異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

文字の大きさ
86 / 580
4章 2人のために出来ること

077 攻撃魔法と生活魔法

しおりを挟む
「さて、3階層に行く前に、2人とも攻撃魔法を試してみようか」


 現在は1階層の少し奥まった場所にいる。
 未だに、ポーターの子達さえ1階層は回っていないらしく、ほぼ無人状態だ。

 実験するにはうってつけの環境である。


「ふわわとつららを見ながら付いていくから、マッドスライムが出たら攻撃魔法使ってみてくれ。どっちからでもいいから」


 1階層なので危険はほぼ無い。2匹の運動とお散歩のために歩かせている。
 流石に2匹とも生まれたばかりなので、人の足に合わせて歩くことはまだ出来ない。
 ならば俺が一緒に居てやれば良いのだ。

 くくく、これぞWIN-WINの関係というヤツだな!
 なんか違う気もするけど。


「トーマ、見つけたよ」


 前方からシンの声が聞こえる。


「おし。2人とも、シンのところまでいっそげー!」


 ふりふりぽてぽてと走る2匹のお尻を眺めつつ、シンと合流する。
 しっかし2匹とも頭いいよなぁ。こっちの指示はほぼ100%理解してる印象だ。


「じゃあ僕からストーンバレットを試してみるね」

「おーよろしく」


 念のため、2匹を抱き上げておく。


「トーマ。やっぱり手のひらにしか魔力を集められない。
 あと、込める魔力の量を調整することも難しそうだ」

「なるほどなるほど。あとは好きに発動してくれ」

「分かった。ストーンバレット!」


 右手のひらをマッドスライムに向け、シンが魔法を発動する。
 シンの右手から大きめの石が幾つか射出され、マッドスライム先生はばらばらに吹き飛んで行った。

 ふむ、地面に大きな陥没が4つ、1つ1つもスリングショット以上の威力か。
 抉れた後に石は見つからない。着弾後はすぐに霧散してしまう感じかな。
 発射速度はなかなかだったけど、発動までに一瞬時間があった。

 っと、そこまで考えてシンに目を向けると、呼吸が荒く汗も酷い。


「今の僕には魔力消費が多すぎるみたいだ……。
 少なくとも、もう1発撃つ余裕は無いかな」

「了解、無理すんな」


 流石に昨日魔法を覚えたばかりの2人には、攻撃魔法のコストは重いか。
 俺はなんだかんだいって、初期と比べれば魔力量増えている実感があるからな。

 魔装術と音魔法併用しても、全然余裕あるし。



「フレイムアロー!」


 次はリーンセンパイのフレイムアローの確認。大きさ的には矢っていうより槍に近いんじゃね?

 貫通力もそこそこで、ストーンバレットの3倍くらいの深さまで地面が抉れていた。
 まぁみるみる直っていったけどね。迷宮の力ってすげー!

 そしてマッドスライム先生、今回もお疲れ様です。


「リーン、辛かったら座っていいぞ」

「うん、だいじょぶ。あとやっぱり魔法名を言わないと発動できなかったよ」


 無言で無詠唱では攻撃魔法は使えない、か。
 これもマニュアルに記載されていた『縛り』の1つだと思うのが自然かな。

 ただ、スキルで無詠唱発動とか出来るようになる可能性は、ゼロではないからなぁ。

 そんなスキルは一般には知られてないみたいだけど、無いと言い切るのは危険だな。
 なんせ生活魔法は、無言発動が可能なのだから。


「じゃあここで休んでても仕方ないし、ゆっくり3階層に移動しようか。
 エアスラッシュは使えそうになったら試そう」


 ちなみに俺自身も待機しながら、新しく覚えた生活魔法をちょいちょいこっそり試している。

 照明魔法は、目晦ましや時限式の囮に使えるんじゃないかなと思う。

 熱魔法はサーモセンサーみたいな使い方が出来ないか練習中。今のところ出来ない。

 風魔法は今のところ、街行く女性のスカートをめくることすら出来なそう。


 たださっき色々試していたら、ちょっと重大な事実が判明した。
 風魔法と熱魔法、同時に発動できた上に、効果を合成できたのである。

 まぁ平たく言ってドライヤーが完成しただけなのであるが、これは地味に大発見じゃなかろうか。
 お風呂なんてこっちに来てから見たことないので、ドライヤー魔法の使いどころが難しいが、生活魔法が複数同時発動、効果合成が出来るのは結構衝撃的だ。

 例えば、水と熱で熱湯を生み出すことが出来る。
 音魔法と照明魔法で閃光発音筒スタングレネードとか出来る。
 しかも魔法でのスタングレネードの場合、魔法操作次第で、自分の目と耳への影響を、限りなくゼロにすることも可能なんじゃないか……?

 次は、同じ魔法を同時に発動することも試してみる。
 少なくとも、両手から同時に別々の音を発生させることは可能だった。


 うーむ、生活魔法の夢が広がるところだけど、こうしてみると洗浄だけがちょっと異質な感じがしてくる。

 生活魔法の割に、応用の幅が狭いように感じられるんだよな。
 俺が思いつかないだけで、洗浄にも面白い使い方があるような気がしてならない。


 3階層でレッサーゴブリンをバッサバッサと斬り捨てながら、生活魔法の使い方を考える。

 うーん、音感知と熱感知を合わせて、マジでレーダー的なことって出来ないかなぁ。
 魔力感知スキルも合わせたら面白いような……。



「エアスラッシュ!」


 魔力が回復したらしいシンに、エアスラッシュを試してもらう。
 刃渡り50センチくらいの、切れ味の良い刃物が飛んでいく感じだね。
 威力も中々で、レッサーゴブリンの骨ごとバッサリだった。

 ただ、エアスラッシュの真骨頂は、その視認性の悪さにありそうだ。魔力を感じ取れれば避けれると思うけど、目視で回避するのは結構難しそうだ。
 その分、スピードと有効射程距離は大したことない印象。奇襲には向いてるかもね。


 今回、攻撃魔法の威力を目の当たりにして、生活魔法が軽んじられるのも無理はないな、と思った。
 それと同時に、生活魔法の使い方を考えるほどに、生活魔法の研究が進んでいないのは不自然だとも感じる。

 やっぱ情報操作されてると思って、警戒したほうがいいな。


 ドロップ品の回収を手伝ういぬねこコンビを見ながら、この世界の奥深さに思いを馳せる俺であった、なんてね。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!

石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。 クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に! だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。 だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。 ※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...