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1章 仲間との出会い
020 初のパーティと貸切状態の理由
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「2人は今日どうするんだ?」
迷宮への道すがら尋ねてみる。
「勿論トーマと一緒に行くよっ」
「えっ?」
「あれ、僕もそのつもりだったんだけど、もしかして迷惑だった?」
「いやいや、俺としてもありがたいよ。
悪い悪い。今まで1人で回ってたから、今日もその流れで考えてたよ。2人が良いなら、こっちこそよろしく頼む」
「うんっ。よろしくねトーマ」
「うん、改めてよろしく頼むよ」
おお!知らないうちに俺は初パーティを組んでいたらしい!
脱ぼっち!今後の異世界生活が輝いて見える!
……なんか喜びすぎると逆に虚しくなりそうだから、そろそろ落ち着こうか。
「それじゃ軽く打ち合わせと行こう。
普段俺は荷物が一杯になるまで、1階層でひたすらマッドスライムを狩る作業をしてて、これを3回ほど繰り返したあたりで夜になる感じかな。一昨日からは、2回目の探索が終ったら2階層に進んで、ネズミ相手に手探りしてたって感じか。
俺1人だったら普段通りに動くつもりだったけど、2人はなにかあるかな?」
「えー!トーマって1階層で活動してたのー!?」
なんかリーンが凄いびっくりしている。シンを見ると、なんか引いてない?
え、1階層で活動するってそんなおかしいの?ひょっとして俺、オーサンの野郎にハメられたの?
「1階層でマッドスライムを相手にするのって、そんなに変なの?
確かに、相当歩き回ったけど、他の冒険者と会ったことって一度もないけども」
「ああなるほど、貸切状態なのか。ならば稼ぐにはアリかもね。
トーマ。リヴァーブ王国の人間が、ほぼ例外なく迷宮に入るのはどうしてだと思う?」
ほぼ例外なく入る理由?それなら1つしか思いつかない。
「魔物を倒してスキルを習得するため、だろ?」
「そうだね。その認識はあるんだ。なのに、こっちはトーマは知らないんだね。
ベイク1階層のマッドスライムは、スキル習得の経験がほとんど積めないと言われてるんだ。だから、よほど困窮している人でもない限り、1階層で活動する冒険者はベイクには居ないんだよ。
あまりに人気がなさ過ぎて、ベイクでは定期的にギルド主導で掃討を行ってるくらい人気がない」
「えっマジで!?」
「まじまじー!」
うへぇ。道理で全くSPが獲得できないわけだよ……。
「過去には、マッドスライムだけを狩り続けてスキルを得た人も居たらしいから、全くの無駄ってわけじゃないと思う。ただベイクの冒険者には1階層は嫌われてるね」
んーそうなのか。今日も盛大に散在してしまったことだし、エンカウント率の悪い2階層よりも、着実に稼げる1階層を回りたかったんだけど。もし2人が嫌なら考えないと駄目だな。
「そうなのか。教えてくれて助かったよ。
そんで2人とも、やっぱ1階層回るのはイヤかな?指導も申し込んじゃったし、ある程度確実に稼ぎたいと思ってたんだけど」
「ううん。全然へーきだよ。マッドスライムってあんまり会ったことないしー」
「僕も1階層で構わないよ。指導料もあるけど、僕の場合は武器も一つ無くした訳だしね。
スキルについても、数日間2階層を回ったくらいで祝福が得られるはずもないしさ。2階層よりも確実に稼げるなら、トーマの話に乗るよ。
たださっきリーンも言った様に、僕たちには1階層で活動した経験がない。回り慣れてるトーマの足手まといになってしまわないかな」
2人が良いなら、1階層を回ることにしよう。1階層で危険はほとんどないし、俺はマップは記憶済みだ。地図を渡して、二手に分担して狩るのが効率良いかな?
