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03 日常の朝
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リルと部屋を出る。
廊下には既に何人か人がいた。
「おはよ、セレンス」
「おはよう」
挨拶を交わす。
相手の鳥のテイムに、リルがお辞儀をする。
その仕草は大人びた女性のそれで、私の憧れでもある。
すれ違う度に挨拶を交わしながら、テラスへ向かう。
戸を開けると、澄んだ空気が吹き抜ける。
リルが外へ出ると、私は戸を閉める。
バサッ
大きな羽音と共に、リルの翼が広がる。
鳥と人の混種のテイムのリルは、混種とは思えないほど、綺麗な姿をしている。
まるで御伽噺に出てくるハーピィや天使のようで、いつ見ても見とれてしまう。
透き通るような白い肌に、純白の羽。
備え付けられているテーブルに、薬水を入れたコップを置く。
羽を伸ばし終えたリルが、嬉しそうにコップを手に取り、飲み始める。
自分で調合し始めた頃とは比べ物にならないくらい,おいしそうに飲んでいる。
(…まだ、兄には敵わないだろうけど)
この学園にいる兄を思い出す。
今の時間はまだ学生寮にいるはずだけど。
「ごっめーん、待った?」
ばん,と勢いよく扉が開かれる。
飛び込んできたルームメイトの長い髪が、風になびく。
「いいえ おはよう、ナツミ」
「おはよ リルもおはよう」
ナツミが机の上に皿を置き、薬水を注ぐ。
リス種のテイム、カランがナツミの肩からテーブルに移る。
「相変わらず、朝に弱いわね」
「ここ、山の中じゃない? あたしがいた所より,日の出が遅いのよ」
海岸の出の親友が、いつもと同じ事を口にする。
十年近く聞いたその言い訳も、不思議と飽きることはなかった。
「もうすっかり日は出てますよ?」
山々の新緑が、きらめいて見えるくらいには。
その返しにナツミは笑う。
「それにしても、今日も多いねぇ」
「何がです?」
「ギャラリー」
そう言われて振り返ると,窓の外に何人か立ってこちらを見ていた。
視線に気がつくとイソイソと別の事をし始めたが、しばらくすると別の誰かが立ち止まる。
「まぁ、慣れですね」
「私は慣れないなぁ」
そう言いながらも、ナツミは周りの視線を気にした様子もなく、外の景色に目を向ける。
薬水を飲み終えたリルがコップを持ってこちらにやって来た。
「ナツミはもう少し起きる時間も,慣れた方がいいですよ」
「この田舎娘を優等生兄妹と一緒にするなぁ」
そう言われて、内心,はっとする。
ナツミが屈託ない笑みで笑っている。
(……、そうですね)
私はよく優等生と、持て囃される。
慣れるまで、気分が悪くなるくらい、周りに騒がれた。
ただ兄を"優等生”と言ってくれるのは、ナツミくらい。
テイム落ちの兄を蔑まない、数少ない友人。
「ありがとう」
「え?、 へっ?」
突然,お礼を言われ驚くナツミ。
同時に後ろからリルに抱きしめられ、目を白黒させる。
そんな反応が可愛くて、思わず笑みを漏らした。
「兄を優等生って言ってくれて」
「…そ、そんな、…だってあんたの兄さん、勉強とか学年トップクラスだし、
薬水の調合とかなんて、先生より上手いじゃない」
「そうね」
そう言って、笑った。
その時、起床を促すベルが辺りに響いた。
「じゃあ、そろそろ朝食にしましょう」
「そだね」
戸を開け、寮食堂へ向かう。
廊下には既に何人か人がいた。
「おはよ、セレンス」
「おはよう」
挨拶を交わす。
相手の鳥のテイムに、リルがお辞儀をする。
その仕草は大人びた女性のそれで、私の憧れでもある。
すれ違う度に挨拶を交わしながら、テラスへ向かう。
戸を開けると、澄んだ空気が吹き抜ける。
リルが外へ出ると、私は戸を閉める。
バサッ
大きな羽音と共に、リルの翼が広がる。
鳥と人の混種のテイムのリルは、混種とは思えないほど、綺麗な姿をしている。
まるで御伽噺に出てくるハーピィや天使のようで、いつ見ても見とれてしまう。
透き通るような白い肌に、純白の羽。
備え付けられているテーブルに、薬水を入れたコップを置く。
羽を伸ばし終えたリルが、嬉しそうにコップを手に取り、飲み始める。
自分で調合し始めた頃とは比べ物にならないくらい,おいしそうに飲んでいる。
(…まだ、兄には敵わないだろうけど)
この学園にいる兄を思い出す。
今の時間はまだ学生寮にいるはずだけど。
「ごっめーん、待った?」
ばん,と勢いよく扉が開かれる。
飛び込んできたルームメイトの長い髪が、風になびく。
「いいえ おはよう、ナツミ」
「おはよ リルもおはよう」
ナツミが机の上に皿を置き、薬水を注ぐ。
リス種のテイム、カランがナツミの肩からテーブルに移る。
「相変わらず、朝に弱いわね」
「ここ、山の中じゃない? あたしがいた所より,日の出が遅いのよ」
海岸の出の親友が、いつもと同じ事を口にする。
十年近く聞いたその言い訳も、不思議と飽きることはなかった。
「もうすっかり日は出てますよ?」
山々の新緑が、きらめいて見えるくらいには。
その返しにナツミは笑う。
「それにしても、今日も多いねぇ」
「何がです?」
「ギャラリー」
そう言われて振り返ると,窓の外に何人か立ってこちらを見ていた。
視線に気がつくとイソイソと別の事をし始めたが、しばらくすると別の誰かが立ち止まる。
「まぁ、慣れですね」
「私は慣れないなぁ」
そう言いながらも、ナツミは周りの視線を気にした様子もなく、外の景色に目を向ける。
薬水を飲み終えたリルがコップを持ってこちらにやって来た。
「ナツミはもう少し起きる時間も,慣れた方がいいですよ」
「この田舎娘を優等生兄妹と一緒にするなぁ」
そう言われて、内心,はっとする。
ナツミが屈託ない笑みで笑っている。
(……、そうですね)
私はよく優等生と、持て囃される。
慣れるまで、気分が悪くなるくらい、周りに騒がれた。
ただ兄を"優等生”と言ってくれるのは、ナツミくらい。
テイム落ちの兄を蔑まない、数少ない友人。
「ありがとう」
「え?、 へっ?」
突然,お礼を言われ驚くナツミ。
同時に後ろからリルに抱きしめられ、目を白黒させる。
そんな反応が可愛くて、思わず笑みを漏らした。
「兄を優等生って言ってくれて」
「…そ、そんな、…だってあんたの兄さん、勉強とか学年トップクラスだし、
薬水の調合とかなんて、先生より上手いじゃない」
「そうね」
そう言って、笑った。
その時、起床を促すベルが辺りに響いた。
「じゃあ、そろそろ朝食にしましょう」
「そだね」
戸を開け、寮食堂へ向かう。
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