異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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4章 2人のために出来ること

067 奴隷を購入したら友人だった件

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「2人とも、気持ちは分かるがまずは話をしよう。座ってくれ」


 スレイに案内されるままに、2人はソファに腰を降ろした。ちなみに俺とオーサンの対面である。


「事情の説明は後だ。今はあまり時間がなくてね。
 一応2人の意思を確認しておこう。
 2人はトーマさんに購入してもらっても構わないかね?」


 スレイは優しく2人に語り掛けるが、2人は考えが纏まらないのか、答えることが出来ないみたいだ。


「あー2人とも。今は時間がないからごちゃごちゃ考えるのは後にしてくれ。
 俺に買われるのと別の誰かに買われるののどっちが良いか、それだけ考えて答えてくれりゃ良い」


 この2人のことだから、また色々なこと考えすぎて思考が停止しちゃったんだろう。
 問題を単純化して答えやすいよう誘導する。


「そりゃあ買ってもらえるならトーマのほうが良いに決まってるよ!だけど、」

「シンはオッケーと。リーンはどうかな?」


 ごちゃごちゃしたことはどうでも良いんだ。他は全て解決済みなんだから。


「……私も、私もトーマに買ってもらいたい……」


 消え入るような声だったが、リーンも答えてくれた。これで全て上手く行くはずだ。

 しかし必要なことだったとは言え、リーンにこんなセリフは言わせたくなかったなぁ。
 日本だったら完全にお縄だわ。お巡りさん俺です。


「リーンも了解だな。じゃあスレイ、さっさと手続き頼む」

「そうだな。トーマさん、これが奴隷契約の魔導具だ。
 この魔法石を握ってくれるか」


 身分証を作ったときに持たされたのと似てるな。
 登録系の魔導具には同じ魔法石が使われてるのかな。


「スレイさん待ってくれ!トーマも!僕達は犯罪奴隷なんだ!
 僕達を購入したら、トーマにだって迷惑がかかるかもしれない!
 それに購入費用だって……!」

「シン、トーマさんは既に支払いを終えられているのだ」

「「…………え?」」


 スレイにそう告げられた2人は、今度こそ完全にフリーズしてしまった。
 まぁ今の隙に手続き済ませちゃいましょうねー。言質は取ったわけですしおすし。


「奴隷契約って購入される側も注文つけたりすることは出来ないもんなの?」

「通常の奴隷契約であれば、奴隷の希望する条件などを加えることは可能なのだがな。
 犯罪奴隷には選択の権利や拒否権などは認められていないのだ」


 じゃあ意思の確認要らなかったんじゃねぇのかコイツ……。
 まぁ強制的に購入されるよりは、自分の意思を示した方が良いのかも知れないが。


「それと奴隷には隷属印と呼ばれる文様が左手に刻まれる。通常の奴隷であれば購入者の希望で消すことも出来るのだが、犯罪奴隷の奴隷印を消すことは許されていない。手袋などで隠すことは許されているがね。
 あとは、無いとは思うが一応補足だ。仮に左手を切り落としたとしても、奴隷印は右手に移動するだけで意味がないからやらないように。
 奴隷印とは魔法契約で魂に結びついている物だ。生きている限りは消せん」

「……2人の両親は5年で刑を終えるらしいが、刑を終えても奴隷印は消えないのか?」

「ああ、一度犯罪奴隷として奴隷印を刻まれた者は、生涯奴隷印を背負って生きていくことが義務付けられているのだ。
 これは平和に暮らしている者たちへの配慮として定められているのだ」


 ……言っていることは分かるが、今回に限って言えば冤罪なのだ。
 誰かに陥れられて全てを失い、刑期を終えても消えない十字架を背負わされるってのか。
 冤罪ってのは何処の世界も胸糞悪いもんだな。


