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独占欲と、下心
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これはまだ、間宮がホストを辞める前のお話。
「なあ三澄、お前、まだ売春やめられねーの」
間宮の部屋に遊びに来ていた三澄のスマホに、客からのメッセージが届いていたのを間宮が見てしまったのがきっかけだった。
咎めるような口調で間宮が聞くと、三澄がじいい…と何か言いたげな瞳で間宮を見つめる。
「いや、うん。わかってる。客と寝てる俺が言える立場じゃないってことぐらい。でも、妬いてるって気持ちを伝えるぐらいは許してくれ」
間宮が正直に嫉妬していることを告白すると、照れた三澄が顔を赤くした。
「てゆーかさ、お前の借金って親父のもんだろ?なんでお前が一人で返してんだよ」
お前が背負う必要はないだろ?と言う間宮に、三澄が苦笑しながら首を振る。
「俺の父親、けっこう裏で悪どいことしてたみたいなんだよね。下請けの人が不利になる条件出してたりとか…その上での倒産だったから、色んな人にすごく迷惑かけちゃったみたいで」
「だから、それをお前が背負い込む必要がどこにあるんだよ」
焦れた口調で間宮が問うが、三澄の態度は頑なだ。
「無関係ではいられないよ。知らなかったとは言え、誰かの犠牲の上で、俺は贅沢な暮らしをしていたんだから」
これは俺の贖罪なんだ、と三澄は言う。
三澄の言葉に、間宮は複雑な気持ちになった。
三澄に体を売って欲しくはないが、三澄の気持ちも痛いほどわかるからだ。
けれど、そんな自傷行為みたいな贖罪を続ける三澄を目の前で見ておきながら放っておくなんてことは、間宮にはできない。
「借金って…どんくらい」
三澄から残りの返済額を聞き出した間宮は、「うーん」と首を捻った。
それはホストで稼いでいる間宮からすれば、代わりに返してやれなくはない金額ではあったがーーしかし三澄は絶対に金を受け取らないだろうことは、容易に予想づく。
(つーか、金利がヤベェなここ…まともな金貸しじゃねーだろ…)
当時まだ中高生ぐらいだったはずの三澄が関わっているという時点で、真っ当な金融機関じゃないことは分かりきっていたが。
だがここで法律上の話をしても、三澄の意志はきっと変わらないだろう。
(こいつ、変に頑固なトコあるからな……)
何か良い方法はないのだろうか。
少し考えて、間宮が思いついたことを口にする。
「なあ三澄。お前、借り換えしねえ?俺に」
「えっと…?」
予想していなかった間宮の提案に、三澄が目を丸くする。
「少しでも金利の少ないとこに借り換えしたり、みんなするだろ。恋人のよしみで無利子にしてやるから、とりあえずお前俺に借り換えしとけよ。あ、言っとくけど、元本はまけてやらないぞ」
間宮が言うと、三澄がぶんぶんと首を横に振った。
「何言ってるの、間宮にそんな迷惑かけられないってば!」
慌てる三澄に、間宮は「勘違いすんなよ」と釘を刺した。
「善意だと思ってる?悪いけど、これは完全に下心だから」
「下心?」
「お前に恩を売って繋ぎ止めようっていう、やらしい気持ち」
「えっ!」
「あと、お前の体を他の奴に触らせたくないって独占欲な」
いっそ清々しい気さえする言い分だが、間宮がそこまで執着しているという事実に、三澄は耳まで赤くした。
「お前の贖罪って、迷惑かけた下請けの人に対してのモンであって、金融会社相手じゃないだろ。それなら、俺に借りたって同じだろうが」
「確かに、それはそうかも……だけど」
「じゃあ決定な」
有無を言わせず押し切った。
「ちゃんと書面に残すからな」
ぶっきらぼうにそう言った間宮の言葉は、三澄を信用していないからではなく、三澄に変な気を遣わせないようにあえて口にしたものだろう。
三澄はそんな間宮の優しさを嬉しく思いつつも、
「間宮ズルい」
と、口を尖らせた。
「俺だって間宮が他の女の子としてるの、本当は嫌なんだから…」
三澄がぽろっと零した本音に、間宮が眉をひそめる。
「お前、それ無自覚?」
「え?」
