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3章 別れと出会い
049 ソロ冒険者の収入
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「ホムロー。6階層に進めって言われたんだけど、何から揃えた方が良いかな?」
今回も安定の人任せである。
いやだって俺ってマジで何も分からないから。俺の考え休むに似たり。専門家に意見を聞くのはむしろ当然と言えよう。
「あぁ?テメェソロになったんじゃねぇのか?迷宮で調子乗ってると命落とすだけだぞ?」
「いやいや、俺も当分5階層回るつもりで居たのにさー。オーサンがさっさと進めって言ってきて困ってんだよねー」
「はあ?オーサン……、ってことは冒険者ギルドに進めって言われたのか?
お前がソロになったのを知ってても進めてきたってことは、トーマにとって5階層はもう適正階層じゃねぇってことなのか。
……なんかトーマは1人で迷宮潜ってるくせに攻略のペース速くねぇか?」
「俺にそんなこと言われたって知らないよー。そんで何から更新すべきかな?流石に全身の装備買い換えるお金はない!」
ちょっと待ってろと言い残してホムロが店の奥に引っ込む。今回は何もって来るのかな。
「予算を聞いてなかったがとりあえずはこれだな。
精霊鉄のくさりかたびらで銀板7枚。これは今後鎧を買い換えても合わせて使っていけるから、長く使うならむしろお買い得だろう。
それでこっちは守霊布のバンダナ。銀板4枚。布製だから頼りなく見えるかも知れんが、防御の魔法に近い効果が付与されていて、魔法にも打撃にも強い。これも兜と併用して使えるから使いやすいはずだ」
今装備してる防具が銀貨1枚とかそこらの価値がないので、値段で比較すると数十倍の価値のある装備になるわけだ。まぁホムロが客を騙すようなことはしないだろうって位には信用している。
「おっけー2つとも買うよ。サイズ調整は必要かな?」
「あぁ!?テメェいつの間にそんなに稼げるようになったんだよ!?棍棒持って迷宮に入り始めたのだってついこないだじゃねぇか!
最近羽振りが良いのはシンとリーンのおかげかと思ってたが、まさか実力だったのか……?」
まぁソロだと持てる荷物の量は少ないけれど、報酬が分配なく総取り出来るからな。5階層3往復を2日もすれば金貨1枚いくし。
ようやくスキルの獲得が視野に入ってきたかなと思う。
「もう棍棒野郎とは言わせねぇし!
7階層に進むときには武器を更新したいんだよ。なんか適当に見繕っておいてくれないかな。出来れば短剣のほうを更新するつもりで」
なんか震えてるホムロは放置して迷宮に向かった。
いつも通り階層を更新するときは道中は最短距離で突っ切る。今回はこちらに気付かれない限りは一切手出しせずに進む。
ただし4階層と5階層のシャドウボアは別だ。単価的な意味で。
さてさてやってきました6階層。暗視ポーションのおかげで暗さの違いは分からない。まぁ暗視の出来ない状態でくる階層じゃないしな。どうでもいいか。
地図に軽く目を通して、パッと見で分岐が少なそうなルートを選んで進行する。一応音魔法は常に起動しておく。
そしてレッサーウィスプさんと初遭遇したわけなんですが……。特に語ることもないくらいあっさり処理してしまった。
見た目は緑色の火の玉という感じ?大きさは人の頭部くらいあるかな。
初めて敵から放たれた魔法を見たときはちょっと驚いたけど、遅い上に射程がさほど広くない。そして連発も出来ないと、良いところが1つもない。キミ何しに出てきたの?ってレベルで問題なかった。
ただこれは俺がソロで周りを気にせず動けるから思う感想であって、パーティ人数が多いほうが厄介な攻撃なのかなとも思う。
威力はどうなんだろうな。流石に検証のために一発喰らうってのはやりたくない。
ドロップ品の精霊の欠片は、見た目薄い青色の宝石みたいだった。宝石に詳しくないけど、日本に持っていたら人気出るんじゃないかな、なんて思ったり。
大きさもネズミが落とすゴルフボール大の一番安い魔法石と同じくらい。6階層はなかなか稼げるんじゃなかろうかっ!
