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106.夏の離宮
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天河が久しぶりに離宮を訪れていた。
夏の離宮はパレスと呼ばれ、湖のそばにあり、王家の人々の静養として使われて来た。
孔雀が総家令になり、最初に改修した離宮。
翡翠と孔雀の好みに沿って改修されたその佇まいは、瀟洒とも嬋媛とも称されて、宮廷の人々に好ましく受け入れられていた。
広い庭には噴水があり、大きな蚊帳付きのラタンの丸いソファが置かれていた。
リラックスした雰囲気が改装した後の花石膏宮に似ていた。
夏と冬はこの離宮で過ごすのが翡翠のお気に入りだ。
夏は避暑、静養という名のバカンスの為に、冬は翌春の登用試験期間中となりその間は皇帝は離宮に移る。
更に今年は特別で「秋になったらまた忙しくなる」らしい。
その理由を大嘴から聞いた時、天河は悪い冗談だろうと空を仰いだものだ。
孔雀は分厚いカタログをあれこれ見比べながら付箋を貼り、あちこちに発注手配している。
「天河様。お若い女性って、このサーモンピンクと、このライラック、どっちがいいでしょうか・・・?」
壁紙のカタログを見せられる。
天河はこれ、と適当に指差した。
「・・・これは抹茶色ですね・・・。ちょっと渋すぎではない・・・?」
と、また悩んでしまう。
後宮に新しく継室が入ることになったのだ。
新しい継室には硅化木宮が与えられる事になり、現在、お得意の改装中というわけだ。
「天河様の宮の花石膏宮と硅化木宮はお隣になりますから、よろしくお願いしますね」
何をどうよろしくせえと言うのかと思いつつ、天河はまた適当に頷いた。
「|醤油でも切れたら快く貸してやるよ」
「そうではなく・・・。それも大事な事ですね・・・」
天河は、新しく継室が入宮すると聞き、藍晶に継室が入るのだろうと思っていたので、当初別段不思議にも思わなかったが、よくよく聞いてみると翡翠にだと言う。
皇太子にではない、皇帝にだ。
腹違いの兄は、いいんじゃない、と全く気にする様子もない。
それどころか自分の新しい恋人と過ごす事で忙しいようだった。
確かに皇太子のこの状態だ。
新しい継室など何人来たところでどうしようもないかもしれない。
そもそも藍晶は器用な男で、かつ、とにかく華がある。
皇太子という立場で社交界でも有名。
アカデミーも一番早く卒業できる科を優秀な成績でさっさとスキップ卒業し、公務に勤しんでいるのだから、どこからも文句の入りようはないのだが、とにかく浮いた話が多い。
それを許す世間が悪いと、孔雀は苦言を呈するが、そもそもタイプが違う。
さらに別れ下手、というか、飽きてしまうと、孔雀にその尻拭いをさせるのだ。
軍属にはついてはいるが、いつまでもアカデミーに在籍し、研究と教鞭まで取って公務からさっぱり離れている自分よりは当然皇太子は評価もされているのは確実ではある。
藍晶には正室はいるが、将来的に継室に、または継室にはなれなくても公式寵姫に恋人に、と自選他薦の人間が常に群がっているわけだ。
「天河様、ほら、あれです。言うなれば、きれいなお花に蝶々が集まるみたいに・・・」
と、なかなかな例えだが。
「餌に猛獣が群れているの間違いじゃないか?」
天河がそう言ったのに、孔雀は妙な顔をした。
「・・・似てらっしゃる」
「何が?」
孔雀がそっと声をひそめた。
「翡翠様が、藍晶様は誘蛾灯だって仰ったんです」
天河は肩をすくめて孔雀からソーダを受け取った。
「・・・なんだこれ・・・うまい」
