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3 至って至生
至って至生7
しおりを挟む「もうやめたんですか? 男の道」
翌朝の普通の姿に笑顔の聖人に問われた。俺は今までふざけた事を多数やってきてしまったので、またそうだと思われている。
あいつには匂いでごまかしても無駄だってわかったし、ばれてる以上ごまかす必要もない。もう無駄な抵抗はやめたんだ。
あれから数日、俺はあの上級生のおもちゃにされている。
昼休みに一緒に弁当を食べて、それから休み時間が終わるまで一緒にいる。
べつに特に大した事はされていない。キスをされるくらいで、あの時間ではたいした事はできないからだ。
だんだん近づいてくるヒート。明日の金曜日あたりに来てしまいそうだ。
見送りの聖人から感じる微妙な匂い。それにぞわぞわと反応する俺の感覚がそう伝えてくる。抑制剤を飲んでいるのに。きっと聖人にも俺からもすこし甘い匂いとかしてるんだろうな。
昼休み屋上のテラスに弁当をもって向かう。階段をつらつら上りながら俺は何をやってんだろうって思う。
上級生は橋詰という3年生で、想像どおりαだった。
社会の中ではΩも珍しいけれど、αもそれなりに珍しい。特定の世界や階層では当たり前のようにいるけれど。
彼らは華やかで知的なポジションや権力に近い場所にいたりするので社会的に存在を知られていた。悪い面ばかりクローズアップされがちなΩと大違いだ。
昼休みに誰もいない屋上。二人だけで食べる弁当。これはきっとこの目の前にいる先輩が何かしたに違いない。
「この学校でΩの君と出会えるなんて運がいい。ヒートとか慣れてないでしょ。そんな感じがする」
勝手にしゃべっている先輩。俺は適当に相づちをうち、内心で突っ込む。
はい。慣れていません。ヒートが来るようになってしまったのは、つい、最近です。
キスをされても指先程度の弱い抵抗など意味が無かった。強い意志の前に丸め込まれ、俺は昔の悪い癖で黙り込んでしまう。
俺の無言を肯定にとったのか、今日の行為はエスカレートしていく。俺の耳元に顔を寄せてくる。
「匂いが強くなってる。明日にもヒートかな」
匂いに興奮したのか、俺の喉もとのボタンを外していく。口元から喉に這わされていく唇。
ズボンのベルトを緩められシャツの下から手が、俺の日に当たらない柔い肌から上半身に這い上がってくる。
先輩は俺に触ることに夢中だ。俺は胸や腹を触られる違和感で呆然となっていた。こんなシーン過去に何度もあった。
αだというこの先輩に俺は全然ときめかない。胸の動悸はしない。セックスがしたいなんて思わない。ヒート前なのに何で先輩はこんなに興奮してるんだろう。
俺は聖人の姿を思い浮かべた。真面目でストイックな聖人。その聖人が乱れた時があった。俺の初めてのヒートの時だ。顔が赤らんで目は潤んでいた。
きっと俺なんかも鼻の穴も毛穴も全開で、もっと凄い姿だっただろうけどさ。
聖人に触られてる。聖人に触れている。ふと、そんな気がしてしまった。俺は自分が今、誰に触られているのか忘れてしまった。
「君はいやらしい子だね。ヒート前なのにこんなにして」
いつの間にか俺の前はズボンを押し上げてしまっていた。先輩はにやけて嬉しそうに俺の前に触れてくる。俺は背中が冷えていくのを感じた。
背景にはまた授業開始のメロディが流れていた。
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