55 / 580
3章 別れと出会い
052 スキルを求めて
しおりを挟む
相変わらず訓練日の翌日は体が軋む。それでも回を追うごとに動けるようにはなっている気がする。
さて、昨晩の時点でSPが23ほど溜まっている。資金にも余裕がある。今日こそはスキルシステムの一端に触れてみようじゃあーりませんか!
スキル神殿の場所はユリンさんに確認する。
その後商工ギルドに寄って、口座からお金を引き出してみる。何かあると困るので金貨6枚と銀板10枚。
これで多少想定外の出費があっても対応できるだろう。
スキル神殿は迷宮から見て冒険者ギルドがある方向、ギルドから徒歩10分くらいに場所にあった。
見た目は神殿に教会が融合したようなイメージ。入り口は常に開かれているようで、人の出入りに制限はかかっていないように見えるな。
中に入ってみると、大広間と言うかロビーと言えば良いのか、かなり広い空間が目に入った。そして、礼拝堂においてあるイメージの強い長椅子が並んでいる。
「スキル神殿にようこそ。本日のご用件はなんでしょうか?」
いきなり声をかけられたのでちょっとびびってしまったが、入り口入ってすぐに受付窓口のようなものがあった。
「ああ、祝福の儀と識別を受けに来たんだけど、初めてだから勝手がわからない。案内してもらえるかな?」
と用件を伝えながら受付の人を見る。10代後半から20代前半って感じの青年だ。亜人や獣人ではないっぽい。
ここは本物のシスターを見てみたかったが仕方ない。
「祝福の儀、識別、どちらも金貨3枚、合わせると金貨6枚のお支払いになりますが宜しいですか?」
「ああ大丈夫だ」
言いながら金貨を渡す。
「金貨6枚、確かに頂戴しました。それではただ今担当の者を呼んで来ますので、このまま少々お待ちください」
なんか神殿っていうより会社って感じだな。宗教的なアプローチされるよりは気楽で利用しやすい。
2、3分ほど待つと、青年がもう1人誰かを連れて戻ってきた。
「お待たせしました。こちらの者が祝福の儀、識別の両方を担当している『グレンガ』です。あとは彼の案内に従ってください」
「神殿のスキル担当官のグレンガだ。お主が神より祝福を賜れるよう祈っておるぞ」
鳥系獣人きたーーーーー!
鷲?鷹?どっちだろ?俺別に鳥とか詳しいわけじゃないからなぁ。見分け方がわからん。
結構体格は良い感じ。背中から大きな翼が生えているのが見える。
鳥の獣人ってやっぱ空飛べるんだろうか?だとしたら物凄い有用な種族だろうな。
「冒険者のトーマだ。今日は宜しくお願いするよ」
グレンガが右手を差し出してきたので、挨拶しつつ握手する。
「じゃあ早速始めようか。こっちだ」
そういって建物の奥に案内される。
案内された先は、小学校の教室くらいの広さの部屋で、床に2つの魔法陣が隣り合って描かれている。
「これが祝福の儀と識別に用いる魔法陣だ。
なに、特別な作法など何もない。トーマ殿は立っているだけで構わんからな」
続けてグレンガは、向かって右側の魔法陣の上に立つよう言ってくる。ここで逆らっても仕方ないので素直に従う。
「それではこれより祝福の儀を執り行わせてもらうぞ。
これより魔法陣が発光し、お主の魂に神の祝福が齎される。お主の歩んできた道に応じて、スキルを授かることが出来るだろう。
お主の魂に祝福がしっかりと定着するまでは魔法陣から出てはならんぞ。具体的には、魔法陣の発光が止まるまでは、その場に立っていてもらいたい」
光が消えるまで動かなきゃいいのね。
「了解した。こちらはいつでも良いので、グレンガの準備が出来たら始めて欲しい」
「うむ、それなら早速始めさせて貰うぞ」
そういってグレンガは俺の前で片膝を着き、両手を組んで、正に神に祈りを捧げているような体勢になる。ほどなくグレンガの体が白く光り始め、その光に呼応するかのように、俺の足元も光りだした。
「ラーゼリアよ!大いなるその力を今ここに示し給え!」
グレンガが叫びが聞こえた瞬間、視界が真っ白な光に閉ざされた。
ふむ?あとはこの光が収まるまでじっとしてればいいんだな。
◆◆◆◆◆◆
09:52
名前 トーマ
年齢 35歳(20年の間は不老)
種族 人間
所持SP 23
使用可能魔法
音魔法
使用可能スキル
リンカーズ会話理解
取得可能スキル
免疫力上昇:小 (必要SP1)
◆◆◆◆◆◆
なんて暢気に思ったのがフラグだったのか、突然ひとりでにステータスウィンドウが表示される。視界は相変わらずゼロなのに、ステータスウィンドウははっきり見えるのはなぜなんだぜ?