「大嘴お兄様とお庭に去年植えた生姜が豊作で。松の葉っぱとかスパイス足してジンジャーエール作ってみました!」
「・・・田舎のばあちゃんみたいだね・・・」
「あと、これ、鳥達の庭園の果樹園で、商品にならなかった青桃をナッツとバニラと蜂蜜に漬けてみたんです。こっちはピクルス。こっちはレモンコンフィと一緒に漬けたものなんです。ちょっとした六次化商品です。お味見どうぞ」
道の駅ででも売り出すつもりか。
「・・・カレーの時とかにいいかもね・・・」
「あ、福神漬けってナイスアイディアですね。行き詰まったらカレーかアイス関係・・・。こちらは、アーモンドの花から酵母を起こしたパンなんですけれど・・・」
孔雀が次から次へと出す製品未満を言われるまま食べていると翡翠が現れた。
「孔雀、注文していた食器のサンプルが金糸雀から届いたよ。大嘴がヘリで持って来たそうだ」
翡翠は離宮暮らしもすっかり慣れて、だいぶリラックスした雰囲気だ。
「・・・私、ちょっと確認して参ります」
孔雀はうきうきとしながら礼をすると、翡翠にもジンジャーエールを手渡し、すっ飛んで行った。
「・・・皿?」
「そう。新しい継室の使う分を特注でフルセットで揃えたんだってさ」
新しい継室主催の設宴の時に使うらしい。
壁紙、ファブリック、食器の類までせっせと用意しているらしい。
「・・・物好き」
ふん、と翡翠が笑った。
「羨ましいだろ」
ジンジャーエールのグラスに、翡翠は不思議な形のアンフォラ瓶から琥珀色の液体を継ぎ足すと美味そうに舐め始めた。
孔雀が漬けた梅酒が最近のお気に入りだ。
「失礼致します。緋連雀が参りました。・・・陛下、殿下、お夕食はお庭でいかがですかと孔雀が申しておりますけれど・・・?」
この離宮では夏の間は、まだ日が高いうちに夕方に食事をして、夜にまた各々何か食べるような生活になっていた。
美貌の女家令が告げた提案に翡翠はいいね、と頷いた。
「涼しくなってきたからね。・・・どれ、私も見に行こうかな。どんな具合だい?」
緋連雀はテーブルいっぱいの食べ物を眺めた。
「こちらは田舎の食品見本市ですけれど。あちらは孔雀がお店を広げてしまって、執務室が陶器市です」
緋蓮雀が妹弟子を茶化すのに、翡翠が笑った。
緋連雀が、天河にもう少ししたら食事の用意をするように言った。
「お夕食は十七時です。お庭にテーブルを出しますので」
事務的にそう言うと、緋連雀はテーブルの上のものを片付け始めた。
ついでにいくつかつまんでいる。
天河は憮然とジンジャーエールをまだ飲んでいた。
「あら。殿下。なんですか。孔雀が翡翠様の新しいご継室様のご入宮の準備にかかりきりで羨ましいんですか」
「羨ましいもんかよ。愛人の新しい妻の新居の準備を嬉々としてやってるんだ。嫉妬の一つもするのが普通じゃないかよ」
「どうぞご心配なく。天河様のご婚儀の際は、きっと孔雀はお妃様の為にカーテンから作るって紡織機でも買ってしまうかもしれませんよ」
有りえない話でもないと天河はげんなりした。
「・・・この漬物おいしいですよね。私も朝から晩までずっと食べてますけどね」
この女家令は、世界的にも名の知れたバレリーナで、たまに舞台にも立つ。
そうは全く思えない食生活の持ち主で、毎晩夕方になったらビール6リットルを晩酌するのが日課だ。
だからもう、実の所は早く飲みたくてイライラし始めているのだろう。
雉鳩と共に宮廷一の美貌の持ち主と言われているが、彼女の場合は外見と中身でだいぶ違う成分が詰まっているようだ。
「・・・海軍で軍艦沈めて来たって?」
嬉しそうに緋連雀が微笑んだ。
「・・・よくご存知でらっしゃる」
この女は家令の内でも、軍で一番の出世頭だ。
