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36 初めまして
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今現在のテイムの成り立ちに、言葉が出ないクァイリ。
しかし、どこか引っかかる事がある気がして、少し複雑な心境だった。
一段落しているクァイリを見つつ、女性は構わず本題へと入る。
「しかし、テイムの中にはこうなることを怖れて逃げ出した者もいた」
唐突な言葉にハッとする。
すぐに持ち直して考え始める。
(…まぁ、禁種の事だろうけど…)
あれ、と首をひねる。
漠然とした不可解な点が、今、形になる。
その様子を女性は話を中断し、ゆっくり見ていた。
(…‥テイムの始まりついては、公式の記録が遺っていないくらい、昔の事のはず…)
クァイリが引っかかっていたこと。
それは女性の話し方だった。
(そう まるで、見てきたかのように、)
その時、ふと先程の女性の言葉が蘇った。
──何かを知る為にその者に成り、その集団の中には入り込む
時には直接取り込み,時には違う形で接触し,知ろうとする,不定の異形の生物
女性が語ったテイムという存在。
直接取り込む、という言葉からサラァテュを思い出した。
それならば、違う形で接触しているのは,薬水で飼われているテイムたちだろう。
(…では、”その者に成り、その集団の中には入り込む”とは?)
そこまで考えて、はっと顔を上げる。
まさか、と疑いながら、もしかして,と期待を抱きながら。
視線の先には、満足そうに笑みを浮かべる、女性の顔があった。
察しの良さと、先入観に囚われすぎない若者の姿に、ニヤリと笑みをこぼす。
「改めまして,少年 私の最初につけた名前はロニクル
純粋な人型のテイム 君たちで言うところの、禁種だよ」
その高らかな宣言に、クァイリの中で様々なピースがつながっていく。
──どうか、逃げないで下さい 彼らからも、彼女の事からも
旅立つとき、アンダス先生から贈られた言葉。
彼らというのは、人に飼われることになってしまった、純粋な好奇心の塊、テイム。
彼女の事というのは、禁種のテイムでありながらも、人として生きようとするロニクル。
(ずっと、違和感があったんだ……)
野性のテイムと飼われているテイムと、野生動物。
飼われているテイムは、交配の関係にしても野生動物とはかけ離れた姿をしている。
対して野性のテイムは、野生動物と見分けがつかないくらい、自然に溶け込んでいる。
どちらにせよ、テイムはテイムで、同じ考えの元、形作られていた。
(サラァテュの、あの禁種のテイムは、何にも擬態していない姿なのか…)
あれがテイム。
いつも身近にあったものがすべて、あの肉塊と同じものとは思えない。
ただ、あの肉塊が変化したり、あの肉塊から生まれていく姿は,何となく腑に落ちる。
あの多種多様の姿や、動物ではありえない生態をもつテイムの、源泉。
どちらにせよ、つかみ所のないということは共通している。
(……それを研究しているサディシャ氏は、)
何を意図しているのか。
テイムの元を研究している、とすると、何を最終的な目的としているのか。
それはやはり、原点復帰、ではないだろうか。
(対等な立場に…、 あるべき姿にするために、というところだろうか)
胡散臭さや信用ならない雰囲気なのは,確かにそうだが。
サラァテュの研究も、悪いことではないのか……
……‥、
(…サラァテュは、何だろうか、)
サラァテュが、あの肉塊の、テイムのことを言うのだろうか?
ならば、あれは人に擬態し損ねている姿,とも言うべきなのか。
もしくは、あの肉塊が禁種のテイムで、サラァテュと呼ばれているあの人に寄生している
という状態なのだろうか。
(一体,どちらなのか……)
目の前のロニクルが判別つかないだけあって、判断できない。
感動や興奮もそこそこに、新たな疑問に没頭し始めるクァイリ。
逃げることなく、受け入れた少年を、愛おしそうにロニクルは見ていた。
しかし、どこか引っかかる事がある気がして、少し複雑な心境だった。
一段落しているクァイリを見つつ、女性は構わず本題へと入る。
「しかし、テイムの中にはこうなることを怖れて逃げ出した者もいた」
唐突な言葉にハッとする。
すぐに持ち直して考え始める。
(…まぁ、禁種の事だろうけど…)
あれ、と首をひねる。
漠然とした不可解な点が、今、形になる。
その様子を女性は話を中断し、ゆっくり見ていた。
(…‥テイムの始まりついては、公式の記録が遺っていないくらい、昔の事のはず…)
クァイリが引っかかっていたこと。
それは女性の話し方だった。
(そう まるで、見てきたかのように、)
その時、ふと先程の女性の言葉が蘇った。
──何かを知る為にその者に成り、その集団の中には入り込む
時には直接取り込み,時には違う形で接触し,知ろうとする,不定の異形の生物
女性が語ったテイムという存在。
直接取り込む、という言葉からサラァテュを思い出した。
それならば、違う形で接触しているのは,薬水で飼われているテイムたちだろう。
(…では、”その者に成り、その集団の中には入り込む”とは?)
そこまで考えて、はっと顔を上げる。
まさか、と疑いながら、もしかして,と期待を抱きながら。
視線の先には、満足そうに笑みを浮かべる、女性の顔があった。
察しの良さと、先入観に囚われすぎない若者の姿に、ニヤリと笑みをこぼす。
「改めまして,少年 私の最初につけた名前はロニクル
純粋な人型のテイム 君たちで言うところの、禁種だよ」
その高らかな宣言に、クァイリの中で様々なピースがつながっていく。
──どうか、逃げないで下さい 彼らからも、彼女の事からも
旅立つとき、アンダス先生から贈られた言葉。
彼らというのは、人に飼われることになってしまった、純粋な好奇心の塊、テイム。
彼女の事というのは、禁種のテイムでありながらも、人として生きようとするロニクル。
(ずっと、違和感があったんだ……)
野性のテイムと飼われているテイムと、野生動物。
飼われているテイムは、交配の関係にしても野生動物とはかけ離れた姿をしている。
対して野性のテイムは、野生動物と見分けがつかないくらい、自然に溶け込んでいる。
どちらにせよ、テイムはテイムで、同じ考えの元、形作られていた。
(サラァテュの、あの禁種のテイムは、何にも擬態していない姿なのか…)
あれがテイム。
いつも身近にあったものがすべて、あの肉塊と同じものとは思えない。
ただ、あの肉塊が変化したり、あの肉塊から生まれていく姿は,何となく腑に落ちる。
あの多種多様の姿や、動物ではありえない生態をもつテイムの、源泉。
どちらにせよ、つかみ所のないということは共通している。
(……それを研究しているサディシャ氏は、)
何を意図しているのか。
テイムの元を研究している、とすると、何を最終的な目的としているのか。
それはやはり、原点復帰、ではないだろうか。
(対等な立場に…、 あるべき姿にするために、というところだろうか)
胡散臭さや信用ならない雰囲気なのは,確かにそうだが。
サラァテュの研究も、悪いことではないのか……
……‥、
(…サラァテュは、何だろうか、)
サラァテュが、あの肉塊の、テイムのことを言うのだろうか?
ならば、あれは人に擬態し損ねている姿,とも言うべきなのか。
もしくは、あの肉塊が禁種のテイムで、サラァテュと呼ばれているあの人に寄生している
という状態なのだろうか。
(一体,どちらなのか……)
目の前のロニクルが判別つかないだけあって、判断できない。
感動や興奮もそこそこに、新たな疑問に没頭し始めるクァイリ。
逃げることなく、受け入れた少年を、愛おしそうにロニクルは見ていた。
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