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最終章 幸せな日々
番外編 第10話 面白れぇ女
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『面白れぇ女。』
メメちゃんは走り去るサクラを見て呟いた。
「もう。メメちゃんったら、私の娘を揶揄わないでよ。」
『すまぬ。あまりにも真剣に聞き入るものでな。』
「まぁ、確かに私も少し納得しかけたけどね。」
『別に嘘ではないぞ? 我の能力も知識も全て本物。さっき言った事も本当だ。』
「なら、どうして面白れぇ女、なんて言い方をしたの?」
メメちゃんからは少し面白がっているような雰囲気を感じる。
『サクラ殿が素で面白れぇ女だっただけだ。あのように言っておけば、我を飼ってくれるだろう?』
「そうね。あの発言が無ければずっと反対されたでしょうし。」
『だろう? そもそも、我は初めてエイミー殿を見た瞬間には全て分かっていた。この話をした結果、サクラ殿が二年後に結婚するという事もな。』
「あら。既に私の相談内容は解決していたという事?」
『うむ。先程のやり取りがあってこそのものだがな。今回のサクラ殿が結婚する為には必要な過程だったというわけだ。』
実はメメちゃんにサクラの事を相談していたのだ。
強くなり過ぎた娘が今回も上手く結婚出来るとは限らないから……。
「メメちゃんのお蔭って事ね。」
『この道を開いたのはエイミー殿でもある。我を滅ぼさないでいてくれただろう? ほんの礼だ。』
「ありがとう。メメちゃんはきっと良い子だろうなって思ったのよ。一応封印しちゃったけど。」
『うむ。エイミー殿こそ良い飼い主だぞ? 我にお魚をくれるからな。』
「ペットの世話は飼い主の義務よ?」
サクラの事もあるし、メメちゃんにはたくさんお魚をあげないと。
『うむ。ところで、エイミー殿はいつまで我の事を内緒にしておくのだ? 家族には言っておかなければ具合が悪いのではないか?』
「う……うん。言わないといけないんだけど……。碧ちゃんやレイベルトが怒りそうで……。」
サクラは説得できたけど、あの二人は問答無用でメメちゃんを消滅させてしまいそうなのよね。
特に碧ちゃんが。
『心配ならば、我も説得に協力するぞ?』
「ありがとうメメちゃん。」
ペットを飼う許可を得る為に、ペット本人が説得してくれるなんて凄いわ。
なんてお利口さんなのかしら。
『先ずはアーリィ殿を説得するのが良いだろうな。』
「どうして?」
『我はレイベルト殿や碧殿の事も見通せている。あの二人はエイミー殿には甘すぎるが、アーリィ殿にも甘いだろう?』
メメちゃんの言う通りだ。
メメちゃんは私だけじゃなく、私の周囲の人間までも見通せる。その能力は恋に特化しているけど、見通した情報を恋の相談以外に使えないというわけではない。
『結論から言おう。アーリィ殿を味方に引き込めば、少なくともレイベルト殿は折れるはずだ。碧殿は半々と言ったところだが。』
なんて頼りになるのかしら。
「分かったわ。アーリィを味方につけるのね? あ、それならレイ君も味方につけましょう。」
子供達全員が味方ならきっと碧ちゃんも納得してくれるよね。
『レイア殿はよしておこう。逆効果になりそうだ。』
「そうなの?」
『うむ。レイア殿が認めたとなれば、碧殿は特に真っ向から反対するだろう。』
「どうして?」
『レイア殿が良かれと思ってする事は裏目に出る確率が高いと碧殿は経験則により知っている。つまり、レイア殿が我を飼う事を許可したとなれば、碧殿は絶対に首を縦に振らなくなるぞ。』
そ、それはあるかも…………。
なんて信頼の低い息子なのかしら。
「ねえアーリィ? エイミーママと少しお話しない?」
「はい。今日はどんなお話をしてくれるんですか?」
「神様のお話なんてどう?」
「興味があります。どんな神様ですか?」
アーリィは色んな事に興味を持ってくれるからお話しやすい。
既に目を輝かせて私の言葉を今か今かと待ちわびている。
「恋の相談が出来る神様なの。」
「素敵です! 詳しく教えて欲しいです!」
食いついたわ。
「えっと。私も実は相談してて……お蔭でサクラが結婚出来そうなのよ。」
「へぇー。」
あれ?