先月、前線の難民キャンプがまた襲撃に遭ったのだ。
それが隣国A国の計画だと判明した。
難民キャンプにはA国の人間も多数。つまり自国の人間を攻撃した事になる。
戦艦を沈めた等、今時異常行為とも言えるが、それは、こちらからは制裁や報復行為というわけだが、海上で攻撃を受けて火柱を上げて燃え上がった軍艦の悲惨さは、天河のいるアカデミーでも聞こえていた。
指揮を執ったのは、海軍所属の女家令の火喰蜥蜴だと。
同時に三つ巴で睨み合っていたQ国は未だ静観している。
妙な話だ。
そちらも家令が暗躍しているには違いない。
最近、姿を見ていない雉鳩か、あるいは上の世代の鷂あたりか。
「全く、恐ろしいもんだ」
「あら。天河様。許可をしたのは翡翠様ですよ。おねだりをしたのは孔雀ですけれどね。孔雀もたまには寵姫らしい事もしてみるといいんだわ」
「軍艦沈めるおねだりが寵姫のやる事か・・・?」
「家令ですからね。・・・そろそろ孔雀に皿のお店閉じなさいって言ってきます。なかなか終わらないんだから。・・・ほっといたら翡翠様とお茶会始めちゃうわ。あの子が厨房に行かなきゃ、我々も食事にありつけませんからね」
離宮では、人手不足で白鴎と孔雀で厨房を回しているのだ。
宮城では女官どころか継室にまで火を吹く火喰蜥蜴だが、彼女もまたこの離宮での暮らしを喜んでいるらしく楽しそうだ。
女家令の子供がそうであるように、緋連雀もまた宮廷で育った。
母親である猩々朱鷺が、天河の母付きになってからは、その宮である花石膏宮で兄弟子姉弟子の使い走りをしながら見習い家令として勤めていたわけだが。
あの頃は、火を吹く火炎もボヤくらいだったが、今となっては戦争で艦を爆破炎上させる程凶暴に育ったわけだ。
天河が家令とはとんでもない化け物に育っていくもんだと嫌味を言うと、緋連雀は愉快そうに声を立てて笑い、当の女家令は失礼しますと言ってまた現れた時のように美しい様子で下がって行った。
夏の離宮はパレスと呼ばれ、湖のそばにあり、王家の人々の静養として使われて来た。
孔雀が総家令になり、最初に改修した離宮。
翡翠と孔雀の好みに沿って改修されたその佇まいは、瀟洒とも嬋媛とも称されて、宮廷の人々に好ましく受け入れられていた。
広い庭には噴水があり、大きな蚊帳付きのラタンの丸いソファが置かれていた。
リラックスした雰囲気が改装した後の花石膏宮に似ていた。
夏と冬はこの離宮で過ごすのが翡翠のお気に入りだ。
夏は避暑、静養という名のバカンスの為に、冬は翌春の登用試験期間中となりその間は皇帝は離宮に移る。
更に今年は特別で「秋になったらまた忙しくなる」らしい。
その理由を大嘴から聞いた時、天河は悪い冗談だろうと空を仰いだものだ。
孔雀は分厚いカタログをあれこれ見比べながら付箋を貼り、あちこちに発注手配している。
「天河様。お若い女性って、このサーモンピンクと、このライラック、どっちがいいでしょうか・・・?」
壁紙のカタログを見せられる。
天河はこれ、と適当に指差した。
「・・・これは抹茶色ですね・・・。ちょっと渋すぎではない・・・?」
と、また悩んでしまう。
後宮に新しく継室が入ることになったのだ。
新しい継室には硅化木宮が与えられる事になり、現在、お得意の改装中というわけだ。
「天河様の宮の花石膏宮と硅化木宮はお隣になりますから、よろしくお願いしますね」
何をどうよろしくせえと言うのかと思いつつ、天河はまた適当に頷いた。
「|醤油でも切れたら快く貸してやるよ」
「そうではなく・・・。それも大事な事ですね・・・」
天河は、新しく継室が入宮すると聞き、藍晶に継室が入るのだろうと思っていたので、当初別段不思議にも思わなかったが、よくよく聞いてみると翡翠にだと言う。