調子に乗ってリュックが一杯になるまで回った結果、どうやらいつもより長く潜っていたらしく、陽天の報せをとうに過ぎてしまったらしい。
今日は迷宮前にホムロのところにも行ったしなぁ。
「はぁ……。ソロで6階層初挑戦。その結果が7530リーフか。やっぱり6階層でもヌル過ぎるんじゃねぇか……?」
おお、2周すれば金貨1枚半までいけるな。
武器の補修再生代に中級暗視ポーション代なんて、もはや痛くも痒くもないな。
「そんなこと俺に言われても知らないよ。あ、口座作ってきたんだけど報酬全部そっちに入れて貰って良いかな?
これからは特に俺から言い出さないときは全部口座に入れてくれて良いよ」
「そういうことは先に言え!報酬用意した意味ねぇだろが!」
「悪い悪い。じゃあ今回のは受け取るよ。次からは直接口座に入れちゃってくれる?」
「了解した。じゃあ次からは納品の時に身分証も一緒に出してくれ。口座入金の手続きに必要だからな」
「身分証を通してやり取りするのね。わかった」
2度目の探索はシャドウボアも無視して6階層まで直行した。もうシャドウボアのドロップ品狙う意味もないからなっ!勿論6階層で倒した分は拾うけども。
2回目の探索を終えて戻ってきたら、辺りはすっかり暗くなっていた。
6階層は稼げるけど、潜るのは2回までの方が良いかな?それでも充分な収入なわけだし。
2回目の報酬は9925リーフ。惜しい!あとちょっとだったのに!
通常であればソロで迷宮に入る人は殆ど居ないらしいので、この報酬を人数で割ったものが収入になるわけだ。少人数だと危険な分、実入りはめちゃくちゃ良いな。
またオーサンになんか言われるかもしれないけど、あと3日頑張れば、祝福の儀と識別の料金である60000リーフが稼げそうだ。出来れば6階層に居るうちにスキルを習得しておきたいところだな。
しかしスキル取得に毎回金貨6枚って高すぎだよなぁ。ほんとは識別は受ける必要ないんだけど、受けないと目立つだろうし。
せめてスキルが金額に見合うほどの能力であることを祈るしかないな。
今回も安定の人任せである。
いやだって俺ってマジで何も分からないから。俺の考え休むに似たり。専門家に意見を聞くのはむしろ当然と言えよう。
「あぁ?テメェソロになったんじゃねぇのか?迷宮で調子乗ってると命落とすだけだぞ?」
「いやいや、俺も当分5階層回るつもりで居たのにさー。オーサンがさっさと進めって言ってきて困ってんだよねー」
「はあ?オーサン……、ってことは冒険者ギルドに進めって言われたのか?
お前がソロになったのを知ってても進めてきたってことは、トーマにとって5階層はもう適正階層じゃねぇってことなのか。
……なんかトーマは1人で迷宮潜ってるくせに攻略のペース速くねぇか?」
「俺にそんなこと言われたって知らないよー。そんで何から更新すべきかな?流石に全身の装備買い換えるお金はない!」
ちょっと待ってろと言い残してホムロが店の奥に引っ込む。今回は何もって来るのかな。
「予算を聞いてなかったがとりあえずはこれだな。
精霊鉄のくさりかたびらで銀板7枚。これは今後鎧を買い換えても合わせて使っていけるから、長く使うならむしろお買い得だろう。
それでこっちは守霊布のバンダナ。銀板4枚。布製だから頼りなく見えるかも知れんが、防御の魔法に近い効果が付与されていて、魔法にも打撃にも強い。これも兜と併用して使えるから使いやすいはずだ」
今装備してる防具が銀貨1枚とかそこらの価値がないので、値段で比較すると数十倍の価値のある装備になるわけだ。まぁホムロが客を騙すようなことはしないだろうって位には信用している。
「おっけー2つとも買うよ。サイズ調整は必要かな?」
「あぁ!?テメェいつの間にそんなに稼げるようになったんだよ!?棍棒持って迷宮に入り始めたのだってついこないだじゃねぇか!
