夢は本当だったんだ。
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(3件)
あなたにおすすめの小説
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
拾った年上侯爵が甘え上手すぎて、よしよししてたら婚約することになりました
星乃和花
恋愛
⭐︎火木土21:00更新ー本編8話・後日談8話⭐︎
王都の市場で花屋をしているリナは、ある朝――
路地裏で倒れている“美形の年上男性”を拾ってしまう。
熱で弱っているだけ……のはずが、彼はなぜか距離が近い。
「行かないで」「撫でて」「君がいると回復する」
甘えが上手すぎるうえに、褒め方までずるい。
よしよし看病してあげていたら、いつの間にか毎日市場に現れるようになり、
気づけば花屋は貴族の面会所(?)になっていて――
しかも彼の正体は、王都を支える侯爵家の当主だった!?
「君は国のために必要だ(※僕が倒れるから)」
年上当主の“甘え策略”に、花屋の心臓は今日ももたない。
ほのぼの王都日常コメディ×甘やかし捕獲ラブ、開幕です。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
私の婚約者でも無いのに、婚約破棄とか何事ですか?
狼狼3
恋愛
「お前のような冷たくて愛想の無い女などと結婚出来るものか。もうお前とは絶交……そして、婚約破棄だ。じゃあな、グラッセマロン。」
「いやいや。私もう結婚してますし、貴方誰ですか?」
「俺を知らないだと………?冗談はよしてくれ。お前の愛するカーナトリエだぞ?」
「知らないですよ。……もしかして、夫の友達ですか?夫が帰ってくるまで家使いますか?……」
「だから、お前の夫が俺だって──」
少しずつ日差しが強くなっている頃。
昼食を作ろうと材料を買いに行こうとしたら、婚約者と名乗る人が居ました。
……誰コイツ。
幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない
ラム猫
恋愛
幼い頃に、セレフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セレフィアはそれを喜んで受け入れた。
その後、十年以上彼と再会することはなかった。
三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セレフィアはその場を離れた。
しかし治療師として働いているセレフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。
それどころか、シルヴァードはセレフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。
「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」
「お願い、セレフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」
※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり
鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。
でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
お母さん、まさかのエルフとはΣ(゚ロ゚;)。
前髪、上げるべきではなかったのでは😰。
ヒーローはニックの方が相応しいな(笑)。