異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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序章 気が付いたら異世界転移

009 初めてのダンジョンアタック

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「さてと、行きますかねぇ」


 資金の許す範囲で最低限の準備を終えたので、早速迷宮に入ろう。


 武器はオーサンに紹介された店で『金が無いのでなるべく安くて丈夫なものをくれ』とリクエストしたところ、呆れた顔をした店主が木製の棍棒を売ってくれた。
 
 武器屋のおっちゃんいわく、水に弱く火にも弱く、軽量なので威力も期待できないが、非常に硬い木材『魔汚木ダーティーウッド』で出来ているため衝撃に強く、手入れも必要ないとのこと。こんなもん手入れするくらいなら新しい武器を買え、だってさ。
 お値段は80リーフ。銅版8枚なり。この時点で残り20リーフ。

 そのあと雑貨屋の場所を聞いて、20リーフで買える一番大きなサイズの布袋を購入。
 リュックのような、背負うタイプの荷物入れは一気に値段が跳ね上がり、現状まったく手が出なかった。
 布袋に棍棒で、どう見ても立派な蛮族です本当に有難うございました。


「では通行証を見せてくれ」


 迷宮の入り口には警備の為か、4人の兵士が配備されている。通行証の提示を求められたので素直に応じる。


「1階層くらいなら問題ないだろうが、まともな装備も整わないうちから、調子に乗って潜るんじゃないぞ。
 命さえ失わない限りはどうにかなるもんだからな」


 ここでも装備にツッコミを受ける。クレームは俺じゃなくてケチな神様に向けてどうぞ。


 迷宮の入り口は階段になっており、下った先が1階層となる。
 階層の数字は深さを表していて、下に降りるほど2階層、3階層となっていく。1とイメージすれば分かりやすいか。

 入り口の階段を下りて迷宮の1階層に辿り着いた。ここからが本番。油断せず行こう。

 
 雑貨屋で事前に聞いたとおり、低階層なら照明の類は必要ないようだ。
 迷宮に漂う強い魔力が照明代わりになって、迷宮内を照らしてくれているからだ。

 深い階層に行くほどにこの明かりも失われていくので、深いところまで潜るなら対策が必要になってくる。まぁ今の俺には関係ないが。

 地図も何も用意できなかったが、雑貨屋曰く「1階層で死ぬまで彷徨うようなマヌケは、どっちにしろ生き残れるはずが無いので諦めて死ね」とのこと。う~ん辛辣っすねぇ。

 適当に歩くこと数分。確かに分岐もさほど無いし道幅も広い。
 あとは階層全体でどの程度の広さなのかが分かれば、もう少し気楽に歩き回れそうだな。ってあれは……。


「あれがマッドスライムさんですか……」


 正直キモいな。10メートルくらい先の地面が、もぞもぞ動いているのが見える。

 う~ん、マッドって時点でかわいいイメージは無かったけど。これってアレですよね。アメーバみたいというか、吐しゃ物みたいというか?

 とにもかくにも異世界初エンカウント。
 油断せずに少しずつ距離をつめる。
 マッドスライムはもぞもぞしている。

 棍棒が届く距離まで近寄った。
 『顔に張り付かれる』ことがあるらしいので、飛び掛られたときに備えて、相手と顔の間に常に棍棒を置くように構える。
 マッドスライムはもぞもぞしている。

 相手から目を離さないようにして棍棒を上段に構える。
 マッドスライムはもぞもぞしている。

 渾身の力を込めて棍棒を振り下ろす。
 ぐちゃりとした、まんま泥を叩いたような感触が伝わってくる。
 マッドスライムは地面に融けるように消えた。
 マッドスライムが融けた後には、ソフトボールくらいの大きさの茶色い球が残っている。



 …………………………これで終わり?


 よ、弱すぎない……?

 運動不足の中年リーマンの俺でも、一撃で倒せる程度の魔物かぁ。確かにこれなら女子供でも安全に倒せそうだなぁ。

 残されたドロップアイテムの『粘土』と思われる球を拾う。
 粘土と言う割には表面がカチカチの手触りだ。加工するには特別な行程でも必要になってくるのかな?

 粘土を道具袋にいれて、ふと思い立ってステータスを確認してみたが、流石にSPの獲得には至っていなかった。今のでスキル得られたらヌルゲーすぎるもんなぁ。しゃーない。

 何はともあれ、これで銅貨2枚。2リーフゲットだぜ!先が見えなくて、心折れそうなことに目を瞑れば順調な滑り出しだな。


 その後も一心不乱に、ぐちゃりぐちゃりとマッドスライムを叩き続け、どのくらい時間が経ったのか分からないけれど、ようやく道具袋一杯に粘土が集まった。

 単調作業の繰り返しでしかなかったとはいえ、既に両腕が痛くて仕方ない。肩と腰まで痛み出してきてる。いかん、休もう。


 休憩を兼ねて一度迷宮を出て、粘土を換金してくることにしよう。

 異世界初仕事の報酬は、一体いくらになるのかなー。
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