皇太子にではない、皇帝にだ。
腹違いの兄は、いいんじゃない、と全く気にする様子もない。
それどころか自分の新しい恋人と過ごす事で忙しいようだった。
確かに皇太子のこの状態だ。
新しい継室など何人来たところでどうしようもないかもしれない。
そもそも藍晶は器用な男で、かつ、とにかく華がある。
皇太子という立場で社交界でも有名。
アカデミーも一番早く卒業できる科を優秀な成績でさっさとスキップ卒業し、公務に勤しんでいるのだから、どこからも文句の入りようはないのだが、とにかく浮いた話が多い。
それを許す世間が悪いと、孔雀は苦言を呈するが、そもそもタイプが違う。
さらに別れ下手、というか、飽きてしまうと、孔雀にその尻拭いをさせるのだ。
軍属にはついてはいるが、いつまでもアカデミーに在籍し、研究と教鞭まで取って公務からさっぱり離れている自分よりは当然皇太子は評価もされているのは確実ではある。
藍晶には正室はいるが、将来的に継室に、または継室にはなれなくても公式寵姫に恋人に、と自選他薦の人間が常に群がっているわけだ。
「天河様、ほら、あれです。言うなれば、きれいなお花に蝶々が集まるみたいに・・・」
と、なかなかな例えだが。
「餌に猛獣が群れているの間違いじゃないか?」
天河がそう言ったのに、孔雀は妙な顔をした。
「・・・似てらっしゃる」
「何が?」
孔雀がそっと声をひそめた。
「翡翠様が、藍晶様は誘蛾灯だって仰ったんです」
天河は肩をすくめて孔雀からソーダを受け取った。
「・・・なんだこれ・・・うまい」
「大嘴お兄様とお庭に去年植えた生姜が豊作で。松の葉っぱとかスパイス足してジンジャーエール作ってみました!」
「・・・田舎のばあちゃんみたいだね・・・」
「あと、これ、鳥達の庭園の果樹園で、商品にならなかった青桃をナッツとバニラと蜂蜜に漬けてみたんです。こっちはピクルス。こっちはレモンコンフィと一緒に漬けたものなんです。ちょっとした六次化商品です。お味見どうぞ」
道の駅ででも売り出すつもりか。
「・・・カレーの時とかにいいかもね・・・」
「あ、福神漬けってナイスアイディアですね。行き詰まったらカレーかアイス関係・・・。こちらは、アーモンドの花から酵母を起こしたパンなんですけれど・・・」
孔雀が次から次へと出す製品未満を言われるまま食べていると翡翠が現れた。
「孔雀、注文していた食器のサンプルが金糸雀から届いたよ。大嘴がヘリで持って来たそうだ」
翡翠は離宮暮らしもすっかり慣れて、だいぶリラックスした雰囲気だ。
「・・・私、ちょっと確認して参ります」
孔雀はうきうきとしながら礼をすると、翡翠にもジンジャーエールを手渡し、すっ飛んで行った。
「・・・皿?」
「そう。新しい継室の使う分を特注でフルセットで揃えたんだってさ」
新しい継室主催の設宴の時に使うらしい。
壁紙、ファブリック、食器の類までせっせと用意しているらしい。
「・・・物好き」
ふん、と翡翠が笑った。
「羨ましいだろ」
ジンジャーエールのグラスに、翡翠は不思議な形のアンフォラ瓶から琥珀色の液体を継ぎ足すと美味そうに舐め始めた。
孔雀が漬けた梅酒が最近のお気に入りだ。
「失礼致します。緋連雀が参りました。・・・陛下、殿下、お夕食はお庭でいかがですかと孔雀が申しておりますけれど・・・?」
この離宮では夏の間は、まだ日が高いうちに夕方に食事をして、夜にまた各々何か食べるような生活になっていた。
美貌の女家令が告げた提案に翡翠はいいね、と頷いた。
「涼しくなってきたからね。・・・どれ、私も見に行こうかな。どんな具合だい?」
緋連雀はテーブルいっぱいの食べ物を眺めた。