そしてなんか一番上にタイマーが表示されている。見ている間も減っていくので、どうやら10分のタイマーらしいな。10分待ったら祝福の儀が終了するってことなんだろうか?
3分ほど経過したものの、ステータスに変化が見られない。タイマーは進んでるけど。所持SPも23のままだし使用可能スキルも増えてない。
ん~?これってもしかして……。
取得可能スキルの詳細確認をしてみる。
◆◆◆◆◆◆
免疫力強化:小 (必要SP1)
このスキルを取得しますか?
◆◆◆◆◆◆
と表示された。
アッブネー!選択式じゃねぇか!このままタイマー終了してたら金貨6枚ドブに捨てるところだったよ!
ということで取得します、っと。
◆◆◆◆◆◆
使用可能スキル
リンカーズ会話理解 免疫力強化:小
◆◆◆◆◆◆
よし、ちゃんと取得できたみたいだな。そして免疫強化を取ったことでスキルツリーの先が開放された模様。
◆◆◆◆◆◆
取得可能スキル
環境適応:小 (必要SP3)
地形効果による影響を受けにくくなる。
取得条件
リンカーズで生を受けること。
またはリンカーズに転移すること。
リンカーズで生まれた者は無条件でこのスキルを獲得する。
◆◆◆◆◆◆
リンカーズの人が先天的に持ってるスキルは、1つだけじゃなかったようですね。
さて、昨晩の時点でSPが23ほど溜まっている。資金にも余裕がある。今日こそはスキルシステムの一端に触れてみようじゃあーりませんか!
スキル神殿の場所はユリンさんに確認する。
その後商工ギルドに寄って、口座からお金を引き出してみる。何かあると困るので金貨6枚と銀板10枚。
これで多少想定外の出費があっても対応できるだろう。
スキル神殿は迷宮から見て冒険者ギルドがある方向、ギルドから徒歩10分くらいに場所にあった。
見た目は神殿に教会が融合したようなイメージ。入り口は常に開かれているようで、人の出入りに制限はかかっていないように見えるな。
中に入ってみると、大広間と言うかロビーと言えば良いのか、かなり広い空間が目に入った。そして、礼拝堂においてあるイメージの強い長椅子が並んでいる。
「スキル神殿にようこそ。本日のご用件はなんでしょうか?」
いきなり声をかけられたのでちょっとびびってしまったが、入り口入ってすぐに受付窓口のようなものがあった。
「ああ、祝福の儀と識別を受けに来たんだけど、初めてだから勝手がわからない。案内してもらえるかな?」
と用件を伝えながら受付の人を見る。10代後半から20代前半って感じの青年だ。亜人や獣人ではないっぽい。
ここは本物のシスターを見てみたかったが仕方ない。
「祝福の儀、識別、どちらも金貨3枚、合わせると金貨6枚のお支払いになりますが宜しいですか?」
「ああ大丈夫だ」
言いながら金貨を渡す。
「金貨6枚、確かに頂戴しました。それではただ今担当の者を呼んで来ますので、このまま少々お待ちください」
なんか神殿っていうより会社って感じだな。宗教的なアプローチされるよりは気楽で利用しやすい。
2、3分ほど待つと、青年がもう1人誰かを連れて戻ってきた。
「お待たせしました。こちらの者が祝福の儀、識別の両方を担当している『グレンガ』です。あとは彼の案内に従ってください」
「神殿のスキル担当官のグレンガだ。お主が神より祝福を賜れるよう祈っておるぞ」
鳥系獣人きたーーーーー!
