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2章 強さへの道標
035 音魔法の可能性
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スクロールの使い方まで教わって、2人と別れた。
スクロールを開き、中に記されている魔法陣に一定時間手を触れることで魔法を取得できるらしい。触れるのはどちらの手でも構わないが、触れる場所は手のひらでないと駄目らしい。
両腕を失った場合には、2度と魔法の取得は出来ないということだ。
ちなみになんのスクロールでも、中の魔法陣は同じものらしい。
スクロールの使用は、魔法を司る神の許可を得る行為だとリンカーズでは認識されているそうだ。使い終わったスクロールは消滅してしまうとのこと。使いまわしは不可能、処分の手間は無し。
宿に帰って夕食を済ませ、部屋に戻ってきた。これからお楽しみタイムの始まりだぜー!
言われたとおりにまずはスクロールを広げる。中には赤いインクで書かれた魔法陣。
何が起こるかとビビリな俺は、利き手ではなく左手で魔方陣に触れる。いや右手になんかあったら困るじゃん?なにかあったら左手でも困るんだけどな。
魔方陣に触れていると、次第に魔法陣が淡く光りだした。それと同時に、左手を通して暖かさが体の中に入ってくるような感覚を覚える。スクロールを通して情報が流し込まれている、とでも解釈すればいいんだろうか。
そして魔法陣だけでなくスクロール全体が淡く発光したと思うと、スクロールは光の粒子となって空気に溶けてなくなった。
どうやらこれで魔法取得は完了したようだ。
時間にして5分くらいか。戦闘中に覚えるのは難しい程度の時間がかかるということを覚えておこう。
さーって!お待ちかねのステータスチェックのお時間です!
名前 トーマ
年齢 35歳(20年の間は不老)
種族 人間
所持SP 2
使用可能魔法
音魔法
使用可能スキル
リンカーズ会話理解
取得可能スキル
免疫力上昇:小 (必要SP1)
しっかりと『音魔法』が追加されておりますぞーーーーー!
これで今日から俺も魔法使いだ!童貞的な意味じゃない方の!
そして本番はここからである。以前マニュアルを読んだ時に『魔法やスキルに表示されている項目はステータスで詳細を確認することが出来る』と記してあった。そして音魔法はステータスに表示されている。
つまりは詳細を閲覧できるってことですよねー!
音魔法
風属性の影響が最も強い、生活魔法の1つ。
自身の魔力を代償に、音の発生、干渉、操作を行使することが出来る。
やっぱり操作も出来るんじゃないか!干渉ってのがどういう意味なのかちょっとイメージできないけど!照明の魔法が『設置発生型』とか言ってたから、複合的な魔法の使い方があると睨んでたんだよねー。
しかし基本情報だけとは言っても、システム的な情報を閲覧できるのって微妙にチート臭がするな。ノンチートで送り出されたと思ってたけど、まさかのステータスオープンがチート扱いだった件?
とりあえずは音魔法を使ってみよう。上手くできるかな?
音魔法を意識すると、自分の体に今まで感じることが出来なかったエネルギーを感じることが出来た。これがきっと俺の中に存在する魔力なのだろう。魔法を取得したことで魔力を知覚、操作することを許されたということだ。
まずは『発生』。体内の魔力の流れを意識し、体の1点に魔力を集めて放出する。
ぷううううう。
俺のケツから快音が鳴り響く。よし、成功だ。
魔法が使えたらこれだけは絶対にやろうと心に決めていたのだ。異世界初魔法は『ただし魔法は尻から出る』と言いたいためだけに犠牲になったのだ。
さて、くだらないことをしてしまったが、全く無意味だったわけではない。発生型魔法の発動に成功したわけだし、音を発生させるのは体のどこからでも良いと言うことが検証できた。
次は音の『操作』を試してみよう。
隣りに居る人に話しかけるくらいの声量を意識して「あーーーー」と発声する。
うん、このくらいなら部屋の外や隣りの部屋に聞こえることはないだろう、きっと。
もう既に寝ている人も居るかもしれないので、他の宿泊客に迷惑をかけないように気をつけよう。騒音問題ってご近所トラブルの代表的なイメージあるし。
まずは体内の魔力を意識する。
そして先ほどのように「あーーーーー」と発声し、その声を操作できるか試してみる。
何度も咳き込んだり息切れを繰り返しながら操作を検証していく。魔力の流れ的には音に干渉出来ている感覚はある。多分出来るはずだ。
自分の声に意識を集中して、魔力を声に乗せるイメージで操作する。そして発声しながら、声を耳に届かないように音の流れる方向性を操作する。
……多分出来た。発声しているのに自分の声が耳に届かない。音の操作にも成功したようだ。
発声と魔力操作をとめる。気付いたら汗だくだし、なんだか体が重くて疲労感を感じる。集中していたので気付かなかったが、恐らく魔力を消費したことによる影響なんだろうか。
もし魔力を使い切ったらどうなるのかな。意識がなくなって倒れるぐらいならまだしも、まさか死んだりしないだろうな?