どうして?
アーリィが急に興味を失ってしまったわ。
「サクラが結婚出来そうなのよ? 凄いと思わない?」
「エイミーママ。私にまで嘘つかなくて良いです。私もお手伝いしますから。」
そんな…………サクラってば、妹にまで結婚出来ないと思われてる?
我が娘ながらなんて不憫な子。
『エイミー殿、話の持って行き方が良くない。サクラ殿が結婚出来ると言ったところで、いきなり信じる者はいないぞ。』
「え? 誰ですか?」
『エイミー殿が言っていただろう? 恋の相談が出来る神様だ。』
「ほ、本当だったのですか? でも姿が見えないです。」
周囲をキョロキョロと見回すアーリィ。
私が後ろ手にメメちゃんを隠しているから見えないのも当然。
『今はわけあって隠れているのだ。』
「そうでしたかぁ……。嘘だと思ってごめんなさい。」
アーリィはすぐに頭を下げ、自分が間違っていたと謝罪を口にした。
『良いのだ。嘘だと思うのも仕方がない。我は恋に関する能力と知識を備えているので相談したい事があれば聞いてくれ。』
早速恋のアドバイスをするのね。
役に立つと認められればすぐにでも飼育許可は出そうではあるから、きっとそれが正解なのかも。
「お友達の話でも良いですか?」
『うむ。本人でなければ精度は落ちるが話してみると良い。』
「ありがとうございます。」
アーリィの友達とはルーラ子爵家の次女、ルララちゃんのお話だった。
小さい頃から仲良しで、時々ナガツキ家にも遊びに来たりするちょっとお茶目な女の子。
ルーラ子爵はナガツキ大公家を怖がっているけど、ルララちゃんは大物なのか、まるでこちらを怖がる様子がない。
そのルララちゃんはダレン君という男の子が気になるらしく、その子と婚約を結びたいのだとか。
メメちゃんが上手く誘導しながら質問をして、それに対してアーリィは二人の詳細を語ってくれた。
『うむ。ルララ殿は恐らく両想いだと思う。この場合は両片想いという専門用語があるので覚えておくと良いだろう。』
「ありがとうございます。でも、どこが両想い……両片想いなんですか?」
『簡単だ。つい先日、ダレン殿とルララ殿は偶然に三度会っていたのだろう?』
「はい。」
『街中で週に三度も偶然会うことなどそうあるものではない。特にルララ殿は屋内が好きで短時間しか出かけないというなら尚の事。ダレン殿がルララ殿に偶然を装って会いに行っていると思う方が自然だ。』
「言われてみれば……。ルララちゃんは偶然なんてあるのね、と喜んでいたので偶然だと思い込んでいました。でも視線は逸らすし揶揄われるしで、好かれている素振りはないみたいに言ってましたよ?」
『素振りはある。視線をすぐに逸らすのは照れくさいからだ。揶揄うのはその年代の男子に良く見られる照れ隠しの一種であったり、揶揄う事で女子から可愛い反応を引き出す為だったりする。』
「知りませんでした……。」
私にも覚えがある。
昔のレイベルトは時々視線を逸らしてたし、十代前半の頃は私を揶揄う事もあった。
私も恥ずかしくて視線を逸らしてたけど。
『アーリィ殿もルララ殿も年頃の男の行動に詳しくないと見える。男子が女子を揶揄うのは好きな異性に対する接し方が不器用だからなのだ。』
「そうだったんですね。」
『うむ。アーリィ殿がやるべきはルララ殿の背中を押してやる事だ。偶然三度も会ったのではなく、ダレン殿が会いに行っていたのだと知らせてやるのだ。』
「そう聞くと一途で素敵な子なのかもしれないです。揶揄われる事が多いと聞いていたので、どこが良いのか私には理解不能でした。」
『もう一つ付け加えておこう。その手の男には照れ隠しなどする必要性をなくしてやれば良い。ルララ殿が素直に愛を告げ、向こうもそれに応える。ひとたび両想いになりさえすれば、いちいち揶揄ったりなどせず驚く程素直に愛に応えてくれるはずだ。』
「でも……普通は男の方から愛を告げるものじゃありませんか?」
私もそう思うわ。
『男だから、女だから、といちいち気にするのか? その相手と恋仲になる事と、男の方から愛を告げて欲しいという欲望、どちらがより大事なのかを考えてみると良い。』
「そ、その通りです!」
本当にその通りだわ。
メメちゃん、頼りになり過ぎ。
「ありがとうございます。今度会う時に教えてあげようと思います。」
『うむ。それが良い。ここで一度、我の正体を見せておこう。』
「見せてくれるんですか?」
え? 今見せても大丈夫なの?