「こちらは田舎の食品見本市ですけれど。あちらは孔雀がお店を広げてしまって、執務室が陶器市です」
緋蓮雀が妹弟子を茶化すのに、翡翠が笑った。
緋連雀が、天河にもう少ししたら食事の用意をするように言った。
「お夕食は十七時です。お庭にテーブルを出しますので」
事務的にそう言うと、緋連雀はテーブルの上のものを片付け始めた。
ついでにいくつかつまんでいる。
天河は憮然とジンジャーエールをまだ飲んでいた。
「あら。殿下。なんですか。孔雀が翡翠様の新しいご継室様のご入宮の準備にかかりきりで羨ましいんですか」
「羨ましいもんかよ。愛人の新しい妻の新居の準備を嬉々としてやってるんだ。嫉妬の一つもするのが普通じゃないかよ」
「どうぞご心配なく。天河様のご婚儀の際は、きっと孔雀はお妃様の為にカーテンから作るって紡織機でも買ってしまうかもしれませんよ」
有りえない話でもないと天河はげんなりした。
「・・・この漬物おいしいですよね。私も朝から晩までずっと食べてますけどね」
この女家令は、世界的にも名の知れたバレリーナで、たまに舞台にも立つ。
そうは全く思えない食生活の持ち主で、毎晩夕方になったらビール6リットルを晩酌するのが日課だ。
だからもう、実の所は早く飲みたくてイライラし始めているのだろう。
雉鳩と共に宮廷一の美貌の持ち主と言われているが、彼女の場合は外見と中身でだいぶ違う成分が詰まっているようだ。
「・・・海軍で軍艦沈めて来たって?」
嬉しそうに緋連雀が微笑んだ。
「・・・よくご存知でらっしゃる」
この女は家令の内でも、軍で一番の出世頭だ。
先月、前線の難民キャンプがまた襲撃に遭ったのだ。
それが隣国A国の計画だと判明した。
難民キャンプにはA国の人間も多数。つまり自国の人間を攻撃した事になる。
戦艦を沈めた等、今時異常行為とも言えるが、それは、こちらからは制裁や報復行為というわけだが、海上で攻撃を受けて火柱を上げて燃え上がった軍艦の悲惨さは、天河のいるアカデミーでも聞こえていた。
指揮を執ったのは、海軍所属の女家令の火喰蜥蜴だと。
同時に三つ巴で睨み合っていたQ国は未だ静観している。
妙な話だ。
そちらも家令が暗躍しているには違いない。
最近、姿を見ていない雉鳩か、あるいは上の世代の鷂あたりか。
「全く、恐ろしいもんだ」
「あら。天河様。許可をしたのは翡翠様ですよ。おねだりをしたのは孔雀ですけれどね。孔雀もたまには寵姫らしい事もしてみるといいんだわ」
「軍艦沈めるおねだりが寵姫のやる事か・・・?」
「家令ですからね。・・・そろそろ孔雀に皿のお店閉じなさいって言ってきます。なかなか終わらないんだから。・・・ほっといたら翡翠様とお茶会始めちゃうわ。あの子が厨房に行かなきゃ、我々も食事にありつけませんからね」
離宮では、人手不足で白鴎と孔雀で厨房を回しているのだ。
宮城では女官どころか継室にまで火を吹く火喰蜥蜴だが、彼女もまたこの離宮での暮らしを喜んでいるらしく楽しそうだ。
女家令の子供がそうであるように、緋連雀もまた宮廷で育った。
母親である猩々朱鷺が、天河の母付きになってからは、その宮である花石膏宮で兄弟子姉弟子の使い走りをしながら見習い家令として勤めていたわけだが。
あの頃は、火を吹く火炎もボヤくらいだったが、今となっては戦争で艦を爆破炎上させる程凶暴に育ったわけだ。
天河が家令とはとんでもない化け物に育っていくもんだと嫌味を言うと、緋連雀は愉快そうに声を立てて笑い、当の女家令は失礼しますと言ってまた現れた時のように美しい様子で下がって行った。
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