異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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4章 2人のために出来ること

062 デスマーチ2日目

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 何周回ったかなんて数えていないけど、迷宮の外にでると空が白んできていた。

 換金のため冒険者ギルドに寄ったが、流石にまだ人は集まっていないようだった。まぁ仕方ない。


 ホムロの店に行き、装備のメンテナンスを頼んで休憩する。
 短剣2本とメイスをそれぞれ1つずつ補修再生してくれるように頼み、メンテ時間を通常の3倍かけることで休憩時間の確保と、ポーターが集まるまでの時間稼ぎとする。

 特にポーターを連れて迷宮に入るのは、今回が初めてなのだ。
 一晩丸々休むわけにも行かないが、ふらふらの状態で迷宮に挑むわけにも行かない。
 許される範囲内で最大限の休息を取り、体力の回復に努める。


 ギルドに行く前にカズラさんの店に寄って、注文した下級暗示ポーション50本を受け取る。
 明日、明後日までの2日間は絶対に50本納品してやると約束してくれたが、これ以上の本数を作るのは厳しいとのこと。
 充分な量なので問題ない。お礼を言って冒険者ギルドへ移動。


 冒険者ギルドに着くと、ポーター希望者が8名ほど集まっていた。簡単な説明はオーサンが既に済ませてくれているらしい。話が早くて助かる。

 見た感じは若い子が多いみたいだな。
 服装を見た印象ではとても戦えるようには見えないが、今回は戦闘力は不問なので何も問題ない。


「ほ、本当に戦えなくても守ってくれるんだろうな……!?」


 シンより少し年下くらいの男の子が食って掛かってくる。
 良く見ると後ろ手に、もう少し若い男の子を隠すようにして立っている。兄弟なのかな?


「ああ約束するよ。お前らには絶対に危害は加えさせないってな。
 だからお前も約束しろ。ちゃんと俺の指示に従うってな。
 指示を無視して勝手に動くやつは俺が殺す。分かったら逆らうなよ。
 俺の言うことに従う限りは全力で守ると誓う」


 ごくりと唾を飲み込む音が聞こえた。
 子供を脅すなんて大人気ないが、時間が勿体無いので目を瞑ってもらいたい。


「それじゃ話は聞いてるな?みんなにやってもらうのはポーターだ。
 ドロップ品の回収もお願いしようと思ってる。
 冒険者ギルドで換金を済ませた時点で依頼達成。報酬の銀板3枚が支払われる。
 1度に5人ずつ、10回探索する予定だ。
 人数が集まらなかった場合、希望するやつは何回依頼を受けても構わない。
 報酬は同じヤツが何回受けても、1回の探索ごとに銀板3枚払うと約束する。
 それとオーサン!」


 集まったポーターたちは冒険者と言うよりは孤児といったほうが近いような、ボロボロで汚れた服を着て、満足に食事も取れていないかのように、痩せ細ってしまっている子が多かった。


「3日間で金貨5枚分追加で支払うから、次の探索に向かう5人には待ってる間に食事をさせるようにしてくれ。
 今回連れて行く奴らにも換金の時になんか食わせてやって欲しい。
 体力の落ちたポーターなんか足手纏いにしかならないからな。頼んだ」

「はっ、お前は利己的なんだが慈悲深いんだか良くわかんねぇんだよな。
 食事の件は了解した。ちゃんと手配してやる」

「論理的で合理的なだけだよ。必要な道具はちゃんと手入れする。必要な人員にも必要な措置を取る。それだけのことだ。
 じゃあ最初の5人は早速行くぞ。帰ってきたら銀板3枚と食事が貰えるんだから、無事に帰ってこれるように俺の言うことちゃんと聞いてくれよ?」



 オーサンに預けていた背嚢を1つずつ背負わせて、迷宮の入り口まで辿り着く。

 そういえば条件に追加するのを失念していたけれど、全員がちゃんと迷宮探索許可証を持っていた。当たり前のことだが確認すべきだったなぁ。条件不問にしちゃってたし。


「よし、それじゃあこれから探索を始めるぞ。
 戦闘の時ポーターのみんなは、なるべく集まって待機してくれるように頼む。
 8階層までは一気に行くからな。もし遅れるヤツが居たら、怒らないからちゃんと教えてくれ。
 じゃあこれから暗視ポーションを配る。空の容器は返してくれ。
 目が見えないと命に関わるから、間違いなく服用して暗視効果を得てくれ。
 仮に問題があったら申し出ろ。流石に暗視無しじゃ連れていけないからな」


 適当に説明を済ませてポーションを服用させる。みんな問題無さそうかな?
 俺からお願いすることは単純だ。
 俺に付いてきて、あまり散開せず、問題があったら知らせろ、このくらいかな?
 

「全員の背嚢がいっぱいになったら終了だ。自分の背嚢がいっぱいになったら他の奴の回収を手伝ってやると、その分早く帰ってこれるからそのつもりで。
 じゃあ出発するぞ。行きは荷物もないから多少急ぐ。
 付いてこれなかったら言えよ。ペース落としてやるから」


 そして8階層に到着。
 みんな息を切らしてはいるものの、付いてこれないヤツはいなかった。悪くない。

 全員に一口ずつ水を飲ませ、全員の息が整うのを待ってから探索を開始する。



 ほどなく1つ目の集団を発見。早速狩りに入る。


「じゃあ前方の集団を落としてくるから、みんなはここで待機な。
 3人が前方、2人は後方を警戒しておいてくれ。新手が現れたら大声で呼べ。それ以外は余計な動きをするなよ。
 無いとは思うが、流れ弾が飛んでいく可能性もゼロじゃない。迷宮内に居る限りは気は抜くな」


 敵の集団は複数種類が混じっている面倒なものだったけど、まぁ問題ない。

 距離を詰めて、まずは指揮官アリとシャドウボアをスリングショットで瞬殺。
 次に足の速いフレアリザードの頭をメイスで潰し、レッサーウィスプを切り捨てる。

 絶賛混乱中の兵隊アリさんを処理しながら、合間に襲ってくる小型の魔物を掃討していく。
 思い出したようなタイミングで襲ってくるキラーラットさんは、メイスで地面に叩きつけて差し上げる。
 
 戦闘終了。


「終ったぞ!こっちに来てドロップ品の回収を頼む。
 後ろから敵は来てないな!?」


 離れたところに待たせていたポーターに指示を出す。
 慌てて動き出した彼らは、素直にドロップ品の回収を始めた。

 彼らの回収作業中に深い呼吸を繰り返して、心身ともに平静を保つ。


「アイテム集め終わった……終りました!」


 最初に食って掛かってきた少年が報告してくれる。


「はは、普通に喋っていいよ。そんなことで怒ったりしない。
 これで要領は分かったかな。どんどん行くからよろしく頼むぜ」


 そう言って次の獲物を探すのであった。
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