「1階層の地図は俺が持ってるの貸すよ。俺はもう覚えちまってるから地図は見ないからな。
1回マッドスライムを倒すところ見せるから、その後分かれて狩ろうぜ。1階層なんか3人で回っても、人手が勿体ないだけだからな」
「分かった。世話になりっぱなしで悪いけど、出来る限り頑張るよ」
「私もがんばるよー!」
まずマッドスライムを倒して見せて、二手に分かれる。慣れてる俺が7割、2人が3割くらいの範囲で分担した。
ちなみに、マッドスライムに剣は勿体無いってことで、今日も予備の棍棒を貸す。
新調した石斧は、今まで使っていた棍棒に無理矢理ダーティストーンをはめ込んだような形なので、握った感触は棍棒とあまり変わらない。
ただし石がついている分かなり重量が増していて、棍棒と比べると素早く振り回せないし、体力の消耗も激しくなる。
2階層、3階層に行く前に、マッドスライムくんで試し切りタイムだ。
石斧に振り回されていつもよりも大分遅いペースに感じたが、それでも合流地点に着いたのは俺のほうが早かった。まぁ2人は地図を確認しながら進まなきゃならないだろうからな。
流石に分担しただけあって、普段2回往復する時間で、3回ほど換金に行けた。
人手が増えたことで持てる荷物量も増えて、1回ごとに100体ちょっと換金することができた。
3回目の換金が済んだ後、2人にも確認を取って、2階層にも行ってみた。
4匹ほどネズミと遭遇したが、今日は全て、単体との遭遇しか起こらなかった。昨日の2人は、かなり運が悪かったんだろうなぁ。
武器を更新したかいがあって、石斧を頭部に当てられれば、一撃でネズミを倒せるようだ。
脳漿をぶちまける感覚には未だに嫌な気分になってしまうが、慣れるしかない。
ネズミを一撃で、という課題も達成出来た。指導を受けるまでは進まないと決めているが、これで3階層で戦う見当もついた。俺も確実に強くなっているはずだ。
報酬は3人割ではなく2パーティ扱いで分割することになった。
俺の取り分は322リーフ。半分にしても、ソロで狩っていたときと変わらない程度の報酬が確保できて安心した。
2人は「1階層ってこんなに稼げるの!?」とか「今までで1番稼げた!」とか騒いでいた。
明日もギルドで待ち合わせることを約束して、俺は宿に戻ったのだった。
迷宮への道すがら尋ねてみる。
「勿論トーマと一緒に行くよっ」
「えっ?」
「あれ、僕もそのつもりだったんだけど、もしかして迷惑だった?」
「いやいや、俺としてもありがたいよ。
悪い悪い。今まで1人で回ってたから、今日もその流れで考えてたよ。2人が良いなら、こっちこそよろしく頼む」
「うんっ。よろしくねトーマ」
「うん、改めてよろしく頼むよ」
おお!知らないうちに俺は初パーティを組んでいたらしい!
脱ぼっち!今後の異世界生活が輝いて見える!
……なんか喜びすぎると逆に虚しくなりそうだから、そろそろ落ち着こうか。
「それじゃ軽く打ち合わせと行こう。
普段俺は荷物が一杯になるまで、1階層でひたすらマッドスライムを狩る作業をしてて、これを3回ほど繰り返したあたりで夜になる感じかな。一昨日からは、2回目の探索が終ったら2階層に進んで、ネズミ相手に手探りしてたって感じか。
俺1人だったら普段通りに動くつもりだったけど、2人はなにかあるかな?」
「えー!トーマって1階層で活動してたのー!?」
なんかリーンが凄いびっくりしている。シンを見ると、なんか引いてない?
え、1階層で活動するってそんなおかしいの?ひょっとして俺、オーサンの野郎にハメられたの?
「1階層でマッドスライムを相手にするのって、そんなに変なの?