安易に魔力切れを試してみるのはリスクが高すぎるからやめておこう。
音魔法を覚えた興奮で眠れないかもなーと思っていたけれど、魔力消費の倦怠感のおかげで逆に眠れそうだな。明日は訓練だしそろそろ切り上げて眠りますか。
音魔法は期待通りに色々な使い方が出来る可能性があることがわかった。ステータスウィンドウは思っていた以上に有用な能力だと言うことも判明した。
流石は異世界。知れば知るほど楽しくなってくる。
確かオーサンは魔法も使えたな。明日は訓練日で1日中一緒だし、色々聞いてみよう。
……まずは、訓練を無事に乗り切らないといけないけどな……。
スクロールを開き、中に記されている魔法陣に一定時間手を触れることで魔法を取得できるらしい。触れるのはどちらの手でも構わないが、触れる場所は手のひらでないと駄目らしい。
両腕を失った場合には、2度と魔法の取得は出来ないということだ。
ちなみになんのスクロールでも、中の魔法陣は同じものらしい。
スクロールの使用は、魔法を司る神の許可を得る行為だとリンカーズでは認識されているそうだ。使い終わったスクロールは消滅してしまうとのこと。使いまわしは不可能、処分の手間は無し。
宿に帰って夕食を済ませ、部屋に戻ってきた。これからお楽しみタイムの始まりだぜー!
言われたとおりにまずはスクロールを広げる。中には赤いインクで書かれた魔法陣。
何が起こるかとビビリな俺は、利き手ではなく左手で魔方陣に触れる。いや右手になんかあったら困るじゃん?なにかあったら左手でも困るんだけどな。
魔方陣に触れていると、次第に魔法陣が淡く光りだした。それと同時に、左手を通して暖かさが体の中に入ってくるような感覚を覚える。スクロールを通して情報が流し込まれている、とでも解釈すればいいんだろうか。
そして魔法陣だけでなくスクロール全体が淡く発光したと思うと、スクロールは光の粒子となって空気に溶けてなくなった。
どうやらこれで魔法取得は完了したようだ。
時間にして5分くらいか。戦闘中に覚えるのは難しい程度の時間がかかるということを覚えておこう。
さーって!お待ちかねのステータスチェックのお時間です!
名前 トーマ
年齢 35歳(20年の間は不老)
種族 人間
所持SP 2
使用可能魔法
音魔法
使用可能スキル
リンカーズ会話理解
取得可能スキル
免疫力上昇:小 (必要SP1)
しっかりと『音魔法』が追加されておりますぞーーーーー!
これで今日から俺も魔法使いだ!童貞的な意味じゃない方の!
そして本番はここからである。以前マニュアルを読んだ時に『魔法やスキルに表示されている項目はステータスで詳細を確認することが出来る』と記してあった。そして音魔法はステータスに表示されている。
つまりは詳細を閲覧できるってことですよねー!
音魔法
風属性の影響が最も強い、生活魔法の1つ。
自身の魔力を代償に、音の発生、干渉、操作を行使することが出来る。
やっぱり操作も出来るんじゃないか!干渉ってのがどういう意味なのかちょっとイメージできないけど!照明の魔法が『設置発生型』とか言ってたから、複合的な魔法の使い方があると睨んでたんだよねー。
しかし基本情報だけとは言っても、システム的な情報を閲覧できるのって微妙にチート臭がするな。ノンチートで送り出されたと思ってたけど、まさかのステータスオープンがチート扱いだった件?
とりあえずは音魔法を使ってみよう。上手くできるかな?
音魔法を意識すると、自分の体に今まで感じることが出来なかったエネルギーを感じることが出来た。これがきっと俺の中に存在する魔力なのだろう。魔法を取得したことで魔力を知覚、操作することを許されたということだ。
まずは『発生』。体内の魔力の流れを意識し、体の1点に魔力を集めて放出する。
ぷううううう。
俺のケツから快音が鳴り響く。よし、成功だ。
魔法が使えたらこれだけは絶対にやろうと心に決めていたのだ。異世界初魔法は『ただし魔法は尻から出る』と言いたいためだけに犠牲になったのだ。
さて、くだらないことをしてしまったが、全く無意味だったわけではない。発生型魔法の発動に成功したわけだし、音を発生させるのは体のどこからでも良いと言うことが検証できた。
次は音の『操作』を試してみよう。
隣りに居る人に話しかけるくらいの声量を意識して「あーーーー」と発声する。
うん、このくらいなら部屋の外や隣りの部屋に聞こえることはないだろう、きっと。
もう既に寝ている人も居るかもしれないので、他の宿泊客に迷惑をかけないように気をつけよう。騒音問題ってご近所トラブルの代表的なイメージあるし。
まずは体内の魔力を意識する。
そして先ほどのように「あーーーーー」と発声し、その声を操作できるか試してみる。
何度も咳き込んだり息切れを繰り返しながら操作を検証していく。魔力の流れ的には音に干渉出来ている感覚はある。多分出来るはずだ。
自分の声に意識を集中して、魔力を声に乗せるイメージで操作する。そして発声しながら、声を耳に届かないように音の流れる方向性を操作する。
……多分出来た。発声しているのに自分の声が耳に届かない。音の操作にも成功したようだ。
発声と魔力操作をとめる。気付いたら汗だくだし、なんだか体が重くて疲労感を感じる。集中していたので気付かなかったが、恐らく魔力を消費したことによる影響なんだろうか。
もし魔力を使い切ったらどうなるのかな。意識がなくなって倒れるぐらいならまだしも、まさか死んだりしないだろうな?
安易に魔力切れを試してみるのはリスクが高すぎるからやめておこう。
音魔法を覚えた興奮で眠れないかもなーと思っていたけれど、魔力消費の倦怠感のおかげで逆に眠れそうだな。明日は訓練だしそろそろ切り上げて眠りますか。
音魔法は期待通りに色々な使い方が出来る可能性があることがわかった。ステータスウィンドウは思っていた以上に有用な能力だと言うことも判明した。
流石は異世界。知れば知るほど楽しくなってくる。
確かオーサンは魔法も使えたな。明日は訓練日で1日中一緒だし、色々聞いてみよう。
……まずは、訓練を無事に乗り切らないといけないけどな……。
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