鷲?鷹?どっちだろ?俺別に鳥とか詳しいわけじゃないからなぁ。見分け方がわからん。
結構体格は良い感じ。背中から大きな翼が生えているのが見える。
鳥の獣人ってやっぱ空飛べるんだろうか?だとしたら物凄い有用な種族だろうな。
「冒険者のトーマだ。今日は宜しくお願いするよ」
グレンガが右手を差し出してきたので、挨拶しつつ握手する。
「じゃあ早速始めようか。こっちだ」
そういって建物の奥に案内される。
案内された先は、小学校の教室くらいの広さの部屋で、床に2つの魔法陣が隣り合って描かれている。
「これが祝福の儀と識別に用いる魔法陣だ。
なに、特別な作法など何もない。トーマ殿は立っているだけで構わんからな」
続けてグレンガは、向かって右側の魔法陣の上に立つよう言ってくる。ここで逆らっても仕方ないので素直に従う。
「それではこれより祝福の儀を執り行わせてもらうぞ。
これより魔法陣が発光し、お主の魂に神の祝福が齎される。お主の歩んできた道に応じて、スキルを授かることが出来るだろう。
お主の魂に祝福がしっかりと定着するまでは魔法陣から出てはならんぞ。具体的には、魔法陣の発光が止まるまでは、その場に立っていてもらいたい」
光が消えるまで動かなきゃいいのね。
「了解した。こちらはいつでも良いので、グレンガの準備が出来たら始めて欲しい」
「うむ、それなら早速始めさせて貰うぞ」
そういってグレンガは俺の前で片膝を着き、両手を組んで、正に神に祈りを捧げているような体勢になる。ほどなくグレンガの体が白く光り始め、その光に呼応するかのように、俺の足元も光りだした。
「ラーゼリアよ!大いなるその力を今ここに示し給え!」
グレンガが叫びが聞こえた瞬間、視界が真っ白な光に閉ざされた。
ふむ?あとはこの光が収まるまでじっとしてればいいんだな。
◆◆◆◆◆◆
09:52
名前 トーマ
年齢 35歳(20年の間は不老)
種族 人間
所持SP 23
使用可能魔法
音魔法
使用可能スキル
リンカーズ会話理解
取得可能スキル
免疫力上昇:小 (必要SP1)
◆◆◆◆◆◆
なんて暢気に思ったのがフラグだったのか、突然ひとりでにステータスウィンドウが表示される。視界は相変わらずゼロなのに、ステータスウィンドウははっきり見えるのはなぜなんだぜ?
そしてなんか一番上にタイマーが表示されている。見ている間も減っていくので、どうやら10分のタイマーらしいな。10分待ったら祝福の儀が終了するってことなんだろうか?
3分ほど経過したものの、ステータスに変化が見られない。タイマーは進んでるけど。所持SPも23のままだし使用可能スキルも増えてない。
ん~?これってもしかして……。
取得可能スキルの詳細確認をしてみる。
◆◆◆◆◆◆
免疫力強化:小 (必要SP1)
このスキルを取得しますか?
◆◆◆◆◆◆
と表示された。
アッブネー!選択式じゃねぇか!このままタイマー終了してたら金貨6枚ドブに捨てるところだったよ!
ということで取得します、っと。
◆◆◆◆◆◆
使用可能スキル
リンカーズ会話理解 免疫力強化:小
◆◆◆◆◆◆
よし、ちゃんと取得できたみたいだな。そして免疫強化を取ったことでスキルツリーの先が開放された模様。
◆◆◆◆◆◆
取得可能スキル
環境適応:小 (必要SP3)
地形効果による影響を受けにくくなる。
取得条件
リンカーズで生を受けること。
またはリンカーズに転移すること。
リンカーズで生まれた者は無条件でこのスキルを獲得する。
◆◆◆◆◆◆
リンカーズの人が先天的に持ってるスキルは、1つだけじゃなかったようですね。
1
あなたにおすすめの小説
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
第2の人生は、『男』が希少種の世界で
赤金武蔵
ファンタジー
日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。
あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。
ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。
しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。
異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!
石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。
クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に!
だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。
だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。
※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。
彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。
そして....彼の身体は大丈夫なのか!?
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる