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1章 仲間との出会い
021 金策の2日間
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3人で話し合った結果、訓練日までは2階層に行くのはやめて、その時間を1階層の探索にあてることにした。
俺以上に2階層での活動経験のある2人が、2階層は旨みがなさ過ぎる、その時間も1階層を回るべきだと言ってきた為だ。
2人のほうでも1階層の地図を自前で用意してきたため、俺たちは3人とも別れてマッドスライム狩りをすることにした。
割合としてはリーンが2割、シンが3割、俺が5割である。棍棒は2つとも貸すことにした。
かなり周回が高速化したものの、マッドスライムは枯れることなく沸き続けた。
マジでなんでこんなに人気ないのか意味が分からないくらい稼げた。当然ながら、ソロよりパーティ狩りのほうが断然効率が良い。
今まで3往復しか出来なかった時間で、今日は倍の6往復も出来た。1回に付き120体前後。これを6回である。
いつもより多少早めに切り上げたというのに、本日の報酬は1470リーフにも到達した。ようやくもう少しで銀板に手が届くかも、なんて言っていたのに、1日の報酬が銀板1.5枚近い件。
もうマッドスライムに足を向けて寝られないな、ってくらいウマウマだ。これで1階層が全く人気がないのは、本当に意味が分からない。装備更新で散在した分が、サクっと戻ってきた以上に稼げてる階層なのになぁ。
今日は打ち上げを兼ねて、3人で夕食を食べることになった。前回は俺の奢りだったので、今回は2人が出してくれるそうだ。
まぁ稼げたし、遠慮なくご相伴に預かろうではないか。
あら、外食するのかと思っていたら、自宅に招待してくれるらしい。外食するより安いし、量が食えるしな。
3人で食材を買って、シンとリーンの家に向かった。
余談だが、今までずっと宿で食ってたので、食材を売ってる店の場所とか初めて知ったわ。
字も読めないし適正価格もなにも分からないので、俺は荷物持ち担当だ。
2人の家は木造2階建ての、店舗兼住居といった感じだった。1階部分は店舗にあたるそうだが、両親が行商に出ている間は閉めているそうだ。
現在は不在なので閉店中とのこと。
今日は両親が居ないの……、なんてセリフは妙齢の女性に言われたかったもんだ。
台所で3人で食事の用意をする。「トーマはお客さんだから座ってていいよ」とは言われたものの手持ち無沙汰だったので、せっかくパーティ組んだことだし一緒に作ろうぜ、って言ったらすぐに手伝わせてくれた。チョロイ。
「良し、じゃあ遅くならないうちに早速頂こうか。トーマは泊まってる宿と比べるのはやめてくれよ?」
「比べねぇっての。俺も手伝ったんだし、味は全員で連帯責任だろ」
「2人とも、一杯作ったからたくさん食べてねー!」
味は残念ながらと言うか当然と言うか、迷宮の安らぎ亭には及ばなかったが、他の客を気にせず3人で食べる食事は、最高に旨かった。
日本に居た時も、食事はずっと1人だったからなぁ。誰かと食べる食事の楽しさってものを、長いこと忘れていたような気がする。女性とも全く縁がなかったしなぁ。
「いやあ2階層では酷い目に会ったけど、そのおかげでトーマに会えたんだから、人生分からないものだね。
10等級の僕らがこんなに稼げるとは思ってなかった。2階層を回っていた日々はなんだったんだって思ってしまうよ」
出会ってから一番ご機嫌なシンが苦笑している。2階層では丸1日探索しても、銅板にすら届かないような日々だったらしい。
ネズミが落す魔法石の単価は7リーフ。銅板は10リーフ。
…………泣ける。
「俺も2人のおかげで、いつも以上に稼げてるからな。助かってるのはお互い様だ。
しかし俺たちにとっては好都合でしかないが、これだけ稼げるのに1階層がほぼ貸切なのは、本当に不思議だよ。こんなに稼げるなら、もっと人が居ても良い気がするのにな?」
