異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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4章 2人のために出来ること

065 デスマーチ最終日

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「装備の補修再生が終ったぞ。さっさと起きろ」


 ホムロの声で目が覚める。
 あ~これが美人の幼馴染だったらもっと目覚めが良いだろうに。


「明日の朝までぶん回すからさ。悪いけどもう一晩だけ付き合ってちょうだいな」

「……報酬は前払いで貰ってんだから、最後まで付き合ってやるさ。
 お前こそ最後でヘマすんじゃねぇぞ」


 ホムロの店を後にし、魔法薬を受け取りに行く。


「確かに50本受け取った。
 助かったよカズラさん。アンタの協力がなければ間違いなく詰んでた。
 3日間、本当にご苦労様でした」

「……私は自分の仕事をしただけさ。
 トーマさんはトーマさんの仕事を全うすればいい」


 言われるまでもないな。冒険者ギルドに向かう。


「よーしみんな、今日が最終日だ!思い切り稼いで帰ってくれよ!
 オーサンは悪いけど今日1日付き合ってね。
 あ、これスクロールとさっき2周してきた分ね」


 スクロール2本と荷物の詰まったリュックを2つ渡す。

「そうだ、トーマは7等級に上がったからな。一応報告しておく。
 ここまでやったんだからやり遂げて見せろよ?」


 どのタイミングで昇級に必要な額に到達したのかは分からないが、7等級に上がったってことは少なくともこの2日間で200万リーフは稼げているってことだと思う。
 試算は大きくは外してなかったってことだ。
 それならば今日探索を済ませれば問題なく目標額に到達できるだろう。


「よし、じゃあ行こうか。みんな最後までよろしく頼む」


 本日の業務を開始する。



 魔物を殺しつつも考える。
 今回の3日間、話を聞いた日を入れて4日間のデスマーチであるが、ぶっちゃけ日本で働いたことのある人ならば、そこまでデスマスケジュールには感じないんじゃないかと思う。


 リンカーズの1日が24時間なのかは分からないけれど、1日10回探索してまだ余裕があるくらいなので、仮に1日を24時間と仮定した場合、1回の探索は2時間弱で終わっていることになる。

 探索が終るごとに短時間ではあるが休むことも食事することも出来ているうえに、1日の最後は2時間くらいの睡眠が取れている。

 長時間の睡眠が取れないのは辛く感じるけれど、この程度のスケジュールでデスマなんて言ったら「本当のデスマーチというものを教えて差し上げますよ」とか言いながら、謎の強キャラが襲い掛かってくるかもしれない。


 俺が日本で勤めていた職場は全くブラックではなかったので、職場ではこのような進行をしたことはないが、新作ゲームを攻略するために寝食を削ったことや、オンラインゲームのイベントを一心不乱にぶん回したことは何度もある。

 それに、これは俺だけの感覚かもしれないが、時間制限付きの周回って結構燃えるものがあるんだよな。
 スコアの途中経過は7等級到達という報告だけで充分。あとはイベント終了までひたすらぶん回すだけ。
 予測は立てたけど実際のスコアは確認してない。いったい何処まで伸ばせるか、結構楽しみだったりする。


 今も助けを待っている2人には申し訳ないとは思うのだが、怒りや焦燥感、ましてや使命感なんかで4日間も動き続けることは俺には出来ない。
 2人を助けることが出来なかった場合、俺は物凄く嫌な気分にはなると思うけれど、実際に俺が何か被害を被るわけでもないのだ。


 我ながら薄情で嫌になるが、俺はそこまで情に厚い人間ではない。
 今回のことは冷静に試算した上で、自分の手に届きそうだったから挑戦してみただけだ。

 実際、オーサン、ホムロ、カズラさん、ポーターの皆、クリリクさんなど、今回協力してくれた人が1人でも協力してくれなかったら、意外と俺はあっさり諦めていたかも知れないと思う。


 2人のことは助けたいと思うし、全力を尽くしていることも間違いない。
 だけど俺はチートを授かった英雄様ではないのだ。
 望めば全てが手に入る主人公様ではない。


 自分の手の届く範囲を間違えるな。
 俺に出来るのは誰にでも出来る事しかないのだから。



「冒険者ギルドで戦い方を教えてくれるの?」

「そうそう、金がかかるんだけどな。
 今回の依頼で世話になってるオーサンが指導してくれるんだよ。
 俺も定期的に受けてるんだけど、お前らも一緒に参加しないか?強くなれるぞ」

「僕もトーマみたいに強くなれる……?」

「ははっ、俺今35歳だぜ?お前らの年で俺と同じ訓練始めてみろよ。
 お前らが35になる頃には俺どころか、ドラゴンだって倒せるようになってるだろ」


 手が届く範囲は間違えちゃいけない。
 でも手を伸ばすことを諦めるのはまた違う話だ。
 始めは届かなくても手を伸ばし続けていれば、手が届くこともあるかもしれない。




 10回の探索を終え、依頼分のノルマは達成した。
 朝まではまだ時間がありそうなので、いつも通りソロ探索を開始する。

 1回探索を終えた時点でまだ夜は明けていない。
 念のためもう1周こなすかとも考えたが、そのせいでタイムアップになってしまっては馬鹿馬鹿しい。

 俺のデスマーチはここで終了することにしよう。


 冒険者ギルドに寄ってオーサンと合流する。
 預けていた身分証とスクロールを受け取り、これから一緒に商工ギルドに向かう。

 どんな結果になろうとも自分で見届けたいと、オーサンは同行を希望してきたのだ。
 ちょうど良いので、奴隷商館まで案内を頼むことにする。


 商工ギルドで口座を確認し、目標額に到達していれば奴隷商館へ。
 もし足りていなければ、スクロールを売り払って補填する。


 さてさて3日間+αのデスマーチ、到達スコアはどんな結果になったかな?
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