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4章 2人のために出来ること
066 リザルト
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商工ギルドに行くとポポリポさんが待っていた。
「あれ?ポポリポさん、今日は夜勤だったの?」
「なに言ってるのさ。トーマさんが夜明け前に来るって聞いてたから待ってたんじゃないかい」
「俺が連絡しておいたんだ」
後ろからオーサンが割り込んできた。
「口座を作ったときにトーマを担当したと聞いてな。
額が額だけに、あまり情報が広がらない方が良いと思って手配した」
「ふぅん?その辺は良くわかんないけど、ポポリポさんが対応してくれるなら俺も気楽で助かるよ」
オーサンなりに気を使ってくれたらしい。流石はおせっかいの達人である。
「じゃあポポリポさん。早速で悪いんだけど、口座の残高を確認して貰えるかな?」
そういって身分証を渡す。
「はいはいちょっと待ってなよ。
…………ええっ!?」
この反応は予想できたけど、大事なのは実際の額だ。
「ポポリポさーん。悪いけど時間がないんだ。早く教えてくれる?」
「トーマさん!アンタ一体どうやってこんな……!
…………いや、すまない。ちょっと取り乱してしまったね」
ポポリポさんは心を落ち着けるためか、一度大きく息を吐いた。
「トーマさんの口座には現在、427万6237リーフが納められているよ……」
お、思ったより行ってたわ。ポーター1人分で金貨3枚近く行ってたんだなー。
っつうかソロで回した分が余剰分の可能性もあるか。
「…………は?」
「トーマさん。アンタたった4日間で一体なにをしたっていうんだい……」
オーサンもポポリポさんも固まっているが、今は構ってられない。
「悪いポポリポさん、事情はまた今度で。今は本当に急いでるんだ。
今すぐ300、いや320万リーフ下ろしてちょうだいな」
「はぁっ!?320万リーフも一体何に……!
……っと、ごめんよ!今すぐ用意してくるからね!」
流石は商工ギルド員。驚きはしたものの、お金の扱いに慣れている分立ち直りが早いな。
未だに大口を開けて固まってる5等級冒険者とはえらい違いだ。
「オーサンもとっとと戻ってこい。まだ2人を助けられたわけじゃないんだぞ」
ポポリポさんがお金を用意してくれている間に、オーサンを正気に戻しておく。
「あ、ああわりぃ。流石に金額が予想外すぎて頭が追いつかなかった。もう大丈夫だ」
「待たせたね。白金貨3枚と金板2枚で良かったかい?」
ちょうど良いタイミングでポポリポさんが戻ってきた。
「うん大丈夫。急がせてごめんね。後日ちゃんと説明に来るよ。
じゃあオーサン早速行こう。案内頼んだ」
「ああ、急ごう」
お金を受け取り、商工ギルドを後にする。
オーサンの案内で奴隷商館に到着する。
外観の確認もそこそこに、さっさと中に入ることにする。
「トーマさん!来てくれたのか!」
入った瞬間声をかけられる。
どうやらスレイ自ら受付で待っていたらしい。
「こんばんはかなスレイ。お金は用意してきたよ。
2人はまだちゃんとここにいるんだろうな?」
「本当に用意してきたのか!?白金貨3枚だぞ!?
上級冒険者でもこの日数で用意するのは簡単ではないだろうに、一体どうやって……」
「あ、そういうのいいんで。まずは2人の無事の確認と購入手続き進めてくんないかな?
4日目の朝を迎えたら不味いって言ったのはアンタだろ?」
これでもう売り払った後とか言われたら、コイツのこと躊躇なく斬り捨てちゃいそうだな。
「あ、ああすまない。勿論2人は無事だし、アンタの言う通りだ。
すぐに購入手続きに移ろう。こっちにきてくれ」
スレイは命拾いした模様。そしてようやく中に通された。
どうやら間違いなく間に合ったらしい。
購入手続きが済むまでは気は抜けないが。
「それじゃあ2人を呼んで来る。少しここで待て」
応接室のよう部屋に案内される。てかまんま応接室なのかな。
「スレイこそ待て。先に支払いを済ませておくよ」
そういって白金貨3枚をスレイに渡す。
「確かに……、確かに300万リーフ、間違いなく受け取った。
では2人を連れてくる」
そしてスレイは部屋を出て行った。
「支払いも済んだしこれで任務完了かな。
オーサンもこの4日間付き合わせて悪かったね。本当に助かった」
「……はっ!俺なんか大したことは出来ちゃいねぇよ。
ただまぁ、お前と2人のために協力出来たってんなら、悪い気はしねぇな」
「今回は沢山の人にお世話になっちゃったなぁ。
落ち着いたら改めてみんなに挨拶に行かないとな」
「とんでもねぇことやってのけたくせに、本人はケロッとしたもんだなおい。
トーマは知らねぇだろうが、迷宮孤児共にとっちゃトーマは英雄様だぜ?」
それは俺が凄いんじゃなくて、今まで手を差し伸べなかった大人が悪いだけだ。
「あ、孤児の話で思い出した。今回流れちゃったから近いうちに訓練頼むわ。
今回ポーターしてくれた子達も参加させっから宜しくね」
「あぁ?いつの間にそんな話してたんだ?
まぁ別に構わねぇが、お互いちょっと休みてぇだろ?