まぁ単価が低いので、競争率がちょっとでも上がったら一気に稼げなくなってしまうだろうけれど、定期的にギルドで掃討しないといけないほど不人気なのはなんでなんだ。
「トーマも昨日言ってたでしょー?迷宮に潜るのはスキルを得るためだって。
私たちみたいに、お金のために低い階層を回るっていう人はあんまりいないんだよー」
「トーマもお金に苦労してるみたいだし、ピンと来ないのかもね。リーンの言うとおり、純粋にお金のために迷宮に潜る人は少ないんだ。
もっと深い階層になれば事情は変わってくるだろうけれどね」
あーーーそういうことか!完全に勘違いしていた。道理で身分証と許可証が分かれているわけだ。
2階層にいる連中は、あくまでもスキルを得るために回っているだけであって、金策はさほど重視してないのか。
「なるほどねぇ。完全に勘違いしてたよ。迷宮に居る人が皆、生活困窮してるわけじゃない、ってことだな?みんなが生活に困って、冒険者一本で食っているわけじゃないのか。
だからマッドスライムしか居ない1階層は、見向きもされないってワケだ。スキル取得目的がならば、確かに1階層にはまったく用がないな」
「そういうことだね。僕たちにとっては非常に有り難い。この調子で稼げるなら、剣を折ってしまったことも惜しくないよ。3階層で戦えるようになれば、スキル面で考えても、2階層なんて行く意味がない。
まったく……。お金に困っていたのに、先入観で1階層を無視してしまった僕を殴ってやりたい気分だよ」
「私も、冒険者になって辛く感じることが多かったけど、トーマのおかげで今日は辛くなかったな。冒険者って楽しいんだな、って思ったよ!」
「こっちこそ、2人のおかげで稼がせてもらって、ありがたいと思ってるよ。明日も頑張って1階層回ろうぜ」
この日の夕食は、リンカーズに来てから一番楽しい出来事だったかもしれない。
この2人を死なせずに済んだことが、何よりの幸運だ。
次の日も、朝から1階層をぐるぐるした。3度目なので2人も1階層に慣れ始め、更に昨日の稼ぎでやる気も満々だったおかげで、1日で8往復、合計1930リーフもの報酬を得ることが出来た。
2人のおかげでこんなに稼げるのだから、指導料くらい出してやれば良かったな。
まぁ今更の話なんだけどね。
俺以上に2階層での活動経験のある2人が、2階層は旨みがなさ過ぎる、その時間も1階層を回るべきだと言ってきた為だ。
2人のほうでも1階層の地図を自前で用意してきたため、俺たちは3人とも別れてマッドスライム狩りをすることにした。
割合としてはリーンが2割、シンが3割、俺が5割である。棍棒は2つとも貸すことにした。
かなり周回が高速化したものの、マッドスライムは枯れることなく沸き続けた。
マジでなんでこんなに人気ないのか意味が分からないくらい稼げた。当然ながら、ソロよりパーティ狩りのほうが断然効率が良い。
今まで3往復しか出来なかった時間で、今日は倍の6往復も出来た。1回に付き120体前後。これを6回である。
いつもより多少早めに切り上げたというのに、本日の報酬は1470リーフにも到達した。ようやくもう少しで銀板に手が届くかも、なんて言っていたのに、1日の報酬が銀板1.5枚近い件。
もうマッドスライムに足を向けて寝られないな、ってくらいウマウマだ。これで1階層が全く人気がないのは、本当に意味が分からない。装備更新で散在した分が、サクっと戻ってきた以上に稼げてる階層なのになぁ。
今日は打ち上げを兼ねて、3人で夕食を食べることになった。前回は俺の奢りだったので、今回は2人が出してくれるそうだ。
まぁ稼げたし、遠慮なくご相伴に預かろうではないか。
あら、外食するのかと思っていたら、自宅に招待してくれるらしい。外食するより安いし、量が食えるしな。
3人で食材を買って、シンとリーンの家に向かった。
余談だが、今までずっと宿で食ってたので、食材を売ってる店の場所とか初めて知ったわ。
字も読めないし適正価格もなにも分からないので、俺は荷物持ち担当だ。
2人の家は木造2階建ての、店舗兼住居といった感じだった。1階部分は店舗にあたるそうだが、両親が行商に出ている間は閉めているそうだ。