意味がわからなくて、聞き返す。
「今めっちゃムラムラきた。ヤらせろ」
「は!?」
どの辺が間宮のスイッチになったのか分からないまま、三澄はあっという間に押し倒され、間宮から注がれる熱い欲情をその身に受けた。
「なあ三澄、お前、まだ売春やめられねーの」
間宮の部屋に遊びに来ていた三澄のスマホに、客からのメッセージが届いていたのを間宮が見てしまったのがきっかけだった。
咎めるような口調で間宮が聞くと、三澄がじいい…と何か言いたげな瞳で間宮を見つめる。
「いや、うん。わかってる。客と寝てる俺が言える立場じゃないってことぐらい。でも、妬いてるって気持ちを伝えるぐらいは許してくれ」
間宮が正直に嫉妬していることを告白すると、照れた三澄が顔を赤くした。
「てゆーかさ、お前の借金って親父のもんだろ?なんでお前が一人で返してんだよ」
お前が背負う必要はないだろ?と言う間宮に、三澄が苦笑しながら首を振る。
「俺の父親、けっこう裏で悪どいことしてたみたいなんだよね。下請けの人が不利になる条件出してたりとか…その上での倒産だったから、色んな人にすごく迷惑かけちゃったみたいで」
「だから、それをお前が背負い込む必要がどこにあるんだよ」
焦れた口調で間宮が問うが、三澄の態度は頑なだ。
「無関係ではいられないよ。知らなかったとは言え、誰かの犠牲の上で、俺は贅沢な暮らしをしていたんだから」
これは俺の贖罪なんだ、と三澄は言う。
三澄の言葉に、間宮は複雑な気持ちになった。
三澄に体を売って欲しくはないが、三澄の気持ちも痛いほどわかるからだ。
けれど、そんな自傷行為みたいな贖罪を続ける三澄を目の前で見ておきながら放っておくなんてことは、間宮にはできない。
「借金って…どんくらい」
三澄から残りの返済額を聞き出した間宮は、「うーん」と首を捻った。
それはホストで稼いでいる間宮からすれば、代わりに返してやれなくはない金額ではあったがーーしかし三澄は絶対に金を受け取らないだろうことは、容易に予想づく。
(つーか、金利がヤベェなここ…まともな金貸しじゃねーだろ…)
当時まだ中高生ぐらいだったはずの三澄が関わっているという時点で、真っ当な金融機関じゃないことは分かりきっていたが。
だがここで法律上の話をしても、三澄の意志はきっと変わらないだろう。
(こいつ、変に頑固なトコあるからな……)
何か良い方法はないのだろうか。
少し考えて、間宮が思いついたことを口にする。
「なあ三澄。お前、借り換えしねえ?俺に」
「えっと…?」
予想していなかった間宮の提案に、三澄が目を丸くする。
「少しでも金利の少ないとこに借り換えしたり、みんなするだろ。恋人のよしみで無利子にしてやるから、とりあえずお前俺に借り換えしとけよ。あ、言っとくけど、元本はまけてやらないぞ」
間宮が言うと、三澄がぶんぶんと首を横に振った。
「何言ってるの、間宮にそんな迷惑かけられないってば!」
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「下心?」
「お前に恩を売って繋ぎ止めようっていう、やらしい気持ち」
「えっ!」
「あと、お前の体を他の奴に触らせたくないって独占欲な」
いっそ清々しい気さえする言い分だが、間宮がそこまで執着しているという事実に、三澄は耳まで赤くした。
「お前の贖罪って、迷惑かけた下請けの人に対してのモンであって、金融会社相手じゃないだろ。それなら、俺に借りたって同じだろうが」
「確かに、それはそうかも……だけど」
「じゃあ決定な」
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「間宮ズルい」
と、口を尖らせた。
「俺だって間宮が他の女の子としてるの、本当は嫌なんだから…」
三澄がぽろっと零した本音に、間宮が眉をひそめる。
「お前、それ無自覚?」
「え?」
意味がわからなくて、聞き返す。
「今めっちゃムラムラきた。ヤらせろ」
「は!?」
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