日程はあとで打ち合わせしようぜ」
「だねぇ。とりあえずベッドで思いっきり寝たいよな!」
「まったくだぜ!」
2人で大笑いしてしまった。正に徹夜明けのテンション。デスマを共有したものだけのシンパシー。
「待たせたな。入るぞ」
スレイが戻ってきた。その後ろには見知った顔が2つ。ミッションコンプリートってヤツだ。
「「トーマ!?」」
部屋に入るなり、2人は信じられないようなものを見たような顔をして固まってしまった。
はは、2人のこの顔が見れたのが今回の一番の報酬だな。
「あれ?ポポリポさん、今日は夜勤だったの?」
「なに言ってるのさ。トーマさんが夜明け前に来るって聞いてたから待ってたんじゃないかい」
「俺が連絡しておいたんだ」
後ろからオーサンが割り込んできた。
「口座を作ったときにトーマを担当したと聞いてな。
額が額だけに、あまり情報が広がらない方が良いと思って手配した」
「ふぅん?その辺は良くわかんないけど、ポポリポさんが対応してくれるなら俺も気楽で助かるよ」
オーサンなりに気を使ってくれたらしい。流石はおせっかいの達人である。
「じゃあポポリポさん。早速で悪いんだけど、口座の残高を確認して貰えるかな?」
そういって身分証を渡す。
「はいはいちょっと待ってなよ。
…………ええっ!?」
この反応は予想できたけど、大事なのは実際の額だ。
「ポポリポさーん。悪いけど時間がないんだ。早く教えてくれる?」
「トーマさん!アンタ一体どうやってこんな……!
…………いや、すまない。ちょっと取り乱してしまったね」
ポポリポさんは心を落ち着けるためか、一度大きく息を吐いた。
「トーマさんの口座には現在、427万6237リーフが納められているよ……」
お、思ったより行ってたわ。ポーター1人分で金貨3枚近く行ってたんだなー。
っつうかソロで回した分が余剰分の可能性もあるか。
「…………は?」
「トーマさん。アンタたった4日間で一体なにをしたっていうんだい……」
オーサンもポポリポさんも固まっているが、今は構ってられない。
「悪いポポリポさん、事情はまた今度で。今は本当に急いでるんだ。
今すぐ300、いや320万リーフ下ろしてちょうだいな」
「はぁっ!?320万リーフも一体何に……!
……っと、ごめんよ!今すぐ用意してくるからね!」
流石は商工ギルド員。驚きはしたものの、お金の扱いに慣れている分立ち直りが早いな。
未だに大口を開けて固まってる5等級冒険者とはえらい違いだ。
「オーサンもとっとと戻ってこい。まだ2人を助けられたわけじゃないんだぞ」
ポポリポさんがお金を用意してくれている間に、オーサンを正気に戻しておく。
「あ、ああわりぃ。流石に金額が予想外すぎて頭が追いつかなかった。もう大丈夫だ」
「待たせたね。白金貨3枚と金板2枚で良かったかい?」
ちょうど良いタイミングでポポリポさんが戻ってきた。
「うん大丈夫。急がせてごめんね。後日ちゃんと説明に来るよ。
じゃあオーサン早速行こう。案内頼んだ」
「ああ、急ごう」
お金を受け取り、商工ギルドを後にする。
オーサンの案内で奴隷商館に到着する。
外観の確認もそこそこに、さっさと中に入ることにする。
「トーマさん!来てくれたのか!」
入った瞬間声をかけられる。
どうやらスレイ自ら受付で待っていたらしい。
「こんばんはかなスレイ。お金は用意してきたよ。
2人はまだちゃんとここにいるんだろうな?」
「本当に用意してきたのか!?白金貨3枚だぞ!?
上級冒険者でもこの日数で用意するのは簡単ではないだろうに、一体どうやって……」
「あ、そういうのいいんで。まずは2人の無事の確認と購入手続き進めてくんないかな?
4日目の朝を迎えたら不味いって言ったのはアンタだろ?」
これでもう売り払った後とか言われたら、コイツのこと躊躇なく斬り捨てちゃいそうだな。
「あ、ああすまない。勿論2人は無事だし、アンタの言う通りだ。
すぐに購入手続きに移ろう。こっちにきてくれ」
スレイは命拾いした模様。そしてようやく中に通された。
どうやら間違いなく間に合ったらしい。
購入手続きが済むまでは気は抜けないが。
「それじゃあ2人を呼んで来る。少しここで待て」
応接室のよう部屋に案内される。てかまんま応接室なのかな。
「スレイこそ待て。先に支払いを済ませておくよ」
そういって白金貨3枚をスレイに渡す。
「確かに……、確かに300万リーフ、間違いなく受け取った。
では2人を連れてくる」
そしてスレイは部屋を出て行った。
「支払いも済んだしこれで任務完了かな。
オーサンもこの4日間付き合わせて悪かったね。本当に助かった」
「……はっ!俺なんか大したことは出来ちゃいねぇよ。
ただまぁ、お前と2人のために協力出来たってんなら、悪い気はしねぇな」
「今回は沢山の人にお世話になっちゃったなぁ。
落ち着いたら改めてみんなに挨拶に行かないとな」
「とんでもねぇことやってのけたくせに、本人はケロッとしたもんだなおい。
トーマは知らねぇだろうが、迷宮孤児共にとっちゃトーマは英雄様だぜ?」
それは俺が凄いんじゃなくて、今まで手を差し伸べなかった大人が悪いだけだ。
「あ、孤児の話で思い出した。今回流れちゃったから近いうちに訓練頼むわ。
今回ポーターしてくれた子達も参加させっから宜しくね」
「あぁ?いつの間にそんな話してたんだ?
まぁ別に構わねぇが、お互いちょっと休みてぇだろ?
日程はあとで打ち合わせしようぜ」
「だねぇ。とりあえずベッドで思いっきり寝たいよな!」
「まったくだぜ!」
2人で大笑いしてしまった。正に徹夜明けのテンション。デスマを共有したものだけのシンパシー。
「待たせたな。入るぞ」
スレイが戻ってきた。その後ろには見知った顔が2つ。ミッションコンプリートってヤツだ。
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