なになに? あ、大丈夫なのね。
私は後ろ手に隠していたメメちゃんを正面に持って、アーリィに見せた。
「わぁ……目が十個もついてる。触ってみると不思議な感触です。」
サクラとは違う反応ね。怖がらずに撫でてるし。
アーリィは動物が好きなので、可愛いと思ってくれているのかもしれないわ。
「実はエイミーママね。メメちゃんをペットにしてるの。」
「え? 恋の神様をペットにしちゃったんですか!?」
『うむ。毎日お魚を一匹くれる条件で飼育される事にしたのだ。』
「生贄ですか?」
『我の餌だ。生贄などは必要ない。』
「神様なのにペットでも良いんだぁ……。」
アーリィはひとり言を呟き、メメちゃんを不思議そうに見つめている。
『ペットという関係性を表す言葉よりも、どう向き合っていくかが大事なのではないか?』
「ペットなのに言う事が深いです。」
『アーリィ殿は我を飼育する許可をくれるか?』
今のところ好感触だし、多分大丈夫だと思うけど…………。
ダメだって言われたらどうしよう。
「メメちゃん?は凄く理性的だし良いと思います。お手洗いはどうしてるんですか?」
『うむ。地面に穴を掘って埋めているぞ。』
そう言えばメメちゃんのお手洗いを失念していたわ。今までも地面に穴を掘ってたのね。
「賢いです! あ、神様だから当然でした。」
『うむ。今後も我を可愛がってもらいたい。』
「勿論です!」
アーリィを説得出来て良かったわ。
後はレイベルトと碧ちゃんね。
メメちゃんは走り去るサクラを見て呟いた。
「もう。メメちゃんったら、私の娘を揶揄わないでよ。」
『すまぬ。あまりにも真剣に聞き入るものでな。』
「まぁ、確かに私も少し納得しかけたけどね。」
『別に嘘ではないぞ? 我の能力も知識も全て本物。さっき言った事も本当だ。』
「なら、どうして面白れぇ女、なんて言い方をしたの?」
メメちゃんからは少し面白がっているような雰囲気を感じる。
『サクラ殿が素で面白れぇ女だっただけだ。あのように言っておけば、我を飼ってくれるだろう?』
「そうね。あの発言が無ければずっと反対されたでしょうし。」
『だろう? そもそも、我は初めてエイミー殿を見た瞬間には全て分かっていた。この話をした結果、サクラ殿が二年後に結婚するという事もな。』
「あら。既に私の相談内容は解決していたという事?」
『うむ。先程のやり取りがあってこそのものだがな。今回のサクラ殿が結婚する為には必要な過程だったというわけだ。』
実はメメちゃんにサクラの事を相談していたのだ。
強くなり過ぎた娘が今回も上手く結婚出来るとは限らないから……。
「メメちゃんのお蔭って事ね。」
『この道を開いたのはエイミー殿でもある。我を滅ぼさないでいてくれただろう? ほんの礼だ。』
「ありがとう。メメちゃんはきっと良い子だろうなって思ったのよ。一応封印しちゃったけど。」
『うむ。エイミー殿こそ良い飼い主だぞ? 我にお魚をくれるからな。』
「ペットの世話は飼い主の義務よ?」
サクラの事もあるし、メメちゃんにはたくさんお魚をあげないと。
『うむ。ところで、エイミー殿はいつまで我の事を内緒にしておくのだ? 家族には言っておかなければ具合が悪いのではないか?』
「う……うん。言わないといけないんだけど……。碧ちゃんやレイベルトが怒りそうで……。」
サクラは説得できたけど、あの二人は問答無用でメメちゃんを消滅させてしまいそうなのよね。
特に碧ちゃんが。
『心配ならば、我も説得に協力するぞ?』
「ありがとうメメちゃん。」
ペットを飼う許可を得る為に、ペット本人が説得してくれるなんて凄いわ。
なんてお利口さんなのかしら。
『先ずはアーリィ殿を説得するのが良いだろうな。』
「どうして?」
『我はレイベルト殿や碧殿の事も見通せている。あの二人はエイミー殿には甘すぎるが、アーリィ殿にも甘いだろう?』