最近羽振りが良いのはシンとリーンのおかげかと思ってたが、まさか実力だったのか……?」
まぁソロだと持てる荷物の量は少ないけれど、報酬が分配なく総取り出来るからな。5階層3往復を2日もすれば金貨1枚いくし。
ようやくスキルの獲得が視野に入ってきたかなと思う。
「もう棍棒野郎とは言わせねぇし!
7階層に進むときには武器を更新したいんだよ。なんか適当に見繕っておいてくれないかな。出来れば短剣のほうを更新するつもりで」
なんか震えてるホムロは放置して迷宮に向かった。
いつも通り階層を更新するときは道中は最短距離で突っ切る。今回はこちらに気付かれない限りは一切手出しせずに進む。
ただし4階層と5階層のシャドウボアは別だ。単価的な意味で。
さてさてやってきました6階層。暗視ポーションのおかげで暗さの違いは分からない。まぁ暗視の出来ない状態でくる階層じゃないしな。どうでもいいか。
地図に軽く目を通して、パッと見で分岐が少なそうなルートを選んで進行する。一応音魔法は常に起動しておく。
そしてレッサーウィスプさんと初遭遇したわけなんですが……。特に語ることもないくらいあっさり処理してしまった。
見た目は緑色の火の玉という感じ?大きさは人の頭部くらいあるかな。
初めて敵から放たれた魔法を見たときはちょっと驚いたけど、遅い上に射程がさほど広くない。そして連発も出来ないと、良いところが1つもない。キミ何しに出てきたの?ってレベルで問題なかった。
ただこれは俺がソロで周りを気にせず動けるから思う感想であって、パーティ人数が多いほうが厄介な攻撃なのかなとも思う。
威力はどうなんだろうな。流石に検証のために一発喰らうってのはやりたくない。
ドロップ品の精霊の欠片は、見た目薄い青色の宝石みたいだった。宝石に詳しくないけど、日本に持っていたら人気出るんじゃないかな、なんて思ったり。
大きさもネズミが落とすゴルフボール大の一番安い魔法石と同じくらい。6階層はなかなか稼げるんじゃなかろうかっ!
調子に乗ってリュックが一杯になるまで回った結果、どうやらいつもより長く潜っていたらしく、陽天の報せをとうに過ぎてしまったらしい。
今日は迷宮前にホムロのところにも行ったしなぁ。
「はぁ……。ソロで6階層初挑戦。その結果が7530リーフか。やっぱり6階層でもヌル過ぎるんじゃねぇか……?」
おお、2周すれば金貨1枚半までいけるな。
武器の補修再生代に中級暗視ポーション代なんて、もはや痛くも痒くもないな。
「そんなこと俺に言われても知らないよ。あ、口座作ってきたんだけど報酬全部そっちに入れて貰って良いかな?
これからは特に俺から言い出さないときは全部口座に入れてくれて良いよ」
「そういうことは先に言え!報酬用意した意味ねぇだろが!」
「悪い悪い。じゃあ今回のは受け取るよ。次からは直接口座に入れちゃってくれる?」
「了解した。じゃあ次からは納品の時に身分証も一緒に出してくれ。口座入金の手続きに必要だからな」
「身分証を通してやり取りするのね。わかった」
2度目の探索はシャドウボアも無視して6階層まで直行した。もうシャドウボアのドロップ品狙う意味もないからなっ!勿論6階層で倒した分は拾うけども。
2回目の探索を終えて戻ってきたら、辺りはすっかり暗くなっていた。
6階層は稼げるけど、潜るのは2回までの方が良いかな?それでも充分な収入なわけだし。
2回目の報酬は9925リーフ。惜しい!あとちょっとだったのに!
通常であればソロで迷宮に入る人は殆ど居ないらしいので、この報酬を人数で割ったものが収入になるわけだ。少人数だと危険な分、実入りはめちゃくちゃ良いな。
またオーサンになんか言われるかもしれないけど、あと3日頑張れば、祝福の儀と識別の料金である60000リーフが稼げそうだ。出来れば6階層に居るうちにスキルを習得しておきたいところだな。
しかしスキル取得に毎回金貨6枚って高すぎだよなぁ。ほんとは識別は受ける必要ないんだけど、受けないと目立つだろうし。
せめてスキルが金額に見合うほどの能力であることを祈るしかないな。
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