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第三話
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ジェニー嬢の婚約保険が契約されてから数日、ヴィンスはアカデミー内の、人払いされた理事長室を訪れていた。
「今回も何かとご協力お願いしますね、理事長先生」
「いやはや、ヴィンセント殿。また我が校の生徒があなた様がたにご迷惑をお掛けすることになるとは……」
「理事長、僕はもうただのヴィンスです。それにこれは、婚約破棄という結果で誰にも傷付いて欲しくないという僕のライフワークのようなものですし、家族はそれに付き合ってくれているだけです」
ヴィンスはにっこり笑い、ウィルが用意した書類一式を提出した。
「今回は、妻のエルサがアカデミーに出入りします。女子生徒向けに、良い妻、良い母であるためのセミナーを開く夫婦関係アドバイザーとして。そこで件の、ワトソン家の令嬢とも接触出来るでしょうから。理事長には、定期的に進捗状況をお伝えしますので、エルサが動きやすいように根回しをお願いします」
ヴィンスが理事長室を後にしたので、退出を命じられていた秘書が戻ってきた。
「理事長、今のヴィンスという男性は一体何者なんですか?度々理事長を訪ねてきては密談を交わされているようですが……」
「彼は……このアカデミーの卒業生の一人だよ。在学中にある騒動を起こして大変だった、いち卒業生だ……」
理事長との話がついたら、次はカーディナル家だ。ヴィンスは一旦バーに戻り、エルサから変身の魔道具を受け取った。
「じゃあ、僕はしばらくカーディナル家にお世話になるから、ジェニー嬢の方はよろしく頼んだよ、エルサ」
「任せてちょうだい。通信用のクリスタルは持った?連絡だけはちゃんとお願いね」
魔道具を使い、異国の要人スタイルに姿を変えたヴィンスはバーを出た。
店の扉には『仕入れの旅に出ているので、しばらく休みます』というボードが架けれられていた。
「今回も何かとご協力お願いしますね、理事長先生」
「いやはや、ヴィンセント殿。また我が校の生徒があなた様がたにご迷惑をお掛けすることになるとは……」
「理事長、僕はもうただのヴィンスです。それにこれは、婚約破棄という結果で誰にも傷付いて欲しくないという僕のライフワークのようなものですし、家族はそれに付き合ってくれているだけです」
ヴィンスはにっこり笑い、ウィルが用意した書類一式を提出した。
「今回は、妻のエルサがアカデミーに出入りします。女子生徒向けに、良い妻、良い母であるためのセミナーを開く夫婦関係アドバイザーとして。そこで件の、ワトソン家の令嬢とも接触出来るでしょうから。理事長には、定期的に進捗状況をお伝えしますので、エルサが動きやすいように根回しをお願いします」
ヴィンスが理事長室を後にしたので、退出を命じられていた秘書が戻ってきた。
「理事長、今のヴィンスという男性は一体何者なんですか?度々理事長を訪ねてきては密談を交わされているようですが……」
「彼は……このアカデミーの卒業生の一人だよ。在学中にある騒動を起こして大変だった、いち卒業生だ……」
理事長との話がついたら、次はカーディナル家だ。ヴィンスは一旦バーに戻り、エルサから変身の魔道具を受け取った。
「じゃあ、僕はしばらくカーディナル家にお世話になるから、ジェニー嬢の方はよろしく頼んだよ、エルサ」
「任せてちょうだい。通信用のクリスタルは持った?連絡だけはちゃんとお願いね」
魔道具を使い、異国の要人スタイルに姿を変えたヴィンスはバーを出た。
店の扉には『仕入れの旅に出ているので、しばらく休みます』というボードが架けれられていた。
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