メメちゃんの言う通りだ。
メメちゃんは私だけじゃなく、私の周囲の人間までも見通せる。その能力は恋に特化しているけど、見通した情報を恋の相談以外に使えないというわけではない。
『結論から言おう。アーリィ殿を味方に引き込めば、少なくともレイベルト殿は折れるはずだ。碧殿は半々と言ったところだが。』
なんて頼りになるのかしら。
「分かったわ。アーリィを味方につけるのね? あ、それならレイ君も味方につけましょう。」
子供達全員が味方ならきっと碧ちゃんも納得してくれるよね。
『レイア殿はよしておこう。逆効果になりそうだ。』
「そうなの?」
『うむ。レイア殿が認めたとなれば、碧殿は特に真っ向から反対するだろう。』
「どうして?」
『レイア殿が良かれと思ってする事は裏目に出る確率が高いと碧殿は経験則により知っている。つまり、レイア殿が我を飼う事を許可したとなれば、碧殿は絶対に首を縦に振らなくなるぞ。』
そ、それはあるかも…………。
なんて信頼の低い息子なのかしら。
「ねえアーリィ? エイミーママと少しお話しない?」
「はい。今日はどんなお話をしてくれるんですか?」
「神様のお話なんてどう?」
「興味があります。どんな神様ですか?」
アーリィは色んな事に興味を持ってくれるからお話しやすい。
既に目を輝かせて私の言葉を今か今かと待ちわびている。
「恋の相談が出来る神様なの。」
「素敵です! 詳しく教えて欲しいです!」
食いついたわ。
「えっと。私も実は相談してて……お蔭でサクラが結婚出来そうなのよ。」
「へぇー。」
あれ?
どうして?
アーリィが急に興味を失ってしまったわ。
「サクラが結婚出来そうなのよ? 凄いと思わない?」
「エイミーママ。私にまで嘘つかなくて良いです。私もお手伝いしますから。」
そんな…………サクラってば、妹にまで結婚出来ないと思われてる?
我が娘ながらなんて不憫な子。
『エイミー殿、話の持って行き方が良くない。サクラ殿が結婚出来ると言ったところで、いきなり信じる者はいないぞ。』
「え? 誰ですか?」
『エイミー殿が言っていただろう? 恋の相談が出来る神様だ。』
「ほ、本当だったのですか? でも姿が見えないです。」
周囲をキョロキョロと見回すアーリィ。
私が後ろ手にメメちゃんを隠しているから見えないのも当然。
『今はわけあって隠れているのだ。』
「そうでしたかぁ……。嘘だと思ってごめんなさい。」
アーリィはすぐに頭を下げ、自分が間違っていたと謝罪を口にした。
『良いのだ。嘘だと思うのも仕方がない。我は恋に関する能力と知識を備えているので相談したい事があれば聞いてくれ。』
早速恋のアドバイスをするのね。
役に立つと認められればすぐにでも飼育許可は出そうではあるから、きっとそれが正解なのかも。
「お友達の話でも良いですか?」
『うむ。本人でなければ精度は落ちるが話してみると良い。』
「ありがとうございます。」
アーリィの友達とはルーラ子爵家の次女、ルララちゃんのお話だった。
小さい頃から仲良しで、時々ナガツキ家にも遊びに来たりするちょっとお茶目な女の子。
ルーラ子爵はナガツキ大公家を怖がっているけど、ルララちゃんは大物なのか、まるでこちらを怖がる様子がない。
そのルララちゃんはダレン君という男の子が気になるらしく、その子と婚約を結びたいのだとか。
メメちゃんが上手く誘導しながら質問をして、それに対してアーリィは二人の詳細を語ってくれた。
『うむ。ルララ殿は恐らく両想いだと思う。この場合は両片想いという専門用語があるので覚えておくと良いだろう。』
「ありがとうございます。でも、どこが両想い……両片想いなんですか?」
『簡単だ。つい先日、ダレン殿とルララ殿は偶然に三度会っていたのだろう?』
「はい。」
