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田中神代

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23 斜陽の塔

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 斜陽の塔。
山間から見た時は、少し小さめの塔だなと思っていた。
ただ,入り口に立つと、その重厚さに圧倒される。
ただでさえ重たい石造りに、樫の分厚い扉。
 妙に小奇麗なノブが、違和感を放っていた。
「……、」
 歯を食いしばって、扉を凝視するディエント。
しばらく、その姿を後ろから眺めていたが、動く気配は一向にない。
後ろから身を乗り出すように、ノブに手をかける。
 ビク,と体がこわばるのを感じた。
(…怖いのなら、無理に開けようとしなくて良いのに)
 誰が扉を開けても同じだろうに、と考えながら力を込める。
身を縮こまらせながら、クァイリの動きに合わせて少しずつ前へ進む。
ギィィィ、と軋む音が響きながら、扉が内側へ開いていく。
 ガタン,と一際大きな音とともに、扉が止まる。
 広がる音に顔をあげると、広い空間がそこにはあった。
離れるために一歩後ろに下がりながらも、目はその空間に釘付けされていた。
「……、っ」
 胸を締め付けられる感覚。
単に階段が螺旋状に天井まで伸びているだけ。
全てが石造りで、大きく、広いだけ。
 それ以外は何もない、作りたてのような綺麗な空間。
ぽっかりと空いた広い空間に、押しつぶされそうになり、目を逸らす。
逸らした先に、妙に揺れているディエントの瞳が合った。
「……っ  先に、進みましょうか」
 掠れた声で、そう提案する。
行き場を失った視線は、石造りの床へ落ちる。
「ええ…」
 意を決したように、背を向ける。
背中を押されるように、階段へ歩を進めた。
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