「まぁ了解したよ。じゃあここを出るとき2人に手袋貰えるかな?
 奴隷商館なんだから用意してあるだろ?」

「了解した、用意しよう。
 よし、トーマさんの契約登録が完了した。これで2人は正式にトーマさんの奴隷ということになる。
 いま手袋を持ってくるから、ひとまずさっさとここから離れることをお勧めしておく。
 無いとは思うが、どこからか情報を得て、2人を購入しようと待っている者がいる可能性も無くはないのだ」


 今回の相手は貴族だからな。何をやってきても不思議じゃない。

 それにしても膨大な手続き、とか言われていた割には随分あっさり購入できたな?
 手続きが必要なのは俺じゃなくて奴隷商人側ってことなのか。 


「あー、じゃあとりあえずオーサンとこに2人を連れてって良いかな?
 クリリクさんも心配してたし、2人の顔を見せてあげた方が良いよな」

「そうだな。まだ夜明け前でちと早起きさせちまうが仕方ねぇ。
 もしかしたらアイツも寝れてねぇかも知れねぇし、ちょうどいいだろ」


 ここを出たらオーサン宅へ移動だな。


「じゃあ2人をそのままちょっとだけ預かっててよ。俺も流石に寝たいからさ。
 夕食前に迎えにいくから、今回のお礼と打ち上げを兼ねてみんなで外食しようぜ。
 まぁ俺が止まってる宿の食事だけど」


 2人との関係は、迷宮の安らぎ亭の夕食から始まったようなものだ。
 ならもう一度、そこから始めるのも悪くない。

 スレイから受け取った手袋を2人に付けさせて、とっとと商館を後にする。
 スレイが話がしたいと言っていたので、後日改めて会うことを約束する。




「くくっ、そうしてるとお前らが始めて俺んちに来たときを思い出すなぁ?」


 2人はまだ絶賛フリーズ中なので、それこそオーサンの家に初めて訪れた時のように、俺は2人と手を繋いで歩いている。
 以前はただ照れくさかっただけだが、今はこの手の繋がりがなによりも嬉しい。
 俺の力では2人の全てを解決してやることなど出来はしないが、最低限の助けにはなれたと思いたい。


 オーサンの家に着くと、俺達がドアを開けるまでもなくクリリクさんがドアを開けて出てきた。
 ふわわとつららも一緒、オードルも付いてきている。ああこいつら可愛すぎるだろ。


「この子達が突然ドアを引っかき始めたから、もしかしてって思って……」


 そういって走り寄ったクリリクさんは、シンとリーンを俺からひったくって抱きしめた。
 両手が空いた俺は、せっかくなので足元の3匹を抱き上げることにした。可愛いなぁ。


「良かったねぇ……。本当に良かったねぇ……」


 クリリクさんは2人を抱きしめたまま何度も繰り返す。
 まぁ2人にとっちゃ災難でしかないだろうけどなぁ。最悪を免れただけで。

 感動のシーンに水を差すのは申し訳なかったが、俺もいい加減眠いのでクリリクさんに声をかける。


「クリリクさん、大変お世話になりました。
 迷惑ついでに悪いんだけど、この2人と2匹、今日まで預かってくれないかな。
 流石に俺も眠いんで、この後はひたすら寝たいんだよ」

「迷惑なんてなにもないよぉ!
 トーマさん、ゆっくり休んでくださいねぇ。この子達のことは心配要らないからねぇ」

「宜しく頼んます。そんでさ、今晩はみんなで外食しようよ。打ち上げを兼ねて俺が奢るからさ。
 それじゃ夕飯前に迎えに来るから、それまでみんなのこと宜しくねー」


 そういって迷宮の安らぎ亭に戻る。
 やっぱり我が家が一番だな。我が家じゃないけど。


 流石ユリンさんはもう起きて受付のところに居たので、今晩の夕食の手配をお願いして支払いを済ませておく。
 もし起きれなかったら夕食前に叩き起こしてほしいとお願いして、俺は実に4日振りに自室に帰ってきた。


 寝るぜぇ超寝るぜぇ!
 俺の溢れんばかりの眠気を止められる奴はこの世に存在しない!


 というわけでおやすみなさーい。
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