現在は不在なので閉店中とのこと。
今日は両親が居ないの……、なんてセリフは妙齢の女性に言われたかったもんだ。
台所で3人で食事の用意をする。「トーマはお客さんだから座ってていいよ」とは言われたものの手持ち無沙汰だったので、せっかくパーティ組んだことだし一緒に作ろうぜ、って言ったらすぐに手伝わせてくれた。チョロイ。
「良し、じゃあ遅くならないうちに早速頂こうか。トーマは泊まってる宿と比べるのはやめてくれよ?」
「比べねぇっての。俺も手伝ったんだし、味は全員で連帯責任だろ」
「2人とも、一杯作ったからたくさん食べてねー!」
味は残念ながらと言うか当然と言うか、迷宮の安らぎ亭には及ばなかったが、他の客を気にせず3人で食べる食事は、最高に旨かった。
日本に居た時も、食事はずっと1人だったからなぁ。誰かと食べる食事の楽しさってものを、長いこと忘れていたような気がする。女性とも全く縁がなかったしなぁ。
「いやあ2階層では酷い目に会ったけど、そのおかげでトーマに会えたんだから、人生分からないものだね。
10等級の僕らがこんなに稼げるとは思ってなかった。2階層を回っていた日々はなんだったんだって思ってしまうよ」
出会ってから一番ご機嫌なシンが苦笑している。2階層では丸1日探索しても、銅板にすら届かないような日々だったらしい。
ネズミが落す魔法石の単価は7リーフ。銅板は10リーフ。
…………泣ける。
「俺も2人のおかげで、いつも以上に稼げてるからな。助かってるのはお互い様だ。
しかし俺たちにとっては好都合でしかないが、これだけ稼げるのに1階層がほぼ貸切なのは、本当に不思議だよ。こんなに稼げるなら、もっと人が居ても良い気がするのにな?」
まぁ単価が低いので、競争率がちょっとでも上がったら一気に稼げなくなってしまうだろうけれど、定期的にギルドで掃討しないといけないほど不人気なのはなんでなんだ。
「トーマも昨日言ってたでしょー?迷宮に潜るのはスキルを得るためだって。
私たちみたいに、お金のために低い階層を回るっていう人はあんまりいないんだよー」
「トーマもお金に苦労してるみたいだし、ピンと来ないのかもね。リーンの言うとおり、純粋にお金のために迷宮に潜る人は少ないんだ。
もっと深い階層になれば事情は変わってくるだろうけれどね」
あーーーそういうことか!完全に勘違いしていた。道理で身分証と許可証が分かれているわけだ。
2階層にいる連中は、あくまでもスキルを得るために回っているだけであって、金策はさほど重視してないのか。
「なるほどねぇ。完全に勘違いしてたよ。迷宮に居る人が皆、生活困窮してるわけじゃない、ってことだな?みんなが生活に困って、冒険者一本で食っているわけじゃないのか。
だからマッドスライムしか居ない1階層は、見向きもされないってワケだ。スキル取得目的がならば、確かに1階層にはまったく用がないな」
「そういうことだね。僕たちにとっては非常に有り難い。この調子で稼げるなら、剣を折ってしまったことも惜しくないよ。3階層で戦えるようになれば、スキル面で考えても、2階層なんて行く意味がない。
まったく……。お金に困っていたのに、先入観で1階層を無視してしまった僕を殴ってやりたい気分だよ」
「私も、冒険者になって辛く感じることが多かったけど、トーマのおかげで今日は辛くなかったな。冒険者って楽しいんだな、って思ったよ!」
「こっちこそ、2人のおかげで稼がせてもらって、ありがたいと思ってるよ。明日も頑張って1階層回ろうぜ」
この日の夕食は、リンカーズに来てから一番楽しい出来事だったかもしれない。
この2人を死なせずに済んだことが、何よりの幸運だ。
次の日も、朝から1階層をぐるぐるした。3度目なので2人も1階層に慣れ始め、更に昨日の稼ぎでやる気も満々だったおかげで、1日で8往復、合計1930リーフもの報酬を得ることが出来た。
2人のおかげでこんなに稼げるのだから、指導料くらい出してやれば良かったな。
まぁ今更の話なんだけどね。
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