確かに、相当歩き回ったけど、他の冒険者と会ったことって一度もないけども」
「ああなるほど、貸切状態なのか。ならば稼ぐにはアリかもね。
トーマ。リヴァーブ王国の人間が、ほぼ例外なく迷宮に入るのはどうしてだと思う?」
ほぼ例外なく入る理由?それなら1つしか思いつかない。
「魔物を倒してスキルを習得するため、だろ?」
「そうだね。その認識はあるんだ。なのに、こっちはトーマは知らないんだね。
ベイク1階層のマッドスライムは、スキル習得の経験がほとんど積めないと言われてるんだ。だから、よほど困窮している人でもない限り、1階層で活動する冒険者はベイクには居ないんだよ。
あまりに人気がなさ過ぎて、ベイクでは定期的にギルド主導で掃討を行ってるくらい人気がない」
「えっマジで!?」
「まじまじー!」
うへぇ。道理で全くSPが獲得できないわけだよ……。
「過去には、マッドスライムだけを狩り続けてスキルを得た人も居たらしいから、全くの無駄ってわけじゃないと思う。ただベイクの冒険者には1階層は嫌われてるね」
んーそうなのか。今日も盛大に散在してしまったことだし、エンカウント率の悪い2階層よりも、着実に稼げる1階層を回りたかったんだけど。もし2人が嫌なら考えないと駄目だな。
「そうなのか。教えてくれて助かったよ。
そんで2人とも、やっぱ1階層回るのはイヤかな?指導も申し込んじゃったし、ある程度確実に稼ぎたいと思ってたんだけど」
「ううん。全然へーきだよ。マッドスライムってあんまり会ったことないしー」
「僕も1階層で構わないよ。指導料もあるけど、僕の場合は武器も一つ無くした訳だしね。
スキルについても、数日間2階層を回ったくらいで祝福が得られるはずもないしさ。2階層よりも確実に稼げるなら、トーマの話に乗るよ。
たださっきリーンも言った様に、僕たちには1階層で活動した経験がない。回り慣れてるトーマの足手まといになってしまわないかな」
2人が良いなら、1階層を回ることにしよう。1階層で危険はほとんどないし、俺はマップは記憶済みだ。地図を渡して、二手に分担して狩るのが効率良いかな?
「1階層の地図は俺が持ってるの貸すよ。俺はもう覚えちまってるから地図は見ないからな。
1回マッドスライムを倒すところ見せるから、その後分かれて狩ろうぜ。1階層なんか3人で回っても、人手が勿体ないだけだからな」
「分かった。世話になりっぱなしで悪いけど、出来る限り頑張るよ」
「私もがんばるよー!」
まずマッドスライムを倒して見せて、二手に分かれる。慣れてる俺が7割、2人が3割くらいの範囲で分担した。
ちなみに、マッドスライムに剣は勿体無いってことで、今日も予備の棍棒を貸す。
新調した石斧は、今まで使っていた棍棒に無理矢理ダーティストーンをはめ込んだような形なので、握った感触は棍棒とあまり変わらない。
ただし石がついている分かなり重量が増していて、棍棒と比べると素早く振り回せないし、体力の消耗も激しくなる。
2階層、3階層に行く前に、マッドスライムくんで試し切りタイムだ。
石斧に振り回されていつもよりも大分遅いペースに感じたが、それでも合流地点に着いたのは俺のほうが早かった。まぁ2人は地図を確認しながら進まなきゃならないだろうからな。
流石に分担しただけあって、普段2回往復する時間で、3回ほど換金に行けた。
人手が増えたことで持てる荷物量も増えて、1回ごとに100体ちょっと換金することができた。
3回目の換金が済んだ後、2人にも確認を取って、2階層にも行ってみた。
4匹ほどネズミと遭遇したが、今日は全て、単体との遭遇しか起こらなかった。昨日の2人は、かなり運が悪かったんだろうなぁ。
武器を更新したかいがあって、石斧を頭部に当てられれば、一撃でネズミを倒せるようだ。
脳漿をぶちまける感覚には未だに嫌な気分になってしまうが、慣れるしかない。
ネズミを一撃で、という課題も達成出来た。指導を受けるまでは進まないと決めているが、これで3階層で戦う見当もついた。俺も確実に強くなっているはずだ。
報酬は3人割ではなく2パーティ扱いで分割することになった。
俺の取り分は322リーフ。半分にしても、ソロで狩っていたときと変わらない程度の報酬が確保できて安心した。
2人は「1階層ってこんなに稼げるの!?」とか「今までで1番稼げた!」とか騒いでいた。
明日もギルドで待ち合わせることを約束して、俺は宿に戻ったのだった。
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