『街中で週に三度も偶然会うことなどそうあるものではない。特にルララ殿は屋内が好きで短時間しか出かけないというなら尚の事。ダレン殿がルララ殿に偶然を装って会いに行っていると思う方が自然だ。』
「言われてみれば……。ルララちゃんは偶然なんてあるのね、と喜んでいたので偶然だと思い込んでいました。でも視線は逸らすし揶揄われるしで、好かれている素振りはないみたいに言ってましたよ?」
『素振りはある。視線をすぐに逸らすのは照れくさいからだ。揶揄うのはその年代の男子に良く見られる照れ隠しの一種であったり、揶揄う事で女子から可愛い反応を引き出す為だったりする。』
「知りませんでした……。」
私にも覚えがある。
昔のレイベルトは時々視線を逸らしてたし、十代前半の頃は私を揶揄う事もあった。
私も恥ずかしくて視線を逸らしてたけど。
『アーリィ殿もルララ殿も年頃の男の行動に詳しくないと見える。男子が女子を揶揄うのは好きな異性に対する接し方が不器用だからなのだ。』
「そうだったんですね。」
『うむ。アーリィ殿がやるべきはルララ殿の背中を押してやる事だ。偶然三度も会ったのではなく、ダレン殿が会いに行っていたのだと知らせてやるのだ。』
「そう聞くと一途で素敵な子なのかもしれないです。揶揄われる事が多いと聞いていたので、どこが良いのか私には理解不能でした。」
『もう一つ付け加えておこう。その手の男には照れ隠しなどする必要性をなくしてやれば良い。ルララ殿が素直に愛を告げ、向こうもそれに応える。ひとたび両想いになりさえすれば、いちいち揶揄ったりなどせず驚く程素直に愛に応えてくれるはずだ。』
「でも……普通は男の方から愛を告げるものじゃありませんか?」
私もそう思うわ。
『男だから、女だから、といちいち気にするのか? その相手と恋仲になる事と、男の方から愛を告げて欲しいという欲望、どちらがより大事なのかを考えてみると良い。』
「そ、その通りです!」
本当にその通りだわ。
メメちゃん、頼りになり過ぎ。
「ありがとうございます。今度会う時に教えてあげようと思います。」
『うむ。それが良い。ここで一度、我の正体を見せておこう。』
「見せてくれるんですか?」
え? 今見せても大丈夫なの?
なになに? あ、大丈夫なのね。
私は後ろ手に隠していたメメちゃんを正面に持って、アーリィに見せた。
「わぁ……目が十個もついてる。触ってみると不思議な感触です。」
サクラとは違う反応ね。怖がらずに撫でてるし。
アーリィは動物が好きなので、可愛いと思ってくれているのかもしれないわ。
「実はエイミーママね。メメちゃんをペットにしてるの。」
「え? 恋の神様をペットにしちゃったんですか!?」
『うむ。毎日お魚を一匹くれる条件で飼育される事にしたのだ。』
「生贄ですか?」
『我の餌だ。生贄などは必要ない。』
「神様なのにペットでも良いんだぁ……。」
アーリィはひとり言を呟き、メメちゃんを不思議そうに見つめている。
『ペットという関係性を表す言葉よりも、どう向き合っていくかが大事なのではないか?』
「ペットなのに言う事が深いです。」
『アーリィ殿は我を飼育する許可をくれるか?』
今のところ好感触だし、多分大丈夫だと思うけど…………。
ダメだって言われたらどうしよう。
「メメちゃん?は凄く理性的だし良いと思います。お手洗いはどうしてるんですか?」
『うむ。地面に穴を掘って埋めているぞ。』
そう言えばメメちゃんのお手洗いを失念していたわ。今までも地面に穴を掘ってたのね。
「賢いです! あ、神様だから当然でした。」
『うむ。今後も我を可愛がってもらいたい。』
「勿論です!」
アーリィを説得出来て良かったわ。
後はレイベルトと碧ちゃんね。
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